第48号

平成20年(2008)9月

   

あなたの生活向上のために!

「ウラジオストク日本人会」

 特 別 寄 稿

 『沿海地方を旅する』 

                                         S .Y

   在ウラジオストク総領事館専門調査員のYです。

   私は2006年6月〜08年8月まで当地経済に関する調査研究をおこないました。

   こうした仕事柄、ロシアの辺境に位置する沿海地方の、そのまた田舎を訪問する機会も何回かありました。

   そこで、当地在住の皆さんや今後お越しになられる方々に少しでも役立つよう、大ざっぱではありますが、

   地方の町や村について述べたいと思います。

 

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  ●  ナホトカ

  人口15万人ほどの港町で、極東最大のヴォストチヌィ港や、「東シベリア太平洋パイプライン」プロジェクトに

 おける東シベリア産石油の積み出し港として開発の進むコジミノ小湾もナホトカ市に含まれる。

  ウラジオストクからナホトカに行く方法としては、主に長距離バスと鉄道がある。

 行きはバスが、帰りは鉄道が便利ウラジオストク発の午前の電車はないので、

 電車で行くとナホトカには夕方に着くため視察する時間が限られてしまう。

 「フタラヤ・レチカ(第二小川)」鉄道駅兼バスターミナルで長距離バスに乗る。

 シュコトヴォという村や閉鎖都市フォキナを通り抜け、3時間半ほどでナホトカのバスターミナルに到着する。

 バス料金は250ルーブルもしない。

 

  姉妹都市である小樽、舞鶴、敦賀の記念碑や、シベリア抑留による犠牲者の眠る日本人墓地がある。

 ナホトカの新名所は「ガリゾント(水平線)」ホテルで、まだ建設中だが日本食レストランは営業開始しており、

 値段はウラジオストクの平均的なレストランと同等でかつおいしい。

  現在営業しているホテルで日本人がよく泊まるのは「ピラミッド」と「レント」だが、

 「ブーメラン」は中心駅である「チハオケアンスカヤ(太平洋)」駅のそばにあり、

 また部屋から、ある「興味深い建物」をのぞくことができるらしい(じろじろ見ると危険)。

 

  バスは30分おきに出ているので便利だが、ある時ウラジオストクへの帰路、大渋滞のせいで7時間もかかった。

 途中休憩はないし、夏だったにもかかわらず冷房が効かないため天然のサウナ状態で、 脱水症状になりかけた。

 そこでお勧めなのが、鉄道の旅。

 16時台に出発する電車は一等でも430ルーブルほど。

 ゆったり座れるし、テレビがついている。ウラジオストクの到着時刻は20時台なのでナホトカで色々視察した後、  夕方にゆっくり酒でも飲みながら帰ることができる。

 

●  スラヴャンカとザルビノ

  ロシア最南端にあり、中国や北朝鮮と国境を接するハサン地区にある港町。

 ウラジオストクから車で2時間半でスラヴャンカに着くが、途中は未舗装でお尻が痛くなったり頭をぶつけたりする くらい揺れるので注意。

  スラヴャンカまではフェリーもあり、これまた2時間半でスラヴャンカ港に到着する。

 スラヴャンカの中心にはハサン地区行政府の建物があり、向かいに中国にも行ける国際バスターミナルがある。

  ザルビノは人口3,400人の小さな村だが、ロシア鉄道のグループ企業が「トロイツァ港」を運営しており、

 シベリア鉄道につながっているのでモスクワへ貨物や自動車を送るために使われる。

 ちなみに、「ザルビノ」は村の名前で、「トロイツァ」はザルビノが面している湾と港の名前である。

 この港には韓国の「東春フェリー」が寄港し、韓国・束草からウラジオストクや中国の琿春(延辺朝鮮族自治州)に 向かうトランジットポイントとなっている。スラヴャンカからザルビノまでは車で1時間もかからないし、道路はきれい 景色もきれい。ウラジオストク周辺とは気候帯が異なるようだ。

 

●  プラストゥン

  沿海地方北部の日本海沿岸に長く伸びるテルネイ地区最大の村が「プラストゥン」。

 某サイトで「テルネイに行ったことある人いる?」とあったが、小生は行った。

 ウラジオストクから車で9時間近くかかるが(もちろん雪のない時期)、最後の1時間ぶん以外の道は舗装済みな  のでまずまず快適な旅だった。プラストゥンから北海道の留萌まで船だと一昼夜で着くということで、

 ウラジオストクからよりも日本の方が近い。

  ホテルは小さいのが一軒しかないが、このホテル1F食堂のご飯がおいしい。

 沿海地方で一番おいしかった。「なんでウラジオストクでは食べられないんだ〜。」と思わずレポートに書くぐらいお いしかった。

 

●  ハンカ湖(ハンカ地区カーメニ・ルィボロフ町)

  『歩き方』に「ウラジオストクから車で7時間」と書いてあるが、小生は3時間で着いた。

 ロシア人運転手がハイエースで130キロは出していたおかげだが、「お願いだからあんな無謀な運転は2度とや  めて。死んじゃう。」と懇願しかけた。殉職しかけた。殉職しても2階級特進しません。

  十分に汚染された湖であるが(淡水湖。泳いで確認した)、映画「デルス・ウザーラ」の撮影地、葦の生い茂る湖 畔、うち捨てられた水田。はるか向こうは中国。ロマンはあるがホテルはない。

 旅行会社を通じて行かないと危ないだろう。

 

●  ウスリースク

  ウラジオストクから車で2時間のところにある人口15万人ほどの都市。

 中心部は整然としたソ連的な碁盤の目状になっている。ロシア極東最大の「中国市場」があり、一時期、市人口の 1割以上が中国系と言われていたが、現在は少なくなった。

  大きな公園に亀の石像が無造作に放置されているが、これは由緒ある渤海(ぼっかい)時代の遺物である。

 本当は一対で、片われはハバロフスクの博物館の前に置いてある。

  バスでウラジオストクからウスリースクに行き、中国市場などを一通り見た後、カフェ「ウニベルシチエト(大学)」 でコーヒーでも飲んで、帰りは電車に乗ると、何と1日でシベリア街道(そんなもんあるのか?)とシベリア鉄道を満 喫できる。おすすめです。

 

 

 ※編集部より

渤海(ぼっかい)は7世紀から10世紀に中国東北部から朝鮮半島北部、ロシア沿海地方にかけて存在した国。

渤海国。軍事・文化交流・商業的に当時の日本と交流があった。

 

 

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