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受動喫煙に関した研究とその批判

公益通報者保護法にもとづく公益通報

 

Education and debate

How the tobacco industry responded to an influential study of the health effects of secondhand smoke

受動喫煙の健康影響に関する影響力ある研究に対し、タバコ会社はどのように対応したのか

http://www.geocities.jp/teikyoph/bmj.htm

Mi-Kyung Hong, public administration analyst, Lisa A Bero, professor.

解説

 矢野榮二らはタバコ問題で何をしてきたのか (Tobacco Control誌に掲載)

津田敏秀

すでに1950年代から喫煙とがんの因果関係はさまざまな研究により示されてきたが、

その後さらに喫煙による健康被害により医療費全体が増大し、またニコチンによる

麻薬に匹敵する依存症についても明らかになってきた。またタバコは正常な使い方をして

人体に健康被害を及ぼす唯一の商品であるとも説明されだした。それにも関わらず、

わが国では情報の公開が遅れてきた。そこで重要な役割を果たしてきたのが

学者たちであり、この役割を担ってきた学者の数は膨大である。

受動喫煙の問題が明らかになってきた頃、東京女子医科大学 香川順教授と

帝京大学医学部 矢野榮二教授は、米国などのタバコ会社から

多額の研究資金を受け取り、受動喫煙による害を否定するための研究を行った。

これら学者達による一連のプロジェクトは、タバコ会社の内部文書により明らかになり、

2002年12月、BMJ(イギリス医学雑誌)に研究の結果が発表された。

 

Contents

Watanabe B. A paper to conceal the harm of passive smoking: Did Professor Yano, Teikyo University make commitment? Kin-en Journal (Journal for Smoking Cessation) No 148. 1 March 2003.

Tobacco Control誌に掲載された、帝京大学 矢野榮二教授への申し入れ

The answer from Teikyo University to Watanabe B. Kin-en Journal (Journal for Smoking Cessation) No 148. 1 March 2003.

Tobacco Control誌に掲載された、帝京大学 矢野榮二教授への申し入れ

 

References

Tobacco Control Reference

Tobacco Control誌に掲載された、科学論文の関連資料を掲載

 

タバコ産業から研究費をもらった学者の論文は警戒を要する

研究報告:科学者がタバコ産業から研究費をもらうと研究結果の信頼性が損なわれる。

 

JR西日本分煙訴訟

 

訴状準備書面等

平成 14 年(ワ)第 3929 号 禁煙措置等請求事件 第4準備書面

第4準備書面より

JR西日本が提出した乙号証は内外のタバコ産業が研究者に資金を提供して、

間接喫煙の有害性に関する研究を否定するために作成させたものであることが

最近明らかとなった。被告が提出するこれらの論文は、いずれも東京地方裁判所

に係属している江戸川区分煙訴訟において書証として提出されたものと同一

である。この訴訟において、被告の江戸川区は、これらの書証はいずれも

日本たばこ産業株式会社から提供を受けたものであると述べており、本件に

おいても、被告は日本たばこ産業から提供を受けてこれらの論文を書証として

提出しているものと考えられる。そして、上記訴訟における江戸川区の主張と

本件における被告の主張も共通しており、日本たばこ産業の全面的援助のもとに

組み立てられたものであろう。ところで、これらの論文を日本たばこ産業が

提供するには根拠がある。それは、日本たばこ産業が、1981年以降公式に

認められた受動喫煙の有害性をなんとか否定し、たばこ対策の推進による

販売量の減少を食い止めて、自己の利益を確保しようとする強い動機があるから

にほかならない。果たして、日本たばこ産業が提供した論文は、実は国内外の

たばこ産業が研究者に資金を供与して、間接喫煙の有害性に関する研究を否定

するために作成させたものであることが最近明らかとなった。本件で被告が

提出する論文の類はそのような経過で作成されたものであって、中立性を欠いた

偏狭な立場で作成されたものばかりである。

 

そのことは、一つは、論文自体に示されている。英文の論文には、

謝辞(acknowledgement)が添えられることが多いが、そこに資金提供の事実が

述べられている(被告が提出する翻訳文では、これらの部分が周到に削られている)。

 

たとえば、乙17-1の謝辞(acknowledgement)には、次のような記載がある(p99)。

Supported in part by the Tobacco Institute, this assay represents the independent

thought of authors alone.(この分析は、一部、たばこ協会(Tobacco Institute)の

援助を受け、著者の独立した考えを単独で表わしたものである。)

 

また、乙18-1にも次のように記載されている(p23)。

The funding of this study was made available to Corning Hazleton by the

Center for Indoor Air Research(CIAR), Linthicum,Maryland,United State.

(この研究の資金は、アメリカ合衆国メリーランド州リンシカム(Linthicum)の

屋内空気調査センター(CIAR)によって、コーニング=ハツルトン

(Corning Hazleton)に提供された。)

 

乙19-1も同様である(p212)。

The funding of this study was made available to Covance Laboratories Ltd.by

the Center for Indoor Air Research(CIAR, Linthicum, Md., USA).

(この研究の資金は、屋内空気調査センター(CIAR。アメリカ合衆国メリーランド州Linthicum)

によって、コヴァンス研究所(Covance Laboratories)に提供された。)

 

たばこ協会(Tobacco Institute)というのはアメリカ国内のたばこ会社の団体であり、

屋内空気調査センター(CIAR)というのはアメリカ国内のたばこ会社が寄り集まって、

1988年に設立した機関である。

 

後に述べるとおり、世界保健機関(WHO)などが一貫して受動喫煙が肺がんの原因に

なることを指摘し、2002年6月には同機関のがん研究部門(International Agency for

Research on Cancer, IARC)は、受動喫煙の煙(involuntary smoking)を明白な

発癌物質(Group 1)に分類するなど、受動喫煙の有害性を否定する研究を否定する

政策をとり続けている。これは、これらの受動喫煙の有害性を否定する研究が

いかに科学的根拠のないものであるかを何よりも雄弁に示している。

 

そして、最近アメリカのたばこ会社などで公開された資料によれば、日本人研究者の

矢野榮二および香川順が、論文作成に先立つ1991年4月5日、屋内空気調査センター

(The Center for Indoor Air Research, CIAR)に対して243,000ドル(約30,000,000円)

もの資金提供の申し入れを行い、これをアメリカRJレイノルズ社、BAT社、

リームスマ(Reemtsma)社、インペリアルタバコ社、ロスマン(Rothmans)社および

フィリップモリス社で協議を行い、最終的に総額190,500ドル(約23,000,000円)もの

資金が提供されている。

 

さらに、この資金援助にあたって、フィリップモリス社のスティーブ=パリッシュ

(Steve Parrish)は、日本たばこ産業株式会社に対して協力依頼を申し入れており、

そのなかで、

「たぶん、CIARを利用して、このプロジェクトを隠したいのでしょう。このプロジェクトは

EPAやOSH(注:受動喫煙対策を推進する米国政府機関)への対策として明らかに

利用できるため、非常に重要で急ぐ必要がある」と述べている。

 

そして、「このプロジェクトはクリス=プロクター(Chris Procter。BAT社主任研究員)

が指揮するが、その存在は秘密にし、論文には明記すべきでない」などと述べ、

同人を黒幕として、矢野榮二と香川順に研究させようとしていることをあからさまに

語っている。

 

このようにして、矢野榮二と香川順は、たばこ業界から多額の資金提供を受けて、

受動喫煙の有害性を否定する論文の作成に狂奔することとなる。

本訴では、矢野榮二と香川順の論文は提出されておらず、国内の研究者では

もっぱら春日斉の論文が提出されている。

しかし、この春日斉も上記プロジェクトと強いつながりがある。

すなわち、同人の論文「環境中たばこ煙による受動喫煙の疫学」(乙8)によれば、

同人はクリス=プロクターと私信を交わしていることを明らかにしているのであり(p181)、

上記プロジェクトの黒幕であるプロクターから、様々な示唆を受けていたのである。

以上のとおり、被告が提出する論文は、たばこ会社の資金提供によってなされた研究ばかりであり、

中立性・公平性を欠くものというほかない。

 

(原告ら訴訟代理人 第4 準備書面 大阪地方裁判所 平成14年(ワ)第3929号禁煙措置等請求事件 2003年2月26日) 

判決文

 

JR西日本禁煙・分煙訴訟一審判決について(声明)

 

この判決はいくつかの点で意義を有する。

  その一つは、受動喫煙は様々な自覚症状による苦痛と生理学的反応の

急性影響を引き起こすとともに、各種のがんや虚血性心疾患、呼吸機能の

低下や成人の気管支喘息の悪化などのリスクを増加させるという慢性影響

をもたらすことを認定したことである。被告JR西日本は受動喫煙による健康

への影響は証明されていないと主張して、その旨の論文や報告などを大量

に提出したが、判決はこれらの各種報告等は「最新の知見によるものとは

認め難い」として排斥した。これは、受動喫煙による健康被害を否定する

研究がたばこ産業の資金提供によるものであって客観性と正当性を欠く

ものであるとのわれわれの主張を認めたものであり、もはや受動喫煙による

健康への影響の存在は否定のしようがないことを示したものである。

 

JR西日本禁煙・分煙訴訟弁護団   2005年1月3日

 

★★ 違法行為の通報者は公益通報者保護法により保護されています。★★

 

References

★★ 下記はBritish American Tobacco Documents Archiveで公開されている公文書です。 ★★

 

1)矢野榮二らがタバコ会社に送った受動喫煙の害を隠すプロジェクトの企画書および請求書。矢野榮二らは243,000米ドル請求している。

2)矢野榮二らがタバコ会社に送った原稿は、受動喫煙の発がん性を発見した平山雄の研究を否定する内容であった

3)タバコ会社の内部文書。最後の段落Japanese Spousal Studyの項によると、矢野榮二らの研究は、タバコ産業が平山雄の受動喫煙疫学研究と米国環境保護局(EPA)の受動喫煙評価に対抗することを可能にする内容だった。

 4)タバコ会社の内部文書。最後の段落Japanese Spousal Smoking Studyの項には矢野榮二らの提案についてタバコ会社が資金提供を検討していることが記されている。

5)矢野榮二らがタバコ会社に送った請求書。矢野榮二らはタバコ会社に243,000米ドル請求した。

 6)矢野榮二らが信用を失墜させようとした、平山雄による受動喫煙の発がん性に関する疫学研究。WHOは平山雄の研究を賞賛している。

7)矢野榮二らが提案したJapan Spousal Smoking Studyへの資金提供要請に対し、複数のタバコ会社が協議を行い、最終的に多数のタバコ会社が矢野榮二の提案に資金提供することで合意した。

8)矢野榮二らのプロジェクトの進捗状況について。最後の段落Japanese Spousal Studyによると、タバコ会社は受動喫煙の害を発見した平山雄の研究の信用を失墜させるために矢野榮二らと共同研究を行っていた。矢野榮二は凍結させた唾液のサンプルを東京からRJRタバコの研究室に運んでいた。

9)矢野榮二らがタバコ会社に提供したデータ。矢野榮二らは受動喫煙の発がん性を認識していたが、矢野榮二は受動喫煙の害を公表しなかった。

10)矢野榮二らがタバコ会社に提出した多数の論文は、全て結論が同じであり、受動喫煙曝露が肺癌のリスクを増加させるという証拠は無いと結論されている。

11)矢野榮二らの研究は環境タバコ煙を発癌性物質に指定した米国環境保護局(EPA)の対策を妨害するために利用された。

12)タバコ産業が資金提供した研究者のリスト。776番目に矢野榮二らの名前があり、矢野榮二らはタバコ会社から資金提供を受けていたことを裏付ける。

( http://legacy.library.ucsf.edu/tid/qfp64a00/pdf?search=%22eiji%20yano%22 )

13)タバコ会社から香川順と矢野榮二への手紙。文書のヘッダーにはCovington&Burling WASHINGTON.DC.と記載があり、タバコ会社の弁護士が作成したことを示している。東京で開催される受動喫煙シンポジウムの打ち合わせに関する内容。タバコ会社は受動喫煙問題のディベートで大きな貢献をした者を演者としてリストアップしたと述べている。タバコ会社は矢野榮二らに基調講演の謝礼として5000米ドル、パネリストの謝礼として1000米ドル支払うと述べている。受動喫煙シンポジウムはタバコ会社が矢野榮二らと協議した形で実施されることが述べられている。この手紙によると矢野榮二らは受動喫煙問題を利用してタバコ会社に報酬を要求していた。そもそも、受動喫煙シンポジウム主催者側の香川順および矢野榮二とタバコ会社が癒着しており、これでは受動喫煙対策が前進しないのは当然である。

( http://legacy.library.ucsf.edu/tid/sea24e00/pdf?search=%22eiji%20yano%22 )

14) Covington&Burlingは矢野榮二らが提案したプロジェクトの進行管理を委託されたタバコ会社の弁護士事務所である。6ページ

 15) タバコ会社と矢野榮二らによる受動喫煙シンポジウムの打ち合わせ資料。ヘッダーの「10/20/1992 16:10」はFAX受信日時、「FROM C&B WASH DC」はFAX送信者がタバコ会社の法律事務所Covington&Burling WASHINGTON.DC.であることを示す。1ページには矢野榮二と香川順が基調講演を行うことが記されている。矢野榮二らと共同研究を行い受動喫煙の害を否定する論文を多数発表したLeeもパネリストに選定されている。3ページには矢野榮二と香川順らがシンポジウムの技術委員を務めることが記されている。4ページはシンポジウム開催までのタイムスケジュールが記されている。10月までに予算を確保し、11月には演者とパネリストの候補を選定し、候補者と接触したい旨が記されている。シンポジウムは香川順がSumary Observation(発表内容の概要)を述べてしめくくり、その概要を印刷物として配布する計画が記されている。シンポジウムの進行管理を担当するのはCovington&Burlingというタバコ会社の法律事務所であり、パネリストのLeeはもちろん、基調講演を行う矢野榮二と香川順もタバコ産業が資金提供した研究者のリストに名前が掲載されており、彼らの役割とシンポジウムの目的を明確にしている。

( http://bat.library.ucsf.edu/data/c/x/j/cxj10a99/cxj10a99.pdf )