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『七色いんこ』に関するリサーチ

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二つの外伝(1)『七色いんこの国際漫画祭ルポ』
二つの外伝(2)『タマサブローの大冒険』
『三文オペラ』のおちょくり
『俺たちは天使じゃない』の『少年チャンピオン』

二つの外伝(1)『七色いんこの国際漫画祭ルポ』

 この作品は1982年2月26日号の週間少年チャンピオンに掲載されました。内容は「1月29日から31日までフランスのアンクレームで国際漫画祭が開かれました。七色いんこは手塚治虫先生にくっついてこっそりもぐりこみました。これはそのレポートです!!」というもの。「オズマ隊長」を思わせるスタイルですが、絵のほうがずっと多いです。ただしトビラ含め3ページですが。
 七色いんこはトビラで早速「あんまり金を持っていそうなやつはいねえな」と言い、手塚氏に「おい、ここではあんまり商売っけを出すなよ」とたしなめられています。アンクレームへは国鉄で向かい、先では「文化大臣に握手され」「ガタガタになった」ようで…。最後には「ずいぶんたくさん フランスのマンガの原稿をかっぱらってき」ましたが、「みんなオレ(手塚治虫)の原稿」だったというオチがついて終わります。
 ところで、作中、アングレーム行きの国鉄の中で2列の席のほうに手塚治虫と玉サブローが座り、1列の席のほうにいんこが座っていて。なんか妙に感じるところです。
 この作品は全集の『手塚治虫エッセイ集(3)』に収録されています。このことで『七色いんこ』は全集に全話収録されることとなったのでした。
 (文中の引用文はすべて表題作から。この作品の本文には句読点は打っていない)

(1999.11.28設置)
(2002.05.05修正)

二つの外伝(2)『タマサブローの大冒険』

 この作品は『七色いんこ』の連載終了直後、1982.06.04号の週刊少年チャンピオンに掲載されました。(以後『ブラック・ジャック 過ぎ去りし一瞬』、『プライム・ローズ』と途切れることなく続きます。)
 主役は『七色いんこ』で出てきた玉サブロー(ここではタマサブロー)です。彼がダンボール箱に乗ってどぶ川を流れてくるところから始まります。タマサブローは野犬収容所に入れられ(『七色いんこ 南総里見八犬伝』のそれとは別)、そこから殺されまい(?)とするタマサブローの大奮闘が始まるのです。
 まず、盲犬を助けたのを買われて、盲導犬になることになりました。しかし車道の真中で人間をほっといて犬を助けてなかったことに。それで毒薬の実験台にさせられそうになったら人間を酒に酔わせておいて・・・。
 そんなある日、タマサブローはテレビに映るメス犬の姿を見ました。そしてその犬の家まで押しかけていくのですが、なにせ相手はギャラの高い名犬で見向きもされません。
 ところがタマサブローが何度かまた収容所を出入りした頃、収容所に例のメス犬が現れたのでした。足を折って使い物にならなくなり、ポイとばかりに捨てられたとか。タマサブローとその犬とのつかの間の恋。
 ある日、メス犬は白いというだけの理由で核実験の実験に使われることになり、連れて行かれる。タマサブローは収容所を飛び出し・・・・・(あとは本編を)
 こういった話がおとぎ話のようにヒョウタンツギによって語られます。
 なんとなくタマサブローファンへの配慮のような作品です。
(収録)
『七色いんこ(7)』 手塚治虫漫画全集 講談社
『七色いんこ(5)』 秋田文庫 秋田書店

(2000.01.15設置)
(2002.05.05修正)

『三文オペラ』のおちょくり

 第29話『三文オペラ』に出てくる「連帯」のボス・百済内三は二頭身半・・・。彼が石河知佳に恋するのですが、その母、石河ジュンは彼のことをこう評しています。「なにが男っぽいもんですか!あんな短小」「小山田いくのマンガみたい!!」(*1)……
「小山田いく」とは、当時チャンピオンに実質的なデビュー作『すくらっぷ・ブック』を連載していた漫画家です。この作品の中に出てくる主人公らが二頭身に描かれているのをなのをおちょくっているわけです。当時『七色いんこ』は『すくらっぷ・ブック』と似たような場所に載っていましたので、それを意識していたのでしょうか。また、小松左京との対談にも『すくらっぷ・ブック』については出てきています。
 一方、おちょくられた小山田いくは、そのころとり・みきや神矢みのるとおちょくりあいをくりかえしていて、手塚治虫がおちょくった号では前記の二氏+手塚治虫に集中的におちょくられる結果になっていました。その次の号には「先週はもー」「集中的におちょくられたなー」と落書きしてあります。
 『三文オペラ』に話を戻すと、知佳の母親(これがひげを生やして……)の石河ジュンは漫画家名。校長の吾島しでおは吾妻ひでおの自画像そのものであり、 これまたいんこに「背の低い男に化けるのはやりきれない」とやられています。そしていんこはこの二人を結婚に導く……
 最初には手塚治虫も登場することもあり、この回はこういったネタに満ちているのです。

*1:コミックス版には「小田山いく」となっていますが、言いたいことは同じでしょう。

(2000.04.30設置)
(2002.05.05修正)

『俺たちは天使じゃない』の『少年チャンピオン』

 『七色いんこ』第34話『俺たちは天使じゃない』のラストシーン。いんこは少年チャンピオンを見せながら自分の事を「天国から来たチャンピオンさ」といい、イルミにそれを渡して走り去ります。
 このシーン自体現実と作品中の世界が交錯するようで奇妙な味わいがありますが。とはいえいんこが持っている少年チャンピオンの表紙は七色いんこの他にブラック・ジャック、ドラキュラ(『ドン・ドラキュラ』)の揃い踏みです。この三者はそれぞれ『七色いんこ』『ブラック・ジャック』『ドン・ドラキュラ』の主人公であり、掲載時期も違い、『七色いんこ』中にはブラック・ジャックやドラキュラはゲストとしても登場しないことから架空のものと思われたのではないでしょうか。
 ところがこの表紙は実在するのです。(リアルタイムで読まれた方はとうに御存じなのでしょうが)この『俺たちは天使じゃない』が掲載された前の週の『週刊少年チャンピオン』には『七色いんこ 結婚申込』(これは年始企画じみている)の他に『ブラック・ジャック』の読みきり『B・Jそっくり』が掲載されていたのです。その『ブラック・ジャック』にはゲストとしてドラキュラが登場しているので、あの表紙となった訳です。それが『俺たちは天使じゃない』に描かれたわけです。
 なおこの表紙は、『手塚治虫大全』(秋田書店)に収録されています。

(2001.01.01設置)
(2002.05.05修正)

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last updated at 2004.04.02
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