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北北西に進路をとれ
Icon とらちゃん - 2002年12月22日 11時52分52秒
1959年公開のヒッチコック監督のスリルとサスペンスに富んだ名作である。NHKのBS2で放送されたのを見た。これは、ほんとうにすごい映画です。計算しつくされたシナリオをカメラワーク、カット割の間合いといい完璧なできです。ヒッチコックというと『鳥』を思い出すけど、こういうサスペンスの要素と娯楽性を融合させた手法は、まさに天才的だわさ。わては、見ていて鳥肌が立ちました。

物語は、ケーリー・グラント扮する広告代理店に勤めるロジャーが、秘書にあれこれ指示を出しながら歩いてくるところから始まる。この冒頭のシーンは、観客を物語りに引き込む非常にうまいやり方です。いかにも仕事中毒のビジネスエリートという感じです。そして、タクシーに乗り込んでも母親へのプレゼントのことを考えている。このシーンでバス停で待つおじさんとして、ヒッチコックが登場します。よく見てないとわからない。

ホテルに着いて、ジョージ・キャプランという人物の呼び出しが放送される。そこで、ロジャーは偶然電話ボックスに入ったためにキャプランに間違えられます。ここからが、すごいのだ。

なんと何者かに誘拐されてしまうのです。この展開にはまいりました。そして、強引にタウンゼントという人物の屋敷に連れてこられて、酒を無理やり飲まされる。そして、車に乗って逃走するのです。
追っ手は彼を崖から突き落として殺そうとするのだけど、ロジャーは懸命に逃げる。このカメラワークが、秀逸です。車のボンネットの上にカメラを置いて、運転するロジャーとその背後の景色を写すのだから、すごいですよ。この発想は。

なんとか追っ手をまいて逃げますが、警察に捕まってしまう。そして、裁判に掛けられます。ここら辺でどうも自分がキャプランという人物に間違えられたことに気がつく。

たぶんCIAだと思うけど政府の組織によって、架空の人物キャプランが作られたことが告げられます。そして、敵の組織に潜入した諜報員のためにその架空の人物を演じるように命令されます。これは、なんとも理不尽なことだ。だけど、こんなことはひょっとすると誰にでもありうることです。

敵の組織のボス・バンダム(ジェームズ・メーソン)とその愛人イヴ(エバ・マリー・セイント)が登場します。エバ・マリー・セイントというと『波止場』(1954米)でも、ヒロインを演じています。当時は売れっ子女優だったのでしょう。

ロジャーはキャプランという架空の人物を演じるように命令され、言われるままに行動することになります。とにかく、キャプランという人物の行動は、組織によって決められていて、その通りに行動しなくてはいけないのです。ニューヨークから寝台列車に乗ってシカゴに移動します。その汽車の中でイヴとロジャーは、恋に落ちます。シカゴからはインディアナポリス行きのバスに乗り、大地の真ん中で降ります。

このシーンも何が起こるか分からない恐怖があります。なんと、飛行機が襲ってくるのだからびっくりです。仕方なく、とうもろこし畑に逃げ込みます。

また、歴代大統領の顔が彫刻されたラシュモア山でのシーンも名シーンです。崖から落ちそうになるイヴをロジャーが助けるのです。二人の運命がどうなるかとかは、映画を見てください。一見の価値はあります。へたな最新の映画よりよっぽどおもしろい。

すごい監督ですね。ヒッチコックは。もう、まいりました。
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