22時間目

社会保障

 

1.4つの社会保障制度

世の中には、お年寄り、病人、けが人、障害者、失業者、母子家庭など、本人が望んだわけでもないのに、厳しい、弱い立場におかれ、辛く苦しい生活をしている人たちがいます。そのような弱い立場に置かれている人たちの最低限度の生活を国がサポートすることは日本国憲法25条で規定されています。これは4時間目:基本的人権のところでもやりましたが、大事な条文なのでもう一度復習しておきましょう。

~第25条~

     すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

     国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。

 

国に健康で文化的な最低限度の生活の保障を求める権利のことを生存権といいますが、この生存権を保障するための国の政策のことを社会保障政策といいます。そして、日本政府は4つの社会保障政策と呼ばれる社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生を実施しています。

●社会保険

社会保険とは、社会保障の実施のために国民から保険料を集め、保険料を支払った人が弱い立場におかれたときに、みんなから集めた保険料を使って、お金を配ったり、サービスを提供するような形で彼らを助ける制度のことをいいます。現在日本政府が行っている社会保険制度には次の5種類があります。

社会保険の種類 内容
医療保険 ・病気、ケガをしても安く治療を受けることができる。
・国民全員に加入義務がある。(
国民皆保険)
年金保険 ・高齢者、障害者になったときに、国から生活費がもらえる。
・20歳以上の国民全員に加入義務がある。(
国民皆年金
雇用保険 ・失業者になってしまっても、一定期間までならお金がもらえる。
労災保険 ・仕事が原因のケガや病気は診察費がタダになる。
介護保険 ・寝たきりの高齢者になると、安い料金で在宅介護サービスを受けることができる。
・保険料は40歳以上の全国民が負担する。
各市町村ごとで、介護の運営にあたる
・在宅介護サービスの費用の1割は本人が負担する。

日本は国民皆保険・国民皆年金政策により、日本人であれば必ず医療保険と年金保険には加入しなければならないことになっています。医療保険を支払っている証拠となるのが保険証であり、保険証を病院に見せれば、お年寄り以外は通常の診察費の30%を支払うだけで、診察を受けることができ、残りの70%は国が支払ってくれます。基本的に医療保険は、働いている人たちが払いますが、主婦や子どもたちも、家族の働き手の保険証をもっていくことにより、同様の価格で診察を受けることができます。

医療保険の種類
国民健康保険 ・自営業、農家などが加入する医療保険。
・保険証をもっていけば、3割負担で診察を受けることができる。
健康保険 ・サラリーマンが加入する医療保険。
・保険証をもっていけば、3割負担で診察を受けることができる。
共済保険 ・公務員などが加入する医療保険。
・保険証をもっていけば、
3割負担で診察を受けることができる。
老人保険 ・70歳以上の老人が加入する医療保険。
・保険証をもっていけば、
1割負担で診察を受けることができる。
 ※
つい最近まで、老人は無料で診察を受けることができていた

 また、20歳になれば、年金保険を払うことも義務付けられています。年金は大きく分けて3つの種類があるのですが、国民全員が払わなければならないのが国民年金です。20歳以上の国民は月々13580円(2005年度)を60歳まで払わなければならないのですが、きちんと40年間年金を払い続けていると、65歳になると月々約6万円を老後の生活費として国から受け取ることができます。

年金保険の種類
国民年金 ・20歳以上の全国民が加入する年金保険。基礎年金ともいわれる。
・65歳から支給される。
厚生年金 ・サラリーマンが加入する年金保険。
・65歳から支給される。
共済年金 ・公務員などが加入する年金保険。
・65歳から支給される。

しかし、サラリーマンや公務員たちは国民年金のほかにも厚生年金共済年金も払わなければなりません。しかし、サラリーマンや公務員たちはこれらの年金も支払っているおかげで、国民年金の6万円以外にも、20万円前後の年金を受け取ることができるので、老後の生活は、国民年金しかもらえない自営業、農家よりも安定したものになるといわれています。

社会保険の特徴は、保険料を支払った人は国に助けてもらえるけど、保険料を払っていない人は助けてもらえない点にあります。とくに、自分が健康で不自由なく生活していると、国に取られる保険料はバカバカしく思えることもありますが、実際に入院したり、老人となったり、失業したときなどには「払っていてよかった」と思えることもあります。そんなもしものために、国が国民から徴収するのが社会保険です。

●公的扶助

生活が貧しくなると、国が税金の中から生活保護費としてお金をくれる制度公的扶助です。この公的扶助は、保険料を払っている人しか助けてもらえない社会保険と違って、誰でも助けてもらうことができます。ただし、誰でも助けてもらえるぶん、金額的には社会保険による援助よりはかなり少ない金額になってしまいます。

公的扶助政策について定めた生活保護法によると、貧困者が国に対して公的扶助を申請できるのは次の8つの場合です。

    生活・・・生活費がないとき

    教育・・・子どもの学費がないとき

    住宅・・・家がないとき

    医療・・・病院に行くお金がないとき

    出産・・・出産費用がないとき

    生業・・・立ち直るために新たな仕事を始めたいとき

    葬祭・・・葬式のお金がないとき

    介護・・・お年寄りや障害者の世話をするお金がないとき

 自分の生活が苦しく、これらの条件に当てはまるときには、国に対して公的扶助の申請を自分でし、申請が認められれば、国からお金をもらうことができます。ただ、市町村によっては、審査が厳しくてお金がもらえないところもあれば、このような公的扶助に頼りすぎて、わざと仕事に就かず、生活保護でもらったお金をパチンコや競馬につぎ込む人もいるなど、いろいろ問題もあります。

 ●社会福祉

 税金を使って、金銭的に困っている人を助けるのが公的扶助なのに対して、障害者、高齢者、母子家庭などの社会的弱者を助けてあげるのが社会福祉です。社会福祉には、これらの人たちにお金を上げて助けることの他に、障害者や高齢者のための施設を作ったり、障害者や高齢者が生活しやすいような街づくりを行っていくことなども含まれています。それは次の2つの考えに基づいています。

     ノーマライゼーション・・・高齢者も障害者も普通に暮らせる環境を作っていくこと。

     バリアフリー・・・高齢者や障害者にとって障害となるものを社会からなくしていくこと。

 ニュージーランドで生活していると、実にたくさんの障害者の人たちにでくわします。彼らは松葉杖や電動式のミニカーを使ったり盲導犬を引き連れたりして、バスに乗ったり、散歩やショッピングをしたりしています。あまりの多さに「ニュージーランドは障害者だらけなのではないか」とも思ってしまいますが、実は違います。逆に日本が、障害者が1人で散歩やショッピングできるような環境が整えられていないため、障害者が外に出ることができず、家に閉じ込められてしまっているだけなのです。「五体不満足」の中で著者の乙武洋匡君が言っていました。「さまざまな民族が一つの国家で生活している欧米では、他人と違うといった理由で否定をしていたら、きりがない。そこで、障害者のようなマイノリティ(少数者)に対しても、多様性という観点から、障害をその人の特徴として受け入れているのだ。」

 日本人だらけの日本社会において、「違っている人間」というのは、目立ってしまい、差別の対象となります。ただ、人間というのは11人違っているのは当たり前なのです。白人、黒人、先住民、アラブ人、アジア人など、違う人が住みまくっているニュージーランドでは、障害者に対しても、「自分と少し違っているだけの人」という観点で付き合うことができているのだと思います。社会福祉で大事なのは政府による政策よりも、日本人の「心のバリアフリー」を進めることだと思います。

 ●公衆衛生

 最後に、各市町村に設置された保健所が中心となって、伝染の予防、水質管理、公害の防止などを実施し、国民の生活環境を清潔に保つのが公衆衛生です。まあ、保健所の仕事が公衆衛生だと思ってください。

 以上、4つの社会保障制度を説明しましたが、この4つと、社会保険の中の5つの社会保険制度や4つの医療保険、3つの年金保険がごっちゃになってしまう人が多いようです。もう一度、図にまとめて整理するので、確認しておいてください。

 

2.社会保障の歴史

世界で初めての社会保障制度はイギリスで始まりました。イギリスでは1601年にエリザベス1世のもとエリザベス救貧法が制定され、この法律により、老人や病人への税金からの生活費の給付が行われました。このような政府による公的扶助政策が、世界初の社会保障制度でした。

日本でも明治時代の1874年に恤救規則という法律が制定され、これにより病人、老人、孤児などに税金からお金を給付する公的扶助政策が実施されました。これが日本初の社会保障制度だといわれています。

社会保険制度を最初に始めたのはドイツでした。1883年、当時ドイツはプロシアという名前の国でしたが、当時のプロシアの指導者ビスマルクは労働組合を弾圧するというひどい政治を実行する代わりに、労働者から保険料を徴収し、失業したときには失業保険を給付して彼らを助けるという政策も同時に実行するという「アメとムチ」政策を実施しました。

これをさらに発展させたのが、アメリカのルーズベルト大統領です。世界恐慌による不景気でアメリカ国民が苦しんでいる中、ルーズベルトはあのニューディール政策の1つとして、社会保障法を制定しました。これは国民から保険料を徴収する代わりに、高齢者と労働者に対して年金保険と失業保険を給付するという内容のものでした。

そのように少しずつ発展していった社会保障制度を、現在のような完成体に近づけたのが、イギリスでチャーチル首相が主導のもとまとめられたビバリッジ報告でした。この報告書では「ゆりかごから墓場まで」というスローガンにより、生まれてから死ぬまで、ずっと国が国民の最低生活を保障し続けなけらばならないことを主張し、このビバリッジ報告を基本とした社会保障制度が、その後ヨーロッパを中心として世界中に広がっていきました。

そして、国際連合(当時は国際連盟)の専門機関であるILO(国際労働機関)1944年にフィラデルフィア宣言を発表し、この中で社会保障制度を世界中に広めることが重要であることを宣言しました。そして、戦後は社会保障制度の充実が各国の課題となっていったのです。

 

3.超・高齢社会

上の図を見てもらえばわかるように、日本は急速に高齢化をすすめ、世界有数の高齢社会となってしまいました。ただ、高齢社会を迎えることは早い時点である程度わかっていたことですから、政府による対策も実は早い時点で行われていました。主なものに次のようなものがあります。

年号 できごと 内容
1973 福祉元年 ・老人医療費の無料化など、医療費の大幅引き下げを行う。
・物価の上昇に合わせ、年金の給付額も上げていく物価スライド制の導入。
1990 ゴールドプラン ・厚生省(現在の厚生労働省)が中心となって行った老人福祉サービスを充実させるための計画。
 ※この計画により生まれたサービス
  ①デイサービス・・・昼間だけ老人を預かり、食事・入浴・リハビリなどのサービスを提供する。
  ②ショートステイ・・・短期間だけ老人を施設で預かる。
  ③特別養護老人ホーム・・・常に介護が必要な老人を預かる施設。
2000 介護保険制度開始 ・寝たきりの高齢者になると、安い料金で在宅介護サービスを受けることができる。
・保険料は40歳以上の全国民が負担する。
各市町村ごとで、介護の運営にあたる
・在宅介護サービスの費用の1割は本人が負担する。

この中で、とくに最近問題となっているのが2000年から始まった介護保険の制度です。この制度はもともとは、寝たきり老人の介護に苦しむ家庭を市町村が援助して、国民の負担を軽くすることを目的に始まった制度だったのですが、欠点が多く、逆に国民を苦しめています。主な欠点に次のようなものがあります。

      市町村ごとに任されているため、市町村ごとで徴収する保険料が高かったり、サービスが悪かったりなどの格差が発生している。

      ホームヘルパーや訪問看護ステーション(看護士の派遣センター)の数が圧倒的に足りない。

      介護目的の入院ができなくなったため、多くの老人が病院を追い出されている。

      介護を受けるのは無料ではないため、ホームヘルパーの派遣を受けず、結局は家族がお年寄りの世話をしているところが多い。

 最近は、福祉に興味を持っている若者も多く、ホームヘルパーになったりする若者も多いですが、日本ではお年寄りの数に比べて、ホームヘルパーや看護士の数が少なく、ヘルパーや看護士の仕事が鬼のように忙しくなってしまっており、疲れ果ててすぐにやめてしまう若者も多いようです。しかも、ヘルパーの人たちもそのような状況でのサービスなので、サービスを受ける側もお金を払う割りに十分なサービスを受けることができず、結局は家族が中心となって世話をしているような状態です。その中でもとくに多いのが、寝たきりのおじいちゃんを妻であるおばあちゃんが介護をしているような老老介護の問題です。介護保険の実施により、国民の負担を軽くする予定が、かえって苦しいものにしてしまいました。こういった政府の認識不足というか勉強不足というのは本当にあきれてしまいます。

 高齢社会における一番の問題は年金保険の問題です。まずは、日本の年金の集め方を表にまとめます。

 日本は当初、積立方式で年金を集めていましたが、あまりにもお年寄りが増えてきたため、積み立ててきた年金だけでは足りず、現在の若者から集めた年金からもお年寄りに配る年金を調達するようになり、今では、基本は積立方式ですが一部は賦課方式も採用している修正積立方式により年金を集め、給付しています。ただ、この修正積み立て方式を続けていくには、これからお年寄りが増えているのと同じぐらい、子どもの数が増えてくれることが大事なのですが、子どもの数は増えるどころか年々減少の傾向にあります。

 そうなると、自分が将来お年寄りになるときは年金はもらえないのではないかと考えたり、あるいは不景気による所得の減少から、年金を払わない人たちも増えてきています。とくに国民年金は国民の3分の1が払っていないというひどい状態で、政府は3年前には、当時人気の女優江角マキコをつかって、「年金がもらえなくなるなんて言ったの誰?」「払わないともらえない国民年金!」というようなテレビCMを作って、国民に脅すように年金を払うことを呼びかけたのですが、実はその江角マキコ自身が年金を払っていなかったことが発覚したり、さらに、小泉首相の他、麻生太郎、石破茂、竹中平蔵、谷垣禎一、福田康夫、菅直人などの国会議員の先生たちも年金を払ってなかったことが発覚し、全くの逆効果になってしまいました。

 政府は「年金がもらえなくなることはない!」と全く根拠のない説明を国民にしていますが、明らかにこのままでは年金制度の維持は難しいので、政府は年金改革を行いました。最近の主な年金改革をまとめるとこうなります。

     年金を支給開始する年齢を60歳から65歳からに変更。

     若者から徴収する年金の金額を年々値上げし、お年寄りに給付する年金の金額を値下げする

     現在は年金の3分の1を税金から給付しているが、2009年からは2分の1を税金から負担する。

 これらの改革ははっきりいって問題だらけです。まず、21時間目:労働問題のところで少し触れましたが、現在ほとんどの会社で定年は60歳です。しかし、60歳で会社を辞めても、政府から年金がもらえるのは65歳からです。そうなると、この5年間は結局自分で地道に貯金してきたお金で生活するしかないのです。仕方なしに、定年を迎えても、働こうとする人たちも多いのですが、高齢者の求人倍率は極端に低く、再就職先を見つけることができない60代も多いようです。

 さらに政府に支払う年金を値上げし、将来もらえる年金が値下げされるとなると、ますます年金を払わない人が増えるのではないかということです。これに関しては、政府はよほど年金に対する信頼を取り戻し、国民に対しても年金の仕組みや大切さをわかりやすく説明する必要があると思うのですが、この改革のとき、政府は「2002年の平均出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数の平均)は1.31人であるが、これ以上子どもの数が減ることはないから大丈夫!」と説明したのですが、いきなり次の年の平均出生率は歴代最低の1.29を記録し、政府の予想が全く根拠のないことがわかり、国民を驚かせました。さらに当時の坂口厚生労働大臣は「この改革で国民の年金に関する心配をなんとか消し去ることができました」と笑顔で発言し、ますます国民の反感を買いました。

 個人的な意見では、このまま順調に行くと、年金制度は確実に崩壊すると思います。そう考えると、国に年金を払うぐらいなら、自分でコツコツと貯金して行った方が確実のような気もします。ただ、年金というのは、現在のお年寄りに対するプレゼントであるという側面も持っています。現在の豊かな日本があるのは、戦後の日本がボロボロな時期に一生懸命働いて、日本を再生してくれたおじいちゃん・おばあちゃんのおかげでもあるのです。そんなおじいちゃん・おばあちゃんに対して感謝の気持ちを込めて、彼らの生活費である年金を払ってあげるのは大切なことではないのかなと思います。

 高齢社会への対応策で大切なのは、子どもの数を増やすことです。そのための政策として参考になるのが、スウェーデンにおける実行例です。

 

4.北欧型とアメリカ型

現在、日本の人口に占める高齢者の割合は世界一ですが、つい5年前までは北ヨーロッパのスウェーデンが世界一の高齢国家でした。しかし、スウェーデンは高齢化対策と少子化対策を徹底して行った経過、最近では子どもの数を増やすことにも成功し、お年寄りにとっても、子育てをする家庭にとっても住みやすい国になってきています。ではそんなスウェーデンの福祉政策を紹介します。

スウェーデンの福祉政策
政府の基本方針 ・子ども、高齢者の世話は、家族ではなく、国・県・市町村が行う。
・税金の約70%を福祉政策につぎ込む。
・医療費、出産費用などは全て無料。場合によっては病院までの往復交通費、家族の病院宿泊費なども国が負担してくれる。
・税金が高額(消費税25%、所得税約60%)だが、税金の使い道がしっかりしている。
少子化対策 ・保育所、託児所の充実
 例①余暇ホーム・・・放課後の幼稚園児、小学生を両親が帰宅するまで預かる施設。
  ②家庭デイホーム・・・保育士の資格を持った家庭が、両親の帰宅まだ子どもを預かる。
・産休、育休が男女の労働者に多く保障されており、男性も約90%が育休を取得する。
 ※両親それぞれに、子どもが8歳になるまでに15ヶ月の育休がある。
・母親には、授乳のための休憩時間も保障されている。
・子どもが17歳になるまで、国から補助金がもらえる。 ※3ヶ月ごとに約3万円ずつ
・国公立の学校は、幼稚園から大学まで全て授業料が無料。
高齢者対策 ・老人ホーム、デイケアセンターなどの介護施設、ホームヘルパーの数・内容の充実。
・ホームヘルパーなどの介護職員は公務員で、国から給料を受け取って、無料で高齢者の介護を行う。
・お年寄りや車椅子が通りやすいような都市設計がされており、利用費が無料のレジャー施設も多く完備している。

とくに少子化対策なんかを見ていると、「日本の少子化が進んでいるのは、結婚する年齢が高齢化しているからだ。だから、会社では男女の出会いを増やすようにして(=合コンを増やして)、早い結婚を促進してください。」なんてことを力説している日本政府の方針がばかばかしく思えます。少子化を食い止める為には、女性が働きながらも子育てができる環境を整えることが大切なのです。このような社会保障を充実させる政策はスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北ヨーロッパ(北欧)を中心に盛んに行われています。ただ、これらの政策の欠点は税金が高すぎることです。このことは上の表の国民負担率国民所得に対する税金と保険料の割合)のグラフを見てもよくわかります。働いたお金の73.2%を国にとられるなんて大丈夫? なんて思ってしまいますが、実は日本人が考えているほど、彼らは税金が高いことを負担であると思っていません。なぜなら、日本では税金を払っても、税金が何に使われているか分かりにくく、政治家が彼らのために税金を使っているイメージがありますが、スウェーデンでは税金をたくさん取られる代わりに、幼稚園から大学まで授業料はタダだし、病院もタダだし、老後の生活も安定しているしという風に、税金がいったい何に使われているのかを生活の中で感じることができます。さらに、日本人が貯金をする1番の理由は「老後のため」で、次が「子どもの教育費」ですが、スウェーデンはこれらを国が全部無料で面倒を見てくれるので、貯金をしていく必要もないのです。まあ、そういった政治を行えるようになった背景には、6時間目:内閣でやった、クリーンな政治を行えるように国民の代表者が政府を監視するオンブズマン制度が発達してきた国であるというのも関係あります。

それに対して、社会保障制度をほとんど行っていない国アメリカです。アメリカはスウェーデンとは逆に税金がすごく安い代わりに、政府が社会保障政策をほとんどやってくれません。その結果、病院の診察代も高いし、もしものためには自分でコツコツと貯蓄をしていかなければなりません。お金持ちの人たちは、民間の保険会社の保険に加入することにより、もしものときに備えるのですが、貧しい人たちはそんな民間の保険に加入する余裕などないために、病気になってもすごく高額の診察費を請求されるため、例えエイズにかかっても病院にすらいけない人たちも多くいいます。いい言い方をすれば「自分の身は自分で守る」というのがアメリカ人の考え方なのですが、貧富の差を拡大してしまっているという問題点もあります。

以上のことを考えて、日本の社会保障政策はどのような方向に進んでいけばいいのでしょうか? 現在の日本はアメリカ型に近いと思いますが、このまま高齢者の数が増えていけば、彼らを養っていくために、税金を増やし、北欧型の社会保障政策を目指していかなければならないと思います。ただ、それをやるためには、「税金の無駄遣いをなくすこと」と「子どもの数を増やすこと」が大切な課題となります。しかし、くそじじいばかりで、自分たちが死んでしまっている未来のことに興味のない今の政治家たちは、このような問題には無関心のように見えるのは、私だけでしょうか?


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