『フォード小隊は、上空で待機、オルズ小隊が爆撃中、11時の方向より敵機接近中!』

「こっちの正面だ、迎撃する、すれ違いだスラッシュ、気を抜くなよ!」

『了解』

相手の四機とこちらの二機がすれ違うと同時に機体を上昇させた、

キャノピーの上に敵の機体の真後ろが見える。

相手の内遠い所の二機は、急降下で離脱し

残り二機が右ヘの旋回でこちらへ戻ってくる。

『F-16か、厄介だな。』

「着いてこい!一度離脱する!」

上昇から一転、左回りの螺旋で高度を一度落として様子を伺う、

相手も急降下でこっちの出方を伺いながら付かず離れずの距離を取る。

『鴨が来たな』

「ああ、今ならロクに回避行動も出来ない筈だ」

固定武装の機銃のみ装備した二機のSu-25は、

高度300メータ前後を飛行していた四機のA-6の上から襲い掛かった

にらみ合いを続けたまま五機の戦闘機は海上油田の上まで来ていた、

一度離脱した二機のMigが戻って来たがその時には一機のF-16をスラッシュが撃墜していた。

二機のMigは、ベトナムで数多の米軍機を撃墜した一撃離脱戦法……高高度からの襲撃を試みた物の

後方を飛行する味方のAWACSからの警告で難を逃れることが出来た、

「スラッシュこいつらは、無視する!あのイントルーダーの援護に回る」

味方の護衛機も相手の防空部隊との交戦でこちらまで手が回らない

「目標まで5キロです!」

「低空から突っ込む!」

『コールサイン不明のイントルーダー!左へ旋回しろ!左上から突っ込んでくるぞ!』

「全機回避!左旋回だ!」

機体をバンクさせながら上空を見上げたが太陽の光で相手が見えない

無線に一瞬ノイズが入る、

『02よりリード、03、04、が一撃で食われた!』

「もう一度旋回して爆撃コースに乗せる、付いて来い!」

二機のSu-25の後へ回る、耳元で断続的な信号音が聞こえる、

ミサイルの射程圏内に相手を捕らえたがIRホーミング(赤外線誘導)の

ミサイルの弾頭がまだ相手を完全に捕らえていない、

『ケツに付かれた!振り切れ!』

激しい空戦運動の最中に、一瞬だけ空を見上げる、スラッシュの姿が見える、

後ろに付いたSu-25後方上空へ付こうとしてる、

あと少しだ…

あの国に見切りを付けた理由は、簡単な事だった、

一言で言えば莫迦な指導者たちに付き合いきれなくなった、

それだけの事だった

そして俺は、ある計画に参加した、

莫迦な指導者の道楽、軍事パレードの最中に

演壇を目標に実弾演習をした、それだけの事だった。

その時国がどうなるかは、考えてなかった、

今分かってる事は、その国がこの地球上から消えた事と

残された唯一の肉親である兄が資産家になった事だけだった、

「投下しろ!」

二機のA-6は、合図と共に八発の1000ポンド爆弾を投下した、

機体への被害を防ぐ為に投下と同時に後部につけられたエアブレーキが開く、

油田に設置された対空砲が離脱する攻撃機へ射撃を続ける、

そして激しい光と轟音に油田は、包まれた。

気が付いた時には、総てが手後れだった、

不意に前に飛び出してきた味方の雇い主側の戦闘機とこちらの機体が接触した、

反射的にフェイスガードを下ろして椅子のレバーを引く

ロシア製の射出座席と共に機体の外へ飛び出した、

何が起きたのか一瞬分からなかった

『後ろの敵は、墜ちたぞ、12時にボギー、まだこちらに気が付いてない』

「状況が飲み込めない、落としたのか?」

『仲間同士でぶつかった、俺は、追い回しただけだ』

「オルズ01、エンジンに火が付いた、ベイルアウトする」

強行爆撃のツケが回ってきた、

AAかSAMの破片でエンジンの何処かがやられたのは、確かだった、

ナビゲーターが脱出する、

「あとは、好きなように飛んできやがれ!」

愛機へ乱暴な別れの言葉を告げると彼も脱出した。

一瞬でキャノピーがくだけ散った、

機銃の射撃時だけ機体を直進させてすぐラダーを蹴りながら上昇させる、

露骨に後ろを捕ろうとしていた、そして後方の警戒を怠っていたMigが爆発した、

『これで二機めだ!』

『レーダー上に敵の増援部隊を発見、10分で交戦空域へ到達、

こちらの助っ人が迎撃に向かってる、貴隊は、直ちに離脱せよ!』

「了解、これより離脱する」

北側から八機の戦闘機が接近してくるのが見える

『こちらブラウンリーダー、スカーフェイス01、任務を引き継ぐ!』

「スカーフェイス01、ブラウンリーダー、あとは、お願いします」

デルタ翼とガーナードの付いた戦闘機、R-M01だった、

『海兵隊の新型ですね』

「新型か、いいな」

この後、暫くしておれは、ある意味で乗り馴れた新型へ乗り換えることになるとは、

想像も付かなかった、できるだけ人を殺さずに生き残る事、その事ばかりに気が向いていた

『どこの組織の階級で呼んだら良いかな?』

「人民空軍準尉以外なら何処の呼び方でも構わん、好きにしろ!」

こいつらと俺の違いは、何だろうか、

国を見捨てた傭兵と国の為に戦う兵隊、

こいつらは、自衛用の拳銃を持っていたがこちらは、何処かに無くした、

『こいつでも食ったらどうだ?それから彼も私達と同じ立場だ、

あんまり手荒なマネは、するな』

救難ヘリの羽音が聞こえる、あの時のように

一つだけ共通している事があったか、

共に機体を失って、救助を待つ哀れなパイロット、

其れが彼等との共通点だった。

その機体は、一族の最後に産まれた機体だった。

軍縮とメーカー救済、両者を天秤にかけた結果と思い掛けない事故、

それが、この機体の産まれた結果だった、

通算726号機めの

トムキャット

F-14Bだった


NEXT MISSIONMISSION 06

GREASED LIGHTNING