
高速増殖炉って何ですか
核爆弾の材料であり、わずか1グラムで何百万人も殺せる猛毒でもあるプルトニウムを燃料に使い、しかも同時に新たなプルトニウムを生み出してしまう特殊な原子炉です。
もともと、今使われている普通の原子炉(軽水炉)よりも先に研究、開発が始まりながら、いまだにどの国も実用化(商業利用)できていません。
普通の原子炉(軽水炉)に比べて費用も高くつく上に、非常に危険で技術的にも難しく、実験・開発中の原子炉でも事故や故障が続き、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど、先進諸国もすべて開発をあきらめました。
日本は、東海村に開発の第1段階である実験炉「常陽」があるほか、福井県に新たに第2段階である原型炉「もんじゅ」を建設しました。
しかし、「もんじゅ」も、1995年12月8日、恐れられていたとおりにナトリウム漏れ火災事故を起こし、現在運転を停止しています。
この項の目次
高速増殖炉のしくみ
1.発電のしくみ
- 原子炉の中でプルトニウムが核分裂を起こし、ものすごい熱が発生する。
- 原子炉で熱せられた1次系の金属ナトリウムは「中間熱交換器」を通る間に2次系のナトリウムに熱を渡して冷やされ、再び原子炉に戻る。
- 2次系ナトリウムは、蒸気発生器で水を沸騰させて、再び「中間熱交換器」へ。
- 蒸気発生器で発生した蒸気はタービンを回し、復水器で冷やされて水になり、再び蒸気発生器に戻る。
2.プルトニウムを「増殖」するしくみ
「高速」の中性子を利用してプルトニウムを「増殖」するので「高速増殖炉」。
「高速で増殖する」わけではありません。それどころか最近では意味があるほど「増殖」するかどうかも疑わしくなっています。

- ウランやプルトニウムが核分裂すると2〜3個の中性子が飛び出します。この中性子がまたウランやプルトニウムにぶつかって次々に核分裂が続きます(連鎖反応)。
- このときに発生する熱を利用して発電するのは軽水炉も高速増殖炉も同じです。
- 軽水炉では飛び出した中性子の内1つだけが水にぶつかってスピードを落としてから次のウランにぶつかる仕組みになっています。
- 高速増殖炉では、プルトニウム燃料を包み込むように、燃えないウラン(ウラン238)を並べておきます。
- ウラン238は、中性子を吸収してプルトニウム239に変わる性質があります。
- そこで、核分裂で飛び出した中性子の内、1つを連鎖反応に使い、もう一つをウラン239に吸収させるようにすれば、プルトニウムが燃えるかたわらでウラン239から新しくプルトニウムが生まれてくることになります。
- 飛び出す中性子のスピードが高い高速中性子の方が効率よくプルトニウムを増やせます。
- 水は中性子のスピードを落とす(減速)性質があるので、冷却材に水は使えません。
- そこで、中性子を減速させず、熱を伝えやすい性質のナトリウムを冷却材に使います。
- 核分裂そのものは、スピードが遅い中性子(熱中性子)の方が効率よく進むので、軽水炉では冷却材兼減速材として水を使います。
- つまり高速炉は燃焼効率を犠牲にして、プルトニウムを増やそうとする原子炉というわけ。
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