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  中土(JR西日本・大糸線)

1.ホーム

 

2.駅舎

 

3.駅前通り

【駅概略】

大糸線・南小谷駅から北へ1駅目,4.0kmの地点にある無人駅。1935年に開業した後,1957年に大糸線が全通するまで,大糸南線の終着駅だった。そのためか,途中駅になってからも一時は電報の打てる駅であり,終着駅の雰囲気を残していたという。1995年の姫川災害で大きな被害を受けたが,97年に復旧した。

 

【駅データ】

駅名

中土(なかつち)

所在地

長野県北安曇郡小谷村中小谷池原下
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1935年11月29日(国鉄大糸南線として)

乗降客数

駅名のルーツ

以前にあった,中谷村の「中」と土谷村の「土」をとった合併地名。

 

【停車本数データ】

1944年12月(大糸南線)

4往復

1956年12月(大糸南線)

4往復

1968年12月

9往復

1987年4月

10.5往復

2005年7月

7往復

 

【訪問記】(2005年8月)

糸魚川から南小谷行き2番列車に乗り,中土駅で下車。元・終着駅という触れ込みに惹かれてやって来た。

期待を胸に駅舎を出る。が,終着駅の面影は全くない。全く何も感じない。ちょっとがっかりする。よくあることだが,あまりに期待が大きいといざ現地に赴いたときにこういう結果になる。

それでもここでは1時間みてある。とりあえず集落内をくまなく見てまわることにした。といっても非常に小さな集落なので,10分もあれば全部見てまわれそうだ。

駅前通りをまず北に向かい,左に折れて小道を登り,高台から集落を見下ろす。そのまま進むと舗装路に出て,砂防(治山?)ダムを右手に眺めつつ道なりにカーブを下ると中土駅のほぼ目の前へ出た。そこを右に曲がって少し行くとすぐに家並みは途絶え,あっけなく集落見物は終了した。

一通り見てまわったけど,やっぱり何も感じない。よくある山間の一集落だ。終着駅の雰囲気など微塵も感じない。途中駅としての48年の月日が周辺の面持ちを変えてしまったのだろうか?

あきらめて駅に戻ろうと振り返った瞬間,目に飛び込んできた光景(写真3)にふと足を止めた。と,同時に何とも言えない違和感に襲われた。

・・・・・・んー?

単なる思い過ごしと言われそうだが,よく見るとかすかに駅前商店街の匂いを感じる。「中土駅前」なのだからそれは当然だが,「よくある山間の一集落」なら商店街自体発達しないことが多い。ところがこの光景からは集落の規模に比してあまりに立派な感じのする商店街の匂いが嗅ぎとれるのだ。

急いで駅前に戻り,目の前にそびえる建物をじっくり観察してみた。おかしい。民家にしては造りが変だ。どちらかと言えば宿に近い。そういえば中土駅には終着駅の常として駅前宿があったという。もしかしてこれは元・駅前宿(今も宿業をしているのかもしれないが)なのだろうか?

それからはもう一度集落内を1軒1軒じっくり見てまわった。傍から見れば完全に不審人物である。しかし,おかげでいかにも宿だったとおぼしき建物をいくつか発見することができた。ほかにも味のある建物が並んでいる。中土はじわじわと終着駅の雰囲気を感じさせてくれる集落だった。

ただし,今回見たものは「多分そうだったんだろう」という思い込みに過ぎない。証拠は全くない。全くないが,旅の醍醐味の一つは過去を想像することにあると思う。大きな満足感のうちに南小谷村営バスに乗りこみ,南小谷駅へと向かった。


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