2009年6月30日(火) 雨
のち



6月末の伊吹山頂、青い風が吹く午後


雨上がりの山頂、ニッコウキスゲの花満開!!


平日の午後、静かな伊吹山頂
山頂ではニッコウキスゲの花が盛りを迎えていました。

土曜・日曜と違い静かな伊吹山山頂。

たくさんの花の命、草いきれ、そして山頂・東遊歩道には私ひとり。



東遊歩道からの風景
山頂にある測候所(跡)が見えます。
琵琶湖も手に取るほど近くに見えています。午後3時頃の情景です。

キジの鳴き声が「ケーン」と大きく響き、草たちも囁きを一瞬止めます。






キバナノレンリソウ

ダイセンヒョウタンボク

ニッコウキスゲ

シモツケ

ヤグルマソウ


花の状況

 東遊歩道

  アカショウマ(☆咲き始め)  イブキシモツケ(花終期)  イブキタイゲキ(花終期)
  イブキトラノオ(☆つぼみ〜3分咲き)  イボタノキ(咲き始め)  ウツギ(花終期)
  ウバユリ(つぼみ4
cm程)  ウマノアシガタ  オオナルコユリ(盛期過ぎ)
  オオバギボウシ(つぼみ)  カノコソウ(☆花盛期)  カンボク(盛期過ぎ)
  キイチゴ類(盛期過ぎ)  キバナノレンリソウ  クサタチバナ(残り花)
  クサフジ(咲き始め)  クルマムグラ(つぼみ)  グンナイフウロ(残り花)  コウゾリナ
  サラシナショウマ(花穂伸びる)  シシウド(つぼみ)  シモツケソウ(☆つぼみ〜2分咲き)
  シロツメグサ  スイバ(種)  ダイコンソウ  ダイセンヒョウタンボク(果実)
  ノリウツギ(つぼみ)  ニガナ  ニッコウキスゲ(☆花盛期)  バイケイソウ(花盛期)
  ヒメレンゲ  マムシグサ  マメグミ(花盛期)  ミヤマコアザミ(☆咲き始め〜2分咲き)
  ヤグルマソウ(花終期〜残り花)  ヤマアジサイ(つぼみ〜咲き始め)  ヨツバヒヨドリ(つぼみ)
 (☆:花に興味のない方でも目に入って来る状況)



当日の足跡(花の撮影をしながらのため、とてもゆっくりです)

 (伊吹山ドライブウエーにて8合目駐車場まで、車で乗り入れる)

  1:40ドライブウエー駐車場 → 1:45東遊歩道に入る → 
  4:24山頂(平日午後・雨の後/山頂小屋、どこも営業しておらず)
  → 4:30西遊歩道に入る → 5:10ドライブウエー駐車場着

   
   ※(西遊歩道経由) 山頂までの所要時間は、約40分
   ※(中央遊歩道経由)山頂までの所要時間は、約20分下りは、登りで要
    した時間の「2/3」から「3/4」程で、予定をお組
みください。
   ※山頂から(東遊歩道経由で)、ドライブウエー駐車場までは約40分、
   山頂・東遊歩道下り専
用扱いとなっています。
     〈→今回は訪問客も少ないと考え逆行しました。ご容赦ください〉




トイレ情報
トイレの場所 状況(使用の可否)
  登山口のトイレ(バス停横)  使用可
  1合目のトイレ  使用可(使用料金必要)
  3合目のトイレ  使用可(ただし、高原ホテル内のトイレは使用不可)
  5合目のトイレ  取り壊されています
  山頂のトイレ  使用可(使用料金必要)
  山頂駐車場のトイレ  使用可
※6合目に小屋がありますが、この中にはトイレがありません。



売店情報
場     所 状     況
  登山口・みこと屋  飲料水自動販売機、菓子類、みやげ物 など
  3合目・伊吹高原ホテル  営業しておらす
  5合目  飲料水自動販売機(夏期は売店が開店)
  山頂(えびすや等小屋数軒)  食堂、食料品、各種飲料、ビール、みやげ物 など
  山頂駐車場(ドライブウエイ終点)             〃
※  「登山口・みことや」「山頂・えびすや」さんにて、「伊吹山花のガイドブック」をお買い求め頂けます。
伊吹山麓では、「ジョイ伊吹(薬草風呂設置)」「旬彩の森(道の駅/姉川沿い)」「ペンション伊吹」「伊吹文化資料館」
にてお買い求め頂けます。





予想される花の時期 見頃の花(メインになるもの) イメージ
  6月下旬〜7月初旬  ニッコウキスゲ  「東遊歩道、山頂山肌に咲くニッコウキスゲ」
  7月初旬  ミヤマコアザミ、イブキトラノオ  「山頂部のアザミ群生、イブキトラノオ群生」
  7月25日〜8月10日頃  花の最盛期・シモツケソウとクガイソウ競演  「花の最盛期、夏の花の数々」
  8月20日〜9月10日頃  花最盛期第2幕・サラシナショウマとトリカブト  「花の最盛期、秋を呼ぶ薬草花たち」









ニッコウキスゲの花たち、涼やかな微風に揺れ
オレンジ色のニッコウキスゲの花たち、
登山道のあちこちに群生していました。

「山頂・東遊歩道」に、ニッコウキスゲの群生が見られます。
「北尾根」にも、「ドライブウエーから見える山頂周辺部」にも群生が見られます。

ニッコウキスゲの花は1日花、
朝に花開き、翌日朝にはしぼんでしまっています。
はかない花の命です。



初夏の風景・伊吹山

「あぁ、何て美しい風景……」
ここを訪れると時間を忘れます。

あちこちに咲く花に目を向け・訪れた命をカメラに納めて行くと、
通常1時間半程の山頂遊歩道周回も、2倍以上の時間がかかってしまいます。
なかなか前に進めません(>_<)。

この日は、ニッコウキスゲとカノコソウが花盛りでした。
どの花もどの花も、美しい表情をしていました。


   ニ ッ コ ウ キ ス ゲ   ( 日 光 黄 菅 )
     花期 : 6月中旬〜7月上旬         場所 : 5合目、山頂、北尾根
     草丈 : 70〜90cm程
     花   : 花茎の先に3〜10個の花を着ける 、 花びらの長さは8cm
     葉   : 長さ70cm程(幅2cm) 
     寿命 : 多年草
     生活の場 : 山地や亜高山の草地、または海岸など
     科属 : ユリ科 ワスレグサ属


      ワスレグサ属は、葉が2列に根生しその基部な互いに抱き合います。

      伊吹山に足を運ぶたびに雨また雨・・・、それをなぐさめるようにニッコウキスゲ、太陽の色を集めたようなオレンジの色彩で
      す。写真の色がうまく出なかったのでレモンイエローのユウスゲのようになっていますが、実物はオレンジ色です。ニッコウ
      キスゲは1日花で、次から次へと花を咲かせます。もともとはゼンテイカ(禅定花)と呼びました。霊山(立山・白山・医王山
      など)
の頂上付近を禅定(ゼンジョウ)と呼び、そこに生える事から付けられた名前です。日光・尾瀬が原にも多く見られた
      事から、いつの頃からか「ニッコウキスゲ」と呼ばれ、それが定着しました。山頂東遊歩道に群落があるとの事ですが、この
      日は激しい雨のため東遊歩道を避けてしまいました。その他、山頂売店近くと西遊歩道(9合目標識への迂回路入り口:下
      写真)
で少数が見られました。



花の盛りのニッコウキスゲたち
ニッコウキスゲは1日花、朝に開き、夕刻には花の命を終えます。
「もっとゆっくりして行っていいんだよ」そう声を掛けたくなります。

【形がよく似ている花】
ニッコウキスゲの花はオレンジ色を帯び、
3合目に群生するユウスゲの花(7月末が花盛期)はレモンイエローです。



東遊歩道の群落










シモツケの花
鮮やかな花の色、この植物の生命力を表している様です。

盛夏に山頂に広がる「シモツケソウ」と花の様子が酷似していますが、葉の形で簡単に区別出来ます。
本種は楕円形のラグビーボールの葉形、シモツケソウはカエデの様に裂けた(5〜10裂)葉形です。

夏へと向かう季節、時の流れがごうごうと音を立てている様に感じられます。

   シ   モ   ツ   ケ    ( 下  野 )

     花期 : 6月〜8月            場所 : 6合目〜山頂
     草丈 : 20cm〜1m
     花   : 直径3〜6mm   5枚花弁
     葉   : 互生、長さ1〜8cm(披針形、卵形、または広卵形で先端鋭角)  葉縁に鋸歯
     寿命 : 落葉低木
     生活の場 : 
林縁など
     科属 : バラ科 シモツケ属


      
(2006年7月8日の記事)
      鮮やかな赤色をアピールするシモツケ。バラ科の植物で、外に突き出す「おしべ・めしべ」がチャーミングです。盛夏を彩るシモツケ
      ソウ(カエデ科)とは、花だけみると「そっくりさん」で区別しにくいものです。両者は、葉っぱで区別する事が出来ます。シモツケソウ
      はカエデを思わせる葉っぱ、本種は人や猫の目の輪郭を思わせる形をしています。
      山頂の花盛期は7月25日頃から8月8日頃、シモツケソウの赤いじゅうたんが山頂のあちこちで見られます。クガイソウとルリトラ
      ノオの紫花も見逃す事が出来ません。山頂風景のどこを切り取っても、絵のような素晴らしさです。「赤く燃える夏の花園」が山頂
      一帯に広がります。8月末〜9月初旬も花の盛期、こちらはイブキトリカブトとサラシナショウマが主役の「紫と白の、秋の花園」が
      広がります。




咲き始め〜2分咲きのシモツケ
下野(栃木県)で見つけられた事から、シモツケの名を持ちます。









山頂に立つカノコソウの花
東遊歩道に、たくさんのカノコソウ花を見ました。

花はピンクがかった白色、良い香りがします。
日本では薬草として使われていませんでしたが、
欧州では西洋カノコソウを「気持ちを落ちつかせる薬草」として使っています。



   カ  ノ  コ  ソ  ウ  ( 鹿 の 子 草 )
    花期 : 6月中旬〜7月          場所 : 3合目〜山頂
    草丈 : 
    花   :花の直径3mm、雄しべが長く花冠から突き出します
    葉   : 対生、羽状に全裂そして(粗い)鋸歯がある
    寿命 : 多年草
    生活の場 : 山地のやや湿り気のある草地
、北海道・本州・四国・九州
    科属 : オミナエシ科 カノコソウ属


     かって伊吹山に多く自生していたカノコソウ、数が少なくなったと言われていますが登山道では未だ多く目にします。
     6月14日訪問時にはまだツボミでしたが6月21日は花開いた株を多く見ました。山頂も登山道のものも開花期はほとん
     ど同じです(大抵、山頂の開花期は遅いのですが)。秋に黄色い花を付けるオミナエシの仲間です。日本では薬草利用
     はしていませんでしたが、長崎出島に来ていたオランダ人から薬草としての活用方法を教えられました。吉草酸という香
     りの成分(カノコソウの根を吉草根とも呼ぶ)を含むため、精神に効くもの(ヒステリーや神経過敏症)と分類されます。西
     洋にもカノコソウがありますが、日本のものが品質優秀として輸出された時期があったそうです。第二次大戦の頃のイ
     ギリスでは、ドイツの空爆の恐怖でヒステリー状態になった人に対して使われました。西洋カノコソウ乾燥品は大変「臭
     い」薬草で、その近くにいれば強い悪臭と感じ頭痛がするほどです。日本のものはそれほどでもないのです。 「えっ?
     書いてある事と矛盾する?」って、はいそうなんですがこれは事実です。吉草酸成分の構造の変化なのでしょうか?



葉の形、花の付き方が独特です。










キバナノレンリソウの黄色花

「織田信長がポルトガル人宣教師に命じて作らせた伊吹薬草園」の伝説の、根拠となる山野草。

山頂西遊歩道で多く見られました。

葉が規則正しく並んで出る様子を、夫婦中の良い「連理」という言葉で表しています。
同様の意味で「比翼の鳥」という言葉があります。
やはり伊吹山で見られるヒヨクソウは、この言葉の意味から名付けられたものです。


   キ バ ナ ノ レ ン リ ソ ウ (黄花の連理草)

      花期 : 6月〜7月             場所 : 2合目〜山頂
      草丈 : 20cm〜30cm

      花   : 
花の長さ1.5cm、蝶形の花が5〜10個付く
      葉   : 茎は四角(稜角がある)、2個の小葉(長さ1.5〜3cm)、長さ3cmの三角形の托葉
            3分岐する巻きひげ
      寿命 : 多年草
      生活の場 : 湿った草地など、日本では伊吹山だけに見られる、ユーラシア原産
      科属 : マメ科 レンリソウ属


       黄色が鮮やかなキバナノレンリソウ、マメ科の特徴を示す葉の形です。3〜4合目間で花の盛りを迎えていました。これもま
       た「信長の薬草園」の証拠とされるイブキノエンドウは花終期を迎えていましたが生活の場が重なっているのは面白いところ
       です。キバナノレンリソウやイブキノエンドウは(日本では)伊吹山固有の種として知られます。ヨーロッパでは普通に見られ
       る植物である事から、永禄年間・織田信長が伊吹山に薬草園(ハーブ園)を作らせた時に、ポルトガル人により持ち込まれた
       ものだと考えられています。「薬草園は有った」「そんなの無かった」いろいろな意見があります。「有った」派の根拠は「イブ
       キノエンドウやキバナノレンリソウ、イブキカモジグサなど、欧州では普通に見られる植物が伊吹で古くから確認されている
       事」をあげています。「無い」派の根拠は、「薬草園の痕跡が残っていない事」「欧州の薬用植物種が現存していない事」「信
       長の薬草園の記述が、徳川時代の中期以降に書かれたものである事」をあげています。さて歴史の真実は・・・。「伊吹山の
       薬草園」を「あったもの」と考える場合、単一の目的で作られたと考えない方が自然。「安土を防衛するための警戒網・最終ラ
       インとしての伊吹山」、外敵の侵入(北:上杉)、同盟者・身内の裏切り(徳川家康、柴田勝家、前田利家、羽柴秀吉ら:結局
       誰も信用していなかったろうから)に備え、偵察要員が配置されていたと考えたらどうでしょう。薬草栽培という実務と偵察と
       いう任務をともに受けた屈強な人間が伊吹山にいたのでしょうか。ここに薬草園を作った理由で他に考えられる事は「大陸
       への侵攻に備えて薬草(血止め、痛み・化膿止め、毒草など)を増産する事」であり、「(権威の象徴であったろう)医道・香道
       の世界をハーブの量産により作り替える事」であると想像できるのです。そうする事が信長の許に利益(銭)を運ぶ事も容易
       に考えられたはず、ならば地元近江商人や堺の商人、琵琶湖の湖賊や船舶運搬業者らの血にまみれ複雑に絡み合った
       利益誘致の動きもあったでしょう。自らの居城・安土に近い伊吹山に、信長が指示で薬草園を開いたという伝説を信じてみ
       たいのです。比叡山焼き討ちのあの日、西の空が紅に染まったのが伊吹山頂から見えたのでしょうか。










あっ、キジが歩いている!


東遊歩道をキジと追いかけっこ(*^_^*)。

飛び立ちもせず、とっとことっとこ前を歩いて行きます。
花を撮りつつ歩く自分はとうとう追いつく事が出来ず、
途中で見失ってしまいました。











咲き始めた、ミヤマコアザミの花
アザミの暖かな花色には、人の心をなごやかにさせる物が潜んでいる気がします。

ミヤマコザミはまだ「つぼみ〜1分咲き」と言った所でした。
花を撮ろうと思い、葉っぱや茎に思わず触れれば「痛たたっ!!」となります(^^)。


  ミ ヤ マ コ ア ザ ミ     (  深 山 小 薊  )
    花期 : 7月10日頃〜7月末            場所 : 7合目〜山頂
    草丈 : 30〜80cm
    花   : 総苞で粘着する(ノアザミと同様)  頭花の直径5cm  枝先に上向きに付く
    葉   : 草丈が低く、トゲ(3〜5mm)が多い
    寿命 : 多年草  ノアザミの変種(トゲアザミと同じく石灰岩地に適応した種類)
    生活の場 : 
石灰岩地  伊吹山特産種
    科属 : キク科 アザミ属


      (2003年7月13日の原稿)
      山頂で風に揺れていた紅の花、ミヤマコアザミです。花の大きさはノアザミと同じくらいですがトゲが多いアザミで、その様子はハ
      リネズミにも似ています。7月の初旬が花の盛りで、山頂測候所付近では多くのミヤマコアザミが咲き競うのが見られます。アザ
      ミ類の口火を切ったのは6月のノアザミ(トゲの武装が少なく、ミヤマコアザミよりは背が高い)、7月のミヤマコアザミ、8月のイブ
      キコアザミ(花が小さく、1株でたくさんの花を付ける)が後を継ぎます。日本では60もの種類が自生するアザミ、その花言葉は「
      独立・権威・復讐・権利・批評家」など。硬い言葉ばかり並ぶのは彼女が持つトゲのせいなのでしょうか。ノアザミの全草をタイケ
      イ(大薊)と呼び、熱性の出血(激しく出るもの、血が鮮紅色)を止めるためや、血の滞りを改善するため、消炎・利尿のために使
      います。











縦じま模様、マムシグサの花
その名のとおり、マムシの頭に見える不思議な花です。

北尾根・1〜2合目辺りでは黒色のマムシグサの花を見ましたが、
伊吹山で見られるマムシグサのほとんどが緑色です。
山頂西湯歩道で多く見られました。

背景の黄色は、ウマノアシガタの花です。


   マ  ム  シ  グ  サ   (  蝮     草  )

     花期 : 6月                          場所 : 登山口〜山頂
     草丈 : 20cm〜80cm程

     花   : 緑色〜黒紫色の花ほう、花びら(花ほう)は1枚
           雌株には実が出来る、やがて赤色に成熟(トウモロコシ形状)し鳥たちに
           種子を運ばせる
     葉   : 根生、手のひら形
     寿命 : 多年草
     生活の場 : 山野の林、本州〜九州
     科属 : サトイモ科 テンナンショウ属


        (2004年の原稿)
        黒地に朱色に近い赤のツブツブ、やたらと目立っていて、植物に詳しくない登山者を立ち止まらせ「これは何だろう
        ?」と首をひねらせます。たくさんの株が有るわけではありませんが、印象に残る配色です。花の時は緑色(黒が
        混じるものもありますが)で、その時は他の草類にまぎれ込んで出来るだけ目立たないようにしているのに、果実〜
        種になると、「ここにいるよ!」とばかりケバイ配色になる、鳥や虫にタネを運んでもらって生活の場を広げようとする
        知恵なのでしょうね。
        (2003年の原稿)
        6月、マムシが鎌首を持ち上げている形の花を咲かせるマムシグサ。正直気持ちが悪い印象、2株〜5株と寄り添
        っていたので地下茎で仲間を増やす種類なのでしょう。花から2ヶ月過ぎるとトウモロコシ状の実が現われますが、
        この時はまだ緑の果実、秋の訪れとともに朱色に染まって行きます。芯の部分は真っ黒ですから、そのコーディネ
        ートはかなり個性的、果実になっても一所懸命に自己主張しています。マムシグサは薬草名を「テンナンショウ(天
        南星)」と呼ばれています。生の根をすりおろして痛みのある所に当てると良いと伝えられますが、刺激性が強いの
        で肌がピリピリしてきたらすぐに取って、患部をぬるま湯で洗わなくてはなりません。この治療法が現在ほとんど使
        われていない理由です。センニンソウやボタンズルにも似たような治療法が伝えられますが、水ぶくれが出来るの
        でやられない方が良いでしょう。根の乾燥品は、湿度の多い時期に痛む神経痛などを改善するために使われます
        (去風解痙・燥湿化痰)。 煎じて飲む時には毒消しの生姜を必ず加えます。漢方薬にはまれに配合されます。




マムシグサは、こんな風に幾花か寄り添って咲く事があります。
「おしゃべりしている様な」「励まし合っている様な」「ケンカしている様な」
そんな風景に思えて、とても面白いのです。










イワキンバイの黄色花
コキンバイとばかり思っていましたが、図鑑で見ていると葉の形が違っています。
どうやらイワキンバイの花の様です。

花の黄色は、コウゾリナなどと比べると明るく、レモンイエローに傾いている感じです。


   イ  ワ  キ  ン  バ  イ ( 小 金 梅 )
      花期 : 5月〜6月                  場所 : 3合目〜山頂
      草丈 : 10〜25cm
      花   : 花びら(がく片)5枚  花の直径約1cm
      葉   : 3〜5小葉からなる(葉の裏面に伏毛)、小葉は長さ2〜5cm
      寿命 : 多年草
      生活の場 : 山地の岩上、北海道・本州・四国・九州
      科属 : バラ科  キジムシロ属


       「コキンバイ、コキンバイ」と思い図鑑と写真と見比べると、「葉の形が違う様な…」。葉の形で類似花を探してみれば、
       「あっ、これかな?」というものを見つけました。どうやら、イワキンバイだと思われます。山頂を下った岩場に根を下ろ
       し、懸命に顔を出していました。コウゾリナなどに比べると花は小さく、盛夏に山頂遊歩道に見られるミツモトソウよりは
       花が大きなものです。花床に白毛が密生するのが特徴です。




岩場に生えるイワキンバイ









オオナルコユリの花
東遊歩道で見たオオナルコユリの花、今年見るのもこれが最後になりそうです。

涼やかな白花は、陶性の鐘を思わせます。



   オ オ ナ ル コ ユ リ  ( 大鳴子百合 )
     花期 : 6月            場所 : 3合目〜山頂、東遊歩道
     草丈 : 60cm〜1m(花の長さ2cm)
     花   : 花茎に総状につく  外花被片3枚、内花被片3枚  花の長さ3〜5cm程
     葉   : 根生  長楕円形  互生
     寿命 : 多年草
     生活の場 : 
山地の草地  林
     科属 : ユリ科 アマドコロ属


      (2004年6月の原稿)
      花の散歩道出口近く、3株のオオナルコユリが重なるようにして茎を伸ばしていました。自分は「連なる白ガラスの風鈴」を
      思い浮かべ好ましいものと考えていましたが、森先生の山野草観察会に参加されたかたのひとりは「虫の卵みたいで気持
      ち悪い」と言っておられました。人により受ける印象は様々なんだなあと、変に感心しました。
      
      風鈴に似た花、風に揺られる涼やかな音が聞こえて来そうなナルコユリです。登山道3合目、7〜8合目、山頂東遊歩道
      で目にしました。根をオウセイ(黄精)と呼び滋養強壮に用いられます。江戸時代初夏、街角には「砂糖漬けにしたオウセ
      イ」を売り歩く商人の声が響き、俳人・小林一茶も愛用したとも伝えられます。その時代、ナルコユリは東北地方採れたも
      のを使ったと伝えられます。オウセイは現代でもユンケルなどの強壮ドリンクにも使われます。
(ユリ科の植物で、薬草の
      分類としては補脾潤肺。胃腸系統を補い、肺の循環能を上げると元気が生み出されると考えます。)
似ている植物にアマ
      ドコロがあり、その茎は角張っています。ナルコユリは茎が丸いことから区別できます。アマドコロは地下茎を伸ばし生活
      の場を広げて行きます。ヤマイモの類の「トコロ(野老)」に似ていて、食べると甘味を感じる事からアマドコロと名付けら
      れています。ナルコユリと似た立ち姿ですが、アマドコロは茎と花の接合部に突起が無く、ナルコユリは接合部に緑の突
      起があります。茎にも違いがあり角ばっているのがアマドコロ、丸いのがナルコユリです。アマドコロの根を「イズイ」とか「
      ギョクチク」と呼び、肺に潤いを与える薬草として知られています。ケホケホという空咳が出ているのは肺に潤いが無い状
      態であり、咳の連発や発作は軽いオーバーヒートの炎症状態と考えられます。そこで性質が「微寒」のアマドコロの根を服む
      と、肺に潤いを与え同時に炎症を抑える「熱取り」の作用も兼ねるために良い状態に導きます。似た姿のナルコユリは同
      様に肺に潤いを与えるものであるのですが、性質は「微温」である事が違っています。基本的に体が消耗していて、連発
      しない激しくない咳に用いていました。江戸時代には「ナルコユリの砂糖漬けが街角で売られていた」と伝えられますが、
      栄養状態が悪く、さらに肺の病が死病として認識されていた時代にあってはアマドコロもナルコユリも貴重な薬剤とされ
      ていたのでしょう。











山頂から、北西方向を望む









ケアセンターいぶき」での、写真展示2009

伊吹山麓のケアセンター入所者のかたに、喜んでいただくため写真展示を行いました。
(2009年6月30日〜7月27日まで、土・日はセンターのセキュリティー強化のため見学不可です)

センター長の畑野先生、心より感謝いたします。

畑野先生は地元の方々に対する医療に全力で取り組み、
誠心誠意尽くしていらっしゃる先生(医師)です。




自分は5枚の写真を、展示させて頂きました

@ 伊吹山頂の花群落(8月)
A 伊吹3合目雪景色(3月)
B 伊吹3合目夕焼け(5月)
C マムシグサの花(6月) 
D カノコソウの花(6月) 









写真を撮る事は、難しい事だと思います。
景色や花に出合った時の「はっ」とした心の具合が見る方に伝わる様に、
撮りたいと思います。










ケアセンター入口・ロビーで

通常の写真展ではなく、
「ケアセンターを訪れるかたの心を和ませるための展示」として始まったこの企画です。

「ああ、この写真きれいだね」「この花は子供たちと見たものだね」と、
入所者のかた・ここを訪れられた家族のかたに、
そんな事を思いながら見て頂ければとてもうれしいです。




→続いて、山頂風景Aを見る

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