遠城寺式乳幼児分析的発達検査
●適応(0歳から4歳7か月)
・検査項目は、移動運動、手の運動、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の6領域
・乳幼児の発達検査法には大別して2種類の方法がある。
 1つは、精神面、身体面のさまざまな領域にわたる項目を難解度の順に配列したバッテリー式テストで単一の評価を下すもの。
 他の1つは、発達をいくつかの領域に分けてテストし、それぞれの領域について評価を出して分析的に乳幼児の発達状況をとらえようとするもの。本検査は、後者に当たる。
・特徴として、精神面のみでなく身体的発達も含めて全人的に発達状況を分析的にとらえようとしている。
(1) 検査の概要
この検査は、昭和33年(1958)、九州大学の遠城寺宗徳教授らによって発表された。乳幼児向けの発達検査法としては、日本で最初のものでした。昭和49年、子供の生活環境の変化、検査法の進歩等を取り入れ、改訂作業がなされ、昭和51年に「九大小児科改訂版」として発表された。

(2) 検査の特徴
ア すべての問題について年齢ごとの通過率を示している。
例 (1:0〜1:1)
問題 2〜3歩あるく
判定 2〜3歩ひとりでどうにか歩けば合格

年 齢 
  
 0:11 1:0〜1:1
1:2〜1:3 1:4〜1:5
通過率 44.2 68.3 89.5 98.0

イ 移動運動、手の運動、言語の発達、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の発達の状況を分析的に評価できる。
ウ 検査しやすい問題が選ばれている。(検査が容易で特別の器具、技能を要しない)
エ 簡便で時間がかからない。
オ スクリーニング・テストとして最適である。(一次検診)
カ 各領域ごとに検査できる。(発達のプロフィールを図示できる)
 キ グラフとして示され、これまでの発達過程を図示できる。
  (親が発達過程を理解しやすい)
 ク 次の段階が発達課題となる。
 ケ 早期の年齢区分をより細かくしている。
・1歳未満は 1か月ごと
   ・1歳〜1歳6か月は 2か月ごと
   ・1歳6か月〜3歳までは 3か月ごと
   ・3歳〜4歳8か月までは 4か月ごと

(3)検査の進め方と記入方法
┌─┐
│準│@ 母親と子供を検査室に入れ、リラックスさせる。
│  │A 母親との応答、子供の観察(子供の概要、問題点を把握)
│備│B 検査用紙に必要事項を記入する。
└─┘
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┌─┐
│  │@ できたら○印、出来なかったら×印をつける。
│  │  [P(Pass)またはR(Right)、F(Fail)またはW(Wron)でもよい]
│検│ ・発達相当のところから問題を始める。
│  │ ・できるだけ実際に行動させたり、問いかけたりして判定する。
│  │ ・母親からの口頭による答えから聞き取る。
│  │
│  │A 合格が3つ続けばそれ以下はしなくともよい。また、不合格が3つ続けばそれ
│  │ 以上はしなくともよい。ただし、子供によっては、それ以上の項目でできること
│査│ もあるし、またできないこともあるので、他の項目についても問いかけてみるこ
│  │ とが必要です。
│  │B 4歳8か月の問題ができるときには、4歳8か月以上と診断する。
│  │C 合格の1番上の検査問題に相当するところに点を打つ。
│  │ ・とび越しがある場合、「だるま落とし」の様に、合格、不合格の入れ換えをす
│  │  る
│  │D 各点を結ぶと発達のプロフィール(折れ線グラフ)が示
│  │ される
└─┘
・言語理解での空欄の扱い 
8か月以下の検査問題の欄が空白のところがある 


(4)検査結果の処理
ア プロフィールからみた診断
  描かれた発達グラフの形、歴年齢との相対関係を見ながら分析する。
 ・描いた線が直線に近ければ、バランスのとれた発達を示している。
 ・凸凹がつよければ不均衡な発達を示している。
 ・脳性まひの子供は、運動面に遅れがみられ、発語が遅れていることが多い。
 ・精神発達に遅れのある子供は、移動運動は遅れがみられないが、手の運動や発語、言語理解に遅れがみられることが多い。
 ・情緒に障害のある子供は、社会性、特に対人関係に遅れがみられることが多い。

イ 発達の縦断的診断
  同一の検査用紙に発達検査を何回も記入でき、前の検査結果と比較して発達の状況を継続的にみていくことができる。
(乳児では4か月ごと、以後6〜8か月おきに行うのが適当)

 発達指数(DQ Developmental Quotient)の測定

 例えば、「両足でぴょんぴょん跳ぶ」は2歳から2歳3か月までの問題です。
従って、この問題が出来れば平均2歳1.5か月の発達年齢ということになる
2歳0月児がここまでできたとすれば、
    2歳1.5か月/2歳=25.5÷24×100=106
3歳3か月児がこの問題まで出来たときは、
    2歳1.5か月/3歳3か月=25.5÷39×100=65
全体のDQは、6領域のDQの平均をとります。
(. 平均DQは、100にならない)

(5) 保護者への伝え方

検査から分析した発達の様子について分かりやすく伝えることが大切です。
 <配慮事項>
ア 親とのコミュニケーションを大切にする。
  イ 特に乳幼児の場合変動する可能性が大いにあるので、1回の検査結果から「発達状態を決定」するようなことはしないようにする。
  ウ 発達の状態をプロフィールを示して、説明する。
  エ 問題となるような点について説明する。
  オ 経過観察、次回の検査、適切な援助機関の紹介等の手立てを示す。
  カ 保護者との生活の中で実現可能な方針を助言する。
(合格した問題の次の問題が子供の課題となる−発達の節目として)

参考文献
「遠城寺式乳幼児分析的発達検査法」:遠城寺宗徳他,1977,慶応通信.
「重度・重複障害児のコミュニケーション活動に関する研究」:筑波大学養護・訓練研究, 9,23ー29,1996