コラム002◆日本に来る外国人旅行者を増やす方法

  京都は日本の中でも有数の観光都市である事は、異論がない所だと思う。
 歴史も十分だし、寺社仏閣もある。派手なアトラクションはないけれども、体験型の施設も数多く存在している。日本に来た事がない外国人の旅人の中にも、キョウトと言う地名を知っている人は結構多い。英文で書かれているガイドブック『Lonely Planet』の中にも『Kyoto』編が刊行されている位だ。
 だが、どうも京都に行っても、そこまで外国人観光客が多いとは思えない。
 もちろん、他の観光スポットに比べると外国人旅行者の数は多い。安宿やユースホステルに行けば外国人もかなりいる。が、日本人の感覚からすればもっと多くても良い気がする。
 京都と言えば、日本を代表する観光都市であり、初めて日本に来たのに京都に行かない旅行者は、ペルーに行ってマチュピチュに行かない・カンボジアに行ってアンコール・ワットに行かないのと同等で、やはり行って欲しいスポットであるからだ。例えば、タイのバンコクにある王宮に1時間いれば、西欧人に続々出会えるが、京都の金閣寺や清水寺に1時間いても、運が良ければアジア系の人に出会える程度。世界遺産に登録されている宮島を有する広島や奈良、沖縄などはさらに悲惨である(絶対に浅草の方が外国人観光客は多いと思う)。

  国際観光振興機構(JNTO)の「訪日外国人旅行者調査」によると京都に訪れる外国人旅行者は全体の1520%の間で推移していて、20%を越える事はない。1位が東京で、こちらは55%前後、次いで大阪が2030%台、神奈川と京都が同じ位で、千葉がその次に13%前後で続いているという数値になっている。その下は愛知・福岡・兵庫と続いて、それ以下はもう団子状態。順位を見ると、京都もいい順位だと思うかもしれない。東京と大阪はゲートシティとして訪問している事もあるだろうから。奈良は辛うじて10位をキープしており大体5%前後、広島は消費税率なみの%になる。

  では、今、日本にはどれ位の外国人旅行者が来ているのだろう…

  年間で670万人(2005年度・国土交通省『観光白書』平成18年版)が訪日し、内観光客が436万人と言う事になっている。1番多く日本に来ているのが、お隣韓国からで、26%。次いで台湾・アメリカ・中国・香港・イギリス・オーストラリアの順になっている(この順は商用も含めての数値順)。地域順だとアジア・北米・ヨーロッパ・オセアニア・南米・アフリカの順番。ま、妥当な順番でしょうか。平均滞在日数が例年8日強で最も多いのが5日未満の滞在。だが10日以上滞在している外国人も例年10%以上の割合を誇っていて、30日以上いる人も5%を越える。いや〜…どこで何をしているのでしょうね()

  旅行者1人当たりの消費額は20万円前後で、逆に日本人が海外に旅行に行った際には23万円前後を消費しているとされる。いや〜…どこで何を買っているのでしょうね、日本人。因みにこの金額は航空運賃を除いた数値だとか。
 いや…本当にどこで何を買っているのでしょうね、日本人。だってこれはあくまで平均ですから。単純に考えると半分の人は23万円以上を支出しているわけですから。

  20万円…

  つまり“観光”と言うのは、儲けられる手段である。外から来てもらえば、それだけ国が儲かると言う事。だから観光立国と銘打って、観光産業を手厚く保護する政策を打ち出す国が結構ある。
 資源を持たず、人口が少ない国などは特にその傾向が強い。
 が、日本は国際旅行収入は物価が高い事もあって世界で16位に入るが(1位はアメリカ、次いでスペイン・フランス)、支出額で見れば世界で堂々の4(1位はドイツ、日本はアメリカ・イギリスに次ぐ)。収入から支出を引いた収支を見ると、日本は勿論赤字。ドイツ・イギリスに次いで赤字額が大きく、この3つの国だけが桁外れに大赤字になっている(因みに収支の黒字1位はスペインで次いでアメリカ・フランスの順)

  つまり出て行く一方でなかなかお金を落として貰えていないと言う事。つまりなかなか世界から旅行者が来てくれていないと言う事。アジア地域で見れば、1番外国人旅行者が多いのが、中国、次いで香港・マレーシア・タイ。日本はマカオ・シンガポールにも劣る。ま、これは隣国からの旅行者が多いって事もあるので、一概に参考に出来ない数値だけれども。

  旅先で聞いてみると、日本に興味を持っている旅人は、案外多い。しかも“行ってみたい”と言うレベルの所まで来ている。
 が、実際に日本に来た事のある人は、かなり少ないと思う。
 2006年後半から半年間南米を旅していたが、韓国人以外で日本に来た事のある旅人に出会ったのはイスラエル人が2人だけだった(内1人はジャーナリスト、もう1人は観光ビザで働いていたそうな。つまり純粋観光客とはちょっと違う)。
 何故、日本に興味を持っているのに、日本に来た事がないのかを聞いてみると、答えは曖昧な人が多かったが、日本に来たら何が見たいのかを聞いてみても、案外曖昧な人が多かった。つまり、日本と言う国のイメージが薄いのだろうと思う。東南アジア地域の国の人ならばいざ知らず、その他の国の人になると、日本はやはり何があるのかが分からない国に見えるようだ。

  確かに日本人的には一級の観光地である京都だって、世界的に見れば微妙な場所になるのかも。オリエンタルと言うイメージならば物価のもっと安い国で陸路で隣国にも行ける大陸の国を選ぶであろうし、もっと見た目の派手さがある国に行くのかも知れない。

  日本って何があるの?

  そう聞かれた事もある。日本に行ったら何を見ればいいかな?とも。日本にしかないもの。

 それは幾つもある。でもそれをしっかりアピールできているのだろうか、日本って。

  大体、日本は海外から来て欲しいと本気で思っているのだろうか。
 まず日本に来る場合に面倒なものとして有名なのがビザである。ようやく韓国や香港・マカオに対して査証免除措置を行い始めて、ややマシになった気もするけれども。
 でも、面白い事に南米のスリナムやアフリカのチュニジア・レソトなどに対してはビザが免除されているのにも関わらず、アジア地域ではシンガポール・韓国・台湾・香港・マカオ・ブルネイしか免除措置を講じている国がない。
 バングラディッシュ・パキスタンは1989年から、イランは1992年から査証免除措置を停止しており、マレーシア・ペルー・コロンビアに対しては査証取得勧奨措置を取っている。アジアからは確かに査証免除措置を講じてしまうと、不法労働などの問題も生じてくるのだろうが、それでも取るのが難すぎると不評だ。
 少なくとも、大使館に行って、マジックミラー越しに申請するってのは、もう“来るな”と言っているようなものである。
 失礼極まりない。
 確かに大使館員の防犯対策という側面はあるものの、もう少し別の措置を考えるべき次元に来ているのではないか。

  また、日本に到着したらしたでまたまた不便。英語表記があるのでそこまで迷う事はないのかもしれないけれども、旅行者の多い国のように目立つ所に案内所がない。駅から降りて正面に案内所がちゃんとある場所は案外少ない(ってか日本って出入口が1つしかない海外と違って駅の出入口も多いので場所が分かり難いかも)。資料も日本語表記のパンフレットなどは比較的充実しているが、英語表記のものはそこまで充実していない。そもそも国際観光振興機構が訪日外国人旅行者に対しての総合観光案内所を東京に設置しているけれども、それが有楽町のビルの10!!10階に観光案内所がある町や国って滅多にないぞ〜っ!ってか見たことない。
 !
そしておよそ外国人旅行者の観光には無関係の場所・有楽町っていう立地。もうやる気ないのか?

  国際観光客に対して来訪促進計画なるものが、それぞれテーマを決めて全国15ヶ所に広域で構成されているが、これもまた面白い。
 富士箱根伊豆地区などは富士山、東海地区は産業観光、関西地区は歴史をメインに出して、分かりやすいのだが、東中四国地区(そもそもこの区分けがどうかと思うけれど、鳥取・島根・岡山・香川・高知らしい…)は“日本の心に出会う旅 三海二山”、北東北地区は“発見!もう1つの日本・北緯40度の道”、茨城・千葉地区は“世界から一番近い日本の歴史と未来”、大阪は“観光立都・大阪=ターゲットは東アジア”、東京は“千客万来の世界都市・東京をめざして”。もう何を売り出しているのやら、何を見て欲しいのやら、これだけでは全くさっぱりである。
 ま、頑張って作ってみただけって感じなんだろうな〜。

   観光産業と言う産業は、21世紀に格段に伸びる産業だと言われている。
 特に日本のように天然資源を持たず、開発出来るような平野の余地はないが道路や上下水道と言ったインフラ整備も日本の場合は、もうほとんど必要がない国にはぴったりの産業である。
 何故、観光産業が成功すると大きな産業になるのか。
 それは観光産業の裾野が限りなく広いからである。
 航空・鉄道・バスなどの運輸業、ホテルや民宿などの宿泊産業、飲食業、土産物産業、ガイド、通訳や日帰りツアーなどの旅行産業、若干のインフラ整備の建築産業…ざっと考えても他業種に横断して成立つ産業であり、波及効果がデカイ。だが、日本の人口と言うのは、これからどんどんと減って行く訳で、その結果、日本人が自分の国を旅すると言う絶対的人数はどんどん減って行くから(つまり内需が減る)、それを補う為にも外国から人を呼ぶ事が急務なのである。だが、情報発信も受け入れ側ももっともっと整備が必要な状態ではないだろうか。

  …ってこんな事を思ったのは、旅の最中、韓国の人で日本語が話せる旅人が多かったり、日本の皇室について詳しいタイ人とか、神道に興味を持ったフランス人だとか、日韓中関係に興味を持つイスラエル人とかに出会ったから。
 でも、自分自身がうまく他言語で日本を表現できなかったから。バックパッカーに英・中・韓・西・独・ヘブライ語表記の日本観光パンフでも持たせれば、ちょっとは観光客増えるんじゃない?と思ったから。そんなパンフを成田と関空にでも置いてくれればいいのに…なんて思ったから。日本語では言える表現が、他言語になるとてんでうまく説明できなかったから。
 もっと日本に来て欲しい・日本を知って欲しいとはそれぞれの旅人が思っていても、日本人旅人の中で自分の国を相手に伝わるように説明できる人がどれだけいるんだろう?と、思ったから。そして個人ではうまく説明できなかったけれど、行政としては何をやっているのだろう?と、思ったから。

  でも、きっと日本に来てもらう為には、ソフトもハードも肝要って事だなと、改めて思う。結局、一人一人の意識と表現の仕方なのかも知れない。ま、結局結論的にはそんな感じになるよな…

  う〜ん…真面目な話になってしまった…


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