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原子力発電所の建設が始まった頃は、「将来電気代はタダ同然になる」と言われたそうです。
ところが、現実は、既に原発の電気が4分の1とか3分の1とかになっているのに、日本の電気代は主要国でも一番高いといわれるほどで、産業界からさえ不満の声が高まっています。
いったいどうなっているのでしょう?
政府=資源エネルギー庁は、電源別の発電単価の試算値を発表して、原発の電気は安いと言いつづけて来ました。
しかし、その試算でも年々原子力の優位は怪しくなり、92年にはLNG火力と同じ、9円/Kwhになってしまいました。
そこで、政府は99年に計算方法を変更した結果、原子力の単価は一気に5.9円ということになりました。
大胆ですねえ(^^)。
| 資源エネルギー庁による電源別発電原価の試算 | |||||||||
| 電源 | 従来の試算単価(単位:円/Kwh) | 99年見直しによる単価 | |||||||
| 85年 試算 |
92年 試算 |
試算条件 | 99年 試算 |
試算条件 | |||||
| 出力 | 設備利用率 | 耐用年数 | 出力 | 設備利用率 | 運転年数 | ||||
| 一般水力 | 13 | 13 | 1〜4万Kw | 45% | 40年 | 13.6 | 1.5万Kw | 45% | 40年 |
| 石油火力 | 17〜19 | 11 | 60万Kw4基 | 70% | 15年 | 10.2 | 40万Kw | 80% | 40年 |
| 石炭火力 | 12〜13 | 10 | 60万Kw4基 | 70% | 15年 | 6.5 | 90万Kw | 80% | 40年 |
| LNG火力 | 16〜18 | 9 | 60万Kw4基 | 70% | 15年 | 6.4 | 150万KW | 80% | 40年 |
| 原子力 | 10〜11 | 9 | 110万Kw4基 | 70% | 16年 | 5.9 | 130万Kw | 80% | 40年 |
この数字は、現実の運転実績による計算ではなく、最新の発電所を順調に建設し、おおきな事故も無く寿命一杯フル運転した場合の平均コスト・・というような架空の計算で、推定建設費、燃料価格の推移、為替レートなどなど、想定次第で結果は大きく左右されます。
99年試算では、寿命を40年に引き上げた上、全期間にわたって稼働率80%と、事実上フル運転を想定しています。
実際には、今から原発を建設することは容易ではなく当然コストもかさみ、また世界の趨勢をみても40年にわたって運転を続けられる保証もありません。
また、現実には、初期トラブル、老朽化によるトラブル、さらに事故による停止が頻発しており、40年ぶっとうしでフル運転など絵に描いた餅にすぎません。
| 原子炉設置許可申請書に記載された発電源原価 | |||
| 電力会社 | 原発名 | 運転開始年 | 発電原価 |
| 北海道電力 | 泊2号 | 91年 | 14.3 |
| 東北電力 | 女川2号 | 95年 | 12.3 |
| 東京電力 | 柏崎刈羽2号 | 90年 | 17.72 |
| 柏崎刈羽3号 | 93年 | 13.93 | |
| 柏崎刈羽4号 | 94年 | 14.24 | |
| 柏崎刈羽5号 | 90年 | 19.71 | |
| 中部電力 | 浜岡4号 | 93年 | 13.87 |
| 北陸電力 | 志賀 | 93年 | 16.58 |
| 関西電力 | 大飯3号 | 91年 | 14.22 |
| 大飯4号 | 93年 | 8.91 | |
| 四国電力 | 伊方3号 | 94年 | 15.06 |
| 九州電力 | 玄海3号 | 94年 | 14.7 |
電力会社も公式には政府試算を使って宣伝しています。
しかし、「原子炉設置許可申請書」には電力会社自身が計算した「皮算用」の原価が記載されています。
これを見ると、90年以降に運転開始した新しい原発でも、表のように政府試算値とは大きくかけ離れています。まだ計画中の東北電力巻原発に至っては19.96円にもなっています。
これらの数字は運転初年度のものです。原発は、建設費が高いために運転開始20年以上たたないと安くならないのです。
では政府試算と同じように耐用年数一杯で見るとどうでしょう?
現在計画中のいくつかの原発の設置許可申請には、耐用年数の原価が記載されていますが、いずれも約10円〜14円となっていて、やはり政府試算の5.9円とはかけ離れています。
想定ではなく、実績での「電気のお値段」はどうなのでしょう?
これについては政府も電力会社もデータを出さないため、市民には分かりませんでしたが、環境NGO(非政府組織)「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」が、全国9電力会社の公表資料をもとに運転実績にもとづく電源別の発電原価を計算しました。
それによると、1989年度から98年度の10年間の1キロワット時当たりの平均単価は水力9・62円、火力9・31円、原子力8・71円、原発から出る高レベル放射性廃棄物の処理や原発解体など国が算出している将来コストを加えると、10・26〜10・55円となりました。
こうしてみれば、原発の電気が安いというのは大嘘だと分かりますが、さらに、次のような事実もそれを裏付けています。
イギリスが国営だった電力事業を民営化した際に、原発だけは民間が引き受けず、国営で残った。
日本の電力会社の幹部達が「電力を自由化するなら原発はやれない」と公然と発言し始めてい
る。以上のように、直接の電気代だけ見ても「原発の電気は安い」とはとても言えないのですが、原発には、さらに「隠された費用」が付きまといます。