ウルトラマン
エピソードレビュー14

女心と偏食怪獣!

last update:'06.11.5

第14話

真珠貝防衛指令

 監督:実相寺昭雄

 特技監督:高野宏一
 脚本:佐々木守

 真珠はあたしの誕生石。月給日に銀座へ買い物に出かけたアキコ隊員は養殖用真珠貝の全滅で、お目当ての真珠が高騰していることを知る。

 不審に思ったアキコ隊員は真珠全滅の背景に怪獣の存在を嗅ぎとる。

 そのころ、伊勢志摩の真珠養殖業者は真珠貝を守るため日本海に避難させようとしていた。トラックが怪獣に襲撃される。怪獣は真珠貝の中身をその長い舌で吸い取って食べる。

 いつもより気合の入るアキコ隊員は女の執念よと言い切った。

 科学特捜隊ビートルの爆弾攻撃に、怪獣は汐吹き攻撃で抵抗する。直撃を受けたビートルは不時着。コイルが焼き切れ、本部に応援を要請し、夜を明かすことになった。深夜、怪獣からの異音が聞こえた。それは飲み込んだ真珠を消化する音だった。

 人間から真珠の光を取らないでと叫ぶアキコ隊員。男にはこんな気持ちはわかならいというアキコ隊員の目に執念の光が宿っていた。

 翌朝、真珠を求めて移動を開始した怪獣の目的が大都会であることを予測した科特隊は、阻止行動に出るがロケット弾攻撃にびくともしない怪獣の足を止められない。

 潜水した怪獣に気球爆弾を発射して目印にする科特隊。四色の気球をつけたガマクジラはそのまま伊勢湾から東上。ナパーム弾にたまらず浮上したところを電磁網で捕獲し、感電死させる作戦を取る。しかし、ハヤタ搭乗の2号機の襲い掛かったため、作戦は失敗、ハヤタは海岸の岩場で気絶した。

 上陸したガマクジラは波打ち際で遊んでいた女性のアクセサリーを狙いをつけた。真珠の光がガマクジラを寄せつけると看破したアキコ隊員のアイディアを採用し、真珠爆弾が検討される。

 一方気絶していたハヤタは女性の悲鳴を聞いて目覚めた。

 真珠爆弾を真珠と思い込んで食べたガマクジラの腹の中で爆弾が破裂、ガマクジラは悶絶するが致命傷を与えるには至らない。むしろ体内での爆発に耐えた分、口も胃袋も丈夫になったらしい。

 負傷したハヤタの発案で小型ジェット噴射器が準備され、ガマクジラに打ち込まれた。名古屋への上陸を阻止するための作戦だ。

 ガマクジラは尻鰭上部に打ち込まれたそれのせいで空中に舞い上がる。そこへウルトラマンが現れて、ガマクジラと空中衝突。ガマクジラはあっけなく四散した。

 真珠はふたたび量産されるようになり、科学特捜隊の給料でも充分買えるようになった。真珠で装うアキコをガマクジラみたいだと揶揄するイデに買い物の荷物持ちをさせるアキコだった。

 

 真珠という人間にしか価値のわからないものを通じて、人間のエゴを浮かび上がらせている珠玉のエピソード。

 エコロジーや環境がそれほど深刻に語られることのなかった時代にこういった観点の物語があったことは特筆に価すると思います。 もしかするとそれほど深く考えられたものではないのかもしれないのですが、あたしたちから真珠の光を取らないでと叫ぶアキコ隊員は、動物愛護団体からの指摘をものともせずに毛皮を着続けるセレブのように、どこか不謹慎で不真面目で浅はかな人間の象徴のようです。

 もしガマクジラの好物が真珠でなくてドブ貝だったら。もし、ヘドロだったらアキコ隊員は今回ほど熱心に怪獣退治に取り組んだでしょうか。

 負傷したハヤタを現場に取り残してまで、小型噴射装置を取りに行ったでしょうか。

 イデはそんなアキコを「オンナだから」でくくりたがっていますが、そこには性別を超えた人間のサガがあるような気がします。

 たまたま真珠を常食としたから駆除されてしまうガマクジラの悲劇に、昨今里へ降りてきたあげくに惨殺されるクマを重ねて見てしまいます。よく見るガマクジラは真珠貝運搬車を襲ったりしていますが、直接人間に危害を加えていません。

 ビートルに熱線を浴びせたせいで不時着させてしまいますが、汐を吹いたときにたまたまビートルが通過しただけのようにも見えてしまいます。

 ガマクジラはその巨大さゆえに人類の脅威となりましたが、それほど攻撃的ではないような印象を受けるだけに余計に哀れに思えるのです。

 劇中登場人物はそんなガマクジラにまったく同情しませんが、実相寺監督が見せる波打ち際で輝く真珠の描写に、モノの哀れを見て取るというのは深読みでしょうか。

 

 一夜明けて作戦開始となると突然イデがガマクジラと呼称します。科特隊本部で一晩討議が重ねられて、呼び名が考案されたのでしょうか。

 またハヤタはアキコに本部にある小型噴射器を使うよう進言しますが、作戦実行時にムラマツ隊長が命じたのは小型噴射弾の発射でした。同じものだと思いますが、微妙な食い違いがあります。

 今回からいわゆるBタイプのマスクが初登場します。洗練された表情のウルトラマンを見ることができますが、正直いって登場シーンはほんのわずかです。

 空中衝突による決着もビートル二号機の墜落で負傷したので、ガマクジラとのプロレスには耐えられないと判断したハヤタがその作戦を立てたとすれば合理的ですが、やや不満が残りますよね。

初回放映:昭和41年10月16日


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