タイトル 著者 出版社
寄生虫館物語
可愛くて奇妙な虫たちの暮らし
亀谷了 発行:ネスコ
発売:文藝春秋社
「バオー来訪者」(荒木飛呂彦)
「カスミ伝」(唐沢なおき)
「ただいま寄生中」(あさりよしとお)
日本三大寄生虫漫画てえと、こんなモンですかねえ。

そいや高口里純も、ホラー漫画でサナダムシが(以下略



レア度って観点じゃ今更なンですが。
MPM(Meguro Parasitological Museum)こと目黒寄生虫館へ、過去何回か行ってまして。
売店で絵葉書やら本やらトートバックも買ったりもしましたねえ。
‘90年代のバブル期頃から「デートスポット」として注目されて以来、すっかりメジャーになって、嬉しい様な悲しい様な気分ですが(笑

この本、目黒寄生虫館創設者にして名誉館長の亀谷了氏の寄生虫にまつわるエッセイ、そして寄生虫館設立の苦労話をまとめた物ですわ。
まず、ちょいと亀谷氏の紹介を。

明治42年(1909年)岐阜県生まれ。
平壌中学・山口高校を経て昭和11年長崎医大を卒業。
昭和14年満州鉄道入社。
終戦後昭和22年に帰国し、日本生物科学研究所に入所。
昭和23年に同研究所を退社、目黒に内科小児科診療所を開設する。
昭和28年、世界初の寄生虫専門博物館「目黒寄生虫館」を設立。


一時開業医になった理由は、研究所務めでは生活が成り立たないからとの事。
その後長い間温めていた寄生虫館の構想を実現させた訳ですが、戦後間も無い頃に際物と紙一重な博物館を設立した氏の情熱には頭が下がる思いですわ。

本書では氏と寄生虫の「出会い」は具体的に書かれていませんが、氏の寄生虫を含めた生き物に対する思いが綴られてまして。

宿主と寄生虫の間には、ひとつの協調ができていると僕は思っている。おたがいが生きていく(共存していく)うえでのルールが確立しているのだ。とはいうものの、今日でも、人や動物に致命的な害をする寄生虫がいることも確かである。後述するが、それは、本来、寄生すべきでない動物に、寄生虫がいってしまった場合がほとんどである。
(中略)
僕は医者の立場からは、寄生虫に攻撃を与えなくてはならない。しかし寄生虫も、この世に生を受けた神の子の一人ではないかと考えると、とても寄生虫を憎むことはできないのだ。


例えばエキノコックスなんざは北海道で「キタキツネ〜ネズミ」の食物連鎖の中で大人しく共存していたはずが、人間が野生動物のテリトリーを侵すに連れ「恐ろしい寄生虫」とのイメージができてしまった、と云う訳で。

勿論これには人間側の「寄生虫の正確な情報」の無さも原因となっており、その啓蒙がそもそもの寄生虫館設立の理念ですわ。
今でも寄生虫館では、正しい予防方法や海外渡航の際の注意がきちんと紹介されてます。

それはそれとして。
相手を正しく認識するってのは、寄生虫に限らず全ての生き物との付合い方、しいては対人関係にも云える事かもしれませんねえ。
ま、小難しいことを考えずに興味本位で読んでも面白い本だと思いますわ。

きしめん食べる時だけはお勧めできませんが(ニヤリ
(’05.06.19)




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