Trane's Works 55, 56
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■ どれを聴くべきか
●55,56年中の演奏で優れていると思われるものを、おすすめの意味も込めて選び出してみました。ただし、コルトレーンをこれから聴こうという方は参考にしないほうが無難だと思います(まず57年以降の、Coltrane ( Prestige ), Traneing In ( Prestige ), Blue Train ( Blue Note ) 辺りから聴き始めるといいんじゃないでしょうか)。
アルバム

アップ・テンポの曲
ミディアム・テンポの曲
スロー・バラード系
その他
多様性について(補足を兼ねて)
素っ頓狂さが際立ったもの
鈍くさいブルース
番外編 : やっちゃいましたベスト3
• 以下、曲名はコメントに、アルバム名はインデックスにリンクしています。
▼ アルバム
●残念ながらアルバム単位で自信を持って薦められるものはありません。まずこの時期の技術的な不安定さがもろに出てしまっている曲が必ず含まれているのと、全てサイドマンとして参加したもので、曲によってはソロを取っていないものもあること、そしてプレスティッジのリーダーレス・セッションに顕著なように、一曲が長い割にソロイストの数が多いためソロ・スペースが短めで、たいへん聴きづらいものもあること、等がその理由です。アルバムとして薦められるような、多くの条件を満たしたものがほとんどないわけです。
●そんな中で、比較的安心して薦められるのが、タッド・ダメロンの "Mating Call" です。数少ないコルトレーンのワン・ホーンで、しかも技術的にかなり安定してきた56年後半の録音。特にミディアム及びスローの曲でのプレイが傑出しています。自信を持って薦めてもいいのですが、ただ一点、無骨で荒々しい面が捉え切れていないのが難点で、これ一枚で全てを代表させるわけにいきません。
●その他敢えて挙げるとすると——
"Informal Jazz" / Elmo Hope
コルトレーンとモブレーが良いコントラストをなし、共演者ではドナルド・バードの好演が光ります。
"Tenor Conclave" / Prestige All Stars
"Interplay For 2 Trumpets And 2 Tenors" / Prestige All Stars
先述した通り聴きづらさがちょっと難点ですが、コルトレーンがわりと安定しています。
"Whims Of Chambers" / Paul Chambers
コルトレーンがソロを取っていない曲も含まれますが、コルトレーンのオリジナルが2曲入っています。チェンバースのソロも良。
"Chambers Music" + "High Step" / Paul Chambers
上と同様チェンバースがリーダーのセッションで、コルトレーン抜きの曲もあり、またコルトレーンのかなり癖のある演奏も収められているので薦めにくいですが、CDでは2つのセッションが一枚で聴けてお買い得です。
—— といったところでしょうか。というわけで、ある程度自信を持って薦められるのは、以下に掲げた曲単位のセレクション、ということになります。
(西内)
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▼ 曲
• アップ・テンポの曲 •
●時に耳障りな程ラウドで大胆かつ奔放な即興では——
Weejah ( Informal Jazz )
We Six ( Whims Of Chambers )
Interplay ( Interplay For 2 Trumpets And 2 Tenors )
C.T.A. ( Interplay For 2 Trumpets And 2 Tenors )
—— 等が、ほどよい速さのテンポでよくその特徴が出ている。
その他、マイルス・デイヴィス・クインテット特有の異様な緊張感のなかで若干硬いのと、上記4曲に比べるとやや速いテンポため、コルトレーンらしさは少し薄れるが——
Woody'n You ( Relaxin' )
Well You Needn't ( Steamin' )
Oleo ( Relaxin' )
Airegin ( Cookin' )
—— 等が、緊迫感あふれるプレイで聴き応えがある。あまり言及されることがないが Well You Needn't は意外と良い即興で、聴き込むほどにその良さがわかってくるのではないかと思う。
(吉野)
Tenor Madness は56年中の演奏からはどうしても外せない。タイプの分類が難しいが、曲はミディアムからミディアム・アップぐらいのブルース、演奏自体は“歌物”及びそれに準ずる曲でのリリカルで軽やかなものに近いが、リリカルさよりは解きほぐれるような軽さの印象が強い。
(吉野)
• ミディアム・テンポの曲 •
●荒々しくダイナミックな即興が強調される56年のコルトレーンですが、いい味を出していて見逃せないのが——
Bye Bye Blackbird ( master ) ( 'Round About Midnight )
Sweet Sue, Just You ( take1 ) ( Complete Columbia Recordings )
Soultrane ( Mating Call )
Gnid ( Mating Call )
On A Misty Night ( Mating Call )
—— 等のミディアム・テンポでの演奏です。必ずしもメロディックなフレーズが多いわけではないのに非常にリリカルで、その軽やかさは後年の重厚なコルトレーンのイメージからすると意外かもしれません。 Soultrane はテンポからするとバラードに分類すべきかもしれませんが、テイストはこちらのように思います。
(西内)
• スロー・バラード系 •
●数は少ないが、どれも悪くない。もっとも、マイルス・デイヴィスのクインテットではバラードから外されることが多く、ボロを出さずに済んだのかもしれないし、何らかの判断を下すにはソロ・スペースが小さすぎるものもあるんだけど。
How Deep Is The Ocean ? ( Tenor Conclave )
Soultrane ( Mating Call )
Soul Eyes ( Interplay For 2 Trumpets And 2 Tenors )
この3曲がお薦め。後の動きの少ないバラードに比べると、ちゃんと即興してる。だがクールで色気がないという特徴は既に出ていて、それは一緒。でも Soultrane は西内君の言う通り上の方に入れるべきかも。
(佐々木)
• その他、押えておきたいもの •
●あのアーシーなカッコよさと崇高さが綯い交ぜになったような後のコルトレーンのイメージに通ずるテイストを持ったもので ——
Little Melonae ( 'Round About Midnight )
John Paul Jones ( Chambers Music )
Dear Old Stockholm ( master ) ( 'Round About Midnight )
—— 等。特に John Paul Jones がお薦めで、Trane's Blues (同じ曲でタイトル違い)とのえらい違いが面白いです。
(西内)
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▼55,56年の多様性について(補足を兼ねて)
●55年、マイルス・デイヴィス・クインテットに参加後、そのキャリアを通して常に変化し続けたコルトレーンには一点に集中してひたすら邁進する時期と、あらゆる抑圧を解いてさまざまな可能性を試みる時期とが交互にあり(当然截然と分かれているわけではなくて微妙に重なり合っている)、ヴァンガード・セッションに代表される61年頃と、フリーへと突入した65年以降は後者だが、この55,56年もそこに加えていいように思っている。無論既に確固たるスタイルを築いた後にそれを新たに再構成しようとする局面と、単に必要に迫られてのことも含まれているに違いない(それ故にこそコルトレーン本来の資質とは異質なものに接する機会があったともいえるが)、未だ手探りで模索している状態での多様な試みとでは、その位相が違うだろう。しかし、その位相を超えて、求道的な営みの底に普段は潜行している同じエートスの噴出がこの3つの時期には感じられ(論証はしないし出来もしないが)、コルトレーンの一般に流布しているイメージとは違った、別のイメージ、もう一つのエディションとでもいったものを呈しており、通時的な変化や、一貫したコンセプトの下での統制された多様性(ヴァリエーション)ではなく、明らかに異質なものが混在する共時的なその多様性の一端に触れるために、中には積極的に薦める気にはならないものも含まれるが、先に既に挙げられたものに加えて、出来の良し悪しは別にして、以下に掲げる。それらは“進歩”や“成熟”によって克服された未熟さというよりは、萌芽のままに捨て置かれた、誰も省みることのない、しかしそれゆえ未だ汲み尽くされてはいない可能性とでもいったもので、少し悲しくもあり、滑稽でもある(ちょっと大げさだったかな)。
• 素っ頓狂さが際立ったもの •
●追随者が全く現われなかったことが惜しまれる珍品(現われるわけねえか)。
Dexterity ( Chambers' Music )
High Step ( High Step session )
Trane's Strain ( High Step session )
Nixon, Dixon, & Yates Blues ( High Step session )
• 鈍くさいブルース •
●これは躓きの石で、最初は意図的に為された演奏とは思えずに、ただ単に下手糞なだけだと高を括っていた代物。
Trane's Strain ( High Step session )
Trane's Blues ( Workin )
Blues By Five ( Cookin )
耳に慣れると結構快感(しかしその快感が倒錯的なものである可能性を否定できない。この変態野郎!)。
(吉野)
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▼ 番外編 : やっちゃいましたベスト3
1. In Your Own Sweet Way
ある意味でジャズ史上最強のインパクトを有するどもったテナーが聴ける。なまなましい。
2. If I Were A Bell
入りを間違え出遅れてしどろもどろ(下手なのではなく動揺しているのだということを聴き取れるかがポイント)。
3. Avalon
リード・ミス後、にわかにバランスを失いあわや······。震える指が目に浮かぶよう。しかし果敢に挑戦する姿勢には共感できる。
(吉野)
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Trane's Works 55, 56