イタリア / ヴァチカン(2005年9月+ 2008年3月)


天使と悪魔
 2005年8月も終盤。とある夜、急に海外旅行に行きたくなった。いつもだったらあまり悩まず、スペイン語圏の中米か南米にでも行こうと思う。が、今回は違った。イタリアに行くぞ。というのも、職場で、ローマとヴァチカン市国を舞台にした「天使と悪魔」を借り、はまってしまったから。この時、本に出てくるラテン語やらイタリア語のルビが気になり、イタリア語の勉強にまで手を出してしまった。さすがにちょっと囓っただけでは原書までは読みこなせないが、イタリア語の知識がちょっとあるだけで、本が余計に楽しめる。

 そして、せっかくイタリア語を囓ったんだから、行っていみようローマとヴァチカンに。スペイン・フランスは過去にも行ってるけど、イタリアじたいが今回初めて。この目で確かめてくるぞ。ロバート・ラングドン(小説の主人公)の足跡を。ついでに、イタリア料理やローマ遺跡も堪能しよう。(優先度が普通の人と真逆。)


イタリア基本情報

国名:イタリア (Italia)
面積:30.1万km2
(日本の約0.8倍)
人口:5,921万人(2007年2月)
首都:ローマ
公用語:イタリア語
通貨:ユーロ (伊語での発音は、エウロ。)
イタリア政府観光局 http://www.enit.jp/



ヴァチカン市国基本情報

国名:バチカン市国
(State of the City of Vatican)
面積:0.44km2
(東京ディズニーランドより狭い。)
人口:802人(2007年11月)
公用語:ラテン語。
また、一般に外交用語はフランス語。
業務用語はイタリア語。
通貨:ユーロ

天使と悪魔(上・下) # 文庫版は、上・中・下巻

ダン ブラウン (著)
越前 敏弥 (翻訳)
出版社: 角川書店

 ハーバード大学で宗教的象徴を専門とするロバート・ラングドンが、ヴァチカン市国で起こったテロリスト事件を解決する物語。著者のダンブラウンは、この作品の後に書いた、「ダ・ヴィンチ・コード」で一躍有名になり、トムハンクス主演の映画化が決定し、2006年5月20日に公開。トムハンクスの髪型に賛否両論はあったものの、興行自体は成功を収め、天使と悪魔も映画化が決定。ただし、米脚本家組合(WGA)のストライキが影響し、公開予定日は09年以降に延期09年5月に公開。個人的には、ダ・ヴィンチ・コードよりも天使と悪魔のほうが好み。

注意!天使と悪魔をこれから読もうという人は、ネタバレありありなので、この後は、本を読み終えてから、進んでください。
物語の背景とあらすじ
 事件は、世界中のキリスト教徒が関心を寄せる日、コンクラーヴェに発生した。

 コンクラーヴェとは、ローマ法王を決める選挙。もう少し詳しく言えば、ローマ法王は終身制のため、その法王が死去すると必ず行われ、立候補もなく、投票は新法王が決まるまでシスティナティ礼拝堂で秘密裏に進められる。偶然にも2005年はコンクラーヴェがあり、ニュース番組でも数多く取り上げられたため、日本でも映像を目にした人は少なくないはず。逆に言えば、不謹慎ながらも、ニュースの映像が読書意欲を掻き立ててもくれた。ちなみに、「ローマ法王」「ローマ教皇」「法王庁」「教皇庁」、いずれも同義語。

 物語の設定は、その重要なコンクラーヴェの当日。イルミナティなるテロリスト組織により、スイスはジュネーヴの郊外にCERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)から、反物質なる、殺傷能力バリバリの物体が盗まれ、ヴァティカン・ローマに持ち込まれた。当然ながら、爆発すれば、街全体を木っ端みじんに導く非常事態。問題はこれだけでなく、並行して、4人の候補が、イルミナティに拉致された。そして、1時間ごとに殺されるとの犯行声明が。 この殺人を食い止めるため、ハーバード大学で宗教的象徴を専門とするロバート・ラングドンに白羽の矢が立ち、次々と謎を解きながら、殺人現場を見つけ出す。けれど、残念ながら、4人とも殺される。が、最終的には、ロバート・ラングドンの活躍で反物質による大量殺害は免れる。
 で、2005年9月の旅では、コンクラーヴェが行われるヴァティカン市国、4つの殺人現場、ヒロイン・ヴェットリアが拉致監禁されたサンタンジェロ城、そして、ラングドン収容された病院を巡ってみた。が、しかし、適当な取材(??)だったため、帰国後、写真の取り忘れに気づき、思い通りのページが完成せず。そこで、二度と同じ過ちを犯さないためにも、"天使と悪魔の「真実」" で学習し、そして、2008年3月、再び、ローマ・ヴァチカンに。

ということで、天使と悪魔マップが完成!!


これから観光する人へのアドバイス
 天使と悪魔の現場を訪れるルートは、小説の筋にあわせて順番どおりが理想だけど、やはり効率性を考えるべし。

 一気に一日で回るなら、朝一番に、サンピエトロ広場(サンピエトロ寺院/ヴァチカン博物館) → サンタンジェロ城 → ナヴォーナ広場 → パンテオン と周り、そして、ポポロ教会とサンタマリアデッラヴィットリア教会に行き、まだなお時間と好奇心があれば、ティベリーナ島の病院というルートが良いでしょう。早起きに自信があれば、サンピエトロ広場の前に、ポポロ教会 or サンタマリアデッラヴィットリア教会に行っちゃうのも良し。
 と言いつつも、やっぱり2〜3日は欲しい。小説とは関連性がなくても、決して無視できない、コロッセオ、フォロ・ロマーノ、美術館など寄り道すべき観光スポットはローマの至る所にあるから。


サンピエトロ広場とサンタンジェロ城


 メトロのOttaviano駅が最寄り。天使と悪魔的には、広場のオベリスクとレリーフが見所だけど、やはり、"サンピエトロ寺院"と"ヴァチカン博物館"は見逃せない。両方とも長蛇の列を作るため、朝食を早く食べて、朝一番に行くべし。小説では、寺院とサンタンジェロ城をつなぐ地下道があると書かれているので、この地下道をイメージしながら、コリドーリ通りを歩くことをお奨め。


パンテオンとナヴォーナ広場


 最初にラングドンが勘違いして行ってしまった"パンテオン"と第4の殺人現場"ナヴォーナ広場"は、セットで訪れるべし。
 さて、パンテオンという名前を聞くと、昔あった渋谷の映画館を思い出してしまうが、ローマにある本物のパンテオンは、予想以上に素晴らしい建造物である。外観は趣があってよいが、やはりなかに入ってじっくり堪能したい。本に書いてあるとおり、入り口は一箇所だよな〜と、ただ見て感じるだけでは物足りない。さらにイマジネーションを増幅する、復元シート付きの「ローマ帝国時代を超えていく」というガイドブックを片手に、古代の頃を思い浮かべるとかなり感動できる。ちなみにこの本は、現地の本屋や観光スポットの売店で販売している。パンテオンの正面にあるカフェでお茶するのも良いが、近所のArmando (ペペロンチーノがお気に入り) やLa Sagrestiaで食事するのがお奨め。ちょっと離れたところにあるCiampiniのマロングラッセも美味しい。


サンタマリアデルポポロ教会


 サンタマリアデルポポロ教会は、ポポロ広場の北に位置する。メトロのFlaminio駅が最寄りだけど、Spagna駅も十分近い。この広場は、敷地もあるため商業イベントをしていることも多々あるため、殺人が行われるような時間帯でも、決して人通りは減らないと思える。この広場からスペイン広場までのバブイーノ通りやコルン通りは女性にとって物欲を駆り立てるお店が多々あるので、ショッピングも楽しめるエリア。物欲がない人は、Flaminio駅の北側にあるヴィラ・ジュリア・エトルスコ博物館や国立近代美術館もお奨め。


サンタマリアデッラヴィットリア教会


 小説では、サンタマリアデッラヴィットリア教会はバルベリーニ広場の近くと書いてあるけど、実際には広場から離れていて、Barberini駅よりRepubbulica駅のほうがやや近い。この教会から、9月20日通りをピア門方面に歩き、左側2つ or 3つ目の通りに入ってすぐにある Da 〜(正確な名前を忘れた...)というリストランテがお奨め。


テヴェリーナ病院


 病院は観光スポットでないので、当たり前だけど写真に撮る人は皆無。なので、近くのトラステヴェレで買い物や食事を楽しみ、ついでに病院とティベリーナ島を眺める、あるいは、フォロ・ロマーノと真実の口を観光した後のついでで。トラステヴェレで食事するなら、MoroとCasetta di Trastevereがお奨め。
感想
 本を読んで面白かった。だから旅行する。「こんな単純な動機で行っていいのか?」と自問自答した。これって、「"ぺ"のドラマ見て、韓国旅行しちゃうおばさん連中と同じかな?」 でも、単純な理由だからこそ、より楽しめた。訪れた場所は、ローマの観光スポットを大きく外してはいないものの、団体バスでローマ市内を闊歩し、スペイン広場周辺のブランドショップで買い物をしまくっている、一般的な日本人の観光ルートとは大きく異なる。でも、明確な意思もなく旅行するよりも、あの場面はここだったか。いや、この現場で、あの描写はうさんくさいなど、感じてこそ旅のおもしろさだ。

 旅行前後に「天使と悪魔」を何回も読み返したため、すっかりはまってしまった。おかげで日本語の上下巻、解説本、英語版と読破。さらに2度目の旅行では、イタリア語版を30% Offで購入。イタリア語の力不足は、現場体験で補いながらなんとか読破したいところ。遅くても、映画が公開されるまでには...。

映画の感想
 とうとう映画「天使と悪魔」が公開された。公開直前は、メディアがこぞって特集し、「世界ふしぎ発見!」にいたっては、本を読んでない人にとってネタバレしすぎの内容だった。ただ、TV・雑誌を見たり、既に劇場に足を運んだ人からの意見を聞く限り、期待できないだろう。そんな気持ちで自分も劇場に足を運んだ。見終えた感想は、「凄い!」

 何が凄いかというと、撮影許可を得ていないのに、ちゃんと作品として映像化されている。セット、CGが実に巧妙に使われている。現地に足を運んでいるから、この場面はセットだな。このカットはゲリラロケだな。という推測をしながら見るのも結構面白い。そして、本を読んでもイメージできない、また、現場に行っても、決してみることのできない場所や儀式の手順などは、映像を見れば、あっさり理解でき(もちろん、100%信用していないけど。)、今さら、そーだったのか、という気付きもあった。

 さらに、本を読んでいても楽しめるように、ストーリーが原作と違う。なので、「おー、そうきたか。」と思わずうなってしまうことも。おかげで、前作の映画「ダ・ヴィンチ・コード」とは異なり、最後まで楽しめた。

 もちろん、手放しで褒められないのは、原作の良さが時間の制約で損なわれている点。重要なのにカットされた場面、ブランド(焼き印)の解説が手薄なのはもったいない。音楽は、ダ・ヴィンチ・コードを受け継いでいるものが多いのだけど、個人的には趣味に合わず、逆に良くない。そもそも根本的にトムハンクスが教授っぽくない。しょーがないと言えば、しょーがない。

とは言え、これらのマイナス面を考えても、作品としては優れた映画だと思う。でも、何で日本でも興行的に成功するのだろう?
自分の場合、そこそこキリスト教の知識、ついでに、科学の知識もあるから楽しめる。一般的に日本人には、難しいのでは?
いや、イタリア好きの日本人が多いから、「パンテオン行った!」、「サンタンジェロ城行った!」「懐かし〜い!」というだけでも楽しめるのかも...。いくらなんでも、トムハンクスが好きだからと言う理由だけでは、大ヒットしないよね?