
MSI K7T266Pro2の改造(緋色の不協和音)
初出 2002.09.23
ASUS A7M266に続くAthlonマザーの改造報告です。今回は一応成功しています。一応ね。
最近は、AthlonマザーもDDR266などというのは古い部類に入っていて、DDR333があたりまえ、DDR400対応のマザーもどんどん出てきています。
あんなに次々と新型マザーが登場してくると、どのマザーを使っていいのか本当に悩んでしまうところです。一方で、新型マザーが次々と出るおかげで、ついこの前まで新型だったマザーがかなり安く売られていたりして、結構買い物が楽しめることもあります。
そんなことを思いながら、パーツショップでマザーを眺めていた時のこと。ちょうどA7M266の改造に失敗して意気消沈していた頃のこと。KT266Aチップ搭載のとあるマザーに、スーパーI/OチップのW83627HFが載っているのを発見したのです。そう、あのthermal diode温度測定に対応したモニタ機能を持つスーパーI/Oチップです。あわてて、その他のAthlonマザーを調べてみると・・・、出るわ出るわ、W83627HF、W83697HF、IT8705Fなどthermal diode対応のチップを搭載したマザーが続々と出てきました。
ちょっと調べただけでこれだけありました。
| Maker | Board Name | Chipset | Super I/O |
|
Maker | Board Name | Chipset | Super I/O |
| EpoX | EP-8KHA+ | KT266A | W83697HF |
Aopen | AK77-333 | KT333 | W83697HF |
| EP-8KHAL | KT266A | W83697HF |
AK77PRO-133 | KT266 | W83697HF |
| EP-8KHAL+ | KT266A | W83697HF |
GIGABYTE | GA-7VR/VRX/VRXP | KT333 | IT8705F |
| EP-8KNN+ | KM266 | W83697HF |
ABIT | AT7 | KT333 | W83697HF |
| EP-8K3A+ | KT333 | W83697HF |
ECS | K7S6A | SiS745 | IT8705F |
| MSI | K7T266Pro/Pro2 | KT266A | W83627HF |
K7VTA2 V2.0 | KT266 | IT8705F |
| KT3 Ultra-ARU | KT333 | W83627HF |
K7VTA2 V2.x | KT266A | IT8705F |
| K7N415Pro | nForce 415D | W83627HF |
K7VTA2 V3.x | KT333 | IT8705F |
| K7N420Pro | nForce 420D | W83627HF |
L7VMM/MM2 | KM266 | IT8705F |
| Soltek | 75DRV | KT266 | IT8705F |
K7VMM | KM266 | IT8705F |
| 75DRV5 | KT333 | IT8705F |
K7S5A V3.x/5A2 | SiS735 | IT8705F |
| ASUS | A7V333 | KT333 | IT8703F |
K7SOM | SiS740 | IT8705F |
| A7S333 | SiS745 | IT8705F |
JETWAY | V333DA/-A | KT333 | W83697HF |
どうやら、KT266以降のマザーではスーパーI/OチップにW83627HF/W83697HF/IT8705Fを使うのが一般的になってきているようです。
これらのチップはthermal diodeに対応したモニタ機能を持っているのですから、もしかしたら上のマザーの一つくらいはthermal diodeでCPU温度を測定しているかもしれません。
そうでなくても、thermal diode温度対応に改造することは困難ではないはずです。今度は、A7M266のAS99127Fとは違って、MBM5などのモニタソフトでサーミスタモードとthermal diodeモードの切替が可能のはずです。
で、買ってきました。MSIのK7T266Pro2です。近所のパーツ屋で展示現品限り9,800円の安売り品です。目に付いた瞬間に取り上げてレジに走っていました。(笑)
赤いマザーです。色つきマザーは青マザーGIGABYTE GA-BX2000+以来です。世間ではこういう色を「シャア専用」とか言うらしいですね。オンボードサウンドは当たり前として、オンボードRAID、そして、USB 2.0対応というのがうれしいところです。
改造前に動作確認をと思い、最小構成で組み上げました。展示現品限りですので保証のあるうちに動作確認しておかなければ。
スイッチを入れて1〜2秒後、スピーカもつないでいないのにビーボー ビーボー(救急車音なのでしょうが、音が割れていてビーボーと聞こえる。)と不協和音が鳴り響きます。びっくりして電源断、パーツの差し込みなどを再確認。電源再投入、ビーボー ビーボー。あわてて電源断。
いったいどこから音がしているんだとマザーを見てみるとマザーの端のほうに電子ブザーらしきものがついています。まぁ!ご親切なこと。
もし壊れていても保証が効くだろう開き直って、警告音を無視して立ち上げてみました。
そして、モニタにあらわれた英文を読んでみると・・・。CPUファンが回っていないよ。このまま立ち上げていいかい?という意味の文章が出ていました。
以前にHedgeHogの6800rpmデルタファンでマザーのファンコネクタの配線を焼き切って以来、CPUファンの電源はマザーから取らずに電源ユニットのHDD用4端子コネクタから直接取ることにしていたのですが、それが仇になっていたようです。なぁんだとBIOSでファン監視をDisableにして一件落着です。
それにしても、赤い色をして不協和音を響かせるとは、「おまえの名前はイクストル(A・E・ヴァン・ヴォクト著 宇宙船ビーグル号の冒険 緋色の不協和音より)ぢゃ」。 普段パーツに名前を付けるようなことはしないのですが、思わず。
正常動作することがわかりましたので、マザーを取り外し、いつものように拡大鏡とテスターを持って温度測定回路がどうなっているか確認してみました。
まずは温度測定チップとその周りの画像です。
このマザーのスーパーI/OチップはおなじみのWinbond W83627HFです。中央の写真のR197、R190、RT2が温度測定に使用されています。RT2はチップサーミスタです。場所はW83627HFの上側になります。
右の写真はCPUソケットの中に配置されているサーミスタRT1(左)とそれに直列の10kΩの抵抗R88(右)です。
基盤が赤いせいでパターンを追っかけるのに目がとても疲れましたが、温度測定回路は、このようになっていました。
何かとても単純ですね。コンデンサが1個もありません。まぁ、サーミスタでの測定の場合はノイズ除去用のコンデンサの必要はないことになっていますから大丈夫なんでしょう。R190、R88、R197は全部10kΩでした。つまり、センサ1〜3の全部がサーミスタ回路になっています。
RT1とRT2の位置は上で説明したとおりです。BIOSではRT1がCPU温度、RT2がマザー温度として表示されているようです。
J2というのは空きランドです。上の中央の写真の上部に写っています。ここにジャンパポストを立てれば後付サーミスタ用の端子として利用できるでしょう。
今回はこのJ2を利用してthermal diode仕様に改造をしてみたいと思います。こういう空きランドがあると改造はとても楽です。どうやら偶然にも改造の簡単なマザーを購入したようです。
改造方法は、1.R197を10kΩから30kΩに交換。2.J1に3300pFのコンデンサを取り付け。3.J1からCPUソケットのS7(アノード)とU7(カソード)へ配線。ということになります。
CPUソケットのS7とU7の位置は、ASUS A7M266 改造の失敗を参考にしてください。
改造箇所の写真です。
今回、30kΩのチップ抵抗を販売している店を見つけて100個を購入しました。というか100個単位で販売していたんです。100個で400円(税、送料別)でした。
参考までに書いておきますが、ラムステート株式会社と言うところです。メールで通販をお願いしたところ、親切に引き受けてくれました。400円程度のものを通販していただけるというのはありがたい話です。
このチップ抵抗は大きさが1.6mm×0.8mm(1608サイズと言います。)で、誤差1%のものが必要です。もしこの30kΩのチップ抵抗が欲しい方がいらっしゃいましたら、メールをください。差し上げます。あと99個も残っていますから。(笑)
左の写真が交換後のR197です。ちょっとゆがんで付いていますが、大丈夫でした。
3300pFのコンデンサは手元にあったセラミックコンデンサをマザー表側からJ1のランドに取り付けました。中央の写真です。
これも3216(3.2mm×1.6mm)サイズくらいのチップコンデンサにしてやれば少し見栄えがいいかも知れません。
3216サイズのコンデンサでしたら秋葉原の千石電商あたりで手にはいるでしょう。通販があるかどうかは?ですけど。
もし、1608サイズや2125サイズ(2mm×1.25mm)のチップコンデンサが欲しいなどというときは、サトー電気というお店が通販では便利です。3300pF=0.0033μFですよ。
CPUソケットのU7、S7へはマザー裏側から配線します。右端の写真の左がCPUソケット、右がJ2ランドです。
これで改造は終了です。PCを組み上げて測定ソフトを走らせてみましょう。
今回から測定ソフトはMBM5にしました。
設定画面でセンサー3をWinbond 3 P2-Diodeにしています。
温度表示を見てみると、センサー3が27度になっています。センサー1はマザー温度(RT2)でで39度、センサー2はCPUソケットの中心にあるサーミスタ(RT1)の温度で41度です。
27度という温度は正確な温度ではありません。どうやら15度程度低い表示が出ているようです。これは別に不思議ではありません。
W83627HFのthermal diode温度はDeschutes(PentiumII)、Katmai(PentiumIII)、Mnedochino(Celeron)、
Coppermine(PentiumIII,Celeron)のthermal diodeの特性に対応しています。Palomino(AthlonXP,Duron)のthermal diodeはPentiumII/III/Celeronのものとは特性が違いますので、当然読み出される温度に誤差が出てしまうのです。
Pentium4のthermal diodeもPentiumII/III/Celeronのものとは特性が違っています。でもPentium4用のマザーではW83627HF、IT8712Fなどでthermal diode温度を測定しているようです。何か補正をしているんでしょうか?
そこで、前回のヒートシンクの玉座でのデータを基に大まかに15度程度の補正をすればいいだろうと見当を付け、MBMで補正値を設定しました。
これでどうやら正確らしい温度が表示されるようになりました。センサー2(RT1)の温度ともかなり近い値になっています。不思議なのはセンサー1のマザー温度(RT2)です。マザーのあの場所がそんなに熱くなっているはずはないのですが。
もう一つ、センサー2(RT1)の温度はかなり正確にCPU温度を反映しているようです。そこで、センサー3の補正値を確認するためと、センサー2の正確さを確認するため、周波数と電圧を変えて両センサーの読みを記録しておきました。
その上で、今度はマザーを秋月温度計仕様に改造し(といってもJ2端子に接続していたシールド線を秋月温度計につなぎ変えただけです)、その他はまったく同じ条件で双方の読みを比較してみることにしました。センサー3はthermal diode仕様、補正なしの値です。
| 秋月温度計 | センサー3 | センサー2 |
| 36.2 | 21 | 36 |
| 38.7 | 23 | 38 |
| 41.3 | 25 | 40 |
| 43.2 | 27 | 42 |
| 45.2 | 29 | 43 |
| 48.5 | 32 | 47 |
| 51.9 | 35 | 50 |
| 53.5 | 37 | 51 |
測定条件ですが、発熱ソフトにheat0601を使用し、10分間連続動作後の温度としました。
サーミスタは測定温度が平衡に達するまでにそれくらいの時間がかかってしまいます。
まず、秋月温度計とセンサー3の比較から、温度補正はほぼ16度に設定してやればいいようです。
そして、センサー2なんですが、驚いたことにほぼ正確にCPUの温度を表示しています。誤差は最大でも2度しかありません。CPUに直接接触していないサーミスタでどうやってあれほど正確な温度を表示できるのか、感心してしまいました。
たしかに、サーミスタですから温度の変化に敏感に反応するなどということは無理ですが、そのことを別にすればこのマザーではthermal diode対応などという改造をしなくてもサーミスタ温度で十分なような気もします。
というわけで、今回の改造は一応成功です。MBM5などthermal diodeに対応していてその上に温度補正のできる測定ソフトがあればCPUの温度を読み出すことができるようになります。でも、問題は補正値をどうやって決めるかということでしょう。いちいち秋月温度計との比較をするのも面倒ですしね。
その上に、通常の使用であれば、マザーに装着されているサーミスタでほぼ正確な温度を測定できるのですから。ああぁ・・・(腰砕け)。
そうそう、改造を実行する場合は自己責任でお願いしますね。
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