ASUS A7V600

初出 2004.2.27

ほぼ1年ぶりの新記事になります。長く更新をさぼり申し訳ありません。

今回はASUS A7V600の温度測定回路の話です。このマザーは今(2004年2月)から半年前くらいに購入したものです。前回のA7V333に続きASUSマザーの紹介というのも申し訳ないのですが、我慢してください。ASUSのそれもVIAチップマザーなんて理由なしには決して買わないはずなのですが・・・。

A7V600のIT8712F周辺の抵抗、コンデンサ A7V600のIT8712F A7S333とA7V333の記事でも紹介していますが、ASUSの最近のSOCKET Aマザーは、ASUS C.O.PというCPUオーバーヒート防止機能を備えています。もちろんA7V600にもその機能が備わっているとマニュアルには書いてあります。

この機能には、A7S333ではW83L785RというLSIが、A7V333ではASB100というLSIが使用されていました。ところが、A7V600にはこのどちらのLSIも搭載されていないのです。一体全体、どうなっているのか。そもそも、同じ系列のマザーで同じ機能を実現するのにどうしてそれぞれに違う回路を使うのだろう、という疑問さえわかなければ、このマザーを購入することはなかったはずなのです。

不思議に思いながらも、とりあえずスーパーI/Oチップに何を使っているのだろうかと見てみました。A7V600ではスーパーI/OチップがITEのIT8712Fになっています。このチップは温度測定機能を備えていてthermal diodeにも対応しているチップです。

ふーんなるほど、するってえと、このチップでC.O.Pを実現しているのかな?と、IT8712F周辺の抵抗、コンデンサ群の配線を調べ、温度測定回路がどうなっているのか確認してみました。

A7V600の温度測定回路
A7V600のCPUソケット内のサーミスタ これが、A7V600の温度測定回路です。
IT8712Fでは3系統の温度測定が可能ですが、そのうちの2系統だけを使用しています。センサ1の89番端子はCPUソケット内にあるR74(右の写真の中央にある黒いチップ)というサーミスタに接続されており、センサ2の88番端子はIT8712Fの上、CMOS用電池のすぐ下にあるR298というサーミスタに接続されています。センサ3の87番端子は使用されていません。

マザー付属のCDに入っているASUS PC Plobeというモニタソフトでは、センサ1(R74)をCPU温度、センサ2(R298)をマザー温度と表示しています。BIOSでも同じ温度が表示されますし、MBM5をインストールして確認したところでも同じ結果です。

ASUS PC PlobeとMBM5を動作させてみて、おもしろいことに気が付きました。温度表示とファン回転数表示は両方のソフトで完全に一致するのですが、電圧表示が微妙に違います。
MBM5では電圧表示設定がいくつか選べるのでどれを選んでいいのか悩んだ結果、IT8712F Standard 2という設定が一番それらしい電圧表示になったのですが、ASUS PC Plobeとほんのちょっと違う値になるのです。たぶんMBM5の設定がうまくいっていないのだと思います。
違うと言っても、Vcoreが1.74Vと1.718V、3.3Vが3.28Vと3.248V、5Vが4.96Vと4.919V(左がMBM5で右がPC Plobe)と言うくらいの違いしかありませんので、気にしないことにすればいいんですけどね。
さて、IT8712FではCPUのthermal diodeを使用していないことが判明しました。
またしても、拡大鏡とテスターを両手に持ってマザーの配線を探し回るのかと思うと一瞬がっくりきましたね。最近年のせいで老眼が進んできていて、細かいパターンを見るのが本当に疲れるんです。仕方ないので探しましたけどね。

A7V600のATTP3 A7V600のATTP3周辺の抵抗、コンデンサ 結局このLSIに接続されていることが確認できました。BIOS ROMの上あたり、5mm角くらいの小さなLSIです。

写真がうまく写っていないですね。Attansic ATTP3 0306と書かれています。最後の0306というのは製造週だと思います。このLSIはいったい何なのか。

ほとんど期待せずにGoogleでAttansic ATTP3を検索してみました。結果は、"Attansic ATTP3に該当するページが見つかりませんでした"です。残念。それではと、Attansicだけで検索してみると・・・、http://www.attansic.com/がトップでひっかかってきたのです。

そして、そのProductsのページに、ATTP1というLSIがあり、その説明に"Over Temperature Protection Controller"と書かれているのを発見したのでした。ビンゴォ。

残念ながら、ATTP3というLSIの情報はどこにもありませんでしたが、たぶんATTP1とほぼ同じものだろうとあたりをつけて、ATTP1のdata sheetをダウンロードしました。驚いたことに、data sheetが6ページしかありません。
1ページ目は表紙、2ページ目はdata sheetのリビジョン履歴、3ページ目がATTP1の機能の概要、4ページ目がピン配列、5ページ目はチップの寸法、6ページ目はAttansicという会社の紹介と連絡先で、実質3ページ目〜5ページ目のたった3枚の紙がdata sheetです。完全に情報不足です。だって、data sheetに書いてあることが全部ここに転記できるんですから。
1. General Description
ATTP1 is system over temperature protection device and is equipped one Thermo Diode and one Thermistor sensing inputs.When the temperature reaches the preset trigger value(Over Temperature Protection, OTP, event occurred), PSON_OUT is pulled up to turn the system power off, and a siren signal is sent out. PSON_OUT will keep logic high until AC/5VSB power loss, or PWRBNT pressed. The trigger temperature/value of Thermo Diode and thermister can be individually set by the corresponding external resister.
2 Features
Two sets of temperature sensing mechanism
- One Thermo Diode input for embedded therrmo diode in CPU
- One Thermistor input supporting legacy CCPU

Programmable trigger temperature by external resister

OTP event latched until power loss, or pressing Power Button

Real time monitoring and reacting(Less than 1μ second)

Siren alarming users during OTP event occurrence

Accuracy: ±5℃

Package: SOP 8-Pin
Attp1のピン配置
面倒なので訳は書きません。どうしても訳が知りたければ、どこかの翻訳サービスサイトでも利用してください。この程度の文でしたらたぶん結構いい訳文を出してくれると思います。

一番下のピン配置だけ、少し説明しておきます。

1番ピンは、温度が設定点を超えた場合のサイレン(警報)出力です。
2番ピンは、GND。
3番ピンは説明がないのでよくわかりませんが、全体の機能説明では、外部抵抗で温度設定を変更できると書いてありますので、その入力だと思います。
4番ピンは、ダイオード電圧の入力で、これがthermal diodeに接続されるはずです。
5番ピンは、サーミスタ電圧の入力です。
6番ピンは、温度が設定点を超えた場合のシャットダウン用出力です。
7番ピンは、VREFとなっていますので、基準電圧出力でしょう。
8番ピンは、マザーの5VSBに接続されます。

そして、A7V600でのATTP3の回路がどうなっているのかというと、
A7V600のATTP3の回路図
thermal diodeの回路は、7番のVREF:基準電圧から抵抗R3304を直列にして電流を供給し、その両端電圧を4番に入力するという回路で、これまでのthermal diodeによる温度測定回路と同じです。残念なから、R3304の抵抗値が不明です。抵抗の背には「90C」と書いてあるようなのですが、これがどの程度の抵抗値かということがわかりませんでした。基盤に取り付けられたままでは、テスターで測定しても正確な値は判明しません。一度取り外して測ってみる必要がありますが、その際にマザーを壊してしまいそうな気がして怖いのです。そのうちに測ってみます。
また、VREFの電圧値もまだ測っていません。これもそのうちに測ってみます。

このマザーで、もしthermal diodeの内蔵されていないCPU(古いAthlonやDuron)を使うとどうなるかというと、4番端子はR3304を通してVREF電圧が入力されることになりますので、Over Temperature Protection (OTP)は作動しません。ということは、thermal diodeをこの回路から切り離しても大丈夫ということになります。なぜこんなことを書くかというと、ASUS C.O.P機能を殺してでも秋月温度計を使いたい場合は、thermal diodeをこの回路から切り離して使えるということなのです。
もちろんA7V333の測定誤差でやったように、C.O.P回路を活かしたままで、秋月温度計を接続することも可能ですが、なにせVREFは測定していないし、R3304の値も判っていないもので・・・。

5番のサーミスタ入力端子は、直接VREFに接続されています。解放またはGND接続だとOTPが作動してしまうためでしょう。
1番のサイレン出力、6番のPSON出力は、ともに10kオームで5VSBにプルアップされています。

7番のVREFからは、R3305、R3310という抵抗を通してQ3301、Q3302というFETらしきものに電圧が供給されていますが、これが何のためのものかは不明です。

SIREN、PSON_IN、PSON_OUTがどこにつながっているかはまでは調べていません。面倒だったんです。何度も言いますが、老眼の進んだ目では細かいパターンを追っかけるのがとても疲れるんです。

この回路をしばらく眺めていて、昔作った千石電商の「サーモ・コンバレータ キット」(thermal diodeの個体差 その3参照)に非常によく似ていることに気がつきました。そう言えば、設定した温度になると動作するところなんかそっくりです。

今回、ATTP3とATTP1というLSIがあるということを確認できたのは大きな収穫でした。
私の手元にはAthlon用マザーがあと2枚、Aopen AK79D-400VNとGigabyte GA-7VT600-Lがあるのですが、両方ともATTP1が搭載されているのです。この2枚のマザーの回路については、またの機会に。(使う予定もないのにマザーを買いあさる癖を何とかせなあかんなぁ。)

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