アンシャントロマン
RPG 1998・4・23 日本システム
定価 7140円 中古 480円 クリア済み
主観評価 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆


ver.1.00
 本作「ANCIENT ROMAN」は80年代末〜90年代初頭にかけて幾つかのアーケードゲームを手がけた日本システム社から発売されたゲームです。
 ものすごくおおざっぱに書くと、一枚絵背景の中をポリゴンキャラクターが動き回るというRPGで、明らかに「FFVII」の影響を受けたと思われる ゲームとなっています。
 ところで、「ANCIENT ROMAN」なら普通は「エンシェントロマン」という表記になるのでは? と思われる方も多いと思いますが、 実際にパッケージ背表紙に「アンシャント」と書いてありますので、あしからず。


 それはさておき。
 本作、はっきりいって バカゲー です。ついでに書くと、ちょっとクオリティがヤバめ。
 発売日が1998年4月となっていますが、本作以前に「テイルズオブディスティニー」や「マリーのアトリエ」が出ていることを考えると、 本当に同じハードの作品なのかと思えるくらい映像や音響面でクオリティに差があります。
 しかし本作で問題となっているのは、そういった技術力の問題だけではありません。技術力とは何の関係の無い部分においても、本作はPSで 登場した数々のRPGの中でも特記すべき存在だと思えるくらい、かなりトンデモナイ作品となっていたりします。
 では、何がどうトンデモナイのか。これが色々ありすぎて、一言ではまとめられません。ですから、以下から思いつくままに列挙していきたいと思います。


1)OPがすごい
 PSにディスクをセットしてゲームを始めると、まずタイトル画面が異様に簡素であることに驚かされます。アルファベットで「NIHON SYSTEM」と 表示された後、いきなりタイトル画面。そしてメニューは 「はじめから」、「つづきから」の二つだけ です。
 ここで「はじめから」を選ぶと、物語の大まかな背景を紹介するOPムービーが始まります。そして「スターウォーズ」ばりに画面奥へ スクロールしていくという物語の紹介文が登場します。
 その全文を以下に引用してみます(改行ママ)。


ここより遥かな時空
永遠に続くと思われた
ある文明が
理不尽にも吹き飛んだ。

幾年月も虚空をさまよった
いわれもなき憎悪が、
十七年前のあの日
ハインローグの地に
襲いかかった。

カイよ、
幼い時より全てを失いし
哀しき王子よ、
平和を、愛を、
そして自分自身を取り戻せ。

少年の冒険が、
今、始まる。


 「理不尽にも吹き飛んだ」 なんて表現、作者が用いたらダメでしょ。 「いわれもなき憎悪」とか、日本語として意味不明ですし。

 で、紹介文に続いて宇宙の崩壊を描いたと思えるCGムービーが流れるのですが……これがどう表現していいのか、かなり困った代物になってます。
 簡潔に書くなら、全て前時代のクオリティ。本当に1998年の作品なのかと疑いたくなるようなCGで、爆発シーンで様々な物体がポリゴン片になって 飛散するなんていう演出は、PS初期のゲームでしか見られないものです。
 また、このOPでは モニタにドアップで映し出されたムサい顔のオッサンがポリゴン片に砕ける シーンがありまして、 これがまた全PSゲームのCGムービーでも五指に入るインパクトを持っていると思います。これに関してはとにかく見て欲しい、としか書きようが ありません。本当に凄いんです!


2)シナリオがすごい
 次に本作、シナリオもなかなかに飛ばしたものとなっています。
 まずOPが大嘘。先に記したムービーを見る限りでは、本作は「スターオーシャン」のような宇宙を舞台にしたRPGとしか思えません。ところが、 実際にやってることは英雄流離譚のファンタジーRPG。あのプロローグは、まさに 書いただけ だったようです。
 しかも、孤児の主人公が王子だと 激しくネタバレ してます。この設定は物語の中盤、一つの山場というべき場面で ようやく明かされる衝撃の事実のはずなんですけど…。

 一方の本編はというと、こちらのキーワードは「唐突」。普通の作品なら「起」と「結」の間に入っているはずのワンクッションが欠けており、 話の流れがつかめなくはないけど把握しにくくなっています。
 それとシナリオでもう一つ指摘しておきたいのは、物語の展開が恐ろしく安直であること。ファミコン時代のRPGでも、もう少しヒネった展開を 見せていたぞ、と思えるくらい御都合主義なシナリオになっています。あまりに安直な展開ばかりなので、ひょっとして小学生が書いた……ではなくて、 よっぽど人員が不足していたか、もしくは制作進行が厳しかったのだろうかと勘繰ってしまいます。


3)戦闘シーンがすごい
 本作はPSらしくフルポリゴンの戦闘シーンとなっています。
 が、これがまた頭を抱えてしまうような内容で、実にいかんともしがたい代物。ポリゴン数がどうこうという問題は置いておくとしても、 本作の戦闘シーンにはどうにも解せない部分が一点あります。
 それは、ダメージ計算時に画面が硬直する こと。
 といってもイマイチ分かりにくいと思うので、もう少し具体的に書いてみましょう。本作は主人公パーティと敵が一つの画面に登場しており、 「FFVII」に近い画面構成となっています。同種のゲームは普通なら…
  1・主人公が敵に近づく
  2・攻撃の動作
  3・敵がのけぞってダメージが表記される
  4・主人公が元の位置に戻る」
 …といった流れがスムーズに行われますが、本作では2と3の間で1秒近い硬直時間があるのです。これはHPの回復でも同様ですので、計算の部分で よほど複雑な計算を行っているのが原因なのでしょう。本当のところは知りませんけど、そう考えないとこの遅延は理解できませんから。


4)ボイスがすごい
 本作はPSのゲームらしく、主人公たちのボイスが収録されています。例えば戦闘シーンでは、クリティカルヒットの前に 各キャラクターが威勢のいい台詞を喋ったりします。
 別に何の問題もないと思える仕様ですが…。

 なんと本作、このボイスを何故かアイテム購入の場面でも使用しているのです。
 武器屋であるアイテムにカーソルを合わせると、「これ、買って欲しいんですけど」などと喋るのです。さらに購入せずにウインドウを閉じると 「ケチなんですね」とプレイヤーを罵ってくれる のですから堪りません。
 しかも、これが 8人分も用意されている という無駄っぷり。わけが分かりません。

 ついでに書くと、声優陣の演技力が相当に…なんというか…。高橋直純、中山真奈美(現・中山さら)中島沙樹などの方々は後の活躍を思わせる ものがありますが、バークとかバロアとかミーナを担当された声優はお世辞にも…。


5)ダンジョンの構成がすごい
 先に人員が足りなかったのか云々…などと書きましたが、それが最も如実に現れているのがダンジョンに関してです。
 普通のRPGでは幾つも分岐を作って、仕掛けを解除しないと先に進めなくて……と様々な障害が用意されていますが、一方の本作は、とにかく 迷わないダンジョン になっています。
 なにしろ 大半のダンジョンが一本道、よくて一ヶ所だけY字に分岐している程度 なのですから。
 こんなの迷いたくても迷えません。マイクロマウスの相手にもならないような迷路です。何のためのダンジョンなのか、理解に苦しみます。


6)アイテムがすごい
 本作は典型的なファンタジーRPGです。ですから、主人公たちの装備品にはバスタードソードやチェインメイルなど、らしい名前が使われています。
 ところが武器防具以外のアイテムとなると、これが実に大問題。

 「ほしがき」とか「ぎゅうにゅう」が回復アイテムで、「おんせんたまご」や「オムレツまん」(想像不能…)がステータスアップの アイテムだなんて、想像できますか?
 それ以上に滅茶苦茶なのがサブ装備品で、ももひき、ブルマ、セーラー服、スクール水着 …とか、そんなのばっか。

 冗談で書いているだろ、と思われそうですが、全部ホントです。
 さらにサブ装飾品は三つまで同時に装備できるようになっています。ということは、ももひき三枚重ね とか、スクール水着三枚重ね とか、かなり無茶な装備が可能というわけです(さらにその上から防具類を装備するわけで…)。
 制作スタッフはハナからやる気がなかったのか、電波で宇宙人に操られていたのか、それとも本当に小学生(以下略)。



 以上のように「アンシャントロマン」は、かなりヘンなところのあるゲームです。
 ところで、筆者は本作をプレイしていてデジャブのようなものを感じまして、それが何なのかと考えたところ「エアーズアドベンチャー」に 似ているのだと思い当たりました。
 アレなグラフィック、唐突な展開、迷わないダンジョン…。本作は全体的に「エアーズアドベンチャー」が半歩ほど進化した作品と言えるかも しれません(半歩ほど進化したおかげで、迷わないダンジョンは、絶対に迷わないダンジョンになってますし)。

 これほどのゲームなら、クソゲー・バカゲーを紹介する書籍やサイトで取り上げられて当然ではないかと思われるのですが、ところが書籍は ともかくとして、不思議なことにネット上でも「アンシャントロマン」の名前を見かけることはほとんどありません。おそらくよっぽどのゲーム マニアでもないかぎり、タイトルすら聞いたことがないのではないでしょうか。
 これは結局、1998年4月という発売日が一番影響しているのだと思われます。1998年といえばゲームバブルとでもいうべき活況を呈していた時期。 年間で総数約1100本、PSだけで600を越えるタイトルが発売された年です。
 そんな中で発売されたため、本作は誰にも見向き去れないまま寿命を終えてしまったのでしょう。クソゲー・バカゲーとして俎上に上ることは、 決してゲームにとって名誉なことではありません。ですが、クソゲー・バカゲーとして話題になる機会すらないというのは、それ以上に最も悲惨な ことなのかもしれません。

 それで結局のところ何を書きたいのかというと、好事家なら体験すべし ということ。 隠れたバカゲーは、まだまだ幾つも埋もれているのですから。



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