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ROCK名曲カタログ
<第29回> THE SHOW MUST GO ON / クイーン
(2005.10.14 UP)

「INNUENDO」
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「GREATEST HITS
U」
|

「JEWELS」
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<1991年発表>
●「INNUENDO」
●「GREATEST HITS U」
(シングル集)
●「JEWELS」 (BEST盤)
に収録 |
前回に引き続き、フレディ・マーキュリー ネタ。「QUEEN+ポール・ロジャース 」
来日記念とでもさせてもらおう。
今回はフレディ のソロではなく、QUEEN の作品。
彼らの事実上のラスト・アルバム「INNUENDO(イニュエンド)」('91)の、さらにその
ラストを飾った曲「The Show Must Go On」である。あらゆる意味で感動的なバラ
ードであり、QUEENファンには涙なしに聴けない曲だ。
<ロック名盤コーナー>で彼らの2ndアルバム「QUEENU」をとり上げた際にも述
べた通り、多くの日本人にとっては70年代のQUEENこそが真の姿であり、その後の
世界的グループに成長してアメリカン・チャートの常連客となった彼らには、ほとんど
興味はない。
しかし、最後の「INNUENDO」('91)だけは違った。このアルバムには、80年代の
QUEEN が失くした何かがあった。うまく表現できないが、それは「深さ」であり「独自
性」だったように思う。特にこのアルバムのオープニングとエンディングを飾ったタイ
トル曲「Innuendo」と「The Show Must Go On」の2作品は、往年のファンも納得
の行く楽曲だった。
ご存知の通り、フレディ・マーキュリー (vo)はHIV感染による肺炎を併発させて、
'91年11月24日にこの世を去っている。しかし実はQUEEN のメンバーも、彼がAIDS
に感染していることを遅くまで知らされておらず(うすうす感づいてはいたろうが)、フ
レディ が彼らにそのことを伝えたのは、死の数ヶ月前だったらしい。
彼の死後1年ほど経ってから音楽誌BURRN!に掲載されたブライアン・メイ (g)の
インタビューによると、フレディ は長年苦楽を共にしたメンバーに対して、
「今ではもう多分君達も、僕が何と闘っているか知っていると思う」
と切り出したという。
そんな死期の迫ったフレディ の最後の熱唱が、「The Show Must Go On」であ
る。
この曲は、「INNUENDO」('91)からの4枚目のシングル・カット曲となった。
しかし当時すでにフレディ は満足な仕事をこなせる身体ではなかったため、シン
グル用のビデオ・クリップは、過去のクリップやライブ映像などを細切れにつなぎ合
わせたものが製作され、結果的にQUEENの集大成的な内容になっている。元気な
頃のフレディ の様々な姿が走馬灯のように流れるこのビデオ・クリップは、今でも観
るたびに感動を禁じえない。
沈鬱なムードのキーボードで始まるこの曲は、終始重苦しい雰囲気に支配されて
いて、後期QUEEN としては珍しい陰りのある作品である。鎮魂歌(レクイエム)的な
趣の楽曲で、明らかに80年代以降の彼らの曲想と路線を異にする、精神的な重さを
持つものだった。
が、楽曲自体は決して「ロック史に残る名曲」というほどのレベルではない。
いや、もちろんイイ曲なのだが、70年代に彼らが世に放った数々の斬新な名曲群
と比べると、最大級の賛辞を贈られるまでの作品ではない。
QUEENファンがこの曲を無視できないのは、もっと別の感傷的な理由がある――
THE SHOW MUST GO ON − ショウは続いていく
僕は笑顔で立ち向かう 僕は決して屈したりはしない
ショウは続けなければならないんだ
「The Show Must Go On」は、死に向かう者が歌うには複雑な内容の作品だっ
た。
この曲の詩の大部分を描いたのはブライアン・メイ (g)である。フレディ・マーキュ
リー ではない。
先に引用したインタビューで、
「 『INNUENDO』のレコーディングはとても辛いものになったでしょうね? 特に
『The Show Must Go On』は...」
という質問を受けたブライアン・メイ は、肯定の返答をした後、詩の内容について
了解を得ようとフレディ に相談した、と語っている。
それに対するフレディ の答えは、
「何の問題もない。全力を尽くすよ!」
というものだったらしい。
そしてその言葉通り、彼は死の影を背負いながら渾身の力で歌いきったのである。
「The Show Must Go On」とは、そういう曲だ。
明らかに全盛を過ぎたフレディ のボーカルに魂が突き動かされるのは、全身全霊
をかたむけて吹き込まれた何かを感じてしまうからなのかもしれない。
ブライアン・メイ はこの曲の歌声を「フレディ の生涯で最高のボーカルだと思う」
と語っている。
極めて私的なことを記すようで誠に恐縮だが、私にとってQUEEN は、フェイバリッ
ト・アーティストではなかったものの、かなり好きな部類に入るグループだった。陳腐
で恥ずかしい表現を用いれば、私の青春時代を彩ったバンドのひとつだった。
フレディ の死を知った日の晩、追悼の意も込めて、翌朝近くまでQUEENのアルバ
ムを聴き続けた。ほとんどが70年代の作品だったが、最後に「INNUENDO」('91)を
聴いた。そして、ラストの「The Show Must Go On」を聴き終えたとき、自分の中で
ひとつの時代が終わったような感覚に陥った。
不思議と「悲しみ」はなかった。それは、「INNUENDO」というQUEEN らしさを取り
戻した作品でこの偉大なバンドが終止符を打つことに、奇妙な満足感があったから
だと思う。フレディ がいない以上、バンドが存続できないことは考えるまでもないこと
だった。
僕は頂点に立つ 僕は何者にも負けない
僕はショウを続けていく意志を見出すんだ
The Show Must Go On ――
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