アルバムガイド ジャズヴァイオリンニスト−Zbigniew Seifert篇

知名度はあまり高くないがジャズファンには評価の高いポーランド出身のジャズヴァイオリン二ストZbigniew Seifert。 1946年にポーランドに生まれた彼は幼少時よりクラシックのヴァイオリンを勉強していたが、ジャズにも興味を持ちサックスも勉強、65年頃 から自己のグループで演奏を始めた。当初はサックスをメイン楽器としてたが70年代に入ってからはヴァイオリンをメインの楽器として活動、 70年代初頭はポーランドの名サックス奏者Tomasz StankoのクインテットやオランダのHans Kollerのバンドにも在籍した。 本格的なソロ活動は70年代中盤以後で、ソロ作「Zbigniew Seifert」でアメリカデビューも果たしこれからというところで33歳の若さで癌で亡くなりました。
彼のヴァイオリンはJohn Coltraneの影響の強いモーダルな演奏、そしてうねるような独特な芯のある太みのある音が特徴的です。所謂 モードジャズ系の激しい演奏は、Grappelli系のメロディアスできれいな演奏を期待する人にはまったく合いませんが、ヴァイオリンによる モダンジャズを聴きたいという人にとっては、非常に魅力的に響くと思います。まずお薦めは代表作であり入手もしやすい「Man of The Light」。もし気に入ったら未CD化ですが「Passion」「We'll Remmber Zbiggy」なども探してみては。またセッション作としては「GlenMoore/Intrducing Glen Moore」「Tomasz Stanko Quintet/PURPLE SUN」あたりがSeifertのフューチャー度が高くCD化もされているのでお勧めです。

今回は「Passion」「KILIMANJARO」「Volker Kriegel/LIFT!」「Charlie Mariano/ HELEN 12 TREES」を追加しました。(2006年9月4日)

今回は「Tomasz Stanko Quintet/Jazz Message From Poland」「Tomasz Stanko/At the Primate Palace」「Polish Jazz Vol37 ALL STARS AFTER HOURS-NIGHT JAM SESSION IN WARSAW」を 追加し、紹介文を変更しました。(2007年12月28日)

今回は「GlenMoore/Intrducing Glen Moore」を 追加しました。(2009年6月15日)

今回は「Live in Hamburg 1978」を 追加しました。(2016年3月31日)

Zbigniew Seifert/MAN OF THE LIGHT(1976年)

ドイツ出身の名ピアニストJoachim KuhnにベースがCecil MacBee、ドラムBilly Hartという強力面子を迎えてのドイツ録音のこの作品は、 ジャズロック調のスピード感のある楽曲とKuhnの華麗でゴージャスなピアノによってプログレファンなどにも人気の高い1枚。確かに オープニングナンバーなどスピード感のある楽曲でのうなりをあげるかのような彼のヴァイオリンのソロは他のヴァイオリンニストでは 出せないかっこよさだ。ただ個人的には同じアルバム内の曲でもミディアム〜スローテンポでの モダンジャズナンバーでの落ち着いた思索的なソロの方に魅力を感じる。4ビートでも横ノリ感を感じさせないところがいかにも ヨーロッパのジャズ、楽曲は多様ながらよくも悪くも全体的にシリアスな質感が強い。そのあたりが趣味を分けるところはある。 とは言うもののアルバム全体の統一感、楽曲のバランスもあり世評どおりの完成度の高い名作であることには間違いない。近年CD再発もされ入手も容易になったので初めての人はまず本作から。

Zbigniew Seifert/Solo Violin(1976年録音・78年発表)

裏ジャケットに「妻に捧げる」とクレジットされたこの作品は、ヴァイオリンによる彼の完全ソロ。音を聴いた感じでは2本のヴァイオリンが 鳴っていたりする一方、残響や拍手なども聴かれるのでライブ録音に若干のオーバーダビングが施されているように思われる。 どこまでが本当に即興でどこまでが作曲された音かはわからないが、聴いた印象としては簡単な構成に基づいた即興ソロという感じ。 そう書くと難解な印象を持つ人もいるかもしれないがそうではなく、とにかく心に響くヴァイオリンの音色の心地よさが素晴らしい。 1曲目からしてサックスかと思えるほどの多様で豊かな表現力をもった芯のあるヴァイオリンの響き、この深みのある音色、表現力は 本当に見事だ。たおやかに流れる至福の40分、ジャズロック的な派手さやキャッチーなメロディはないが、個人的にはこれぞ彼の 本質が現れた最高傑作だと思う。

Zbigniew Seifert/Zbigniew Seifert(1977年)

オランダとニューヨークの2箇所で録音されたというセルフタイトルのこのアルバムは彼のアメリカ進出作として作られたもののようで、 2曲でBrecker Brothersが参加するなど、ブラスも参加してのファンキーなクロスオーバーサウンドを志向した音作りがされている。 そのため他の作品と比べると若干の違和感もあるが彼自身の鋭角的な神経質だが芯のある音色はいつもどおり。彼のヴァイオリンプレイが そういったオーソドックスなFuisonにも意外とはまることに驚かされるが、ただやはり彼本来のフィールドではないようで、 無理をしていて持ち味を出し切れていないという感じがしないでもなく「Solo Violin」などで 感じられるほどの深みはない。逆にあまりシリアスなものはちょっとという人にはちょうどいいかもしれない。楽曲は自作曲中心で ソフトでキャッチーなFusion曲が多いのでDidier Lockwoodの80年代の諸作品などがいける人なら問題なく受け入れられると思う。 ただこのアルバムを聴いただけでは彼の音楽性のほんの一部しか理解できないので注意。

Zbigniew Seifert/KILIMANJARO(1978年)

前作から一転ポーランドでのライブ録音のこのアルバムではA面2曲、B面1曲でジャズ感覚を前面に出した作品となっている。 編成はポーランドのミュージシャンでb,drにギターという編成、1曲目は「MAN OF THE LIGHT」でも聴けるミディアムテンポの佳曲「CORAL」で演奏はスタジオアルバムに近い印象、 2曲目John Coltraneの高速ナンバー「IMPRESSION」ではギターと激しいソロを取り合い盛り上がる。ただB面全部を使った3曲目は ミディアムテンポでギターとユニゾンしソロを繰り広げているもののあまり熱い盛り上がりはなく展開に欠ける感じで若干物足りない。 良くも悪くもキャッチーでメロディアスなナンバーやスロー、フリーなナンバーがないためメリハリに欠ける印象が強い。またバックも スタジオアルバムの豪華面子に比べると少々分が悪い。というわけで初心者は他のアルバムから、彼のライブ演奏を堪能したい人向けの作品。

Zbigniew Seifert/KILIMANJARO2(1978年)

A面はKILIMANJAROと同メンバー同日録音を2曲収録、一方のB面はセルフタイトルのアルバム収録の「On The Farm」のライブバージョンを バックにしたSeifert本人のインタビューという変則的なアルバム。A面収録の2曲はミディアムテンポの自作曲でColtraneライクなソロが 繰り広げられるもので熱気では前後の作に譲るがKILIMANJARO1が気に入っていれば当然問題なく聴ける。B面、本人のインタビューは 貴重だが、バックの演奏をちゃんと聴きたい身としてはちょっときつい。インタビューの中身は、彼がジャズヴァイオリンを始める経緯や アルバム発表当時の活動についてのことで、「Man of The Lightの録音メンバーでやりたいが経済的物理的にできない。ポーランドでは とりあえずポーランド人とバンドをやっているのだが」「ヴァイオリンで演奏することに興味が入っていて今はサックスに割く時間はない」 といったことをしゃべっていて興味深い。

Zbigniew Seifert/PASSION(1978年)

Seifert2作目のNew York録音は、ドラムにJack DeJohnette、 ギターにJohn Scofield、ベースにEddie Gomez、パーカッションNana Vasconcelos という豪華面子。セルフタイトルの前スタジオ作がFusionよりの作風だったのに対し、今作は、Seifert本来のモードジャズが全編で 展開されている。冒頭からDejonettの正確かつ豪快なドラミングにパーカッションがからむサンバのリズムにのって激しいソロが 繰り広げられる様は圧巻。「Man of The Light」と比較してリズム隊の違いがアルバム全体の雰囲気を一変させているのは明らかで、 よくも悪くも激しい自己主張をするリズム隊に煽られてSeifertも激しいソロを取っている。一方ストリングスをバックにした静謐な 演奏が激しい演奏の合間に差し込まれるがこれをメリハリと取るか、流れが分断されると取るかは人次第か。ともかくも完成度としては 「Man of The Light」と双璧をなす快作と言える。残念ながらこのアルバムが彼の生前の最後のアルバムとなってしまった。

Zbigniew Seifert/We'll Remember Zbiggy(1974〜1977年)

79年に33歳の若さでガンで亡くなった彼を悼んで発表されたこのアルバムは74年〜77年にかけて彼が様々なミュージシャンとおこなった 演奏を集めた編集盤である。ピアノのJoachim KuhnとのDuo、ギターのPhillip CatherineとのDuo、Hans Kollerバンドでの演奏など 多彩なアーティストとの演奏は、統一感こそないが、モダン、ジャズロック・クロスオーバーからフリーまですべてに対応しかつ、 どのジャンルでもオリジナリティを主張する彼のあふれる才能の幅を実感することができる。特にゆったりした曲でのヴァイオリンの 芯のある音色はクラシックとジャズの感性があいまった素晴らしいものだ。若干モダンより過ぎでシリアスな曲が多い印象はあるがファンは是非入手したい。



Zbigniew Seifert/Live in Hamburg 1978(1978年録音)

2006年になってZbigniew Seifert名義で発売された発掘ライブ音源である本作は、Piano・KeyboardのWolfgang Dauner、サックスのCharlie Marianoというそれぞれのアルバムで共演してきた盟友2人にThe NDR Big Bandがバックに入るという豪華な編成。クレジットが明確でないため元々がSeifertのリーダーバンドなのか?はっきりしない点があるのだが、とにかく名演。タイトルクレジットもあいまいなため、Seifertというとフリー系の演奏をするケースも多いのでこれもフリー主体かと思いきや、本作については明確なスコアに基づいたジャズロック曲を演奏していて、これがとにかく非常にかっこいい。快活な1曲目からヴィヴラフォンも入って幻想的に聴かせる2曲目、エキゾチックな3曲目、ミステリアスな4曲目、ホーンのバッキングもかっこよく炸裂感の高い5曲目とアルバム全体としてもメリハリのついた構成で一気に聴かせてくれる。音質的にはところどころ盤起こしかと思わせるところもあるがまずまず。ファンなら必聴。

Tomasz Stanko Quintet/Jazz Message From Poland(1972年)

ポーランドのジャズトランペッターTomasz StankoのバンドにヴァイオリンのZbigniew Seifertが在籍していた時期の作品。Seifertがヴァイオリンで参加した作品としては翌年の「Purple Sun」もあるが同一編成ながら印象は大分異なり、こちらは大分地味な印象が強い。A面収録の2曲のうち前半1曲は、淡々と一定のスピードで続くドラムの刻み、へースのリフの上で、トランペットとヴァイオリンそしてフルートが左右でそれぞれソロをつむぎ続け少しずつ盛り上がっていく。そこから流れ込む2曲目は終始フリーな感じ。B面は後に「At the Primate Palace」でライブバージョンが収録される大曲だが、これもフリーな感触が強いが劇的な激しさはなく淡々と穏やかに続く。どの曲でもSeifertは終始前に出ていつものヴァイオリンを聞かせている。ただジャズロック的明快さや音響的な派手さはないので、わかりやすさという点では「Purple Sun」をお勧めします。

Tomasz Stanko/At the Primate Palace(1973年録音)

1982年発表のこのアルバムはStankoの完全ソロと、1973年のジャズフェスでのバンド編成によるライブを片面ずつ収録。 そのバンド編成でのライブでは前年のアルバム「Jazz Message from Poland」収録の「Piece for Diana」を同一メンバーで LP片面まるまる演奏している。「Jazz Message〜」と同じ曲ながらフリー色が強いためあまり同じ曲という印象はない。 Seifertは最初は主役のトランペットを中心とした激しい演奏の裏でヴァイオリンをいつもの音色でうならせているが、 9分頃からメインに出て完全フリー状態になりあのひきつけを起こすかのような音圧のある音色でのソロを約3分にわたり炸裂させている。 それが終わった後は、他の楽器のソロ中心で展開するが、裏でちょこちょこヴァイオリンをドローンのようにうならせている。 もしSeifertのヴァイオリンが聴きたいのであれば、Seifertのソロやこのアルバムの同じメンバーによる「Purple Sun」を聴いた方がいい。それらを聴いて尚、彼のヴァイオリンが聴きたいならどうぞ。

Tomasz Stanko Quintet/PURPLE SUN(1973年)

ポーランドのトランペット奏者Tomasz Stankoの73年作。編成はベース、ドラムにソプラノ・アルトサックス奏者、そしてヴァイオリン兼アルトサックスでZbigniew Seifert。楽曲は、 遠くで鳴っているようなエコー効きまくりの幻想的なトランペットを中心に、反復するビートにのってメンバーがソロを 繰り広げる幻惑的なジャズロック。全4曲中、1曲目ではエフェクト(ワウ?)を効かした音色のヴァイオリンでバッキングに 徹しているSeifertだが、2曲目では暗闇を切り裂くような鋭いタッチでヴァイオリンを弾きまくっている。 3曲目も前半はバッキングに徹しているものの後半になると反復するビートにのって激しいソロを取っている。 ちなみに彼がサックスを吹いている時のフレージングもヴァイオリン同様だったりする点は興味深い。東欧ならではのエスニックでクールなサウンド、そしてこのアルバムならではの独特の音響感が癖になる傑作。

Volker Kriegel/LIFT!(1973年)

ドイツのジャズギターリストVolker KriegelのアルバムにSeifertは数作参加しているがその中の1作。SaxがStan Sulzman、キーボードがJohn Taylor、ドラムにJohn Marshallとイギリスのジャズ、ジャズロック人脈が多く参加、ベースにはECM系で活躍するEberhard Weberと多彩なメンバーだが、全体的な印象は割りと落ち着いたタッチのジャズロック。軽快なナンバー、メロディアスなナンバーとも整った演奏だが、逆に言うと楽曲や演奏ともここという熱さ、インパクトに欠ける印象も受ける。リーダーのKrigelはアコースティックギターでの達者なソロの一方、エレキでロック色のソロも取るなど幅広い。Seifertはやはりいつもの音色で参加。他の客演に比べると地味な印象だがB面1曲目などはやはり彼ならではのソロを繰り広げている。

VA/Polish Jazz Vol37 ALL STARS AFTER HOURS-NIGHT JAM SESSION IN WARSAW(1974年)

73年12月ワルシャワで行なわれたポーランドのジャズミュージシャン総勢17人による大セッションを収録したライブ盤。Zbgigniew Namyslowskiらの名前に並んでヴァイオリンニストのZbigniew Seifertも参加、全4曲中3曲でソロを取っている。参加曲はNamyslowskiによるブルースナンバー「Neskim Blues」、Horace Silverの「Peace」、Miles Davis 「So What 」。参加メンバーが多いためソロの長さは短めだが、いかにもSeifertという芯のある鋭い音で印象に残るソロをつむいでいる。特に「Peace」は7人と割合小編成での演奏ということもありソロの尺も長く、ミディアムテンポでのよく歌うソロは非常に味わい深い。彼のリーダー録音はオリジナル主体で、そこではよりモード的演奏が多いので、こういったスタンダードでの演奏は珍しく価値のあるアルバムとなっている。

Hans Koller/KUNSTKOPFINDIANER(1974年)

オーストリア出身でドイツを中心に活動する著名なサックス奏者Hans KollerのバンドにZbigniew Seifertは73〜75年頃に参加、 そのときの作品がこのアルバムで彼はSaxとviolinで参加している。クールなリフを中心とした楽曲はバップというより ヨーロッパならではのジャズロックという感じが強く、中期Soft Machine(5th頃)に近い印象を受ける。全5曲中、 Seifertは3曲でヴァイオリンを弾いていて、彼ならではの鋭角で神経質そうでありながら芯のある音色でKollerと同じくらいの フューチャー度でソロを取っている。特に1曲目は変拍子リフが心地よくその上での彼のプレイも素晴らしい。後の彼のソロ作品に比べると線の細さが強いような気もするが比較的入手しやすいので彼の音を知りたければこの作品から手にとって見るのも悪くない。

Jsper Van’t Hof/EYEBALL(1974年)

オランダのピアニストJsper Van’t HofによるリーダーバンドEyeballのアルバム。編成はキーボード、ギター、ベース、ドラムにViolinのZbigniew Seifert。キーボード、ギター、ヴァイオリンがインタープレイを展開する横ノリのジャズロック曲と、ピアノソロを中心とした楽曲で構成されているが、これがなかなかの高クオリティ。方向性としては、Seifertが当時セッション参加した他のアルバムと同じだプログレッシブなジャズロックだがクオリティは一番高く、またヴァイオリンのフューチャー度も一番高い。中でもベーシストJohn Lee作曲による曲で、Gong「Shapeshifter」収録曲にそっくりの4曲目や、スピーディな5曲目Schwester Johannaでのヴァイオリンの活躍ぶりは素晴らしい。アルバム全体のバランスもよい好盤。一時期CD化されたが現在は廃盤。ちなみにJasperはSeifertの「Man of The Light」や「We’ll Remember Zbiggy」に客演している。

Charlie Mariano/ HELEN 12 TREES(1976年)

秋吉敏子の元夫であり、渡辺貞夫の師でもあるアルトサックス奏者のドイツ録音だが、メンバーはヴァイオリンがZbigniew Seifert、 キーボードにJan Hammer、ベースがJack Bruce、ドラムにJohn Marshallと当時のヨーロッパジャズロック界の精鋭たち。録音の経緯は わからないが面子からの期待に違わぬジャズロックの秀作。当時Soft Machineで活躍していたJohn Marshallのロック色の強い ドラミングがジャズロック色を強くしているが、そんな中SeifertのヴァイオリンはMarianoのサックスと並ぶリード楽器として大活躍。 いかにも彼ならではの音色のヴァイオリンがアップテンポナンバーで駆け巡る一方、A3ではMarianoのフルートとのDuoで美しく たゆたう演奏を聴かせてくれる。これだけのフューチャー度「Hans Koller/KUNSTKOPFINDIANER」と並んでSeifertファンなら文句無く購入すべき。近年CD化されて入手しやすくなったことを素直に喜びたい。

OREGON/VIOLIN(1978年)

エスニックな楽器を駆使した即興集団OREGONがZbigniew Seifertとコラボした作品がこの「VIOLIN」。Oregonはタブラ、ギター、 ベース、オーボエ等のアコースティック編成で、これにヴァイオリンが加わり1曲目からして15分に及ぶ即興演奏を繰り広げる。 タブラによるエスニックなリズムにのってソロが取られるが熱くなることなく淡々と進む。他の小曲はやはりひねくれたコードに よるものだが意外とキャッチーで心地よいサウンドになっている。ここでのSeifertのヴァイオリンは、ソロで聴かれる骨太な音色 とは異なり、クラシックよりの線の細いもの。曲によっては美しい音色を聴かせたりするのだが彼本来の持ち味とは違うので注意。 もちろん十分魅力的な作品ではあるのだが、奏法の違いはセッション活動と割り切っていたということなのだろうか?

Glen Moore/Introducing Glen Moore(1979年)

ECM系のアバンギャルドなジャズバンドOregonのベーシストであり、フルート、ピアノ、ヴァイオリンもこなすマルチミュージシャンGlen Mooreのソロアルバム。チェロにDavid Darling、ドラムにJan Hammer,そしてヴァイオリンにZbigniew Seifertという編成。実際はドラム入りの楽曲は数曲で、弦楽器同士であったりMooreのピアノソロやチェロとのDuoだったりと、ほとんどが室内楽的な編成による演奏のため、チェンバージャズというべき独特な音楽性のアルバムとなっている。ベース、チェロ、ヴァイオリンがグルービーに絡み合う2曲目などはその真骨頂。この曲を含めて12曲中5曲で聴かれるSeifertの骨太な芯のある音色が本当に心地よい。またMoore自身も2曲でヴァイオリンを弾いており、Seifertとは異なる多少無骨ながらやわらかく飄々としたストリングスっぽい彼のヴァイオリンがまた味わい深い。そんな彼のヴァイオリンが舞い広がるラスト曲は絶品。Seifert参加作としても、チェンバーミュージックとしても傑作。これならジャズファンだけでなくプログレファンにも大いにアピールするはず。



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