研究題目

清涼飲料と果物の糖分、糖度調査   


動機および目的

 私たちはこれまで、スギ花粉測定、校内のダニ調査、タバコの害、食品中の塩分調査など、健康に関することを研究テーマに取り組んできました。  今回の清涼飲料などの糖分量、固形分量についての研究は、実は昨年から塩分調査とともに開始していました。昨年は糖度計が買えなかったので、加熱で水分 を蒸発させて固形分を測りましたが大変苦労しました。今年は糖度計を買って調査しました。


(説明)

(1)ジュースの糖分や固形分を検査している山口県工業技術センターを訪ねました。

(2)職員の方からジュースの検査方法について説明を受け、資料をもらいました。数十万円のデジタル糖度計も見せてもらいましたが、原理的には光の 屈折現象を利用しているので私たちのものと変わりないとのことでした。

(3)まず昨年、加熱蒸発で固形分を求めたファンタグレープ、コーヒーオリジナル、アクエリアスイオシスについて糖度を測りました。

(4)次に果物の糖度について調べようとスーパーに出かけました。

(5)リンゴ、メロン、バナナ、それに粒ごとに糖度が違うのだろうかとブドウ、トウモロコシなど調べました。スライドの右下2本が糖度計で、左が0 から32%まで、右が0から90%まで測定できる糖度計です。

(6)メロンはだんだん甘くなるか、またどの部分が甘いかを調べるため、さいころ状に切りました。右の糖度計にガーゼ越しにしぼった汁を数滴落とし ます。

(7)透かしてみて、色の境目の目盛りを読みとります。メロンの糖度はおよそ10%です。

(8)測定したあとは流し水で洗い、乾いたガーゼで拭き取り、次の測定に移ります。


(表1)「塩分、糖分が引き起こす病気と摂取目標値」

 塩分のとりすぎは脳卒中や高血圧を引き起こします。昨年発表したように、塩分は1日に1gで充分なのだそうです。ところが日本では1日平均13g も、とっているそうで、日本の厚生省は1日10gを目標にと呼びかけています。  同じように、砂糖や果糖のとりすぎは体の中性脂肪を増やして、動脈硬化を引き起こし、肥満、糖尿病、心臓病、虫歯につながるそうです。13才から14才 の中学生の目標値は砂糖1日20gだそうです。また体重1Kgあたり1日1gが上限だそうです。体重50Kgなら砂糖50gが上限ということになります。  果物はビタミンCをたくさん含むので、たくさんとるほど健康によいと思っている人が多いのですが、甘い果物は果糖も多く含むので、適量にしないと糖分の 取り過ぎになってしまうそうです。塩は10g、砂糖は20gを基準目標値として、これから糖分について調べた結果を発表していきます。


(表2)「清涼飲料の糖分について」

 昨年、根気強く加熱し水分を蒸発させて、固形分を求めました。最後の最後までこがさないで測定するのは大変な作業でした。そうして求まった固形分 はファンタグレープ40グラム、コーヒーオリジナル27グラム、アクエリアスイオシス15グラムでした。アンバサホワイトウォターとコカコーラはなかなか 蒸発がうまく行かず、ビーカーが割れてしまい、測定できませんでした。  今年は糖度計で、糖度と質量で計算によって糖分を求めました。結果は、ファンタ12%で42g、コーヒーオリジナルは9%で23グラム、アクエリアスイ オシスは3%で11グラムでした。  そしてびっくりしたのは昨年苦労して求めた固形分と糖分の量がおよそ一致していることでした。つまり、なかに溶けている固形分はほぼ糖分であるといえそ うです。昨年測定できなかったアンバサホワイトウォーターは11%で39g、コカコーラは10%で35g、他にネクターピーチは10%で25g、スコール は12%で42g、味わいカルピスは13%で29g、ブリッジオレンジジュースは10%で10g、カルピスウォーターは10%で35gとなり、多くの清涼 飲料は1本で基準の1日20gを越えていました。ファンタやスコールの42gは角砂糖で6個分に相当する驚くべき結果でした。1.5リットルのペットボト ルでぐいぐい飲むと恐ろしいことです。  ペッツボトル症候群という清涼飲料の飲み過ぎによっておこる急性の糖尿病は急激な意識混濁や昏睡状態を引き起こし、放置すれば死に至る危険な病気だそう です。


(表3)「果物の糖度」  

 結果は10%から20%になり、バナナは果汁がとりにくかったのですが、20%と最も高くなりました。ブドウはデラウェアが19%と高く、ベリー Aが16%、キャンベルが11%となりました。種類の差もあるでしょうし、熟し方の差もあるようです。  果物もほぼ清涼飲料と同じくらいの糖度になりました。果物の果糖という糖分のとりすぎへの注意がうなずけました。


(表4)「果物のどの部分が甘いか」

 ポイントはへたに近い部分か、遠い部分か、種に近い部分かなど4ヶ所調べました。その結果、へたから遠い部分が甘かったのは、メロン、リンゴ、バ ナナ、キウイとなりました。傾向としては、へたから遠いほど甘くなっているようでした。しかし、測定方法やサンプルの数、実ったときの条件など複雑そうで す。粒の多いブドウの場合は、どうなっているだろうかと疑問に思い調べることにしました。


(表5)「ブドウはどこが甘いか」

 最初に調べたのが種なしのデェラウェアで70粒あり測定するのは大変な作業でした。10粒づつの平均値はへたに近い方から、17.0 17.3 17.6 18.7 18.8 20.9 21.7と、へたから遠くなるほど甘く、その差は4.7%もありました。ところが、子供向けの科学雑誌には「へたに近いほど甘い」と、私たちの結果と反対 の内容が書いてありました。そこでベリーAの35粒についても調べました。するとへたに近い粒の平均が16.5 遠い粒の平均が15.6と1.1%の差でヘタ近くがわずかに甘くなっていました。キャンベル34粒については中央が甘いという結果になりました。  さて本当のところはと思い、山口農業高校にたずねました。甘さを決める要素は2つあるとのことでした。一つは葉で光合成によってつくられた糖が茎から、 ヘタを通って運ばれ、果実の手前から蓄えられる。その一方で果実自体も日光を受けて光合成を行い、糖分を作って蓄えるとのことでした。この2つのことか ら、光の当たり方が同じならヘタ近くが甘くなるはずですが、ヘタ近くは葉が上からの光をさえぎることが多く、そうならないことも多いとのことでした。


(表6)「メロンはだんだん甘くなるか」

 上のグラフが中心部、下が周辺部の糖度変化です。10日あまり測定しましたが、中心部の方が2%くらい甘いまま、時間による変化は余りありません でした。今回は冷蔵庫に入れたままだったので、これからの課題として、光合成の条件のあるなしも考えて、「カキやバナナが熟していく」のを、糖度計で確認 してみたいと思います。


(まとめ)  

 糖度計で清涼飲料の糖分を調べ、1本に含まれる糖分の多さに驚きました。ペットボトル症候群という急性糖尿病のこと、果物の果糖もとりすぎに注意 することなどが分かりました。果物の甘さが場所によって違うことの理由もおよそ分かりました。これからも塩分や糖分について、チェックしながら、バランス のとれた食生活を心がけたいと思います。


平成8年度 山口市科学研究発表会(山口市教育委員会主催)にて発表


参考にした図書・事項など


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