水流渓人のページ「登山日記」No.205
 
2005/11/2

「カメレオンルート」
雌鉾岳
   
P/VI+ 鉾立谷の紅葉 9P/VII-
 

  
 雌鉾のスラブに取り付けば、後はほとんど「つま先」と「指先」だけで何時間も居ることになる。何なのだろう・・・。恐ろしいが何か魅力めいたものを感じている。
 この日、朝から小松の親分は、4P以降続く6級以上のルートが「怖い」と言った。登りながら、「落ちるかも・・・。」と何度か言った。この鉾スラブのスケールがそうさせたのかも知れない。大分のオナガラのフリークライミングで、彼はすでに5.11dをRPする程であるが、ここの6+がフリーでは登れないと言い切る。それが、このスケールなのだと言う。
 我々は、いろんな切り口と、いろんな方法で、いままで切り抜けて来た。しかも、先輩に教わることもなく、お互いで実証してきた。それが、強さや力になっているのであれば、それは嬉しいことであるが、いつまでも「未熟」な意識は拭えない事も知っている。そうでなければ、この大スラブに切り開かれた開拓者への敬意が保てなくなる。実に凄い!とも、実に素晴らしい!とも、有り難い!とも思いながら挑戦している。だから、ルートを辿ろうと思っている。そこに打たれたボルトの意味を知ろう・・・と思っている。

 苔がたくさん付いたルートに、何度も「ここがルートか?」と、話し合う。なんで、これだけ、草付きから草付きへ150mもの右斜上をしなくてはならかいのか?理由は簡単であった、その素晴らしい直上の始まるルートへ行くためである。そうする事が、このカメレオンルートの価値である。爬虫類のカメレオンよろしく、ザザザァ〜と、斜めに走り上がり、今度はきついスラブをヒタヒタと登るのである。しかも、ピッチ毎に表情の変わるルート設定を、開拓者はおそらく『カメレオン』としたのであろう・・・。

 登攀終了後、下降路になる樹林帯で、私達は放心状態であった。いままで登ってきた厳しいルートの充実感は、その時はまったく感じていなかった。目にしみる紅葉の中をフィックスされたロープをたどって降りる。取り付きに戻り、そのスラブを見上げた。登山道を寡黙に、ただ歩いた。車に乗り込み、次に登るルートの話は出ない・・・。帰宅して、風呂に浸かりながら、いまだに私は足のつま先と指先だけで自宅に居るような気がした。
 

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自宅6:30----佐土原駅----都農神社7:30----鹿川キャンプ場9:50----入山10:00----取り付き10:39----登攀開始11:05----5Pへ12:20----7Pへ13:20----9Pへ15:45----終了点16:15----昼食----下降路16:50----取り付き17:05----下山完了17:30----帰路----自宅20:00
 
参加者 ぱぱ まま 長女 次女 長男 次男 ゲスト
出欠           西都山岳会
年齢 46           小松の親分
ピーク合計 258            
 
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