エジプトの旅

ファラオの夢を追いかけて



エジプトの旅も残り少なくなった。

モーニングコールが3時半に鳴った。今度の旅行は毎日朝が
早いのがつらい。それに昼間の暑さもあって、体調を崩す人
が増えてきた。

4時15分からホテルで朝食をとる。特別のことらしい。
おかゆ、フレンチトースト、プレーンオムレツ、コーヒーだけに
した。ルクソールの空港に着くと、真っ赤な朝日が昇って来た。

カイロまでは1時間のフライトだが、飛行機の窓から見ている
と段々視界が悪くなって行くのが分る。

砂嵐だという。

3月になるともっとひどく、空港に着陸出来ないでアレキサンド
リア辺りまで行ってしまうこともあるらしい。

きょうはエジプトの古い都を訪ねる。
サッカラ、ダハシュール、 メンフィスなどで、メンフィスはツタン
カーメンがテーベ(ルクソール)から首都を移したと言われて
いる。
ピンク色の赤ピラミッド
空港からしばらく走ると運河沿いのサッカラ街道になる。

馬車やロバ、路上に座ってみかんを売るこども、なつめやしの
葉を刈り取る老人などが目につく。

それにしてもエジプトのロバはなんであんな哀しげな目をして
いるのだろう。じっと立ち止まり、伏目がちに沈み込んでいる。

何千年と過酷な労働、過酷な暑さ、過酷な砂嵐にじっと耐えて
きたのだろうか。

「ロバはいつまで働くの?」とガイドのアハマッドさんに聞くと、
「死ぬまでよ…。どうして?」と不思議そうな顔をされた。
赤ピラミッドの警官
ダハシュールには赤ピラミッドと屈折ピラミッドがある。

小さな町がにぎわっている。パン屋さんはパンが焼きあがるの
を待って行列ができているし、肉屋さんには畜殺された牛がだ
らんとぶら下がっている。

町を抜けると戦車を積んだトラックが何台も通り過ぎる。

「ここは1995年以前は近づけなかった」そうだ。ダハシュール
の名前でエジプト人が連想するのは軍事施設だという。

ここにきれいな赤ピラミッドがある。
砂嵐にかすむ屈折ピラミッド
赤ピラミッドはクフ王の父スネフェル王が築造したと記録にあ
る。ギザの大ピラミッドの原型のようなものだ。

なだらかでちょっと赤みを帯びて美しい。

赤っぽく見えるのは赤みを帯びた石灰岩で出来ているからだ。

近寄って見ると本当に赤っぽい石だ。高さは103メートルあ
る。

砂嵐で霞んでいるが、2キロ離れた屈折ピラミッドはこれより
1メートル高いが、何回見ても赤ピラミッドの方がずっと大きく
見える。

53度の傾斜で造られていたピラミッドをスネフェル王が途中
で43度に変更したため、途中から曲がったように見えるので
屈折ピラミッドという名前がついたそうだ。
慈愛に満ちたラムセス2世像
メンフィスは古代エジプトの首都になったところだが、その面
影は今はない。わずかな村落が残っているだけだ。

ここには「ラムセス2世ミュージアム」がある。

博物館といっても「横たわるラムセス2世像」があるくらいだ。
脚の一部が欠けた像は15メートルもある巨大なもので、ラム
セス2世は穏やかな笑顔を浮かべている。

強国ヒッタイトとの戦いに勝ち、王女のネフェルタリと結婚でき
たうれしさがその笑みに表れている。

エジプトには在位60年を越えたラムセス2世の像があちこち
にある。この像の笑顔はなかなかいい。
スフィンクスの像
中庭にはスフィンクスの像がある。

紀元前1341年頃造られたもので、あの大スフィンクスに次い
で大きなものだという。

庭には「GOD PTAH(職業の神プタハ)」や「GODDESS
HATHOR(ハトホル神)」などの像がある。

警備の兵士がにこやかにポーズを取ったのでカメラを向ける
と、すかさず指をこすり合わせチップを請求してきたののは驚
いた。

中庭にはみやげもの屋が並んでいる。
笑顔の兵士 ミュージアムの像
ラムセス2世とプタハ神 ミュージアムの像
サッカラの階段ピラミッドはここから近い。

カイロはルクソールより大分北なのでいいが、それでも暑い。
階段ピラミッドの周りには野犬がたくさんいたが、あまりの暑さ
に身動きもしない。

砂漠の上に横たわっているが、死んでいるのか、生きている
のか。水を飲むところすらない。

階段ピラミッドは一番最初のピラミッド。築造過程をうかがい知
るのに興味深い。
階段ピラミッドと野犬
崩れたピラミッド
たくさんピラミッドを見学した。

「買い物をしましょう」ということになり、近くのカーペット工場に
立ち寄った。この辺にはカーペットの工場がたくさんある。

機織り機械の前でこどもたちが巧みに手作業で絨毯を織って
いく。複雑な工程を巧みに縦糸、横糸を組んでいく。

小学生ぐらいのこどももたくさん働いている。

2階に上がると、巧みな日本語を使う従業員が誘ってくる。

機械織りでなく手織りだから、柄もおもしろく、なかなか上等な
カーペットだ。

シルクのものは軽く10万円を越える。

玄関マットをお土産に買った。
3万5000円から始まって、3万円、2万7千円、2万4500円
と下がってきて、みんなが帰りかけると2万3千円になった。

それでも高いかなとも思ったりしたが、手を打った。

柄も気に入ったし、いい買い物じゃないかと思っている。
カーペットを織るこども
夜はナイル川クルーズに出かけた。

しゃれた船で客室は日本人で満員だ。にぎやかに音楽が始ま
ってベリーダンスのショーがある。

ここでも日本のおばさんが出てきて、ベリーダンスのダンサー
顔負けで踊り出す。

めがねをかけ、思いっきり腰を前後に動かして、歯をむき出し
にして笑っている。なにかとてもいやらしい雰囲気だ。

ぽつんぽつんといる外国人もあきれたようにおばさんを眺めて
いる。ツアーの中に新婚さんや誕生日の人がいるのだろう。
旅行会社が競い合うようにケーキをプレゼントし、「乾杯」「お
めでとうございます」の声が起こる。

舞台はベリーダンスから「マイウエー」などフランク・シナトラの
甘い歌に変わった。こんどもおばさんたちが男性を引っ張り出
して臆面もなく踊りだした。

デッキに出てみる。
ナイルの風が気持ちよく、カイロの街並みの灯がゆっくりと流
れていく。

そういえば、きょうはエジプト最後の夜だ。川風を受けながら、
エジプトの旅の思い出がかすめていった。
ベリーダンスのダンサー



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