CyrixIIIはCeleron互換?

初出 2000.08.21
追記 2001.02.24
追記 2001.03.26
追記 2001.10.31

CyrixIII

VIAからやっとのことでCyrixIIIが発売されました。私はこれを長い間待っていました。なにせ、「Celeron完全互換」なのですから、thermal diodeも内蔵されている可能性が高いと考えたのです。

今年の2月だったでしょうか、VIAから製品発表がありました。それまでのVIAからの情報のとおり、JoshuaコアのCPUでした。同時にVIAのサイトにCyrixIIIのData Sheetが掲載されていたので見てみました。もちろん関心のあるのはthermal diodeの有無です。はっきりとthermal diodeの項目はなかったものの、ピンアサインにはAL29にTHERMDN、AL31にTHERMDPの文字があり、
Over temperature trip signal is not supported, The CPU does have a thermal diode but supports the other temperature related signals.
という記述があったのです。どうやらCyrixIIIはthermal diodeを持っているようです。

そして待ちました、待ちました。そうこうするうちに、VIAから2度目の製品発表がありました。いつのまにかJoshuaコアからSamuel1コアに変わっていました。VAIのサイトからData Sheetが無くなってしまいました。そしてついに7月の末、Samuel1コアのCyrixIIIの発売が開始されたのです。

しかし、Samuel1コアのData Sheetを確認できないため、thermal diodeを持っているかどうかが分かりません。しかたがないので、VIAのサイトの質問フォームに書き込みました。

Does CyrixIII processor have thermal diode at pin AL29 and AL31?
いや、お恥ずかしい。私が作文できるのはこの程度の英語なもので。でも、一応意味は理解してくれたようです。VIAから次のような回答が届きました。原文のままです。

Thank you for emailing VIA-Cyrix CPU email support. All available
information on the CyrixIII is posted on our website www.cyrix.com.
In addition to that, I can also tell you that pin AL29 is Thermal Diode
Negative and AL31 is Thermal Diode Positive.

Thank you,
JP
VIA-Cyrix

どうやら、CyrixIIIにはthermal diodeが搭載されているようです。そうなれば、当然"thermal diodeおたく"としてはCyrixIIIを手に入れて試してみるのが義務?というものです。
でも、私の近所のパーツショップに入荷するのを待っていてはいつになるかわかったものではありません。そこで、最近東京へ転勤になった友人のいとうさんに秋葉原買い出し係をお願いしました。暑い中秋葉原を探し回っていただいたいとうさん、本当にありがとうございました。m(__)m

写真が買ってきていただいたCyrixIIIです。100MHz×5の500MHz版です。手に持った瞬間、「おっ重い!」Celeronに比べて重量感があります。外見もなかなか見事です。
コアの裏側の刻印は、VIA Cyrix 500MHz(100×5.0) 0026 TAIWAN A300BN01691とあります。どう読むのか分かりませんが、0026というのが製造週でしょうか?

とにかく、動作確認をしてみることにします。最近パソコンの側板は開け放していますので、CPUの交換にはなんの苦労もありません。とりあえずゲタにMS6905Dを使用し、ヒートシンクにブリザードを取り付けてマザーに装着。
スイッチON ! ONE! TWO! THREE! 電流ぅ火花が身体を走るぅ〜(古い!!)っと、なんの問題もなく起動します。BF6のBIOS VerSHでは「Celeron」と認識します。ご愛敬、ご愛敬。
Win起動後まず最初にMBM4を起動。どうなっているかなぁ〜っと。MBM4のWinBond2をThermal diodeにして・・・、あれぇ????

CyrixIIIのMBM4画像

MBM4のSensor2(thermal diodeに設定)が127度になっています。ここでSensor2をサーミスタモードにすると表示は0度になります。これはセンサーに何もつながっていない(オープンになっている)典型的な症状です。
いかん、いかん ! B14、B15の配線をパターンカットしたゲタを使ってしまった。取り替え、取り替え。
ゲタをはずしてパターンを見てみます。ちゃんとつながっています?? それではとゲタをSL02A++に変更、起動。状態は全く同じでした。

こうなると、このCPUにはthermal diodeが無いということを疑わなければなりません。CPUを取り外して、AL29とAL31ピンをテスターのダイオードテストモードであたってみます。開放でした。ダイオードなど入っていません。

お〜い、VIAさん。thermal diodeがありませんよぉ〜。あの回答は嘘だったんですかぁ〜。
私の英語力は頼りないのですが、上のVIAからの回答文はthermal diodeがあるという意味ですよね。そうですよね。ねっねっ??

CyrixIIIのthermal diodeにまつわるお話はここまでです。でもCyrixIIIの性能に関心のある方も多いだろうと思います。それにせっかく買ったCPUなのですからテストしてみることにしました。

テストその1 倍率は可変か?
最初に実行したテストです。INTELの最近のCPUは全て倍率固定です。でも、いくらCeleron互換だからといって倍率固定まで真似をする必要はないはずです。期待を込めて5倍以外の倍率を設定してみました。
結果、倍率は固定でしたどんな倍率を設定しても5倍で立ち上がります。
テストその2 オーバークロック耐性は?
倍率固定ということになれば、オーバークロックの方法はINTELのCPUたちと同じFSBの変更しかありません。とりあえず、コア電圧を定格の1.8Vから2.0Vに変更してFSBの上限を探ってみることにします。
そこで気が付いたことですが、BF6のFSBの変更をWin上から実行するCPUBoostというソフトが立ち上がりません。不正な処理を行ったということで強制終了されてしまいます。原因は不明ですし、私はこういうことは気にしないことにしています。もう一つのソフトSoftFSBは正常に動作しましたので、こちらを使うことにしました。
結局、安定動作するのはFSB133MHzの動作周波数666MHzまででした。33%のオーバークロックです。INTELのCPUであれば「小当たり」か「中当たり」というところでしょうか。最近は定格の1.5倍は当たり前という世界に住んでいますので、感動するほどのものでもありません。もう少しコア電圧を上げるなどすればもっと延びるのかもしれませんが、途中で面倒になってしまったのでこれ以上の検証をしていません。
しかし、このオーバークロックテストの課程で、安定動作の確認に使用したベンチマークが異様に遅いことに気が付きました。そこで次のテストです。
テストその3 ベンチマーク
とにかく、ベンチマークだけではありません。Windowsの起動から、アプリケーションソフトの起動・実行、全てにおいて体感できるくらいに「遅い」のです。従来からのCyrixの欠点である浮動小数点演算の遅さとL2キャッシュが無いことが影響しているようです。
とりあえず、HDBENCH Ver3.10を走らせてみました。HDBENCH Ver3.10のヘルプファイルには「測定ルーチンは小さく作ってありますので,L2キャッシュの影響が少なくなっています。」と書いてあります。
結果はこれです。CyrixIII 500MHzをFSB133MHz、動作周波数666MHzで測定したものです。
CyrixIIIのHDBENCH結果
これだけではどの程度か判らないと思いますので、Celeron300Aと比較してみました。CPU以外は全く同じ条件でのテストです。
CPU ALL Integer Float MEM Read MEM Write MEM Read&Write Rectangle Text Ellipse Bitblt DirectDraw HDD Read HDD Write FileCopy
CyrixIII666MHz 14565 23368 11318 8420 4041 15134 35714 45363 2574 565 59 13204 14104 14892
Celeron450MHz 15011 18146 19067 10565 10641 12783 35739 42714 3916 565 29 13491 13698 15535
CyrixIII500MHz 12522 17555 8503 6268 3059 11263 30796 33779 1960 565 29 13508 13680 12874
Celeron300MHz 12381 12087 12702 6899 7621 8474 30950 28385 2677 564 29 13680 13229 13548

CyrixIII666MHzでCeleron450MHzとほぼ互角、CyrixIII500MHzでCeleron300MHzとほぼ互角ですね。
とにかく、浮動小数点演算は目を覆いたくなるような結果です。試しに、浮動小数点演算の能力がもろにあらわれるSUPER PIを実行してみたところ、666MHz動作で104万桁が16分11秒 !でした。いつも、2〜3分台の結果に慣れていたので、これにはびっくりです。

というわけで、私にとって全く価値のないCPUです。このCPUどうしようかしら。そういえば、「安いパソコンを1台組んでくれ。予算6〜7万円で。インターネットとワープロができればいいから。」という注文を受けていたっけ。あのパソコンに組み込んでやろう。

それにしても、VIAさん、thermal diodeはどうなったの。倍率固定などというしなくていい部分をCeleron互換にしておいて、thermal diodeという大事な部分を忘れるなんて。最近のマザーはthermal diodeで温度を測定しているからこのままだと温度アラームが鳴ってしまうマザーも出てくるんじゃないかな。

まったく
VIAのバカ野郎ぉ〜
VIAの嘘付きぃ〜
すみません、ちょっと裏山に登って叫んできたいと思います。
VIAの・・・

2001.2.24追記
VIAから2次キャッシュ64KBを内蔵したSamuel2コアのCyrixIIIが発表されたというので、久しぶりにVIAのサイトへ行ってみました。すると、一度なくなっていたCyrixIIIのData Sheetを発見しました。前回私が見たのはVer1.0のData Sheetでしたが、今回のものはVer1.2になっています。

このVer1.2のData Sheetには次のような記述があります。
Thermal Monitoring
The VIA Cyrix III processor supports thermal monitoring via the THERMDN and THERMDP pins.
However, it does not support the THERMTRIP# pin. The THERMTRIP# pin should be treated asreserved.
つまり、CyrixIIIはthermal diodeを持っていると書いてあるのです。

しかし、上の記事でも書きましたが、私の購入したCyrixIIIはthermal diodeを持っていませんでした。このことは確信を持って言えます。
私の購入したCyrixIIIは販売開始直後のものでしたので、もしかすると初期の製品にはthermal diodeが搭載されていなくて、後期のものには搭載されているのかもしれないとも思っています。でも、このことを確認するためだけでもう一度あのCPUを購入して見る気にはなれないのです。

2001.3.26追記
やはりどうしてもCyrixIIIのData Sheetに書いてあることが気になります。もしかしたら、前回私がthermal diodeが無いと思ったのは何かの間違いか、それとももしかしたらだったのかもしれません。
それに、もしCyrixIIIにthermal diodeが搭載されているのであれば、INTEL以外のCPUのthermal diodeの特性を測定することもできます。興味がありますよね。
そこで、もう一度だけという考えでCyrixIIIを買ってきました。

CyrixIII 550MHz

CyrixIII 550MHz(100MHz×5.5)です。コア裏側の刻印は VIA Cyrix 550MHz(100X5.5) 1.9V A320CT0 0040 TWIWAN DA5361.00 となっています。
期待を込めてthermla diodeの有無を確認してみました。ありませんでした。(爆)

ゆっゆるさんぞぉVIAめ !! 一度ならずも二度も謀りおってからに。金輪際おまえのところなど相手にするものではないわ!!!

2001.10.31追記
先日、ながおさんという方からメールを頂きました。Samuel2コアのC3はMBMで温度が表示できるそうです。

MBM4をサーミスタモードにすると68度が表示され、thermal diodeモードでは12度になるそうです。その状態で負荷をかけると30度程度まで上がるそうですから、これはthermal diodeで温度が読み出せているということですね。ただ、どうやらINTEL系のCPUのthermal diodeとは少し特性が違っているようです。

ということで、C3のthermal diodeの有無とその特性の確認をしてみようかとも思うのですが、またVIAのCPUを買うのはどうも気が進みません。まあそのうちやりましょう。

そうそう、Samuel2コアのC3のdata sheetも一応見てみましたが、thermal diodeに関する記述は、2001.2.24付けの追記に記載したSamuel1コアのCyrixIIIのdata sheetとまったく同じ記述があるだけでした。

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