Language : Japanese


右手の使い方 (How to use the right hand)



 バイオリン・ギターなど、左手は音程を決め右手で弦を擦ったりはじいたりして音を出す、と左右の役割分担がはっきりしています。楽器は長い年月を経て現在の形に改良されてきたのですが、世の中は右利きの方が多数派であることを考えると、楽器の右手側により微妙な操作を要求されていると言えるでしょう。
 Vielleもバイオリン・ギターなどと同様に左手で音程を決め右手で弦に振動を与えます。左手は鍵盤で右手はCrank handleを回すという違いはありますが。
Vielleという楽器にとって右手を要求する微妙な操作というのは、Chien(Dog)の弦からCoupを出すことではないかと私は思います。英語のHurdy-gurdy関連のサイトを見ていたら、Dog technicという言い方をしていたのですが、正にこのDog technicがVielleの演奏を聞く上で、あるいは自ら演奏する上での醍醐味の一つではないかと思うのであります。(前置きがちょっと大袈裟になりました)

▼楽器のCrank handle・Knob
 まずは、楽器についての注意です。VielleのCrank handle・Wheelがガタつかず滑らかに回ることは当然として、Knob部分も偏りなくスムーズに回転する必要があります。回りが悪いようなら油をさし、それでも具合が悪ければHandle・Knob部分を交換します(Handleは通常ネジ込み式で取り外し可能)。交換用のHandleが手に入らなければKnobを何とか分解修理してでもKnobが滑らかに回転するようにします。(これは私はやったことがありません。こうならないように祈ります)
 Coupを出す上でKnobが滑らかに回転するということは非常に重要です。

▼右手の構え
 Coupを出す際には、右手はしっかりKnobを握るのではなく、指と手のひらで小降りの鶏卵1個程度の空洞を作ってその中にKnobを包み込むような形にします。右手で作った空洞の中でKnobを転がすようにしてCoupを出します。
弾き始めの構えとして、右手首は心持ち上方に上げるような感じにします。といっても力を入れて無理して手首を曲げるというのではなく、あまり力を入れずに持ち上げる程度です。右腕・右肩はリラックスして、肘を自然な状態で曲げます。変に力を入れて右肘を横に張ったりしないように。

▼Coupの出し方
 Coupには3分割系と4分割系がありますが、よく使う4分割系を中心に話を進めます。尚、以下述べる演奏法は私が馴染みのある70年代フランスのものを元にしており、他地域、あるいは現在のトレンドとは異なるかもしれないことをお断りしておきます。

1. 中心軸
 下の写真のように楽器を構えた位置で、Knobの軌跡によって描かれる円を想定した場合、下図Aのように軸が地面と垂直になっている演奏法と、Bのように若干前方に傾きがある演奏法があります。Aの方が多数派です。



2. Coupを出す方法
 Coupを出すときは、指や手のひらでKnobを叩くようにします。これには、下図CDの2種類のやり方があります。下図CDは楽器の頭側から見た図で、上図ABと反対回りになっている点を注意してください。手の上の黒丸はKnobを叩く位置です。



 Cの方法で使うのは、1.親指、2.親指、3.薬指の上側、4.薬指の上側と言う順です。Dは、1.親指、2.人差指・中指、3.薬指の上側、4.親指の付け根と言う順です。このCD以外にも、理論的にはCとDの混合型やCD以外のやり方なども考えられますが、私は出会ったことがありませんので、ここではCDの2種類を挙げるにとどめます。
 中心軸の傾きとの組み合わせでは下のようになります。

A-C タイプ : 最も多数派だと思います。
A-D タイプ : 私はこのやり方です。
B-C タイプ : このやり方は楽器の位置と体の構造から考えて無理があります。
B-D タイプ : 楽器の位置と体の構造から考えて一番合理的だと思います。


 参考までに3分割系の出し方を挙げておきます。



3. その他の注意
 Coupを出す際には、指の動き、手首のスナップ、腕全体の動きの3つが総合的に働きます。人にはそれぞれクセ・好みがありますから、力の配分はこれこれの動作に何割と決めつけることはできませんが、どれか一つに比重が偏り過ぎるのは問題だと思います。特に、指だけでCoupを出すと、音がペラペラになったり手の動きに無理が出たりする恐れがあるので、気をつけたほうがいいと思います。


Made : November,1998


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