偏差値50台から難関大突破力を身につける
都立中堅進学校の大学進学力がすごい
「私立高校進学」は時代遅れ? 東大輩出、早慶上智激増の田園調布高校、有名大進学率ダントツの墨田川高校 (東京教育ニュース)

 都立高校からの2011年の難関大学合格者総数が過去20年で最高値に達した。週刊誌では、都立日比谷高校(千代田区)などの有名進学校の大躍進ばかりが報道されるが、中堅進学校が大きく伸びていることはあまり知られていない。都立中堅高校は、2000年代に入ってから校内改革を推し進め、その成果が着々と進学実績となってあらわれ始めている。特に教育力の高さで東京中から注目の集まっている、2校の秘密とは。

東大合格者輩出、早慶上智2桁合格の都立田園調布高校
 2010年3月、都立田園調布高校(大田区)には、合格の桜が満開となった。同校は模擬試験の偏差値が56程度の中堅上位校だったが、最難関の東京大学に合格者を輩出。早慶上智には2桁合格、MARCHも最多合格者を出した。その評判から偏差値も上昇傾向で、2011年度予想偏差値は前年よりさらに2上がっている。

 田園調布高校は、一時期の低迷を反省して、難関大学進学に重点を置き大胆な学校改革がおこなわれた。最大の目玉は特進クラスである「アドバンストクラス」の設置。難関大を本気で目指したい生徒を集め、学校が全力で支援する。通常授業終了後には「マルチ演習」と呼ばれる大学入試演習科目をアドバンストクラス全員が履修する。

 田園調布高校の評判を在学生や保護者に聞くと「とにかく面倒見が良いので安心」という言葉が返ってくる。実際、成績不振者の補習から上位層の引き上げまで、土曜日や夏休みなどの長期休業中に補講が数多くおこなわれている。学校公式サイトから閲覧できる学年通信からもその熱心さが伝わってくる。

 今回の進学実績の大躍進は、こうした改革の成果が花開いたということだ。同校の入試レベルも上昇していて、評判を聞いて遠方からの入学希望者も増えている。「ぽろにあ祭」など行事が盛んなことでも同校は知られている。田園調布高校の躍進は、まだ始まったばかりという見方が一般的だ。

※田園調布高校偏差値2012年予想
80%合格偏差値 58 アドバンストクラス 60


週刊誌の「難関大現役進学率」でずば抜けた強さ発揮の都立墨田川高校
 週刊誌が特集する「難関大学への現役進学率」で、ひときわ目を惹く都立高校がある。墨田区に位置する都立墨田川高校だ。

 同校の入試偏差値は58程度の上位進学校。出口の難関大進学率は極めて良好。「偏差値が5つ上の私立高校と同等の進学力」と地元の塾は語る。地元では数年前から教育力の高さが認知され始め、人気が高まってきている。

 墨田川高校は、東京都内に3校しかない進学指導重視型単位制高校の1つだ。進学指導重視型単位制高校は、「事実上は日比谷などの進学指導重点校と同じ扱い」という待遇の良さ。墨田川高校以外の指定2校、新宿高校と国分寺高校は、今や東京で最も進学実績が伸びている高校として雑誌などで取り上げられている。

 だが、墨田川高校は新宿や国分寺と比較すると入試偏差値が高くないために、あまり注目されてこなかった。それが週刊誌の難関大現役進学率特集で、ようやく注目を集めるようになったかたちだ。

 墨田川高校は非常に面倒見が良い。典型的な「予備校いらず」の高校だ。  通常授業の多くが習熟度別授業で、2年以降は「基礎」「演習」「発展」に分かれた数多くの選択科目で、自分の学力等に合わせた授業を受けられる。高3になっても、ほとんどの生徒が予備校や塾には通わずに、学校の勉強と無料で充実した講習だけで現役合格を手にしている。

 ※墨田川高校偏差値2012年予想
  80%合格偏差値 58 特進クラス 62

まだある面倒見の良い都立中堅校 難関大進学なら今や私立より都立の時代
 田園調布高校や墨田川高校だけではない。面倒見が良く、有名大合格者実績が大きく伸びている“穴場”の都立中堅校がたくさんある

 上野高校、文京高校、翔陽高校、保谷高校、深川高校、本所高校など、「予備校いらず」の面倒見で進学実績急上昇の中堅進学校を挙げればきりがないという。

 今、高校受験では「難関大を目指すなら、私立高校よりも都立高校」と言われている。確かに、最近の私立高校は悪い評判しか聞かなくなってきた。高校から入る生徒よりも中高一貫生を重視したり、進学実績を出すことにこだわるあまり部活動加入を禁止したり、そういったことが普通におこなわれているのが実態だ。行事も、部活も、大学進学も、三拍子がそろった理想的環境の都立高校に対して、私立高校はイマイチとの評価がある。

 私立高校は、受験生の圧倒的支持を受けるようになった都立高校をみならって、改革をする必要を迫られそうだ。