
Aopen AK79D-400VN
初出 2004.6.20
今回は、AopenのAthlonマザー、デュアルチャンネルメモリ対応、nForce2 Ultra400チップのAK79D-400VNの紹介です。
私にとって、たぶん最後のAthlon/AthlonXPマザーになるはずの買い物です。
以前にASUS A7V600の紹介記事の最後に書きましたように、このマザーも最近のAthlonXP対応マザーの例にもれず、AttansicのOver Temperature Protection ControllerであるATTP1というLSIが搭載されています。当然、このLSIとCPUのthermal diodeを使用して、CPU過熱保護機能が搭載されているはずです。そこで、例のごとく温度測定回路とCPU過熱保護回路がどうなっているのかを確認してみました。
まず、回路を調べる前に、このマザーでPCを組み上げてハードウェアモニタソフトを走らせてみました。
いつものようにMBM5です。
電圧やファンスピードなどはどうでもいいとして、一番上の温度センサーを見てみると、センサー1と2は一応それらしい温度が表示されています。センサー3は、とんでもない温度表示が出たのでdisableにしてあり、そのため0表示になっています。
マザーに付属のCDには、SilentTekというソフトが入っていて、このソフトでも温度表示が可能です。ただし・・・。
CDからこのソフトをインストールして、起動したところ、こんな画面がまず表示されました。

CPU Kernal temperature がリミットを超えているという警告です。Kernalって何? Kernel(中心、核)だったら意味はわかるんですけど。
そして、この警告を無視するか、この項目を計測しないようにするか、Windowsをシャットダウンするかを聞いています。
とりあえず一番上の無視を選んでSilentTekを立ち上げるとこうなりました。

CPU Kernal temperature が208度になっています。ここでもKernalになっているなぁ。この温度が本当なら警告が出て当然です。CPUが死んでしまいます。このソフトもそう思ったんでしょう、しばらくすると、Windowsが強制シャットダウンされてしまいました。
その後は再立ち上げをしても、SilentTekを立ち上げると警告が出てそのあとすぐに強制シャットダウンされるようになってしまいました。
結局SilentTekのアンインストール・再インストールでしかこの問題は解決できませんでした。
そして最初の立ち上げ時の警告で2番目のこの項目を計測しないようにするを選んで立ち上げたのがこの画面です。

これで、警告も出なくなり強制シャットダウンもなくなりました。
後で気がついたことですが、マザーの箱の中に一枚の紙が入っていました。
「Nvidiaサウスブリッジとより良い相乗効果を得るために「3.12.29」バージョン以降のSilentTekユーティリティをインストールするようお勧め致します。既にインストールされたSilentTekユーティリティはそれより前のバージョンである場合に、弊社のウェブサイトから最新のバージョンをダウンロードしてください。」
と。普通あんな紙を詳しく読もうなどとは思わないので、気が付きませんでした。
一応突っ込みを入れておきますと、CPU Kernal temperatureが異常温度を表示する問題は、後で説明するように、決して「サウスブリッジとの相乗効果」が問題なのではありません。単にセンサーが付いていないだけのことです。その上、上の説明文の日本語は少しおかしいと思いませんか?
ちなみに、CDに入っていたSilentTekのバージョンは、3.12.23でした。最新のバージョンでの動作については、ダウンロードが面倒でしたので試していません。
どうしてCPU Kernal temperatureが異常温度を表示したのか。その原因は温度測定回路を調べてみてはっきりしました。AK79D-400VNの温度測定用モニタチップは、スーパーI/OチップのW83627HFです。
そして、これが温度測定の回路と、W83627HF周辺の抵抗・コンデンサ群です。
W83627HFは101番ピンから104番ピンを温度測定に使用しています。101番ピンが基準電圧のVREF、104番ピンがセンサー1、103番ピンがセンサー2,102番ピンがセンサー3です。
センサー1にはW83627HFの近くにあるR380という部品番号のサーミスタが、センサー2にはCPUソケット内にあるR496という部品番号のサーミスタがつながっていました。下の写真です。
そしてセンサー3は・・・。SilentTek Ver.3.12.23ではセンサー3をCPU Kernal temperatureと表示していたのですが、実際にはPOWER TEMPという名の付いた端子でした。電源のサーミスタをつなぐ端子のようです。別に電源のサーミスタでなくても、リード線付きの普通のサーミスタをつないでやれば任意の場所の温度か測定できるようになります。POWER TEMP端子の位置は、マザーボードの最上部、CPUソケットの左にあるAttansic ATXP1というLSIの隣です。
このPOWER TEMP端子は、デフォルトでは何も接続していないオープンの状態ですから、温度測定ソフトによっては妙な温度が表示されることになります。SilentTek Ver.3.12.23のCPU Kernal temperatureが異常温度を表示したのも当然のことなのです。
この温度表示の異常は決して「サウスブリッジとの相乗効果」などではなく、単に、サーミスタが接続されていないだけなのです。
話が脇にそれてしまいました。肝心のthermal diodeですが、温度測定には使用されていません。thermal diodeは、最初に書いたようにATTP1を使ったOver Temperature Protection機能で使われているようです。もちろん、ATTP1の回路も調べてみました。
まずこれがATTP1の写真とその周辺の抵抗、コンデンサです。
そして、回路はこうなっていました。
まず、肝心の4番ピン(TXD、ダイオード入力)ですが、ちゃんとCPUのthermal diodeに接続されていました。thermal diodeへは7番ピン(VREF、基準電圧)からR53を通して電流が供給されています。
一方、これまでのA7V600、GA-7VT600-LではVREFにプルアップされていた(つまり、使用されていなかった)5番ピン(TXR、サーミスタ入力)にもサーミスタがつながれていました。CPUソケット内部にあるR76というサーミスタです。thermal diodeを内蔵していないCPU(thunderbirdコアのAthlonとspitfireコアのDulon)を使用するときの用心なのでしょうか?このマザーでわざわざそんなCPUを使おうという人も少ないと思うんですけど。
残念ながらQ9という3端子の部品の機能が不明です。どうやらFETらしいのですが、詳しいことがわからなかったのです。
上の回路図で接続先を「不明」としている端子がゲートのようです。とすると、回路としてはトランジスタスイッチ(FETスイッチというべきか?)のようです。トランジスタスイッチだとして、何のための回路なのかは私にはわかりません。スイッチがオンになった場合にR53とR48が並列になるだけだと思うんですが。
もう一つ、R63という空き端子なんですが、何のためにあるのでしょう。PSON_INとPSON_OUTをショートするためのように見えますけど。
多少の謎はありますが、少なくともthermal diodeとATTP1を使ったCPUの過熱保護機能としてはこれまでのA7V600、GA-7VT600-Lとそんなに違いがあるわけではありません。
ところで、このCPU過熱保護機能について、AK79D-400VNの日本語マニュアルには次のように記載されています。
Aopen 過熱防止(O.H.P)テクノロジ NEW!
Over Heat Protection
AMDプラットホームはCPUクロックがさらに増加しており、CPU動作時の高温という厄介な問題が付きまといます。CPUファンの突然の故障によって生じ得るAthlonXP CPUの焼損を避けるため、Aopenは細心の注意を払ってCPUを保護する新技術、O.H.P(過熱防止)テクノロジを開発しました。Aopen O.H.Pテクノロジの優れたモニタ機能により、ユーザはファン停止によるCPU損傷についての心配から開放されました。
CPUファンが正常動作中は、AthlonXPの温度は最大許容値である97℃以下に抑えられています。しかしCPUファンの突然の動作不良やインストール不適切があった場合CPU温度は急に跳ね上がり、Aopen O.H.P未インストールの状態ではシステムハングアップやCPU焼損という残念な結果になってしまいます。Aopen O.H.Pテクノロジ導入により、AthlonXP CPUの温度検知ピンがファン故障による電圧変化を検知し、即座に過熱防止回路から信号が送られ、システムはCPU電源を切ることで損傷を未然に防ぎます。他社製品がBIOSやソフトウェアでCPUへの電源供給を制御しているのに対し、Aopen O.H.Pテクノロジは純粋にハードウェア制御で、システムの起動後にシステムリソースは消費しません。私どもはユーザーの皆様の貴重なハードウェアとデータを保護するため、この有用な機能をAopen AMD全シリーズに積極的に採用してゆきます。
ええっと。突っ込みたいところは結構あるのですが、やめておきます。まぁマニュアルなんてこんなもんだという見本として下さい。
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