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オバマの「任務達成」宣言
Obama’s “Mission Accomplished”

Bill Van Auken
WSWS
2010年8月20日
World Socialist Web Site
August 20, 2010
 ホワイトハウスと米国防総省は、報道機関の奴隷根性に助けられて、さる19日にストライカー旅団がイラクから撤退したことを、イラクにおける「戦闘任務」を完了したと誇張し、7年前にブッシュ大統領が演出したあの呪われた宣言を思い出させた。

 しかし、ウソの宣伝を演出するのはブッシュよりオバマの方が上手で、前任者(ブッシュ/訳注)の失敗から学んでいたことは確かである。2003年5月1日、ブッシュは声明を発表するにあたって、「任務達成」と大書された垂れ幕の下、米空母エイブラハム・リンカーンの甲板に降り立ち、イラクでの「主要な戦闘作戦」は完了した、と宣言した。海軍で任務に当たった者たちは、笑顔に満ちたエキストラ役として、その甲板上に集められた。

 オバマはといえば、クウェートに飛んで装甲車両の上から同様の演説を行うことをしなかっただけ、ブッシュよりも賢かった。オバマはホワイトハウスから声明を発表しただけで、テレビの放送網と「エンベッド」記者たちにまかせた。記者たちは、クウェートへと国境を超える「最後の旅団」に同行して、政府と軍がお膳立てしたプロパガンダを繰り返したのである。

 ブッシュが演説を行った7年前、イラク戦争での米軍兵士の戦死者は139人だった。その後、4300人近くが戦死した。「衝撃と畏怖」作戦における空爆と、2003年3月からのイラク侵攻によって、イラクは切り裂かれ、虐殺の修羅場と化し、アメリカの仕掛けた戦争で100万人以上の命が失われ、その何倍もが負傷し、約400万人が家を失って難民化し、そしてアブグレイブのように米軍の管理する監獄では何千人もが囚われて拷問された。

 イラクにおける武力事件は、先月、過去2年間で最悪のレベルに達した。しかし、ここ何週間の流血の惨事で、イラク人犠牲者の数は先月を上回る趨勢である。実際、最後のストライカー旅団が撤退する模様はと言えば、同行記者たちは秘密にすることを誓約させられたが、F16戦闘機と機関砲を備えた攻撃ヘリが上空から援護しなければならない状況であり、そのこと自体がイラク人武装勢力による脅威が続いていることを物語っていた。

 イラク人自身にとっては、この数年のあいだは、社会的な破滅と人道的危機が深まるだけであった。人口の半数以上が失業し、仕事をしている者でも4分の1以上が極貧ラインである1日2.2ドル以下の収入しかない。ほとんどのイラク人が、清潔な水、十分な公衆衛生、まともな住居、そして医療からは無縁という状態で、電気もほとんど通じることがない。

 このように血に汚れた犯罪的な遺産こそが、オバマの演説を、言葉は慎み深いものの、エゲツなさではブッシュの虚勢を上回るものにしている。

 オバマは18日の演説で、「われわれの戦闘任務は今月で終わり、われわれは思い切った兵力の撤収を完遂する」と述べた。「そしてイラク政府との合意のもとに、全兵力を来年末までにイラクから引き揚げる」と。

 彼は第2歩兵師団第4ストライカー旅団の撤退を、アメリカの対イラク軍事侵略を終わらせる「一里塚」だと宣言した。

 アメリカの報道機関は、こうした演説の短い断片を、アメリカ流儀のミリタリズムを祝う旗の波で飾り立て、この戦争が始めから侵略戦争(戦争犯罪)であった事実、「大量破壊兵器」が存在せずイラクとアルカイダは無関係だった点でもアメリカ国民はウソでだまされてきた事実を曖昧(あいまい)なものにした。

 オバマはその演説のなかで、「責任をもってイラク戦争を終わらせる」という決断を定式化すると繰り返したが、アメリカ国民への責任については何も触れなかった。

 ・・・・(中略)

 これらの短い言辞は、一連のウソとつながっている。今回の米軍の部分撤退は、オバマが大統領選挙のキャンペーンで行った公約とは異なっている。当時、彼は16ヶ月以内にイラクから全米軍部隊を引き揚げると言っていた。今オバマが口にしている撤退期限は、2008年にイラク政府と結んだ(米軍駐留の)地位協定にブッシュが盛り込んだ内容である。

 撤退期限の件を棚上げするにしても、イラクから全部隊を撤退させるというオバマの公約は、2011年末までイラクに5万人の米軍兵力を残すというものにスリ替えられている。居残り部隊も、今回クウェートに引き揚げた部隊も、違いがあるわけではない。居残り部隊は、イラクに残って「助言と支援」を行うだけの「過渡期」な兵力だと呼び名が変わっただけで、彼らも戦闘作戦を遂行する完全な能力を持っていることに変わりはない。

 米軍の飛行部隊と攻撃ヘリは、今もイラクの領空を支配しており、2011年12月までずっとその任務を続けるだろう。そして特殊部隊も、対ゲリラ作戦と「標的を定めた」殺人任務を遂行(要するに暗殺/訳注)するために、イラクに残っている。

 しかも、2011年12月を期限として、全米軍部隊の撤退が実現すると信じる者は、軍事や外交政策に関わる機関の中には一人もいない。

 さらに、ニューヨーク・タイムズが19日付で報道したところによると、アメリカの国務省は、自前の兵力として民間人7000人からなる「警護要員を雇い入れる」計画を策定中である。そうした傭兵部隊は、植民地スタイルの要塞に配置されたり、「緊急即応部隊」として編成され、軍の一翼を担うもので、国務省が国防総省に配置転換を要請している。
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