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ノジュールの定義(2)

山形県最上郡戸沢村角川

2005年5月12日UP

 ノジュールの定義で、ノジュールと呼ばれている物の中に、明らかに「生痕化石」「動物化石」が含まれている。よって、ノジュールの定義を、「母岩から、個体として分離できるもの」とした方が良いと述べた。
 その証拠を、山形県最上郡戸沢村角川で見付けたので、報告しよう。



 

1. 角川の瓢箪型ノジュール 2. 角川の瓢箪型ノジュール



3. 角川の瓢箪型ノジュール

4. 参考露頭
静岡県榛原郡相良町西萩間の子生まれ石



5. 角川では、下層は荒い泥岩、その上に凝灰
  質の細かい泥岩が堆積する。
6. 戸沢村砂小沢のノジュール露頭。
西藤間の子生まれ石と、産状が似ている。



 戸沢村の川原には、至る所に、たくさんのノジュールが露出している。ただし、これらのノジュールは、成因が場所によって違う。上の写真の1〜5は、同じ場所である。下層は荒い泥岩で、その上に凝灰質の細かい泥岩が堆積する。こう言ったところには、巣穴の生痕化石が生じやすい。つまり、海底に巣穴を掘って生息していた動物がいる。ある時火山灰が降り注ぎ、巣穴に進入して、その動物は窒息死し、巣穴に閉じこめられ、ノジュールが出来る。
 角川、萩間のノジュールには、必ずと言って良いほど、接続部があり、何かに続いている。それは出入口と思われるが、未だに完全な入口に続いている物は発見していない。その理由は、進入した泥は収縮するため、入口部分が中へ吸入されるためと思われるが、いずれ、その証拠は、何処かで、発見できるだろう。



7. 木片などを含むノジュール。 8. 礫を含む砂質ノジュール。


9. 母岩と、ほぼ同質のノジュール。 10. 東京都あきる野市舘谷のノジュール。
    長さ約1m20cm。



 写真7のノジュールには、木片等が含まれている。しかし、同層には、ほとんど木片は含まれていない。これは、巣穴に後から入り込んだのだろう。

 写真8のノジュールは、礫を含んだ砂岩質である。よって、写真7、8は、何かを核として、石灰分などの鉱物質の沈殿濃集した物でなく、巣穴に礫や砂が入り込んだ物である。

 写真9のノジュールは、母岩とノジュールが、ほぼ同質である。この二つのノジュールは、同母岩層が形成されていく経過で出来たと考えられる。

 写真10のノジュールは、やはり、中からは何も出てこない。中央左寄り上に出入り口があるが、その付近は不明瞭である。比較的、出入り口であると証明出来るノジュールを、参考資料として取り上げた。



11. 戸沢村の円盤形のジュール。
直径約60cm。
12. 左写真と同じ場所にあったノジュールの
   一部。


 戸沢村で、ノジュールの成因を突き止めようと捜していたとき、写真11のようなノジューがたくさんあるところを見付けた。とても大きくて、持ち帰ることの出来る大きさではありません。その中に、幾つかのノジュールに、たくさんの貝殻破片の入ったノジュール(写真12)を見付けました。これの発見で、巣穴を作った動物の正体が見えてきました。海底に穴を掘って、住み家とし、貝類等を丸ごと噛み砕いて飲み込み、消化し、そして、化石に成りにくい生物です。動物界広しと言えども、タコ意外にはないだろう。
 
 東京都あきる野市舘谷のノジュールにも、成因の違う物が産する。その一つが、写真10のノジュールで、何らかの生痕化石である。これは長細い形であるが、丸い物もあり、これら丸いノジュール中からは、蟹のハサミ化石が出てくる。巣穴の大きさから考えて、巣穴住人の蟹のハサミとしては、小さすぎる。タコの大好物と言えば、蟹とエビである。やはり、これらの生痕化石も、タコの巣穴と考えて良いだろう。舘谷のノジュールについては、いずれ報告したい。





 このページに登場したノジュールは、タコなどの巣穴の生痕化石である。我々は、このような物を含めて、全てを「ノジュール」と言い習わしてきた。しかし、我々が一般に言うノジュールの成因は、化石などを核として、珪酸・炭酸塩・鉄酸化物などの沈殿濃集、あるいは珪酸交代作用等により、生じた物と考えている。ところが、実際には、こうした成因のノジュールは非常に少ない。ひょっとして、全く無いかも知れないのである。私としては、ノジュールと生痕化石は、区別して欲しいと思う。ところがこの区別は非常に難しく、丸い物を見て、全てを「ノジュール」という人には、到底区別は付かない事だろう。と言うことで、いっそう、ノジュールの定義を、「母岩から、個体として分離できるもの」とした方が差し障りないだろう。




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