寄り道もせずに真っ直ぐと目的地へ 俺たちには1分、いや、1秒でさえも無駄にはできないんだ。 ジュースを口にしたのはだいたい昨日の午前11時ぐらい。 計算すると薬の効果が出るのはきっと明日の午後11。 今は午前7時。 残り時間約28時間。 吐き気がする。 これから失う恐さと弱さを誰かに打ち明けられたならどれだけ楽だろうか。 本当にあの歌詞の様にこの胸に淀んだ思いをため息に包んで吐き出せたなら・・・。 あの世行きのこの車を運転しているのは今から自分たちを殺す死神に取り憑かれた仲間だとは誰も気付いていないだろう。 ふと今までの思い出が頭の中を駆け巡った。 なんだかとても不思議な優しい空気に包まれて、どうしても今までの楽しい時を与えてくれたこいつらに礼を言いたくなった。 「ありがとね、今までさ・・」 そう呟くとドンチャン騒ぎだった車内は一瞬にして静まり返った。 ニノもゲームの電源をブツっと音を立てて切り「翔くん・・・?」と心配そうに問いかけた。 そんなニノを尻目に俺は車を運転しながら思い出話を語り始めた。 「覚えてるかなー、俺ってさぁ、嵐になったばっかん頃すっげー短気だったよねぇー。それに大野くんがジャンケンでリーダーって決まったときはさ、マジで今後の嵐お先真っ暗だろ〜って思っちゃったりしてさぁ」 回る回る記憶の中で俺は気付いた。 俺はいつでもこの4人といる時は何に関しても一生懸命ですっごく楽しそうで生き生きしてた。 無意識にハハッと愛しそうに笑うと涙が無音と流れた。 するとその直後・・・・・ 「翔ちゃん前!!!!」 キキ────────────ッ まさに危機一発 危なく大型トラックと正面衝突するところだった。 静まり返る車内。 聞こえるのは自分の激しく鳴る心臓の音とメンバーの荒い息遣い。 ハンドルはあの一瞬の間に掻いたとは思えないほどの冷や汗。 手の振るえがとまらなかった。 そんな俺を見たニノが「ヘタレ。」と呆れたように呟くと 「櫻井さんってば体だけ男らしくムキムキにしちゃってファンの子を悩殺させるつもりだろーけど全然ダメね。おっさんってば運転ド下手。俺が運転すっから。」 冷静に早口で語るけど本当はすごく恐かったでしょ?さすがの演技派の戦士でも少し声が泳いでる。 すると助手席に座っていた松潤がハっとし、つかさず「だったら俺が運転しようか?」と言うが「ヤダ。潤くん運転荒いんだもん!」と言われてしまい何も言えなくなる松潤。 こんな酷い言い方しちゃって。 実は俺の事すごくすごく心配してくれてるのバレバレだよ?ニノ。 そんなニノに運転を代わってもらい俺はニノが座っていた席へ。 車にユラユラと揺さぶられ、全く寝ていなかった俺は心地よい振動でぐっすりと眠ってしまった。