[特集] 体験談

ハードディスクが壊れたら

初回アップロード : 平成13年6月20日
筆者: アレックスのおじさん

まず頭の中が真っ白になり、バックアップをしておかなかったことを後悔し、人によってはやけ酒を飲んで最低一日は寝込んでしまいます。 「覆水盆に返らず」とか「後悔先に立たず」の諺通りです。 ハードディスクドライブ(固体ディスク駆動装置、以降HDDと省略)の破損状態によっては、また、大金さえ出せばハードディスクの中身を取り出してくれる「救いの神」(業者)も存在します。
今回、購入後1年未満のNEC製パソコンのHDDが突然壊れてしまったのですが、これを契機として色々調べた事や気付いた事があります。 筆者は、多くの若いパソコン(以降PCと記す)スペシャリストと比べて大して知識がない方ですが、このホームページのお客様と筆者が得た知識を共有したいと思い、間違いがないように出来るだけ詳しくわかりやすくまとめてみました。 技術的にご興味が無いお客様もいらっしゃるかも知れませんが、PCの裏側に隠された怖い現実を知っていただき、是非とも対岸の火事とされないように認識していただければ幸いです。

お断り: 詳しく書きすぎましたので、全部を一気にお読みになるのは大変です。 時間をおくかご興味のある項目を先ずお読みください。 印刷しますと、A4用紙で19ページになります。

(目次の中でお読みになりたい項目をクリックしていただくと、その項目にジャンプします。)

目次

1.

ことの発端

2.

故障の症状

3.

故障の内容

4.

HDDの故障原因

5.

買ってから1年以内で壊れるとは

6.

NECのサービスポリシー

 

6−1.

購入した時の状態に戻す

 

6−2.

HDDの不良品は基本的にユーザーに返却しません

 

6−3.

無償修理にはリサイクル品を使用する

 

6−4.

パソコンメーカーやマイクロソフトへのお願い

7.

カンタムの故障したHDDでいろいろやってみたこと

8.

壊れたHDDのデータ回収会社と作業の進行過程

 

(1)

調査・復旧費用など

 

(2)

高額のデータ復旧費用の理由

 

(3)

復旧費用を高価と見るか安いと見るか

 

(4)

調査報告書

 

(5)

さてどうしたものか

9.

ハードディスクについて

   

HDDの故障率は勿論0%ではない

   

HDDの保証とは

   

HDDの取り扱いには細心の注意を
パソコンの動作環境温度・機械的ショックに弱い・HDDの動作中にPCの電源を切るのも良くない・
落雷でもHDDが壊れてしまう

10.

バックアップの必要性

 

10−1.

パソコンのHDDに格納されているファイルやデータには、大きく分けて二種類ある

 

10−2.

どんなメディアにバックアップを取っておくのがよいのか

 

10−3.

自動的にバックアップを取る方法

 

10−4.

HDD上のデータを完全に消去する事の必要性

11.

それでは実際にどういう再発防止措置を取ったのか

12.

おわりに

  1. ことの発端

    家族が所有している突然壊れてしまったNEC製のPC−VU50L(バリュースター)は、学生アルバイトをして購入資金を貯め、昨年の5月に本人が購入したものです。 それが、今年の3月ころからたまにハングアップしてしまったり、Windows98が終了できなかったりする現象が出始めました。 このためチェックディスクをかけたりデフラッグメントをかけたりしていたのですが、5月になって突然PCが起動しなくなってしまいました。 PCの持ち主にとっては気が遠くなるほどの全く信じられない事でした。 電源を何度入れ直してもダメでした。

    筆者がインストールの手助けをしたときには、そのときの状態をバックアップしていました。 しかしこのときにデータドライブのDにコピーしたデータは、本人のノートPCに入っていた古いファイルばかりでした。 その後約1年間に本人が作成したり集めたりしたデータは、外部の記憶メディアに全くバックアップしていなかったのです。

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  1. 故障の症状

    PCの電源を入れますとBIOSというPC全体を取り仕きっているICに納められているソフトが起動し、システムの状態を調べてから、起動できるソフトが入っているHDD・フロッピー・CD−ROMなどを探しに行くようになっています。

    バリュースターの場合、ここまでは進行するのですが、HDDがないのでフロッピーディスクを入れるように英語で要求してきます。 (日本メーカーの純正品なのに、未だにこの部分が日本語表示されるPCがないのは不思議です。) 要するにHDDがちゃんと付いているのにBIOSがHDDを見つけられなかったと言う事です。
    BIOSは知識のある人ならば自由に設定を出来ますが、所有者はこれを触った事がありませんから、PC内で何かが起きた事を示しています。
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  3. 故障の内容

    故障の内容は、買ったときからPCに内蔵されていたクアンタム社(Quantum)製の15GBのハードディスクFireball-lct15(LB15A7271)のリードイントラックという場所が読めなくなってしまったからです。

    HDDの動作は、電源が入るとディスク(プラッター)が回転しはじめて、プラッター上の信号を読み書きするヘッドを機械的に固定するクラッチが解除になります。 そしてプラッターの回転がほぼ安定すると、ヘッドがリードイントラックを読みに行きます。 ここにはHDDの素性がすべて書いてあって、問題無く読めればサーボという動作が安定して読み書きの準備が出来た事になります。

    ところが今回の故障の場合、この重要な場所が何らかの原因で読めません。 ヘッドが情報を3回探しますが(リトライする)、これを見つけられないためにギブアップしてしまいます。 これではHDDからBIOSに情報が届きませんから、今回のような症状になってしまいます。
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  5. HDDの故障原因

    このようにHDDが全く読めなくなってしまう主な原因とチェック内容をまとめてみました。 ただし、ここではHDDが故障の場合に重点を置いていますので、誤ってゴミ箱から捨ててしまったり、HDD上の区画を移動・結合・FATの変更などをしたために見えなくなってしまったりした場合については、市販のソフト(アルファオメガソフトのファイナルデータ等)で回復できますので、触れていません。
    また、故障原因の引き金になる要因については、9.の所にある「
    HDDの取り扱いには細心の注意を」をご覧ください
     
  6.  

    原因

    チェック内容

    パソコン内のマザーボードとHDDの接続ケーブル(電源と信号)が何かの原因で外れたか接触不良になった。

    PCの中を開けて接続状態をチェックすれば発見できます。 このときには必ず電源プラグを抜いておくようにしてください。

    パソコンウイルスに感染してHDD上のデータを壊されてしまった。

    ウイルスの感染防止ソフトを使っているし、変なメールを開けた事もないし、危ないホームページに行ったこともなければ、原因から除外できます。 もし感染したならばウイルス防御ソフトの修復機能が使える場合があります。

    HDDの回路基板上の部品が壊れた。

    全く同じメーカーの同じ型番のHDDがもう一台あれば、素人でも注意深く交換してみる事が出来ます。 ただし、PCメーカーのサービスは通常販売してくれません。

    HDDのモーターが壊れて回らなくなった。

    PC・HDDメーカーや個人ではどうにもならないケースで、専門業者にデータの取り出しをお願いするか、あきらめるかしかありません。 プラッター上のデータはそっくり残っていて健在です。

    HDD内のヘッドの断線かICが壊れてしまった。

    4と同じで個人ではどうにもならないケース。 専門業者では一番大変な作業になる応急処置をしますが、ヘッドを交換してデータを読めるようにします。 プラッター上のデータはそっくり残っていて健在です。

    HDDに機械的な衝撃を加えたか、動作中に電源が切れたために、ヘッドとプラッターがぶつかってヘッドが壊れたりプラッターに傷がついてしまった。

    最悪のケースで、専門業者にお願いするしかありません。 HDD上のデータは完全に復旧出来ないことがあります。

    パソコンンウイルスに消されてしまったり、誤ってデータやOSの一部を消してしまった場合。

    慌てる事はありません。 HDDは壊れていませんので、ウイルス対策ソフトを使用するか、OSを再インストールするか、消してしまったすぐ後なら市販のソフトで消されたファイルを復旧できます。

    今回の場合、専門業者に調査依頼しましたが、Cドライブが上記6の状態だったとの報告を頂きました。 デスクトップ機ですから動作中に衝撃を加えたりしたことがないので、自然に壊れることもあるのだと知りました。

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  7. 買ってから1年以内で壊れるとは
  8. NECのバリュースターは10万円を切る値段でした。 機械物ですからいつかは壊れる事を承知してはいたものの、信頼していたNEC製品が1年以内に壊れてしまい、しかもユーザーが蓄積した貴重なデータ多数(780MB以上)が失われてしまった事には、大きなショックを受けています。 どんな製品でも不良率がゼロではありません(不可能。 安かろう・悪かろうのPCではないと思いますが、ユーザーの取り扱いミスで壊してしまったのではない事は確かです。 今回の事故はたまたまNECのPCで起きましたが、各メーカーのどの機種でも起こりうることです。
    このような不良が起こる事もあるので、重要なデータは必ずバックアップを取っておくように取扱説明書に書いてありますし、データを失ってしまった事はPCやHDDメーカーの責任ではなく、ユーザー責任である事がはっきりしています
    言い換えますと、IT・ITと騒いだりPCの普及率が飛躍的に上がったりしていますが、PCとPC社会は、これほど脆くて危険である事を身をもって体験できたといえます。

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  9. NECのサービスポリシー

    購入して1年以内ですので、無償修理をしてもらえます。 フリーダイアルに電話をすれば委託業者が専用の段ボール箱を持ってピックアップに来てくれますし、今回の場合、壊れたHDDを取り替えて購入時の状態にしたPCが1週間で戻ってきました。 サービス受け付け係りの人の対応も悪くはありませんでした。
    しかし、今回の無償修理で重要な事に気づきましたので、他のメーカーも内容は似たようなものだと思いますが、知っておいた方が良いNECのサービスポリシーをいくつかご紹介します。

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6−1. 購入した時の状態に戻す

当り前と言えば当り前なのですが、HDDの壊れた状態がどうであっても、言い換えますと、一時的にHDDからパソコンが起動出来たとしても、自分のHDDの内容をそっくり新しいHDDにコピーして修理する事はありません。 あくまでもHDDを取り替えて購入初期の状態に戻すのみです。 理由は作業量が大きくなるし、持ち主のプライバシーに触れる事にもなるからです。
ご自分で新しいHDDと取り替えるときに実行してご覧になると解りますが、購入初期の状態にセットアップするだけでも、必ず1時間以上必要になります。 無償修理の場合には、この時間負担がHDDの部品代金・PCの搬送費などと共にサービス会社(メーカー)の負担になります。

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6−2. HDDの不良品は基本的にユーザーに返却しません

パソコンの部品を取り替えたときに、修理が完了したPCに不良の部品を付けてユーザーに返す部品とそうでない部品があり、説明書には返さない部品が何であるのかは明記されていませんが、HDDは返さない部品だそうです。 かし修理ですから合法だそうです。

合法以外の理由は、修理して使用できるものはリサイクルに回すからだそうです。 「リサイクル」と聞いてすぐに納得する読者もいらっしゃるかもしれませんし、返してもらってもゴミの日に選別して出す必要があります。 しかし実は大きな問題を含んでいます
それは、ユーザーのプライバシーを守っているはずのポリシーが、一方では守られない可能性があるからです。 すなわち、HDDの中身というのは、特別なデータ消去用のソフトを使って完全に消去しない限り、また、読み取り不能な状態に壊れていなければ、市販ソフトや特別な技術を使って読み出せます 事実、今回の壊れたHDDからでもCドライブから74%,Dドライブから100%読み出せる事を専門業者から報告していただいています。
壊れたHDDを戻さないポリシーだからといってそのまま回収業者に出されたのでは、どこかで重要な個人データを見られてしまう事になりかねません。 これを危惧するユーザーには無条件で返却するか、特別の超低価格で販売すべきです
壊れたHDDは、法律的に修理会社のNECフィールディング(株)の資産だそうです。 どうしても戻してほしければ、これを新品の値段と同じ23、800円(15GBの場合)で買い取るしか無いそうです。 私たちはこの値段についてはとてもおかしな話だと思っていますが、今回は無理にお願いして、期間限定で壊れたHDDをお借りしました。
「特別価格で販売」というのは、壊れたHDDは修理会社の財産である事は一応分かっても、HDD内部に残っているデータなどはあくまでも個人財産であるはずです。 無償・有償に関わらず、起動出来ないHDDを返してもらってもPCを起動できませんから、データを消去できません。 しかし返してもらえれば、ハンマーで叩き壊して、金属ごみとして捨てればユーザーは納得できます。

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6−3. 無償修理にはリサイクル品を使用する

パソコンメーカーが総てこの方法を採っているのかどうかは不明ですが、これはエコロジーという観点から見ればすばらしい事ですし、NECにとってもコストダウンになります。 HDDというのは室内の環境の良いところで使用するので、サビも出なければ傷が付く事もありません。 せいぜいホコリが積もるだけで、不良の部品を交換してクリーニングすれば外見上新品と見分けが付かなくなります。 ところが良く考えてみますと、ユーザーにとって次のような不安が出てきます。

たとえば、HDDの破損原因が回路基板であった場合には、修理業者かHDDのメーカーでこれのみを交換してリサイクルされるそうです。 ということは、無傷のプラッターやヘッドなどのシールド内の部品はそのまま使用されますので、約1年間使用していたモーターなどの回転部分などは、ある程度摩耗している可能性があります。 修理品の保証期間(同一不良の場合)は通常3ヶ月ですので、この期間に壊れるチャンスはごく希であるにしても、HDDの寿命が短くなっている事は確かです。

ポリシー通り、修理で戻ってきたPCには同一メーカーの型番のリサイクル品が付いていました。 バックアップを常に取るようにしても、もう二度とこのメーカーの同じモデルは使用したくありません。 他のモデルや他社のHDDと比べても、このクアンタムのHDDはメチャクチャ動作音が大きい機種ですから、また壊れるという不安が拭い切れません。 結果的に、別のメーカーのHDDを購入して、中身をそっくり移し替えて使っています。 HDDにアクセスしていても耳を済まさないと聞こえないくらい音が静かです。 もとの容量より5GB大きくてもNECから購入する値段の半分以下でした。

このようなことから、HDDが壊れていることがはっきりしていて、自分でHDDを交換して再インストールできるユーザーは、無償修理に出さない方がよいかも知れません。

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6−4. パソコンメーカーやマイクロソフトへのお願い

各メーカーのパソコンの取扱説明書には、どこかのページに「大切なデータはバックアップを取っておくように」とか、「大きな衝撃を加えないように」と丁寧に書いてあります。 しかし、これらのことをもっと大きな字で、もっと説明書の前に持ってきていただきたいと思います。 ピンク色の差込に特別記載するのも、ユーザーにそれがどれほど重要なことであるかを伝えるのに有効ではないかと思っています。
また、Windowsの終了前に「貴重なデータの外部メディアへのバックアップを取りましたか」などと表示するくらいの工夫があっても良いのではないでしょうか。

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  1. カンタムの故障したHDDでいろいろやってみたこと

    少し技術的になりますので、この項目にご興味ない方はスキップしてください。
    パソコンの持ち主も面倒を見ている筆者も、失われたデータを何とか復帰できないかについて夢に見るほど悩みました。 そこで、少しは技術的な知識がある筆者が試みた内容をご紹介します。
    • BIOSの設定変更
      これは知識がないとむやみに設定を変えてしまってひどい目にあいます。 結果的には無意味だったのですが、プライマリーのHDDを自動にしないで個別に設定したり、セカンダリに設定したりしてみました。 まれに読める事があるらしいからです。
       

    • 基板の取り替え
      いつもそうだとは限らないそうですが、たまたまNECからの修理品には同じメーカーで型番のHDDが付いてきました。 当然の事ながら、細心の注意を払ってプリント基板を取り替えてみました。 これが不良ならば直ちに直るからです。 このモデルの場合、徹底的にコストダウンを図っていますので、HDD内部と基板との接続にはフラットケーブルなどを使っておらず、簡単に取り外せます。 今回の場合、この手段でも効果はありませんでした。

       

    • 内部を開けてみた
      HDDというのは超精密機器です。 目にみえないようなホコリも嫌います。 ですから、内部は真空になっていませんが、エアーフィルターを通して外部と切り離してあります。 内部が高温になったときに発生する腐食性ガスを吸収するガス吸収パッドが付いている機種もあります。 金属製の蓋を止めてある2本のネジの上部にはシールがはってありますし、基板側にもシールがはってあります。 これらをはがした場合には保証(パソコンメーカーやパソコンショップでの無償交換)をしませんと書いてあります。 8角レンチという二種類のサイズの特殊な工具でないと、非常に固く締め付けてありますので、ネジを簡単には取り外しできません。 ですから、特別な環境がない個人は、HDDの内部を絶対に内部を開けてはいけません
      内部のデータが読み出せるかどうかの調査に出す前ですから、これらのことを知った上で室内に出来るだけホコリのない状態で開けてみました。 以前に古いノート用のHDDが起動しなくなったときに、内部のプランジャーが引っかかっていたのを発見し、無事修理できた経験があったからです。
      内部構造は以前に比べて驚くほど簡単になっていましたが、モーターもちゃんと回っているし、ヘッドもトラックを探しに行っているのが確認できただけで、何も手出しできませんでした。

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  1. 壊れたHDDのデータ回収会社と作業の進行過程

    捨てる神あれば救いの神もあります。 非常に高価だけれどもデータの回収会社があると聞いていました。 NECはどこも紹介してくれませんでしたので、ヤフーの検索から必死で探し出しました。
    筆者が探し出して問い合わせをしたのは1社だけですが、他の会社はこの会社の代理店のようです。

    会社の名前は一般にはあまり知られていない(株)ワイ・イー・データで、この会社がアメリカのONTRACK Data International,Inc.と技術提携をして、オントラック事業部が日本国内でサービスをしています。 データ復旧サービスの内容はHDDだけに限らず、MOやCD−ROMなどの光ディスク・フロッピーディスクや半導体メモリー(メモリーカード)まで含まれています。 顧客のパニックを救える事にもなりますので、やりがいのある仕事であるでしょうし、実際に貴重なデータを回収してもらった顧客からは大変喜ばれるだろうと思います。 高度の技術を持った信頼できる会社にしか出来ない仕事だと言えそうです。

    この会社に壊れたHDDからデータ復旧が出来るかどうかの調査依頼をしたのがきっかけで、色々勉強になりましたので、ここにかいつまんでご紹介します。
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    (1)調査・復旧費用など

    詳しくはワイ・イー・データのホームページを見ていただくとして、破損した媒体からデータが復旧できるかどうかの調査依頼には、Windowsで使用するHDDの場合には2万円かかります。(緊急か普通かで料金は異なります。)
    データが復旧できることが分かると、復旧できるデータの総容量によって、また、HDDからデータが読み出せない原因(論理障害: 削除や消失、物理障害: 回路・機械系の破損)によって費用が異なってきます。 たとえば200MBまでで論理障害の場合は10万円ですが、物理障害になると同じ容量でも18万円になります。

    筆者の場合早とちりして、どうしても回復したいデータの合計容量が推定値で200MBとして、復旧費用を10万円と見積もり、HDDを宅急便で送るとともに2万円を振り込んで調査依頼しました。 ところが、これは勘違いであることを後ほど知りました。
    回復してほしいデータの総容量で費用を計算するのではなく、例えばDドライブに不必要なデータを含めて1GBのデータがあったとしますと、この総容量で計算されて論理障害の場合には34万円になります。 どうしてこうなるかは、次の項で説明します。

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    (2)高額のデータ復旧費用の理由

    (株)ワイ・イー・データはHDDの修理会社ではありません。 破損したHDDの部品を一時的に取り替えてデータを復旧することはありますが、たとえこれでHDD上のデータが100%読めるようになったとしても、読み出したファイルとして顧客に戻すのが業務です。
    顧客のHDDからこれに記録されている個々のファイルとして読み出すのではなく、書かれている状態(イメージ)をまず読み出します。 読み出せるチャンスはたったの一回であることもあるでしょう。

    少し技術的な話になりますが、HDDの場合には、同心円上のトラックと、その上に区切られているセクターと呼ばれる部分などがあります。 これを管理しているのがFAT(File Allocation Table)という部分なのですが、格納されているファイル(データ)の住所番地リストのようなものと思ってください。 HDDなどでは、ファイルなどを頻繁に読み書きしたり消去したりしますので、一つのファイルが連続したトラックやセクターに収まっているとは限りません。 (頻繁にデフラッグメントという作業をしていると、HDD上の空白が埋まって、比較的連続した場所に格納されるようになります。)

    ワイ・イー・データでは、ともかくHDD上のデータを読める限り読み出して置いて、FATの情報などに基づいて一つのファイルを追いかけて、元のファイルに復元する作業をします。 これは時によっては相当な時間を要する作業になるとのことでしたが、想像は出来ます。 多分、ルートディレクトリー直下のフォルダ名やその下のフォルダやファイルは特別なソフトで読めても、フォルダやファイルを復元するためには、ルートディレクトリー直下のフォルダ名と同じ名前のフォルダを作っておき、そこに復元しなければならないからではないかと想像しています。 長い作業時間以外には、ヘッドを取り替えたり調整したりする細かい作業もありますし、クラス1000という半導体製造工場並のクリーンルームや大容量のサーバーなどの設備投資も巨額になるとのことでした。

    以上のことから考えますと、1GBのデータからフォルダやファイルを一個一個拾い出して復元する作業は大変だと推測できます。 ディジタル信号処理が格段の進歩をしていますから、自動的にファイルを復元できると思ったのは、素人考えだったかも知れません。

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    (3)復旧費用を高価と見るか安いと見るか

    調査依頼に出しますと、まずデータの読み出し作業をして、読み出せればワイ・イー・データのサーバーに保管します。 この作業のためにどんなに時間がかかっても、顧客がデータの復旧を断念すると、多分この会社にとっては利益が出ないことがあるかも知れません。

    それでは、壊れたHDDからのデータ復旧の費用が高いか安いかは、顧客にとってのデータの値打ちによって見方が異なってきます。
    企業などでは、会社の重要データや機密電子書類などが事故や故意によって消去または破壊されてしまった場合、復旧費用よりもデータ損失が遙かに高額であることが考えられます。 また、二度と作成できないようなデータなどの場合も、金額では置き換えが出来ません。
    個人が作成したり蓄積したりしたデータでも同じ事が言えます。 例えば、1週間かけて作成した文書ファイルが壊れてしまったり、誤って消去してしまったりした場合、再度作成できたとしても、1時間当たりの労働賃金を元にそのファイルの値段を単純計算すると、相当大きな損失になることが分かります。

    このようなことから、復旧費用が単純に高いとは言えないのですが、一般的に個人ユーザーの目から見ると、とてつもない大きな金額に写るのは事実です。 200MB以上を回復してもらう場合ですと、回復をあきらめてそのお金を他の目的に回すのが普通でしょうか。

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    (4)調査報告書

    今回2万円の費用を支払って調査依頼した結果、回復できるファイル名のリストを含めて詳細な調査報告書を受け取りました。
    家族の15GBのHDDは、3つの区画(パーティション)が切ってありました。 CドライブはWindows98のOSとアプリケーション、Dドライブは各アプリケーションで作成したデータ、そしてEドライブはWindows98に付属のバックアップツールでバックアップしたファイルの格納やCD−R等の作業用ドライブとして使用していました。
    この内、Eドライブのデータの復元は今回の場合全く必要ありません。 Cドライブにあるデータで必要なのは、送受信メール(住所録は作成していなかった)とインターネットのお気に入り情報(後ほど説明)でしたが、一番必要だったのは、Dドライブのデータでした。

    Cドライブはヘッドが壊れていたと言うことで、74%の回収率(25、579個のファイル)、Dドライブは総て健全で100%(1,637個のファイル)との報告をいただきました。 Dドライブのデータが総て復元できるとなると731MBありますから、費用を計算して2度目の気が遠くなる思いがしました。

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    (5)さてどうしたものか

    本人にデータの回復をあきらめさせ、バックアップをしておかなかった過ちを二度と繰り返させないために、この原稿を書いている時点で、調査費用の2万円、新品のハードディスク2台とソフトで3万5千円、合計5万5千円を費やしました。

    ワイ・イー・データでは、同社の価格設定は個人負担の費用としては多額だと理解していただいているようで、個人向けのサービス料金については検討したい意志があることをお聞きしました。 私たちの場合、C・D両ドライブの回復できるデータを総て回復してもらった場合、526,000円というとてつもない金額になりますので、これは逆立ちしても出費出来る金額ではありません。

    Dドライブのデータが総て復旧出来ることを知らされて、ファイル名のリストを見せられると、のどから手が出るほどほしいという本人の気持ちは十分解ります。 しかし、本人はこれまでの親の努力を理解してくれていますので、「NECのパソコンなんて二度と買わない」とか、「カンタムの馬鹿」とか、「パソコンを過信した自分が馬鹿だった」とかホザキながら、最終的にギブアップする方向に向かっています。

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  3. ハードディスクについて

    ハードディスクドライブとは、その名の通り固体(ハード)ディスク駆動装置ですが、表面に磁性材料を塗布したペラペラのプラスチックの円盤を使用した記録容量1.44MBのフロッピーに対して名付けられています。 ガラスやアルミ板の表面に磁性材料を塗布した円盤(プラッター)が、全体の記録容量に応じて数枚入っています。 プラッターの枚数は最低1枚以上で、両面を使用して高速の読み書きをするための磁気ヘッドが、各面に対して付いています。 ビデオテープレコーダー(VTR)の場合は、ヘッドが高速で(1分間に1,800回転)回転していて磁気テープがゆっくり動いているのに対して、HDDでは、磁気ディスクが高速(最近では1分間に5,000回転以上も珍しくない)で回転していて、固定されているヘッドは数ミクロンずつ移動してトラックを追いかける構造になっています。

    このHDDの性能は、毎年、記録容量や性能がほぼ倍々のペースで高速・高機能になると共に、低価格になってきました。 20GBの容量のHDDでも1万円以下で購入できます。 パソコンでビデオの記録を考慮に入れているため、記録容量が30GB(ギガバイト)のHDDも珍しくありません。 また最近では、HDDがパソコンに使用されるだけではなく、VTR ・ HDDビデオレコーダー ・ デジカメ ・ カーナビ ・ ディジタルテレビ ・ 家庭用ゲーム機 ・ 監視装置等々、広い範囲で使用されるようになっています
    こうしたことから、HDDとはどういった素性のものなのかを以下にまとめてみました。

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    • HDDの故障率は勿論0%ではない
      最近では個人使用も増えているサーバーというHDDの固まりのような装置があります。 インターネットのプロバイダーはもちろん、会社のメール・イントラネット用のサーバー、銀行などのデータ用のサーバーやなどでは必ず大規模なサーバーを設置していますので、非常に大量のHDDが使用されています。 大容量のデータを高速で処理するにはHDDしかないからです。

      このような重要な役目を担っている企業用のHDDは3年間の動作保証付きですが、それでもその故障率は1%以下ではなく、HDDが100台あって24時間稼働している場合、3日に1台の割合で壊れるというデータがあります。 1年間にすると全体の台数の3.7%が故障するそうです。 故障の内訳は、再現せず:20%、電機・機械系の故障:60%、モーターが回転しないもの:20%だと言うことでした。(JIECのセミナーで公開されたデータ。)

      業務用の高価なHDDの不良率がこの数字ですから、私たちが日常使用している一般のパソコンに組み込まれているHDDの不良率はもっと高いはずです。 ですから、読者の皆さんを怖がらせるつもりはありませんが、HDDは超精密機械であり、いずれは壊れると言うことを認識していただきたいと思います。 壊れてしまうのが早いか遅いかの違いだけです。

      今回壊れてしまったHDDは、世界のマーケットで2位(1999年)のクアンタム製品です。 このメーカーは、当時4位であったマックストア社とHDDの事業合弁をして、現在はマックストアとして世界1位のHDDメーカーになっています。 出荷台数が多い理由もあるかもしれませんが、データ回復会社の話によりますと、故障で持ち込まれるHDDではクアンタム社製のHDDが一番多いそうです。 ただし業界3位(1999年)のIBMの不良は一番少ないそうです。 また、筆者が約4年間使用しているクアンタム社製の別のHDDは、現在でも健在であることは事実です。

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    • HDDの保証とは
      HDDはパソコンの本体の一部ですから、この保証期間は通常1年間です。 パソコンショップで内蔵型や外付け型の単品を購入しても同じです。
      しかしここで注意しなければならないのは、保証期間内の無償修理とは、故障したHDDをそっくり交換することであって、6−3.に問題提起しましたように、壊れたときにHDDに残っていたデータを復旧することは保証の対象になっていません。

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    • HDDの取り扱いには細心の注意を
      HDDは超精密機器だと書きましたが、以前に比べると頑丈になってきたと聞いています。 それでもどういった場合に壊れやすいかを知っているのと知らないのとでは、自ら安心度が異なってきます。 そこで筆者が知っている限りの注意事項を列記してみました。

    • パソコンの動作環境温度
      パソコンの仕様書には、動作保証の周囲温度範囲は10゜Cから35゜Cと書いてあります。 周囲温度が35゜Cになったときには、パソコンの内部温度がもっと上昇しています。 さらにHDD内部の高速の空気流による温度上昇も手伝って、HDD内部ではパソコンの内部温度よりさらに高くなっています。(動作時の保証周囲温度範囲は5〜55゜C。)
      どんな製品でも高温になると壊れやすいものです。 30゜Cを越える真夏の一般家庭の室内での使用には、HDD破損のリスクが増えることを考慮すべきではないでしょうか。
       

    • 機械的ショックに弱い
      最近の製品には各メーカー独自の破損防止機構が採用されていますが、大きな機械的ショックをパソコン全体はもとより、HDDにも加えないように注意しなければなりません。

      HDDに電源が入っていない静止状態では、機械的ショックでヘッドがプラッターにぶつからないように工夫されていますが、それでも破損を防止できるショックの上限は、3.5インチHDDの場合、HDDの自重の300倍(300G)止まりです。 HDDは長方形ですが、この長辺方向にパタンと倒した場合には、この値を越えてしまうそうです。
      ところがHDDが動作中に許容できるショックの大きさはもっと小さく、より堅牢に設計されているノートPC用のHDDでもこの五分の一です。 ですから、読み書きの動作中(パソコンのHDD動作表示用のLEDが点灯しているとき)には、機械的ショックを加えないように注意する必要があります。

      このHPの過去の記事にも、ノートPCで部分的にデータが読み出せない症状が出たときの苦労談を掲載していますが、原因は動作中に与えた機械的ショックだろうと想像しています。 やっかいなのは、誤ってHDDに機械的ショックを加えてしまっても、すぐには症状が現れないことが多く、2〜3ヶ月後に出ることです。 HDDのヘッドはプラッターに接触しないで、高速の空気流で浮上しています。 プラッターは鏡のように表面が非常になめらかな円盤です。 これにヘッドが衝突すると、プラッターの表面に傷を付けてしまったり、最悪の場合にはヘッドが破壊されてしまったりしてしまいます。

       

    • HDDの動作中にPCの電源を切るのも良くない
      最近の製品ではこのような場合にも破損しないように工夫されているそうですが、そうでない製品もあるはずです。 動作中に電源を切ってしまうと、モーターの回転が急速に落ちて高速の空気流が得られないためにプラッターとヘッドが接触してしまう危険性があります。 また、ヘッドが機械的に固定する位置に戻らない場合もあるかも知れません。
      無停電電源などを使用していない限り突然の停電が起きると、それだけ破損のリスクが大きくなります。

       

    • 落雷でもHDDが壊れてしまう
      ごく希なケースですが、家やオフィスの近くの落雷でもHDDが壊れてしまうことがあります。 PCは室内にありますから、雷がPCに直接落ちることはありません。 しかし、電灯線を伝わってきた誘導雷によってHDDの電気回路が焼けてしまったり、一部の電子部品が破損することがあります。 もちろんこのときには、PC本体も破損してしまいますから、甚大な損害になります。 このような落雷事故のときでも、PCやHDDの修理代より遙かに大きなデータの回復費用が必要になりますから、バックアップを取っておくのは必須になります。

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  1. バックアップの必要性

    なぜバックアップが必要なのかは、ここまでお読みいただいた賢明な読者にはお解りかと思います。 皆さんは既にまめにバックアップを実行しておられて、失敗したのは筆者の家族だけかも知れません。
    しかし、実行していらっしゃらない読者の方のために、また「後悔先に立たず」を再発させないようにするために、バックアップの方法をまとめてみました。
    バックアップを取っておくのは、HDDが破損してしまった場合に備えるだけではなく、悪性のコンピュータウイルスにHDDの中身を消されてしまったり、書き換えられてしまったりした場合にも役に立ちます。

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10−1. パソコンのHDDに格納されているファイルやデータには、大きく分けて二種類ある
    • Windows95/98などのオペレーティングシステム(OS)とそのアプリケーションソフト(プログラム)
      パソコンを購入した時には、このOSとWindowsに付属のアプリケーションやおまけのソフトがインストールされています。 個人で購入したソフトを購入後にインストールしたり、不必要なソフトを削除したり、アプリケーションの一部を自分の好みに合うように設定変更することもあります。 これらのデータは、通常Cドライブに収納されています。
      例えば筆者の家族が購入したNECのPCの場合には、HDDの総容量が15GBでも、Cドライブに12GB以上割り当てられており、残りの部分が空っぽのDドライブに割り当てられていました。 メーカーや製品によってはCドライブだけのものがあるはずです。

      このCドライブの中身は、エクスプローラ(ファイルマネージャ)で総てを選んで他のメディアやHDDの別の場所にコピーしようとしても、コピーできないファイルがあったり、たとえコピーして元に戻しても動作しないソフトが数多くあります。 違法コピーされないために一つ一つのプログラムのHDD上の収納箇所がWindowsで管理されているためです。

      HDDが壊れてしまったり他の理由で交換したりする場合には、一般的にPCに付属の起動ディスクと再インストール用のCD−ROMを使用して、購入初期の状態に戻すしか方法がありません。 この作業には1時間以上かかる場合がほとんどです。 この状態から元々インストールしていたソフトをインストールしたり、メールやインターネットの設定をしたりすると、半日で終わらない場合もあります。 例えば、オフィス2000の基本ソフトをインストールする場合、SR−1とSR−2の不具合修正用のCD−ROMを使って最新の状態にする必要がありますから、これだけでも1時間以上必要になります。
      Windows98にはアクセサリのシステムツールにバックアップ用のソフトが付いていますが、Cドライブに1GB位のプログラムやデータがあったりすると、バックアップに2時間くらいかかります。
       

    • 自分が作成した文書や画像などのファイル
      パソコンを購入した時の状態では、ユーザーが設定を変えない限りCドライブのMy Documentsというフォルダ(ディレクトリ)に保存するようになっています。 また、インターネットメールで送・受信したメールやメールのアドレス帳もCドライブの所定の場所に格納されています。
      後者の場合は別としても、Cドライブの¥My Documentsに自分が作成した文書や画像などのファイルを置くのは、後ほど説明しますが問題があります

      例えば、ワード・エクセル・パワーポイント・日記・写真・お気に入り・パスワードなどのフォルダをDドライブに作っておいて、ここに納めるようにすることをお勧めします。 購入したときにDドライブが無い場合には市販のソフト(例えば13,000円くらいのパティションマジックというソフト)を購入する必要があります。

      ここで注意すべき点は、バックアップを取って格納するメディア(フロッピーディスク・CD−ROM・MO・DVD−RAM・メモリーカ−ドなど)を過信するのは禁物です。 内容の重要度に応じて最低2種類の記録メディアにバックアップしておくことをお勧めします。
      他人に見られては困る内容があるかも知れませんが、印刷できるものは出来るだけ印刷して、大切に保管しておくのも重要です。


これらのことを踏まえて、筆者が気付いた重要なファイルを重要度の順に表にまとめてみました。 重要度の順位は個人によって異なると思います。

ドライブ

内容

重要性の説明

通常C

Windows98OSやアプリケーションソフト

事故が起きたときに再インストールしたり細かく設定したりするのが大変です。 市販のソフト(例えば12,000円くらいのドライブイメージというソフト)を使って一度Dドライブにバックアップを取り、後ほどCD−Rに移しておきます。 Dドライブが二台目のHDDでない限り、Dドライブと言ってもCドライブと同じHDDに存在しますから、放置したままでは意味がありません。 ほとんどの場合、CD−Rの容量の650MBに収まりませんから、これ以内のサイズに分割してバックアップします。 分割した2個目以降のファイル名を変更してはいけません。 ファイル名を設定する時にバックアップした日付を入れておくと参考になります

通常C

文字フォント

インターネットからの無料ダウンロードや何らかのソフトで特別のフォントをインストールしている場合がありますが、再度手に入りにくいフォントなどは、インストール前にバックアップを取って置くことをお勧めします。

通常C

メールやアドレス帳

マイクロソフトのアウトルックやアウトルック エクスプレスのAddrBook.wab、**.pst、などです。 **というのはエクスポートするときに付けた名前です。 ただしエクスポートをするときに「サブフォルダを含む」のボックスにチェックを入れておかないと、メールの内容別に自分で作ったフォルダに整理していたりすると、これらの中身がエクスポートされませんから、後でひどい目に遭うことになりますから、要注意です。
ウイルス感染でメールアドレスを盗まれることを防ぐために、アドレス帳をワードなどで作成している人は、
AddrBook.wabのバックアップは必要ありません。

通常C

Favorites

友人に教えてもらったり自分で探し出したりして、インターネットのホームページのアドレスをお気に入りに整理していますと、時間さえかければ集め直しが出来ますが、万一失われた場合には安心です。 フォルダ全体をコピーできます。

画像ファイル

デジタルカメラの普及に伴い、撮影した記念写真などをメモリーカードからPCへ移して保存したり、アルバムを作ったり、編集して保存している場合が多いはずです。 記念写真などは同じ写真を撮影することは不可能ですし、一枚当たりのファイルのサイズが600KB以上と大きくなっています。 **.jpg、**.tif、**.avi等です。

文書ファイル

ワード・エクセル・パワーポイント・一太郎・花子などで1週間以上かけて作成した文書ファイルなどがある筈です。 作成に使用した細かいデータや画像などは、作成後捨ててしまうのが普通ですから、もう一度作成するには倍以上の時間と労力が必要になる場合もあります。 PCはペーパーレスに出来て良いのですが、印刷しておかなかったらこれもまた大変になります。

C/D

日記帳

専用のソフトを使用して毎日少しずつ日記を付けている人もいると思います。 プライバシーに関わりますので、パスワードを設定して他人に見られないようにしている場合もあるでしょう。 ワードなどで書いている場合以外、日記帳専用のソフトを使用している場合には、その作成データは通常Cドライブの特定の箇所に収納されています。

C/D

家計簿

家庭の主婦でも独身者でも、小遣い帳や家計簿を丁寧に付けている人がいます。 エクセルなどで自分独自の家計簿を作っている場合や、専用のソフトを使っている場合があります。 後者の場合には、日記帳と同じように作成データは通常Cドライブの特定の箇所に収納されています。

C/D

クレジットカード・銀行口座などの控えやパスワードなど

パソコンは壊れなければ非常に便利な事務用品の一つです。 紙に書いておくと人に見られる場合があるので、自分しか知らないパスワードで開く文書内に書きとめておく場合があります。 インターネットプロバイダーや特別な会員制のHPへのパスワードがメールでしか届かないことがあります。 このような場合は、メールをテキストファイルとして保存します。 これは非常に大事なファイルです。

インターネットやメールの接続の設定状態

自分で設定したり誰かに設定してもらったりして、苦労してインターネットに接続できるようになっていても、HDDの修理で戻ってきたPCは振り出しに戻っています。 現在の設定状態を紙と鉛筆を使ってメモしておくのがベストですが、テキストファイルとして残しておく場合もあります。 もう一つの方法として、設定状態を表示している画面をそのままPrint Screenキーを押して、画像ファイルとして残しておくこともできます。

上の表で緑に色分けされた各ファイルは、特別なソフトを使用しなくても、そのままバックアップがとれて元の位置に復元して使用することが可能です。

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10−2. どんなメディアにバックアップを取っておくのがよいのか

それぞれのメディアの特徴と考えあわせて表にしてみました。 もう一度繰り返させていただきますが、バックアップを取る先のメディアは、PCに内蔵されている元のHDDではありません! これにD・E・Fなどの区画(パーティション)を切ってあっても、所詮1台のHDDですから、これが壊れてしまえば総て共倒れになります。 あくまでも取り外しが可能なメディアか、2台目のHDDです。 PCの外に取り出しておくのが基本です。
もう一つ注意しておかなければならないことは、外部メディアの容量が大きければ良いというものではないと言うことです。 万一このメディアが破損したような場合、失われる財産が大きくなるばかりではなく、専門業者に取り出してもらう場合には非常に高価になります。
それと、金銭的価値に置き換えられない重要なデータファイルを外部の記録メディアにバックアップするときには、出来たら2種類以上の異種のメディアにバックアップしておくことをお勧めします。

    外部メディア

    特徴

    フロッピーディスク

    1.44MBの容量ですが一番安上がりです。 ドライブが標準で付いていないマックPCのような機種では、追加購入の必要があります。 この容量に入りきらないファイルサイズであれば、ZIPやLHA(無料)などの圧縮ソフトを使用して圧縮すれば、収納できるファイル数を増やせます。 バックアップ後は書き込み禁止にしておいた方が安心です。 磁気を発生しているものに近づけたり、ホコリをかぶる状態で放置したりしないでください。

    PDディスク
    (位相変化光ディスク)

    古い型の松下製のDVD−RAMドライブは、DVD−RAMディスクと650MBのPDディスクの読み書きができます。 ディスクは1,200円くらいで安くなっています。 勿論DVD−RAMドライブが必要ですが、5万円の少し下くらいでしょうか。

    DVD−RAMディスク
    (光ディスク)

    片面2.6GB、両面で5.2GBの非常に大きな記録容量です。 ムービーなどの大きなデータには絶対必要ですが、入れ物が大きいからと言ってどんどん放り込んでおくのは、万一壊れたりした場合には大きな損失になりますから考え物です。

    MOディスク
    (光磁気ディスク)

    650MBの容量やこれ以上のものもありますが、ドライブはUSB接続で26,000円前後です。

    CD−Rディスク
    (光ディスク)

    650MBの容量が普通ですが、CD−Rディスクは一度だけ書き込みが出来るディスクです。 消去できないことは、誤って書き換えたり消去してしまったりの危険を防げることになります。 10枚まとめて購入しても500円以下です。 ただし、余り安いものは避けてください。 1年位すると読み出せない粗悪品もあります。 ほこりや湿気を嫌いますので、金属ケースに保管することをお勧めします。 また、ディスク表面に直接手が触れますので、指紋や傷を付けないように注意が必要です。 USB接続のドライブは2万円以下ですが、CD−RWと共用になっています。

    CD−RWディスク
    (光ディスク)

    650MBの容量が普通ですが、何度でも読み書きが出来ます。 書き込みにはフロッピー感覚で読み書きする方法と、CD−Rの様に書き込む方法があります。 CD−Rディスクより高価ですが、10枚まとめて購入すると1,000円以下です。 これもほこりや湿気を嫌いますので、金属ケースに保管することと、ディスク表面に指紋や傷を付けないように注意が必要です。 また、ドライブイメージなどのソフトを使ってCドライブのバックアップを取った場合には、CD−Rモードで書いてください。 CD−RWのパッケットライトと言う形式で保存していると、このディスクは使用できません。 Windowsが使えない状態で再インストールする事になるからです。

    メモリーカード
    (半導体メモリー)

    1MB当たりの単価が一番高いメディアですが、非常に高速です。 デスクトップパソコンではほとんどの場合USB接続のPCカードリーダー(6,000円以下)とメモリーカード(64MBで8,000円位)が必要です。 メモリーカードは、リーダーから抜き取るときと静電気に対する注意が必要です。

    HDDドライブ

    PCの内部に取り付けたりUSB接続する方法と、SCSIやIEEE1394というインターフェースカードと共に使用する外付けのタイプがあります。 USBタイプが一番安上がりで、40GBでも2万円以下で購入できますし、高速の読み書きが出来ます。 機械物ですからショックを与えないように注意が必要です。 追加したHDDは、その名前をバックアップ用として使う旨のドライブ名を付けておくと分かりやすくなります。

    9.の冒頭にも書きましたが、HDDはPCのみでなく最近広く民生機器に使用されてきています。 例えばHDDビデオレコーダのHDDが壊れた場合を考えてみますと、それに記録されたデータ量の大きさから考えると、データの回復がどうしても必要な場合の費用はとてつもない金額になります。 重要な録画内容は、たとえ画質が落ちても、ビデオテープに移し替えておくしかありません。

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10−3. 自動的にバックアップを取る方法

一口にバックアップを取っておくと言っても手間がかかる作業です。 しかし手間がかかるからと言って怠けていると、事故が起きたときには取り返しの付かない事になってしまいます。
なお、HDDがいっぱいになった場合、HDD上のファイルを削除して一つのメディアにのみ移し替えるのは大変危険です。 バックアップというのは、あくまでもうり二つのファイルを最低二箇所に持つようにすることです。
基本的には、無くなっては困る非常に貴重なファイルやデータを作成したときには、即座にPCの外に持ち出して(バックアップして)おくべきです。 以下に方法をいくつか挙げてみます。
    1. 手動でバックアップ
      一週間・一ヶ月・3ヶ月・6ヶ月に区切って、10−1の表にあるようなファイルを取り外し可能なメディアにコピーするなどしてPC内部から持ち出しておきます。 エクスプローラ(ファイルマネージャ)の「検索」で、日付の期間を指定して各ドライブを検索しますと、この期間内に作成したファイルを探し出せますから、重要なファイルだけを選んでバックアップします。
      いちいち探すのが面倒であれば、時間がかかりますが、Dドライブの中身を総て選んでコピーする方法もあります。
       
    2. 自動バックアップ
      HDDの内容が変わる度に自動的にバックアップを取る理想的な方法ですが、ソフトで行う方法と、専用の基板と基本的に同じメーカーの同じ型番のHDDを2台取り付けて行う方法があります。 前者の方法はPCの処理スピードが落ちますし、 後者の方法は全く気にならないほど高速で確実ですが、比較的高価(最低3万円必要)であるのと、ある程度の知識が必要なほか、どのPCでも採用できるとは限らない欠点があります。 これについては後述します。
      ソフトによるバックアップ方法ですが、インターネットのHPに無料のソフト(フリーウェアー)や安価なソフト(シェアウェアー)が掲載されています。 この原稿を書いている時点では、筆者がテストをしていませんので、ご紹介するのを控えさせていただきます。

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10−4. HDD上のデータを完全に消去する事の必要性

ところで、ここではデータの復元についてのみ書きましたが、逆にHDD上のデータを完全に消去する事の必要性についても付け加えておきます。

あるTV番組や業界紙でHDD上のデータの完全消去について特集を組んだことがあります。 どういう内容だったかと言いますと、自分が不必要になったPCやHDDの処分の方法を誤ると、知らないところで全部個人データが見られてしまうと言うことです。 事実、東京・秋葉原のパソコンショップや中古部品ショップで中古販売されているPCやHDDを購入して、パソコンをそのまま立ち上げたりHDDを自分のPCに取り付けたりすると、前の所有者が使っていた状態で動作するものがあるそうです。 メールが接続できたり、作成した文書が読めたりするのです。 たとえこのことを知っていて、PCやHDDを手放す際にHDDをフォーマットしたとしても、これらは削除されたファイルとしてHDD上に残っており、誤消去の時に使用するソフトを使用すれば復元して見ることが出来ます

これを防ぐには、HDDを機械的にたたき壊してしまうのが一番ですが、一般の人にはPCからHDDを取り外していちいち壊す事は出来ません。 また、壊してしまえば中古品としての値打ちが下がってしまいます。 このようなときに役に立つソフトが市販されています。 1回切りしか使わないソフトなのに無駄な費用と思うかも知れません。 使い方を誤ると大変危険なソフトでもあります。
それではどうしたらよいかの列を挙げてみました。
    • 完全消去用の専門ソフトを(株)ワイ・イー・データが3,600円で販売しています。 フロッピーディスクからこのソフトを起動して、HDD内の総てのデータを読めないようにしてしまうソフトです。 両刃の剣的なソフトですが、個人データを絶対に見られないようにしてPCやHDDを処分するのには、決して高価なソフトではないでしょう。 
       

    • 個人情報(パスワードやメールアドレス)を使っているソフトをアンインストールしてから再イントールします。 例えばメールソフトであれば、アドレス帳に1名でも良いからでたらめの情報を作ります。 その後、もう一度このソフトをアンインストールします。 インターネット接続の場合も同じようにでたらめの設定をします。
       

    • 同じ様なアイデアですが、ワードなどの人に見られては困る文書を一度開きます。 編集コマンドの「総て選択」をクリックして文書全体を選択し、Deleteキーを押して総て削除します。 この白紙の文書を上書き保存します。 上書き保存した後は、削除してもフォーマットをしてもかまいません。

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  1. それでは実際にどういう再発防止措置を取ったのか
    (この項目の内容は少し技術的になりますので、ご興味のない方はスキップしてください。)

    今回家族の者はHDDが突然故障して、大きなショックと共に貴重なファイルやデータを失ってしまいました。 現在はこの貴重な経験でバックアップの必要性が脳裏に焼き付いていて、まめにバックアップを取るでしょうが、「喉元過ぎれば熱さを忘れ」の諺があるとおり、時間が過ぎればバックアップの作業を怠けてしまうこともあり得ます。 危機管理の一つなのですが、人間の行動とはそのようなものです。 運悪く事故が再発してまた親が泣きつかれることも考えられます。
    そこで再発防止策としてテストした方法や計画中の方法をご紹介します。 事故が起きたときにシステムやデータ回復にかかる時間・費用と比べると、いずれも遙かに安価に実現できるからです。
  • RAID(ミラーリング)による自動バックアップ
    10−3で少し触れた二つの自動バックアップ方法のハードウェアによる方法です。 この方法は従来から大型のコンピュータやサーバーというシステムで採用されている方法で、複数台のHDDにうり二つのバックアップを取って置きます。 何台のHDDに同時バックアップするかで1から6まであります。 一日中稼働しているサーバー用のHDDと違って、個人ユーザーでは2台のHDDが同時に故障する確率はごく小さいはずですから、RAID1で十分と思いました。(ただし、落雷に取る事故には有効ではありません。)

    一般のユーザーでもレイド(RAID)を組めるように、追加する回路基板やHDDの価格が安くなってきました。 20GBの内蔵用HDD2台(バルク品)とシネックスという日本の代理店が販売しているFast Track 100という拡張ボードを買うと、3万円弱でRAIDを組めます。 ただし、細心の注意とある程度の知識が必要になります。 作業の内容と結果を簡単に説明します。
    1. 修理から戻ってきたリサイクル品のHDDを取り外して、新品の2台のHDDと拡張ボードを取り付け、元のHDDの中身をそっくり新しいHDDの1台目に移し替えました。
    2. 次にBIOSの設定を変更してRAIDを開始しました。 RAIDがうまく動作しているかは自動的にシステムが知らせてくれますが、念のために2台目のHDDの中身を調べてみたら、ちゃんとミラーリング(鏡のようにうり二つになるからこう表現する)されていました。 万一1台目が壊れたら、2台目ですべてまかなえます。

ここまでは良かったのですが、大きな問題が生じました。 NECのPC総てに同じ問題が生じるかかどうかは解りませんが、少なくとも、バリュースターPC−VU50Lに搭載されているBIOSとRAID用の拡張基板に搭載されているBIOSとの相性が悪く、Windowsが終了できなかったり、再起動でハングアップしたりの現象が出てしまいました。 3カ所ある拡張用のスロットの各箇所に基板を入れても結果は同じでした。
販売店や代理店は、どのBIOSと相性が悪いのかの情報を持っていませんでしたので、結果的にハードによるRAIDをあきらめてボードを販売店に返品しました。 パソコンというのはこういうもので、標準から少し外れたことをしようとすると問題が起きることが往々にしてあります。

  • ソフトによる自動バックアップ
    RAIDを組むために購入した2台のHDDは無駄にはなりません。 動作速度が遅くなってしまう欠点がありますが、ソフトでRAID1に似た構成か半自動のバックアップシステムを組む方法があるからです。 色々なソフトを試してみる予定ですが、現時点ではまだ結果報告出来ません。 Windows2000にはこの機能がユーザーの希望で使えるようになっています。
     
  • イーサーネットを組んで責任者が毎日バックアップ
    企業などでは当然の事ながら、社内のほぼ総てのPCがLAN(ローカルエリアネットワーク)というシステムで接続されています。 筆者が勤務している会社のある事業所では、このネットワークを利用して、真夜中に総てのPC(端末)のHDDの中身を自動的にバックアップするようになっています。 ですから、ほとんどの従業員は退社時にPCの電源を切りません。 こうすることで、1台しかないHDDが壊れてしまったりコンピュータウイルスにデータを消されてしまったりした場合でも、即座に前日までの状態に戻せるようになっています。

    筆者が使用している3台のPCにはイーサーネットというLANを設定してありますので、家族の者のPCにも1,000円未満の拡張ボードを取り付け、家庭内LANを組む予定をしています。 筆者がネットワーク管理者になりますので、家族の者がバックアップを取り忘れていても、筆者が代行することが可能になります。 プライバシーで親に見られたくないファイルなどは、パスワードを設定した共有ドライブに入れておけば守れます。

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  1. おわりに

    今回家族の者が経験したHDDの突然の故障は、当事者はもちろんのこと、筆者にも色々な事を思い起こさせてくれましたし、経験もさせてくれました。 それがこの特集を書くことになったきっかけでもあります。

    データの回復会社によりますと、事実、HDDが壊れてしまったと言って泣きついてくる一般ユーザーが増えているそうです。 これらの顧客が実際に大金を払って回復してもらったかどうかか不明ですが、今後ますますこのような事例が増えると予想しています。

    パソコンを購入するときには、販売店で3〜5年間保証の契約をするシステムがありますが、これはPC本体やモニターなどが保証期間内に壊れてしまったときに、修理に要するユーザーの経済的負担を軽くするシステムに過ぎません。 筆者が知る限りでは、HDDが壊れてしまってデータの回復業者に依頼しなければならないような場合の保険や保証制度はありません。 保険の掛け金次第ですが、このようなシステムがあると、万一の場合、多額のデータ回復費用が軽減できるのではないかと思っています。

    最後に余談になりますが、家族の者とは筆者の長女のことです。 約3年前にノートPCを買い与えたことと本人の努力で、Windowsの基本アプリケーションなどを楽々使いこなせますし、自分の人気HPも持っています。 高速のチャットが出来るほどブラインドタッチが出来るようにもなっています。 しかし「金のかかる」娘です。


    例によって下手な文章で非常に長い内容になってしまいましたが、私たちの経験談がお客様のお役に立てれば幸いです。

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制作・著作: hiro580(アレックスのおじさん)