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「ベトナムだより」その2 ベトナムと日本の意外な関係?!

 日本人としてベトナムに暮らしていると、あれ、ちょっと変な日本がみつかることがある。そんなベトナムを事典風にご紹介しよう。

【おしん】(oshin) 家政婦。家事をすること。
 ベトナム人同士の会話で、最近よく耳にするのが、この「おしん」。もちろん橋田須賀子原作のNHK連続テレビドラマ「おしん」からきている。放映されたのはもうかれこれ10年近く前だが、放映当時のベトナムでの人気ぶりは異常だった。
 「おしん」のドラマの中で、けなげなおしんが子守や家事手伝いをさせられ苦労するシーンはベトナム人に強い印象を与えたらしい。日本にもこんなに苦しい時代があったのかと驚かれた。
 現在ではこの「おしん」という言葉が、外国企業などに勤める高額所得者の家で雇われる家政婦のことを意味するようになった。ベトナムでは夫婦共働きが当たり前だから、家事はすべて家政婦に任せ、夫婦ともどもモーレツに働く。「今度『おしん』を雇って、子どもの面倒をみてもらっているのだけれど、『おしん』が子どもをいじめないか心配でね」なんていうふうに使う。
 加えて、「今日は僕が『おしん』をするんだ」といって、男どもが家事をするというときにも使っている。

【カラオケ】(karaoke)カラオケバー。女性が隣にすわってお酒の相手をする。
 日本ではカラオケといえば、家族でも友達同士でも楽しめるカラオケボックスが主流だが、当地で「カラオケ」といえば、ホステスがとなりに座って、お酒の相手をするのが普通だ。最近では、国会でカラオケバー廃止という議論もされ、風俗産業化しているカラオケを取り締まろうという動きもある。

【日本犬】(con cho Nhat=コン・チョー・ニャット)日本原産の犬。
 ベトナムで日本原産の犬と信じられている犬の種類。毛足が長く、確かに日本原産の犬として知られる「狆(ちん)」に似ていなくもないが、おおむね狆にくらべて鼻先が長く、狆と洋犬との雑種と思われる。いつごろ、ベトナムに狆が紹介され、この種の犬が日本犬と呼ばれるようになったのかはわからない。
 一時期は日本犬が高く売れるというので、にわか日本犬ブリーダーが登場した。一番高い時期で一匹100ドルから200ドルで取引されたから、ただ事ではなかった。
ベトナムでは従来犬の肉を食べる習慣がある。主に赤毛の犬である。最近はあまりみかけないが、かつては自転車のハンドルにつるされた赤毛の犬をよくみかけた。もちろん、日本犬は愛玩用で、食用ではない。 

【日本女性を妻に娶る】(Lay vo Nhat=レイ・ボ・ニャット)
 「中国料理を食べ、フランス風の家に住むのに並んで、日本の女性を妻に娶る」のがベトナム男性の理想とのこと。日本の女性は貞節であるというのがその理由らしい。ではベトナムの女性が貞節でない?ということになってしまうが、恐妻家である一方、浮気性のベトナム人男性にとってはかつての日本女性の貞節さが都合がいいのということかもしれない。ひるがえって、ベトナム女性は嫉妬深いといわれている。夫が浮気相手とねんごろとなっているところを、はさみをもっておいかけるという図柄が伝統的なドンホー版画の主題になっているところをみるとこれはどうも本当らしい。

【ホンダ】(honda)原付自転車。オートバイ。
 「ホンダ」とはベトナムでオートバイのこと。それぐらいホンダ製のカブがたくさん走っている。現在でも多くみかけるが、それでも相対的には少なくなってきた。本田自動車工業が新たに現地事務所を設けたときにはじめて赴任した所長は、街中を走るホンダバイクの流れの中で、この国でシェア拡大をやっていく自信を失った、という手記を読んだことがある。オートバイといえばホンダ、ホンダといえばオートバイだった。そのおかけで、『ホンダ修理します』という看板は今でもあちこちでみかける。派生語に「ホンダガール」などというオートバイにまたがって、春をひさぐ街娼をさす言葉まである。(新妻東一)

「共済だより」 2004年7月号掲載


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