───────────────────────────────── 「翔ちゃん!!翔ちゃん着いたよ!!」 「・・・ん」 重たいまぶたを開くと相葉ちゃんの顔がドアップ。 ついでに体の上に相葉ちゃんが圧し掛かっているため体も重い。 大きなくりんとした黒目をキラキラさせて「起きて〜〜〜〜!」と俺のホッペを両手でムニムニと挟んだり抓ったりしている。 「相葉ちゃんモグラ!モグラ探そうぜぇ!」 そうどこからか大野くんの声がして相葉ちゃんは「あー!探す探すぅ!!」と俺の体の上を退くと猛ダッシュで大野くんの元へ駆け出した。 まるで子供の様な彼の行動やしぐさ、発言や感情に何度元気をもらっただろうか。思わず笑みがこぼれた。 なんだか心地よい風が車内を走りぬけたから、開けっ放しのドアの方に顔をそっと向けてみた。 「わッ・・・」 眩しい。 あんまりにも眩しかったから眼球が少し痛んだ。 目を細め、やっと太陽の光に目が慣れると俺はそこにあった景色に鳥肌がたった。 そこには一面に広がったススキのじゅうたん。 優しく流れる風に合わせてサラサラと揺れ、靡くススキたちはまるで波を思わせ何だかこの場が金色に輝く海のような・・・そんな気がした。 あまりにも美しいから、ここが天国なのかとも疑った。 いや、むしろ天国であってほしかった・・・そう思った。 結局モグラなんているはずがなく、探し始めてから5分もしないうちに飽きてしまったらしく俺以外の4人は、前に俺が行けなかった箱根旅行の時と全く同じコースを回ってくれた。 回りながら大野くんが「やっぱ5人だべ」と幸せそうに俯きながら呟いたのがとても印象的だった。 俺たちは色々探索し、ヘトヘトになりながら急遽予約していた旅館に辿り着いた。 急の予約でも部屋が空いているほどの旅館はやっぱりちょっとボロくて家族部屋のくせにやたらと小さい。 料理だって・・・。 でも、やっぱりどんなに奇麗で広い部屋で、どんなに高級で有名なシェフが作った料理を1人で食べるよりも、 嵐5人でニノの突っ込みを見ながら、大野くんの本当においしそうに食べてる顔を見ながら、全然噛まないで飲み込むだけのうるさい相葉ちゃんを見ながら、 もっと静かに食べろって怒りながらも楽しそうな松潤を見ながら・・・楽しく食べた方が何よりもうまい。そう心から思った。 5人だけの宴会は大いに盛り上がって、《死》なんて忘れて腹から笑った。 そしてお酒が入った俺も含めたメンバーはフラフラと部屋にもどるとそこはさすが旅館。きっちりと5人分、布団が部屋にぎっしりと詰められひかれていた。 「俺真ん中〜〜♪」と一番中心の布団に飛び込んだのはやっぱり相葉ちゃんで「どうする?」と残りの3人に聞こうとしたが既に大野くんは相葉ちゃんの隣で相葉ちゃんにぴったりくっ付いてスヤスヤと眠っている。 お酒に酔って今にも吐きそうなニノを看病している松潤が「どこがいい?」とニノに問いかけると「相葉さんの隣じゃなかったらどこでもいいです・・・」と。酔っててもそこだけはハッキリしているみたい。 松潤に俺からどこがいいか聞いてみると「あいつの隣だけはマジで無理。」そう指指したのはやっぱり相葉ちゃんのことで・・・。 「とか言っちゃって〜!本当は俺の隣がいいんだろ〜?」なんて言っちゃう相葉ちゃんが俺は好き。 そんなこんなでニノ・大野・相葉・俺・そして松潤の順で並んで寝ることにした。 相葉ちゃんは元気にはしゃいでたが、突然ガクンと潰れ眠ってしまった。 布団に入ってしばらくは松潤とくだらない事を語り合ってたけどニノがスヤスヤと寝息をたてて眠った様子を確認し、安心すると松潤も布団に顔を隠して眠ってしまった。 松潤が眠ってからもう2時間は経つだろう。 やっぱり眠れない俺は何気なくムクっと立ち上がるとメンバーの寝顔を眺めた。幸せそうに眠るみんなの寝顔が、何故か死に顔に見えてゾっとした。 すこし頭を冷やそうと外に出ることにした俺は一人部屋のふすまを開けようとした時 「翔くん。」 俺以外全員が眠ったはずの部屋から自分の名前を呼ぶ声がして俺はビクっとなってそのまま外に出ようとしたら・・・ 「おいおっさん。」 ニノ・・・? 後ろを恐る恐る振り返るとパッチリと目を開いているニノがいた。 さっきまでの酔った弱弱しいニノはいったいどこへ消えたのだろうか? この様子だと酔ってもいなかったし眠ってもいなかったみたい。 またニノ以外のメンバー全員が演技派の戦士に騙されたのだ。 「どこ行くの?」 そう問いかけてきた俺はもちろん 「トイレだよ」 そう答えた。 そして「すぐ戻ってくるから」そう言うと開きかけのふすまに手をかけた。 しかしその瞬間聞こえてきた言葉は・・・ 「嘘だよ・・絶対戻ってこないよ・・・翔くん・・・もう一人でトイレになんて・・行かないで・・・ッ・・」 暗くてワカラナイけど・・・ニノは確かに泣いていた。 「戻ってくるからトイレすましたら絶対もどってくるよ。この前だって戻ってき・・・」 「ふざけんなよ・・・ッ」 何故ニノがこんなにも泣いて、 こんなにも感情的になっているのかがわからない俺はニノの「ふざけんなよ」と言う言葉に何も返せず沈黙が続いた。