Trane's Works 55, 56
1956, 9/10, Mon. 3rd 'ROUND ABOUT MIDNIGHT session
1. All Of You ( take1, alternate )
2. All Of You ( take2 + coda, master )
3. Sweet Sue, Just You ( take1, alternate )
4. Sweet Sue, Just You ( rehearsal )*
5. Sweet Sue, Just You ( take5, alternate )
6. Sweet Sue, Just You ( take8, master )
7. Miles Davis Comments*
8. 'Round Midnight ( take1, master )
*no solo
■曲名はコメントにリンクしています
Miles Davis (tp), John Coltrane (ts),
Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)
Columbia 30th Street Studio, New York City, New York.
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■セッションの概観
Tenor Conclave セッションの3日後、9月10日月曜日に3回目で最後の 'Round About Midnight のセッションは行なわれました。前回同様、カフェ・ボヘミア出演中(8/31∼9/27)のことです。現在3曲6テイクが発表されいて、コルトレーンはどのテイクでもかなりの安定感を示しています。マイルスがCBSと契約するきっかけとなったのは55年 'Round Midnight のニューポートでの演奏で、同曲をアルバム・タイトルにすることはCBSのプロデューサー、ジョージ・アヴァキャンとのかねてからの約束でしたが、この最後のセッションでようやく録音されました。恐らくバンドの充実、殊にコルトレーンの成長を待っての、満を持してのことだったのではないでしょうか。セッションの最後、譜面なしにワン・テイクで録り終えました。
Sweet Sue, Just You はレナード・バーンスタインのアルバム " What Is Jazz ? " に収録するための曲で、依然マイルスはプレスティッジとの契約中でしたが、交渉によって56年10月15日、先行して発表、アルバム " 'Round About Midnight " 自体はプレスティッジとの取り決めにより翌57年に入ってから、3月4日にリリースされました。
(西内)
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1. All Of You ( Cole Porter ) [ take1, alternate ] 7:29
●静かに立ち上がり(6小節目=2:15の結びのフレーズがえらくカッコいい)、1stコーラスではBテーマのメロディーをまるまる8小節引用、次第にダブル・タイムの量が増えてゆき、クライマックスを迎える演出。ただし、歌物を意識したメロディックかつ自然な流れが終始維持されているので、左程アグレッシヴな感じではない。ようやくマイルスの“歌物”との折り合いがついた、安定感の増した構成、プレイに、5月のマラソンセッションや前回6月のコロンビア・セッションからの成長が感じられる。マスター・テイクに比べて遜色はないように思う。が、他方で、いかにも探っているような“遅れ”が、やはり歌物が苦手であることを示してもいるのではないだろうか。
●マイルスはこちらのテイクの方が良いと思う(合計で16小節、こっちのソロのほうが長い)。
(吉野)
□memo□
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2. All Of You ( Cole Porter ) [ take2 + coda, master ] 7:01
●take1とは対照的に、ダブル・タイムの量が漸減してゆく傾向がある、というか全体に散っている感じで、take1のようなわかり易い構成感はあまり感じられず、全体的にやや活発、かつ粗い、といった程度の印象(ダブル・タイムの分量はtake1もマスター・テイクもほぼ同じなのだが)。
●1st、2nd、どちらのコーラスでもBテーマが4小節引用され、その後にやや長めにダブル・タイムが続く。長いといっても、最長で4小節内に収まる長さで、take1でもそうだが、全体的に、1小節、あるいは2小節単位の断続的使用が顕著。take1のクライマックスでのダブル・タイムの使用に比べ、終盤の音数の少なさがガーランドのブレイクでのダブル・タイム、及び溌剌としたプレイとより良いコントラストを成しているように思う。
●テンポは速めのミディアムで、過去のプレイを顧みても、決して技術的に困難な速さではないと思うのだが、ダブル・タイムの切れが余りよくなく、やはり“歌物”を意識した抑制が思い切りの良さを削いでいるように思う(“歌物”に拘泥しなかった好演の例 → 6月5日の Bye Bye Blackbird )。
●ガーランドはこっちの方がメリハリ、躍動感があってよい。このテイクの主役はガーランドじゃないだろうか。
(吉野)
□memo□
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3. Sweet Sue, Just You ( Will J. Harris / Victor Young ) [ take1, alternate ] 4:21
●典型的なこのクインテットによる“歌物”のアレンジで、ミュートのマイルスのバックではチェンバースは2拍子のニュアンス、フィリー・ジョーはブラシ、コルトレーンのソロに入ってチェンバースは普通の4拍子のウォーキング・ベース、フィリー・ジョーはスティックに持ち変え、というパターンです。が、シンバルはスティックなんですが、スネアはブラシのようで、こういうのってここで初めて気づいたんですが、マラソン・セッションでも片手にスティック、片手にブラシなんてのあったんですかね。聴き直してみなきゃなりません。コード進行は原曲の通りらしいですが、テーマ・メロディーの提示はなくて、イントロの後すぐにマイルスのソロが始まります。他の2つのテイクに比べてマイルスの1コーラス分、このテイクは長くなっています。
All Of You 両テイクとほぼ同じテンポですがこっちの方が思い切りがいいし、ダブル・タイムの切れも断然いい。“歌物”を意識したかしこまった感じがなくて、緩急の使い分け、間の取り方も申し分ないです。メロディックなフレーズがほとんどないにもかかわらず、曲調によく馴染んだ、リリカルかつファンタスティックな演奏になっています。ただバーンスタインの要請でやったサンプルみたいな演奏なわけで、1コーラスではコルトレーンにはいかにも短い感じがして残念です。 All Of You でもこんな風に演ればよかったのにと思ってしまいます。一聴の価値はあります。
(西内)
□memo□
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4. Sweet Sue, Just You ( Will J. Harris / Victor Young ) [ rehearsal ] 1:56
●スタジオでの会話とイントロ部分のリハーサルです。会話の内容は、イントロをめぐるやりとり、曲のメロディからの最初の2音でソロを始めるように、というバーンスタインからのマイルスへの要請、コード進行に関すること等をなんか話してるみたいなんですが、正確な所はわかりません。
(西内)
□memo□
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5. Sweet Sue, Just You ( Will J. Harris / Victor Young ) [ take5, alternate ] 3:29
●コード・チェンジが変更され、55年10月27日の Little Melonae みたいな雰囲気になってます。take1の“歌物”のアプローチと比べるとかなりプログレッシヴな感じで、56年の演奏としてはかなり斬新なものだったのではないでしょうか。テンポもtake1より速くなっています。ちょっと中近東を感じさせる出だし。ダブル・タイムを多用してマスター・テイクに比べるとかなり積極的ですが、その分やや粗いです。マイルスはオープンで吹いてます。
(西内)
□memo□
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6. Sweet Sue, Just You ( Will J. Harris / Victor Young ) [ take8, master ] 3:39
●テレビ番組 Omnibus の中でバーンスタインがジャズを解説した回の内容を作り直したアルバム " What Is Jazz ?" に収録されました。マイルスはプレスティッジとの契約下にあったため、特別な取り決めで発表可能となり、陽の目を見た実質的に最初のコロンビアでの作品です。イントロダクションはテオ・マセロによってアレンジされました。
●恐らくコード・チェンジはtake5と一緒。take5の出だしのフレーズと同じフレーズで始まります。コルトレーンにしては珍しく“間”の多いプレイで、まるまる1小節空く部分が何ヶ所もあります。take5より一層中近東風で、はずれたような音も聴かれます。但しチェンバースとのセッション(3/1or2, 4/20)の時のような素っ頓狂さとはニュアンスが違っていて、滑稽感はないです。
(西内)
□memo□
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7. Miles Davis Comments  0:27
●マイルスが最初のコーラスをミュートで、間奏はオープンでやると言ってる。その後の Sweet Sue, Just You がらみの冗談は何言ってんのかわからない。
(佐々木)
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8. 'Round Midnight
( Bernie Hanighen / Thelonious Monk / Cootie Williams ) [ take1, master ] 5:55
●弟子筋のバド・パウエルが持ち込み、1944年8月22日、クーティ・ウィリアムズ・オーケストラが初レコーディング、同年、ヴォカリオン・レコードのプロデューサー、バーニー・ハニゲンによって歌詞が付けられた際、どうにもメロディーに収まらなかった About を削除して改題されました。モンク自身による初レコーディングはその3年後の1947年11月21日です。
(西内)
Sweet Sue, Just You ( take1 ) と同様、緩急をつけたプレイが印象的。が、Sweet Sue ほどの鮮やかさはない。急はスムーズで申し分ないんだけど、緩めると怪しい所が数ヶ所あって、覚束ないというか、ためらっているというか、なんか探っている感じ。しかし同時にこれは、たぶん、例によってこのクインテットでのグループ・プレイを意識した慎重さでもあると思う。で、結果的にその不器用な慎重さがここでは功を奏して結構いい味になっているんじゃないかと思う。より整った破綻の無い演奏、自然な緩急、ということでは " Tenor Conclave " How Deep Is The Ocean の方が良く出来ているが(適切な比較じゃないかもしれないけど)、味わいはこちらの方が濃い。もっともそれも、コルトレーンの力量というよりは、モンクの特異な曲想、マイルスによる改変(確かコード進行変えちゃってんだよね)、ギル・エヴァンスによるものだと言われているドラマティックなアレンジ、そして何よりマイルスの魔術的なリーダー・シップによる緊迫感の漲った枠組みの中で醸しだされたものに違いなく、コルトレーン本来のテイストではないような気がしないでもない。
● → 'Round Midnight ( Prestige, 10/26 )
(佐々木)
□memo□
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Trane's Works 55, 56