Trane's Works 55, 56
1956, 5/8, Mon. INFORMAL JAZZ session
1. Weejah
2. Polka Dots And Moonbeams
3. On It
4. Avalon
■曲名はコメントにリンクしています
Donald Byrd (tp), John Coltrane (ts), Hank Mobley (ts),
Elmo Hope (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)
Van Gelder studio, Hackensack, New Jersey.
○この時、ドナルド・バード23歳5ヶ月、ジョン・コルトレーン29歳7ヶ月半、ハンク・モブレー26歳10ヶ月、エルモ・ホープ32歳10ヶ月、ポール・チェンバース21歳半ヵ月、フィリー・ジョー・ジョーンズ32歳10ヶ月。
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■セッションの概観
●ケベック、ボストンでの公演の後、マイルス・デイヴィス・クインテットはニューヨークに戻り、昨55年11月以来、およそ半年ぶりに、マンハッタンのカフェ・ボヘミアに出演しました(5月3日木曜日から9日水曜日まで)。エルモ・ホープ名義のこのセッションは、その間を縫って5月7日月曜日に行われました。
●前回 High Step (4/20) のセッションから17日目。2本のテナーは、ジーン・アモンズ、ソニー・スティットのテナー・バトルに範をとったものですが、丁々発止のブローイング・セッションというよりは、両者のスタイルの違いによるこの上ないコントラストが聴きどころになっていると思います。
エルモ・ホープとの共演はこのセッションのみです。ハンク・モブレーとは " Tenor Conclave " (56, 9/10) 、ジョニー・グリフィンの " A Blowing Session " (57, 4/6) で再共演、ドナルド・バードとはレッド・ガーランドの " All Mornin' Long " , " Soul Junction " , " High Pressure " , " Dig It ! " (57, 11/13, 12/20) 、コルトレーンの " Lush Life " , " The Believer " , " The Last Trane " , " Black Pearls " (58, 1/10, 5/23) で再共演しました。
(西内)
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1. Weejah ( Elmo Hope ) 11:07
Confirmation (Charlie Parker作) のコード進行をベースにした Elmo Hope の曲。
Denial (Miles Davis作, 51, 10/5. " Dig " 収録) で、マイルスのバックでロリンズとマクリーンがユニゾンでリフを入れていますが、 Weejah のリフと同じで、 Denial Confirmation のコード進行をベースにしています。
(西内)
●これまでのセッションで感じられた堅さや抑制感がなく、大らかで大胆。ハード・バップ的なメロディアスなフレーズが明るく伸びやかで爽快であると同時に、所々に荒々しさ、奔放さの片鱗もうかがわれる。前回のセッション(4/20)で目立っていた奇矯さは薄れ、ゴードン的な8分音符(本家よりもタイトでシャープ、時折タンギングが異様に際立つ)とコルトレーン特有の拗長音的フレーズ(長音符は波型。例:「キュ〜ン」)といった“変テコさ”がポジティヴな価値を帯びて魅力的なものへと転じている。依然リード・ミスや、意図的な休符というよりは不自然な中断と聴こえる部分があるものの、それらの傷を些細なものに感じさせてしまうようなヴィヴィッドな即興で、56年中屈指の快演といえるのではないかと思う。
(吉野)
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2. Polka Dots And Moonbeams ( Johnny Burke / Jimmy Van Heusen ) 8:37
●マイルスのクインテットではソロの機会があまり与えられないスロー・バラードで、テーマ・メロディに添ったダブル・タイムのないタイプの即興になってます。16小節だけの短いソロですが、始めと終わりの緩い低音が印象的で、中盤 Violet For Your Furs (16小節中9,10,11小節目=4:43)が引用されたりして、過不足のない構成でけっこう聴かせます(意外なことに、と言っていいのかどうかわかりませんが、56年中の数少ないスロー・バラードでのコルトレーンって、全部かなり好い線行ってます)。
●ソロの配分が長くなく短くなく丁度よいです。もっともソロイストの数と収録時間の関係でこうなる他なかったのかもしれませんが。適材適所、各人がそれぞれの役割をわきまえた好演です。もう1、2コーラス聴いてみたい気もしますが、足りないと思うぐらいがくどくなくていいのかもしれません。バードの音がとてもいいです。
(西内)
□memo□
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3. On It ( Elmo Hope ) 9:00
●ホープ作、ミディアム・アップのブルースです。
●モブレーの柔らかでくぐもった音色、滑らかなフレーズと、コルトレーンの明るく輝かしい音色、起伏に富んだフレーズが好対照をなしています。2人のコントラストは、4小節交換、2小節交換でより鮮明で、モブレーのモノクローム的平面を地に、コルトレーンが思いの外の彩度で立体的に耳に飛び込んできて印象的です。この時期のコルトレーンは後のシリアスで暗いイメージとはかなり違っていて、音色ばかりでなく演奏内容もけっこう明るいものになっています。ただ、モブレーは何度かダブル・タイムを使っているんですが、このテンポではまだ無理なのか、コルトレーンはやってません。技術的にはこの時点では明らかにモブレーが上で、“バトル”ははなから成立しようがないんですけど、コントラストという点からすると、この2人の取り合わせはこの上ないです。
●2コーラスの2小節交換の後、再び1コーラス分4小節交換があるのですが、コルトレーンはとちって、依然2小節交換が続いていると勘違いしたのでしょうか、モブレーの番の3小節目に介入してしまっています。コルトレーンの4小節にはその影響がもろに出て、生真面目でナーヴァスな性格がうかがわれるようで、面白いです。
(西内)
□memo□
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5. Avalon ( Buddy DeSylva / Al Jolson / Vincent Rose ) 9:38
●ホープ以外の各人4コーラスのソロのうち、2nd, 3rdコーラス前半のAセクション、Bセクション、それぞれ最初の4小節がペダル・ポイント。
●56年に限って言えば、 Salt Peanuts (5/11) 、 Tune Up, Airegin (10/26) 等と並ぶ急速調。コルトレーンはテンポの速さにてこずっているみたいで、フレーズも途切れがちだし、リード・ミスに動揺してしまったのか、終盤もつれ気味でしどろもどろ。このセッションではモブレーのテクニック的な優位は歴然としているな。しかしね、同じアップ・テンポでも以前の How Am I to Know (55, 11/16) や2ヶ月前の East Bound (56, 3/1or2) での抑えたような、ボソボソ囁くような消極的な姿勢からすると、バランス崩してあわや空中分解寸前!になってもペースを緩めることなく、ごまかしなく強く吹いてるし、自分のテクニック不足に怖けず果敢に挑んでいるような感じがして、これはこれでいいかなとも思う(もっとも3rdコーラスのペダル・ポイントでけっこう盛り上がって引っ込みがつかなくなったと聴こえなくもないんだけど)。
(佐々木)
□memo□
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Trane's Works 55, 56