22.緊急、
総務省が海上共通通信システム検討会を設置
・・・国際VHFの解放を・その3
4月17日、「海上における船舶のための共通通信システムの在り方及び普及促進に関する検討会」設置決定。
海自イージス護衛艦「あたご」とマグロ延縄漁船「清徳丸」衝突事件の際、護衛艦と漁船が衝突を避けるための相互に連絡を取りあう通信手段がなく、それが衝突事故の誘因になった。
それを指摘したのが、3月20日付朝日新聞の「共通の通信システム作れ」(私の視点ワイド、拙稿)と翌21日付け東京新聞「こちら特報部」記事だった。それからわずか3週間足らず、総務省が4月17日、
「海上における船舶のための共通通信システムの在り方及び普及促進に関する検討会」(すべての船舶の安全確保を目指した新しい世代の海上通信システムの構築) を設置すると発表した。そして、同4月24日、はやくもその第1回検討会が開かれた。
とりいそぎ、4月25日付 東京新聞朝刊、
第1面、「共通無線で衝突防止 「あたご」事故教訓に検討」
第28面、「過去に“失敗作”普及せず 船舶衝突防止へ共通無線検討」
の記事を
pdf へリンクしておく。
総務省検討会設置発表の内容は
4月17日、報道機関宛の発表文書は同省HP上でも閲覧できるので、以下に示しておく。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080417_3.html
1.目的と背景
これによると、「背景・目的」として、「小型船舶と大型船舶が容易に連絡を取り合える共通のシステムを構築」し「その普及促進」としている。そのために「小型で安価な海上無線機器」も必要という。これに対して私はなんら異議はない。
2.主な検討事項
検討会における「検討事項」を3つ挙げ、@「小型と大型船舶との通信を可能にする通信システムの在り方」、A「小型及び大型船舶並びに捜索救助機関との連絡の在り方」、B関連事項の整理、としている。
3.構成員
検討会の委員等は、総務省及び国土交通省傘下の各団体からの代表者と関係省庁からのオブザーバー、計20名で構成している。
第1回検討会で見え始めた総務省の意向は?
4月24日第1回検討会で総務省の事務局(電波部衛星移動通信課)が配布した資料のうち、「今後の検討課題(案)」(
レジメ.pdf へのリンク)には以下の通り。
1.通信システムの在り方
1.1通信システムに求める機能。
1.2外国の事例の検証。
2.捜索救助機関等との連絡
2.1漁船、プレジャー船が大型船や捜索救助機関等と現場通信を確保する条件とは。
3.その他関連事項
3.1共通通信システムの普及を促進するための制度上の方策。
3.2マリンVHFの普及を促進するための制度上及びハード上の方策。
(下線は筆者による)
前掲の東京新聞によると、検討会開始にあたって座長の三木哲也(電気通信大学理事)は、「(事故では)相手船に意思が伝わらなかった。見張りで人間がエラーをおかすことを認めたうえで、(中略)相手が避けてくれるかどうかの確認までできるシステムをつくらなくてはならない」と決意を述べた。至言である。
三木の決意を受けて配布されたレジメは、一見、何の変哲もないようであるが、前掲報道によると総務省は、
「緊急通信は絶対混信してはならないので・・・」と、国際VHF採用には消極姿勢をはやくも披瀝した。そして、「
レジメにマリンVHFの普及促進という項目が残り、一度始めたシステムへの未練が断ち切れないようだ」と結んでいる。
レジメ2.1「捜索救助機関等との現場通信確保の条件」とは、「緊急通信を絶対混信させないシステム」であり、国際VHFの16chを小型船などに利用させるのが、それに抵触するとみているのかもしれない。
そして、付け足しのように最後に記した、3.2「マリンVHFの普及を促進・・・」に実は、本音があるのではと新聞は伝えている。
もし、これが総務省の狙いだとすると、イージス艦事故を教訓に海上の共通通信システムを構築すると称しながら、実は、20年前に「なだしお」事故のあと同じように事故再発防止を掲げながら、国際VHFを換骨奪胎して導入したマリンVHFの失敗を、もう一度再現することにもなりかねない。
残された時間はわずかしかない!!
第1回検討会で配布された、検討スケジュールを見ていただきたい。
検討スケジュール(案).pdf へのリンク
省庁の審議会、検討会として異例のスピード審議を予定している。
8月には、事実上方針決定して秋に細部を詰めて年内に決定する・・・・。
小型船や漁船などの「ユーザーのニーズの聴取と諸外国の状況の確認等」はワーキンググループの検討会第1回で、予定は5月12日(月)か13日(火)。
検討会の開始が4月24日、ここでは具体的な討議はなにもなかった。ゴールデンウィークを挟んで、連休明けにユーザー側からの意見やデータ聴取をするとは、ほとんど何も準備期間もユーザー団体内部で検討する時間も与えないまま、ゴールデンウィーク明けの週はじめに実施するわけで、これでは意見集約や資料提出などほとんどできないだろう。
ヨット界のほとんど誰もが知らないうちにヒアリングは終わってしまいかねない。
7月中にパブリック・コメントの実施をすると謳うが、これは広く意見を募って決める形式上の手続きであって、それが案の方向修正に結びつくとも思えない。
危惧
猛スピードで、共通通信システムを構築する検討会が設置された。しかし、ほとんどのユーザーが検討会の存在にも気づかないうちに、そして、そこで何が検討されるか知らされないまま、あっという間に「共通通信システムの構築」とはほど遠い、総務省事務局の意向に沿ってマリンVHF再生に歪められやしないかと、危惧している。
全国ヨット乗りの声を
連休明けから、残された短い時間だが、全国のヨットマンに呼びかけて、全ヨットマンの声を集めて、それを検討会に持ち込みたいと考えている。
国際VHFの解放こそ共通通信システム・・・・
@煩雑な手続き廃止と免許の免除。
A法外な国内専用無線機でなく海外無線機も使用できるように機器の認証規制緩 和。(米国認定を国内認定と同等と見なすこと)。
B意味のない海岸局登録義務の撤廃。
以上を、検討会の結論にするよう要請する意見を、お寄せ下さい。
メールアドレスは、
tiarashore@yahoo.co.jp
vhf@ktj.biglobe.ne.jp(5月9日以降)
静岡県重須(おもす)セーリングクラブ
きらきら丸・岡 敬三宛です
みなさんが所属するマリーナ、ヨットクラブに働きかけて、ひとりでも多くの方に、まず検討会が設置されたこと、その内容を知らせてください。
連休明けに、追って働きかけの方法などをお知らせしたいと思います。(2008/04/29)