Language : Japanese


Vielle の 歴史 (History of the Vielle)



 Vielleがどこから来たか、本当に確実なところは分かりませんが、どうやらヨーロッパ起源の楽器であろうと考えられています。
 フランスを中心に楽器の誕生とその盛衰について簡単にまとめてみました。

 10世紀
 10世紀に書かれたと見られるフランスの文献上に、Vielleの祖先と考えられるOrganistrum(オルガニストルム)という楽器の記述が初めて現れました。この楽器は2人で演奏するもので、一人がクランクハンドルを回し、もう一人がキーを操作して音の高低を出すというものです。宗教音楽に使用されていました。

 12-13世紀
 フランスやスペインでこの時期に建設された教会の装飾に、ときおりOrganistrum が見られます。

 13-14世紀
 Organistrum は一人で演奏できるように小型化されました。リズムを出すパーツのChien(振動ブリッジ)が楽器に加えられたのも14世紀ごろと見られます。
また、名前もSymphonia(シンフォニア)、さらに Chifonie(シフォニー)と変わってゆきました。演奏の場も、教会・宮廷から民衆の間へと広まってゆきました。


 14-17世紀
 次第に上流階級のもとを離れ、吟遊詩人・辻音楽師・農民・物乞い等の手で演奏されるようになりました。当時の絵画のモチーフとしても現れています。右はオランダの Hieronymus Bosch(ヒエロニムス ボス)によって描かれた絵画の一部です。
 17世紀には楽器もほぼ現在の形になり、またヨーロッパのかなりの地域に広まっていたようです。名前は地域によって様々でしたが、フランスでは(ヴィエル ア ルウ)の名前で呼ばれるようになりました。

 17-18世紀
 17世紀中頃フランス国王となり、「朕は国家なり」と語ったとされるルイ14世は、田園風を好み、貴族の間で羊飼いや乳搾り娘といった農村風俗を模すのが流行りました。同時に、農民や物乞いの楽器となっていたVielleも、上流階級の間に再び広まりました。
 今回の流行で特徴的なのは、職業的音楽家だけではなく、多くの上流階級のアマチュア男女によっても演奏されていることです。楽器自体も宝石・象牙などの豪華な装飾をほどこしたものが作られるようになり、Vivaldi、Mozart、Haydn、Schubert等、当時の著名な作曲家もVielleのための曲を残しています。

 18-20世紀前半
 18世紀終わりのルイ16世の頃から、宮廷でのVielleの流行は盛りを過ぎつつあったのですが、フランス革命で貴族階級自体が無くなってしまいました。その後もVielleは民衆の間で演奏されていましたが、19世紀の終わり頃登場したアコーディオンにその座を奪われ、次第に都市部の住民からは忘れ去られてゆきます。
 そして、一部の地方、フランスでは中央部のオーヴェルニュ、ベリー、ブルボネ、モルヴァン等で、地方の伝統楽器として生き延びることとなります。右はブルボネ地方の結婚式を写した昔の絵葉書です。足にはサボ(木靴)をはき、一番左の男性がVielleを、二番目の男性がCornemuse(コルヌミューズ:バグパイプの一種)を構えています。Vielleとバグパイプというのは、フランス中央部の伝統音楽の典型的な組み合わせです。

 20世紀後半-現在(1999)
 20世紀中頃アメリカから起こり世界中に広まったフォーク運動の影響を受けて、フランスでも伝統音楽・伝統楽器の再認識の動きが起こりました。それを受けて、Vielle、バグパイプなどの伝統楽器や古楽器が再び注目されるようになりました。
 地方の伝統音楽グループの活動も活発になりましたが、むしろこの動きを主に担ったのは、都市部の青年層です。そのためもあり、現在のVielleを取り巻く状況は、単純に伝統を保存しようとするにとどまらず、新しい試みもなされています。Vielleでロック・ジャズなどを演奏したり、Vielle自体も電子機器を組み込んだものなどが作られています。

References
  以下の印刷物・ウェブサイトを参照・引用しました。

First upload : May,1999
Last update : Sep.,1999


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