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※ザルカウィに言及した主な記事・リスト
ザルカウィの役割、米軍が誇張
ワシントン・ポスト記事を読み解く
Military Plays Up Role of Zarqawi
山本史郎
2006年4月
ワシントン・ポスト(以下WP紙と略)は、米軍の内部文書およびこのプロパガンダ作戦に密接にかかわる情報将校の証言にもとづいて、この記事を書いたという。それによると、ザルカウィの役割を誇張するプロパガンダ作戦は、米軍によって指揮されてきた。この作戦の中心的指揮官の1人は、イラクに侵攻した米軍の副司令官で広報責任者だったキミット准将であり、彼はその後、イラク駐留米軍を統括する米中央軍(Central Command)司令部で作戦を指揮にあたっている。
ワシントン・ポスト 2006年4月10日
Military Plays Up Role of Zarqawi
Washington Post
Monday, April 10, 2006
このプロパガンダ作戦の目的について、WP紙は、外国人に対するイラク人の嫌悪感を利用して、イラク人をザルカウィと対立させることだと米軍文書が書いているという。だが、この点は、ピントがずれているようだ。むしろ、WP紙がその次の段落で書いていることの方が重要だろう。
つまり、過去2年にわたって、米軍指導部はイラクその他のバグダッド駐在メディアを通じて、「反政府ゲリラにおけるザルカウィの役割」を発表してきたわけだが、米軍文書がはっきりと、「米国内の視聴者」をこのプロパガンダ作戦のターゲット(標的)の1つに挙げていた、とWP紙が書いていることである。ブッシュ政府が「対テロ戦争」のために、他の主権国家に対して先制攻撃を仕かけ、国際法も踏みにじってイラク占領を続けるために、それを米国民の前で正当化する口実ないし論法を必要としていたのだ。
このプロパガンダ作戦はイラク人をターゲットとしたとしても、その影響は米国内にも反映されるものだが、作戦の主なターゲットは6つあり、どちらもその6つのターゲットのなかに含まれているのだ。
米統合作戦本部でイラクの情報作戦を指揮していたデリク・ハーベイ大佐をはじめ、情報作戦に関与する幾人かの高級将校は、ザルカウィの役割が誇張されてきたと考えていたという。WP紙が引用したハーベイ大佐の発言は、「長期的な脅威はザルカウィや宗教的な過激派ではなく、前(フセイン)政権型の勢力とその支持者だ」というものだ。
また、「サダム・フセインの残虐行為」を発表することも米軍司令官が出した命令であり、その方針に沿って、米軍の心理作戦担当者が作製したビデオがイラク国内に流布された。WP紙の取材では、軍の立場から米国内をターゲットにしたことはないと主張する軍関係者もいるが、事実として、こうした映像もフォックス・ニュースのテレビ放送を通じて米国内にもふんだんに届けられた。
衛生テレビ、電子メール、インターネットなどを使えば、例えイラクでのプロパガンダ作戦であってもそれが海を越えて米国に還流することを阻むことはできないとWP紙も指摘するが、その程度のことは当然ながら国防総省でも想定しただろう。
作戦を指揮する立場にある米中央軍のキミットは、「ザルカウィの人物像を知らしめる情報操作は、まずはイラクの視聴者向けだが、それだけでなく世界の視聴者向けのものであった」と発言している(WP紙)。
そしてこの作戦の最終目標について、WP紙は、ザルカウィのテロ行為を強調することによって反政府ゲリラのなかにクサビを打ちこむことだ(作戦に密接にかかわる将校の発言)と指摘している。この部分は、実際に即してもう少し補足するなら、レジスタンスや占領軍に反対する行為を「ザルカウィのテロ行為」と同一視することよって、レジスタンスや米軍撤退を要求するイラク国民を武力弾圧することを「テロとの戦い」だと歪めて描きあげる、と言うべきだろう。「クサビを打つ」ということで言えば、レジスタンスを支持する者に対して、「テロも支持するのか」と迫ることで、レジスタンとその支持者の間にクサビを打ちたかったのだろう。
WP紙はゲリラ勢力やイラク人部族勢力がザルカウィや外国人戦士と対立するようになったのは「作戦の成果」だという米高級将校の発言を引用する。だが、事実は、レジスタンスをはじめ多くの良識あるイラク人は早くから一般市民を巻き添えにするテロを非難して、一線を画してきていた。また、ザルカウィは米国のプロパガンダが作り出した「お化け」で実体がないと指摘もしていた。
米軍の内部文書を使ってプロパガンダ作戦をスクープしたWP紙だが、長期に同紙も影響を受けてきたせいか、問題点の整頓はまだ不十分なようだ。
ザルカウィに言及したこれまでの主な記事
−−イラク情勢ニュースのwebサイト内−−
ザルカウィ: 米軍が作った幽霊
ザルカウィの「役割」と虚像
偽造された声明=ザルカウィの「宣戦布告」
ファルージャの指導者は地元の人間
ファルージャからアナン国連事務総長への手紙
イラク人は選挙についてどう語っているか
「全土でレジスタンスの勝利を祈る」
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