15トン電車考
その1

2010年1月12日修正(下線部)
2009年12月6日公開
Type of 15ton Locomotive

 15トン電車5号は、現存する”日本最古級の電気機関車”として注目を集めていますが、今のところ、その言及が単に古いということに留まっているのは残念なことです。見れば見るほど興味深く、謎多く、かつ愛らしい小型電車、本稿では15トン電車のレーゾンデートル(存在理由)を探ってみたいと思います。

 さて、第1回目として、しばしば見られる記述”運転室扉はなく、後方の窓より出入りした”について検討してみたいと思います。まず「扉」。たしかに見た目、前後左右に扉はなく「窓」だけですね。ここから出入りしたのは間違いないので、「出入窓」と呼ぶべきでしょうか。

 次に前後の問題。L形の形態となっていますが、どちらが前or後なのでしょうか。15トン電車の形式写真として紹介されたものをみると、機械室を前面に、運転室を後にして撮られることが多いように感じます。果たして…

 まずは15トン以外の、各電車の「運転室内の配置」と、「機関車の向き」を整理したのが下図になります。20トン電車と45トン電車では、何故か@Aエンドが逆になりますが、運転席はいずれも港駅側に設けられ、港駅に向かって右向き運転となっています。三池鉄道は浜駅→港駅へと時計回りに半円の路線ですから、より遠くを見通せるように内円側に運転席を設けたのかもしれません(??)。



(20トン電車平面図)6、10、13、15、32号電車については未確認ですが、おそらく同構造と思われます。本線用最初のグループですが、港側を正面とし、運転は横向きの右側運転台。



(45トン電車平面図その1)45トン電車のうち、自社発注の17〜19号、21号は、配置は20トン電車と同じだが、エンドが逆になり、浜側が正面。なお51号電車も同様。



(45トン電車平面図その2)45トン電車のうち、譲授車の20、22号は、扉配置が左右で互い違いとなるが、東芝製電機としてはこれが標準。

 さて本題の15トン電車が下図です。15トン電車も例外ではなく、港側に運転席(室)が設けられています。港駅に向かって右向き運転となるのも同様です。また運転室のある側を@エンド正面としています。つまり「←L」に進むのが前進というわけですね。なぜか竣工図表の形式図では運転室側を右(前)に描かれていますが、これは誤り?では。

 私自身、まだ港本庫のはずれに放置されていた頃、両エンドから車内に乗り込んだことがありました。一見すると、Aエンド側、機械室(台車)側からのほうが乗り易そうに見えますが、窓を開けるとコントローラーがでんと横たわっており、身を屈めてさらにコントローラーを跨がないと乗り込めませんでした。@エンドからも身を屈めないといけないのは同様ですが、障害物はないので、足先からもぐりこむ様に乗り込むことが出来ました。結論としては、どちらからも乗り込めないことはないが、おそらく常用としては@エンド側と思われました。運転室への出入りは後方ではなく”正面の窓から”とするのが正しいようです。



(15トン電車平面図)港側が正面、機器配置からすると、横向きの右側運転台といえる。


(1992年8月三池港)三池港駅にて展示されていた頃の15トン電車5号。この写真の向きが”公式側”となります。本来、軸バネ守には@〜Cの位置表記が書かれていたが、現在保管中の同車も書き忘れたままである。


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15トン電車考その2