ブロ−ドバンド 2002−11−15
井 上 浩 芳
我が国でインタ−ネットが本格的に普及し始めて、5年ぐらいしか経たないが、今ではインタ−ネットの契約件数が、5,000万件を越えているそして昨年の9月にソフトバンクがブロ−ドバンド接続に参入して、一気にADSLが普及した。本年10月末現在で、ADSL、CATV、光ファイバ−等のブロ−ドバンド接続が、460万件に達した。(総務省発表)
常時接続で3,000円を切るADSLで、我が国のブロ−ドバンド普及に大きく寄与をしたソフトバンクは、今年の5月にIP電話(
インタ−ネット電話)に参入した。 市内・市外関係なく、3分 7.5円。 しかもアメリカにかけても、同じく 3分 7.5円。 また、送信・受信 両方ともソフトバンクのIP電話だと、電話代が無料になる。勿論、電話番号も変わらず、電話とインタ−ネットとも同時に使え、電話機もそのまま使える。
閑話休題 人間の耳は40KHz(40kbps)ぐらいしか聞こえないので、電話は20KHz程度以上の高い周波数はカットされている。この電話線に500倍(8−12Mbps)ほどの周波数の情報量を重ねて送るのが、ADSL(xDSL)である。
パソコンの手前のスプリッタで、低周波の電話の波と、高周波のインタ−ネットの波とを、分離又は合流させる。
パソコンの発達で、高周波による大量の情報量でも、処理できるようになった。

このIP電話の魅力で、ソフトバンク加入数は、9月に念願の100万件を越え、さらに10月の新規契約が20万件以上と、驚異的な伸びとなっている。
これに驚いた従来のプロバイダ−は、IP電話で大同団結し、ソフトバンクに対抗する事になった。また、ブロ−ドバンドの先輩である各地のCATVは、今まで、おっとり構えていたが、フュ−ジョン・コミニケ−ションと技術提携し、電話ビジネスに参画するらしい。
閑話休題 このフュ−ジョンは、マイラインで大騒ぎしたとき、IP電話を武器に、全国どこにかけても3分20円と格安なため、一定の顧客をつかんだ。しかし、フュ−ジョンのIP電話は、電話局間がIPであり、電話機から直接IPになるシステムに対し、NTTの電話局を通す分、コストが高くなる。

プロバイダ−同士の大同団結は3グル−プになるらしい。
閑話休題 Biglobe(NEC)、DION(KDDI)、ODN(日本テレコム)、hi-ho(松下)の4社連合と、OCN(NTTコミュニケ−ション)、Nifty、So-net(ソニ−)の3社連合、および Yahoo BB(ソフマップ)の3グル−プである。

IP電話では、各グル−プ内の会員間で、電話代が無料である。世の中の電話が全てIP電話になり、更に、3グル−プ間でも交流する事にでもなれば、なんと全国の電話が、かけ放題になる。そんな時代が遠からず来るかも知れない。
2−3年前に、NTTの宮津社長が、電話代は距離に関係なくなるであろう とに述べていたが、それが更に早まって、無料になる時代がまもなくやってくるのである。
閑話休題 インタ−ネットのプロバイダ−には、パソコンメ−カ−系とNTT、KDDI等の通信会社系とがある。IP電話が普及し出すと、通信会社では固定電話の需要が減るので、その普及に対し、及び腰な点がある。
それは、将来は全国に光ファイバ−網を張り巡らせる。その前のつなぎとして、ISDNを普及させようと考えていた昨年までのNTTに似ている。もたもたするNTTをしり目に、ADSLがあれよあれよと、普及した。

このような時代になると、巨大企業のNTT東・西は、生き残りのため、固定契約料金を上げるか、大リストラしかない。
従来の電話交換機を作っていた富士通、NECなどは、NTTからの新規電話交換機の設備投資発注が無くなったため、リストラが始まった。富士通・小山工場など、2工場では 1,100人のリストラである。
技術の発達が、特定の人を不幸にする一つの例である。

さて、このADSLは更に発展する。 ソフトバンクでは来春から、テレビ放送やビデオのオンデマンド(VOD)サ−ビスを実施すると発表している。電話線を通してテレビやビデオが見られるのである。ハイビジョンも可能とのこと。
従来の同軸ケ−ブルによるケ−ブルテレビ(CATV)では、100チャンネルほどを家庭まで送っている。これに対し、インタ−ネットテレビでは、要求のあった1チャンネルのみを送ればよいから、か細い電話線でも、テレビの送信が可能になるのである。

昨年、固定電話の契約で大騒ぎになった。放っておけば自動的にNTTの電話を使う事になるのに不満があった第二電電の要請で、マイライン方式が導入された。各電話会社は顧客取り込みに、しのぎを削った。でも、IP電話になれば、マイラインの契約と関係なしに、IP電話接続が優先になる。昨年の騒ぎは何だったのか。

地上波のテレビがデジタル化する予定である。アナログからデジタルに変わるに当たって、デジタル用の電波を確保する必要があり、今のアナログ電波を一部移動しないといけなくなる。これに伴って、対象地域のテレビの改造費用を、誰が負担するかが問題になっている。また、テレビ放送会社では、デジタル化のために巨額の設備投資が必要だが、それがテレビ放送会社 の経営を圧迫し、さらに地方のテレビ会社は、たちゆかなくなるのではとの議論がある。
インタ−ネット・テレビだと、固定費を殆どかけずに放送が出来るので、このデジタル化時の議論が吹っ飛んでしまうかもしれない。

無線ル−タ−を使ってのモバイル・インタ−ネットサ−ビスが始まっている。 これはマクドナルド店やホテルなど、人が集まるところに無線ル−タ−を設置し、高速インタ−ネットを常時接続するサ−ビスである。(無線スポット、ワイヤレススポット、ホットスポット等と呼ばれている
この無線インタ−ネットを使えば、IP電話が可能になる。人の集まるところに、数万円の無線ル−タ−をたくさん設置し、電話代は無料、というサ−ビスが出てくれば、アンテナ基地局1基作るのに数億円かかる携帯電話は衰退するのではないか。
もっとも、無線ル−タ− では移動時には使えないし、1スポットのテリトリ−が半径50m程度では、過疎地での設置は考えられない。しかし、携帯電話を使うのは、殆どが繁華街であること、また携帯電話にカメラを備えたものが普及しだしていて、高速化が要求されることを併せて考えると、携帯電話地図が、様変わりするであろう。

このように、ADSLは巨人NTT を揺るがしているだけでなく、富士通などの大会社や、テレビ放送会社、レンタルビデオ・ビジネス、映画、そしてこの世を謳歌しているドコモなどの経営にも、大きな影響を及ぼそうとしている。
新宿にある、エンパイヤ−ステ−ト・ビル擬きのドコモ本社ビルも、かっての栄光の遺物となる日が来るのか。


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