水流渓人のページ「登山日記」No.204
 
2005/10/26

「撤退!カメレオンルート」
雌鉾岳
   
1P 2P 雨にて撤退となる
 

  
 雨で敗退・・・いや撤退した。
 予報では降水確率0%の中、いつものように鉾岳のスラブを目指した。ここは、比叡とは違い、取り付きまで高度差300m程度を登る必要がある。いいウォーミングアップと位置づければ有り難いのかも知れないが、正直「しんどい」のが本音だ。歩き始めて20分程度で大汗タラタラ、ヒーハーゼーハーとふらふになる頃、登山道上に現れる岩が第1の休憩ポイントである。すでに冷たくも感じる秋の風が、とても有り難い。どれどれ・・・と、再び腰を上げて登るとロープ場が出て来て急登をやり過ごした岩が第2の休憩ポイントである。ここから取り付きとなる所はすぐなのだが、いつもここで休憩してしまう。少しの水分補給をして取り付きを目指すと、高度差300mを登ったことになる。
 取り付きは、「美しいトラバース」「大長征ルート」「春はあけぼのルート」などと同じで、すこぶる景観の良い場所である。見上げれば、雌鉾のスラブは天に向けせり上がっている。あまりにもすっきりした一枚の巨大岩は、初めて見る者を魅了する。鉾立谷に裾をあずけ対岸の山肌は、紅葉の時期「錦絵」と化す・・・。
 ふうっとため息をついて、右斜上しながら松の木を目指すのが1P目。春はあけぼのルートと同じ・・・。微妙に緩い傾斜は思い切り良く行かないと怖さに体が張り付き、余計に危ない。ルート上にちりばめられた松の葉に反応しながら、小松の親分が登っていった。フォローの私はいい気なもんである。斜めズリズリ引っ張られながら、登り上がる。なんだかポツポツとヘルメットを叩く音が気になるが、ルート図を見定めてさらに右トラバース気味に2Pを探る。ここだろう・・・と、松の木でピッチを切る。また、いい気なフォローの私はズリズリとドロドロと上がり、草付きに立つ。
 さて・・・ここからルートはどっだ?と考えていると、とうとう雨が本格的になった。しばし流れる雲の早さを目で追うが、ブツブツとお互い噛み合わない会話とも念仏とも判らない事を唱えながら雨に打たれていた。しばし、呼吸を整えて「撤退」することにした。もうそのあと晴れても後悔なしの撤退だ!と言い聞かした。水曜登攀隊の挑戦であるので、撤退より「敗退」と言う方が、今後のモチベに繋がるのかなぁ〜と思ったりした。
 
 さぁ、残された道は岩場からの脱出である。今立っている位置では下に届かない確率が高い。ならば、1P下降したらいいじゃないか!話は簡単?・・・・ではないのだ。ずっと右斜上に登ったから、まっすぐ下にはルートは無いと言うことだ。1P下がるには、この雨の中、左斜下にクライムダウンするしかない。メインに下降器をつけ、小松の親分はバックアップにブルージックを、私は2番手なのでロープが張り気味になるし、末端が固定なのでカラビナにバッチマンでハーネスと連結させた。(状況、理解できるかなぁ・・・)濡れたロープには、インクノットは効きすぎで、返って操作性が悪いようである。とにかくおそろしいトラバースのクライムダウンである。
 続き試練はやって来た。1Pも右斜上の登りなのである。ここは50mもクライムダウンは無理に近い。ならば真下に下降するしか無い。雨でさばきにくいロープを引きずりながら、地面がどこかも判らない下降が開始された。初見の場所では、私達は幾度も初めての状況にさらされた。なんとかなる!ではなく、なんとでもする!・・・それが今までの経験であり、力だと思っている。木や草が茂る位置、といっても凄い角度だ。じわりじわりと降りていく小松の親分を見送る。10m程で姿が消えた。時間だけが過ぎた。何度も声を掛ける。ロープをさばくのと効き過ぎるプルージック地獄で、死にそうだったそうだ。ようやく、「どうぞ!」と声がした。もう、パンツまでびっしょりである。寒くはない。ねじれたロープに苦労しながら、「回収」の心配をしながら、エイト環で降りた。途中、空中懸垂にもなりながら、ロープは45m程度の位置で安定した地面に届いていた。
 少し、笑みがこぼれた。体勢を整え、ロープ回収に挑む。正に、切れんばかりの引っ張りで、なんとか回収出来た。古い毛羽立つ9mmのダブルロープ・・・、山の会の借り物である。そろそろ買い換えの時期?なんて話ながら、最後のギアチェックをした。
 雨の中、誰か登山者だろうか・・・。鉾立谷の少し上部から話し声がしていた。強い緊張感から解き放たれた二人は、黙々と下山路をたどっていた。「リベンジだなぁ・・・。」そう、思っていたに違いない。
 

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自宅6:30----佐土原駅----都農神社7:30----鹿川キャンプ場9:50----入山10:00----取り付き10:37----登攀開始11:00----撤退決定12:00----脱出開始12:10----脱出完了13:05----下山完了13:50----鹿川渓谷散策----延岡----帰路----自宅18:00
 
参加者 ぱぱ まま 長女 次女 長男 次男 ゲスト
出欠           西都山岳会
年齢 46           小松の親分
ピーク合計 257            
 
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