水流渓人エッセイ集「父さんに教えて」
 

第二章/十六編


タマタマタマタマ


 長女6才の親友にアイちゃんがいる。そして、アイちゃんには4年生のねえちゃん:ノンちゃんがいる。そのノンちゃん、最近学校の性教育が始まったらしい。生命誕生の話なのだが、生命の根元は雄のオチンチンであると理解した。理解したのは良かったが、雄のオチンチンのタマタマがその根元と理解しているらしい。タマタマ根元説は大いに良いのであるが、多少の理解不足が生じている。どうもタマタマの数と生命誕生の数に、正比例の方程式を当てはめているのだ。妹のアイちゃんを捕まえ、
「ほら、アイ、お父さんのオチンチンを見てごらん、ふたつタマゴがあるから、私達は2人姉妹なのよ。」
それを聞いたアイちゃん、我が長女を引き合いに出し、
「そしたら、あそこのお父さんにはタマタマが4つあるんだね。」
と、理解しているらしい。そうすると、私のオチンチンにはタマタマタマタマがある事になる。そして、もっと恐ろしい秘密があった。公表すると秘密にならないのだが、ノンちゃんの性教育話は、女性特有の生理話になる。ノンちゃん生理を出血と理解している。出血は良いのであるが、まだ自分自信では確認がとれないのである。しかし、確認したい気持ちは膨らむばかり、ついには妹・アイちゃんを従え、母さんのトイレをソッと覗くらしい。小声で
「ほらほら、血が出ているでしょう。」
とささやくそうだ。よく覗き、その度、
「ほらほら血が・・。」
を言っているそうだが、そうなるとアイちゃんの母さんは、月経でなく週経と言わざるを得ない。今度お会いした時に、確認してみる勇気は私にはない事を添えておく。

 勝負事に反省をする人がいる。勝負事と言っても、健全なスポーツではなく、たとえば麻雀で
「なんであの時、あの牌を切ったの・・・ツモったの・・・」
「役満テンパってたのに、セコ手で隣がロンだって。」
など、反省したところで何の役にも立たないし、聞く方が不愉快である。どうせ言うなら、
「明日の麻雀で、大三元と国士無双を3回上がるんだョーん。」
とでも馬鹿前向意見を言うほうがましである。じゃんけんで反省してどうなる。パチンコで反省してどうなる。そして、世の中にもっとも聞き苦しい言い訳がある。ゴルフをたしなまれる方々の意見であるが、地域柄この地方には週5回ほどゴルフをなさる方々が、結構多い。7時スタート2時上がり、それから仕事。なんて方々が結構多い。独身の頃は、付き合いで月2回程度たしなんでもみたが、現在は他に楽しい事が多くなったし、
「自然破壊の代表せんしゅーう!」
みたいなー、
「あーなんだか私は、ゴルフをするのょー!」
ってな感じぃ!ってなかんじぃ!で、馬鹿糞話みたいで、ここ数年積極的に誘いを断っている。そうそう、そのゴルフをされるゴルフ我が命・人生はゴルフに始まりゴルフに終わる的人間、『通称ゴルマン・フンギラス』と言い、
「折角、前半で40を切ったのに、昼食後の後半のしょっぱなからドライバーが悪くてねー」
とか、
「あの7番で大たたきしてねー」
とか、
「クラブがどうにも合わないみたいだ」
とかとかとか・・・。どーでもいい事を延々と喋るのである、自分で喋っておいて、気分を盛り上げて、
「そしたら、チョット100球程打ちに行くわ!一緒にどう?」
ってな事に勝手に話を決めてしまう。
「行くわけないだろ!」
ゴルフ命の人に、ゴルフを健全なスポーツに含めず勝負事に含めてしまうのは、叱られてしまうであろうが、まったくもってそう言わざる得ないゴルマン・フンギラスしか見当たらないから悲しい。
 どうして勝負事の話になってしまったのか・・・には理由がある。長女小学校1年生、
「ビー玉を教えてくれ!」
と言うので、当てた方が相手のを取る!と言う、ビー玉の基本中の基本を教え始めた。教え始めて驚いたのは、彼女の世界に賭けるとか、取る取られるの世界が存在していなかったのだ。買ってもらった物・貰った物は絶対的に自分の物であり、だんだん少なくなる手持ちのビー玉に、ついには涙を流し始めた。
「父さんは私の物を取るよー。」
と女房に言いつけに行った。始めての経験に彼女は意気消沈し、ストレス塊激怒状態のガキギラスへ変身していったが、私はポケットのビー玉をジャラジャラさせながら、
「悔しかったら、また買ってもらって挑戦したらー。」
と言って、今後ジャンケンでの勝負でも勝ちは絶対ゆずらない、父娘関係を確立する事を決めた。以来、長女の勝負挑戦を受けていない。勝負は勝つか負けるかで、反省するものではなく、勝ったら今度も勝つためにどう努力するがであり、負けたら次は勝つためにどう努力するかであることを習得してくれたら嬉しい。
 アストラがない。実にアストラだけはなかなか売っていない。長男2才のウルトラマン人形集めに、女房の方がハマってしまった。当初、長男の所有するウルトラシリーズは、帰ってきたウルトラマン・ウルトラセブン・ウルトラマンタロウ・ゾフィ・ウルトラマンパワード・ウルトラマンゼアス・ウルトラマン80であったが、帰ってきたウルトラマンを重複して購入してしまったのだ。ここでハマってしまった女房は、長男2才に親戚のおじちゃんやおばちゃんに、もし次に買ってもらえる時は、
「ウルトラの父にしなさい!」
と言い渡しウルトラの父が揃ったのであった。残すところウルトラの母とユリアンとアストラである。そして、長男お出かけ時には、このウルトラ戦士の名前を紙に書いて持たせるのである。注意書きに
「レジで、ちゃんと立つか確認する事!。」
とつけ加えてある。立たないおかげで、ウルトラキングとウルトラセブンは、長男の怒りに触れ、いつも悲惨な取扱いをされているのだ。そして、ついに注意書き持参の上、しっかり立つウルトラの母とユリアンを手に入れたのだ。それにしても、アストラだけはないと思っていたが、女房に尋ねてみると、ウルトラマンもないみたいで、ウルトラマンと思っていたのはどうもパワードだったみたいだと、ハマった女房が言っていた。実に、断じて言っておかなくてはいけない。ウルトラマンとアストラがない。断じてないのだ。ここで、パパちゃんは宣言するのだ。長男2才の為であれば、財を投げ売ってでもウルトラマンとアストラを購入することを宣言する。しかも、レジの所でしっかり立つ事を確認し、
「どうだ長男、パパはすごいだろう。」
と、店員を押し退けレジの包装台によじ登り、ウルトラマンのポーズで父の威厳を見せつけるのだ。そのりりしい姿を見て、長男と女房は、
「パパってすごい!」
と、後生語り継ぐ事は言うまでもない!事はないかも知れない。ウルトラマンとアストラ、しめて総額1,360円なのだ。


 
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