
無謀にも私のなけなしの知識と技術でオーディオアンプの設計・製作に挑戦することを このコーナーの趣旨とします。既にかなり無知まる出しな内容になっていて、 読み返すと非常に恥ずかしいです。無事そこそこ動くアンプが作れるよう 皆様暖かく見守ってやってください。
私はオーディオアンプの設計・製作の初心者ですので、あまり内容を信用しない方が 無難だと思います。読まれる方は、「何かの足しにはなるかもしれない」程度に思っていてください。 なお、万一製作される場合は、ご自身の責任下で行われますようお願い致します。
ちょっと最近、オーディオパワーアンプを自作してみたくなりました。 数年前に試作機第一号を作ったきり、アンプの製作はご無沙汰していたのですが、 今度は出力段にMOSFETを使ったアンプに挑戦したくなってしまいました。
アンプって、電子回路の中では結構手軽に設計できる方だと思うし(設計どおりに 動くかどうかが最大の悩みどころですが)、電子工作が楽しめるし、作ったら音楽が 楽しめるし、ちゃんと個別の部品で作れば意外と音質が良いんですよね。やっぱ アナログIC使ったアンプの音と、個別のトランジスタで作ったアンプの音は違いますよ。 もう安いパーツとかいらないパーツの寄せ集めで作っても、アナログICを使った アンプよりも音質が良かったりするので面白いです。といっても私が数年前に作った 試作機第一号は多分設計どおりに動いていませんが…。
そこで、今度はなるべくちゃんとしたものをひとつ設計・製作してみたいと思っています。 試作機第一号は13V・0V・−13Vの電源で10W程度のアンプだったので、 今回は40V・0V・−40Vの電源を使って出力を大きくし、スピーカーの制御力を 強力にしたいと思っています。アナログ回路はシミュレータを使うと計算間違い なんかが事前に発見できるのでいいですね。入力にコンデンサを使うのはちょっと 抵抗があるので、DCアンプにします。DCアンプといえば、入力の差動増幅器 にはだいたいNチャネルのJFETを2つ使うんですよね。この辺の理由はよく 知りませんが、とりあえず入力のインピーダンスが高いことは良いこと なんじゃないかとは思います。
というわけで入力の差動増幅器の設計から始めようと思い、とりあえず電源電圧は 40V・0V・−40Vだから…アレ?JFETの動作電圧ってどの辺に設定すれば いいんだろう??というわけで分からなくなりました(いきなり詰まってるやん)。 もうちょっと勉強します。
…ちょっと、このままでは企画倒れになりそうなので、とりあえず電圧増幅部に OPアンプを使って、出力をMOS−FETにする構成でなんとかならないかと 思っています。OPアンプの動作電圧の上限は15V・0V・−15Vなので、 これよりもよりも大きな電源電圧を使うのは面倒です。そこで、電源には 試作機第一号で使った13V・0V・−13Vのトランスを使いまわすことに します。これに12Vの3端子レギュレータを通して、そこそこまともに使える アンプを作れたらなーと思います。ただ、OPアンプを使うと音質的に若干不利 になりますが、その辺は段階を踏んで行こうと思います。
最近 Audio Power Amplifier を自作したくて、勉強しています。が、難しいですねー。 他にもやりたい/やらないといけないことが多く、とっかえひっかえ色々やっていることもあって、 かなり効率が悪いです。加えて難解なこともあって、最近息切れしてきました。 上で12Vの3端子レギュレータを使うと書きましたが、とりあえず 今回は電源からキチンと考えようというわけで、まずは電源の自作から初めました。で、 一応動作している(?)っぽいモノを製作しました。以下は13Vの定電圧電源回路です。

見る人が見れば分かるのでしょうけど、かなりいい加減です。気になるのは、誤差増幅器 が差動増幅回路になっているのに、共通エミッタ電流が定電流になっていないことと、自分で キチンと回路の動作の詳細を説明できないことです。ちゃんと説明できないということは、 ちゃんとした考えの上に回路が成り立っていないということです。この程度の規模の回路でも、 1つ1つの部品の特性までキチンと把握していないとマトモに動かすことはできませんね。 今月中に完成させようと思っていたのですが、ちょっと厳しいです。
プロジェクト名が上記のように決まりました。(2001.10.16 です・ます調に修正)
ようやく、実験目的に製作したアンプが音を出すようになりました。実験なので、 ブレッドボードで回路を組み、ブレッドボードに差さらない大きな部品は 空中配線でつないでいるため、少し触るとリード線同士がぶつかってショート しそうで恐ろしいです。実際、一瞬やってしまったが部品の破損には至りませんでした。 トランジスタから火が噴き出したりコンデンサが破裂したりするシーンは 一度やってしまうと、二度と見たくないものです。
音が出たので、もう一度念のために、各部分で設計通りの電圧が得られているかを確認したら、 なんと得られていませんでした。なんでやーーーとしばらく調べていたら、なんと定電圧電源の 出力が設計値の14[V]から12[V]に下がっているではないですか(定電圧とちゃうやん)!! どうやら設計がまずかったらしく、出力トランジスタをドライブする部分が充分な電流を供給 できていないのだと思います。というわけで、上の定電圧電源回路は設計不良であることが 判明しました。本を読んでなるべくその通りに作っているつもりなのですが…。私が思ったよりも、 出力トランジスタの駆動負荷は重いらしいです。
アンプは出力の中点電位を0[V]にする必要がありますが、今回製作した実験用回路は、出力に 約0.2[V]のオフセットが出ています。オフセットが出ていると、接続されたスピーカに常に DC電流が流れ続け、スピーカのコイルが焼けてしいます。しかし、どうせ接続しているのは 安物のスピーカだし、そんなことはおかまいなしです。ブレッドボード上で製作し (これは部品同士がハンダではなく、接触のみでつながっていることを意味する)、 某所で拾った部品うなどして、あり合わせの部品を使い、これを平滑容量の少ない、 設計不良の電源2個だけで駆動し(通常は4個使う)、さらに中点電位の調整も しないままに、安物スピーカにつないで聴いた音は、意外にも良い音でした。もうしばらく 調査・実験・検討作業を繰り返したあと、なるべく本気で完成版の製作にとりかかるわけですが、 これだけの悪条件ですらそこそこの音で鳴っているのだから、完成版はどれほどの音を出して くれるか楽しみです。ただし、今回は完成版の音を某所のクルーにも試聴してもらい、 第三者によって、「完全自作アンプはメーカー品に比べて音が良いか」 というテーマについて客観的かつ厳正な評価をしてもらうことになっています。

これでほぼ最終形態となりました(と今のところ思っています) (2001.10.22 注:大幅に変更しました)。いわゆるオーディオ アンプの基本形に、温度補償を入れただけのものです。2段目の差動増幅回路は、NPNトランジスタでは ダメで、PNPトランジスタを用いなければいけないことが最近になって判明しました。 Ver.2.3 の Q2, Q3, Q4 は温度補償付きのカレントミラー回路で、出力のオフセットドリフト (温度の変化によって出力にDCが現れる現象)を無視できるレベルに抑えます。 R4, R5, VR1 は、初段のFETの特性のミスマッチを調整するものですが、デュアルFETを使うと かなり特性がそろうので、不要かもしれません。一度可変抵抗で調整したあと、テスタで抵抗値を測定し、 固定抵抗で置き換えた方が音質的にも良いのではないかと思っています。VR2 は出力の中点電位を 調整します。VR3 は Q7, Q8 のアイドリング電流(無信号時に流し続ける電流)を調整します。 300[mA] ものアイドリング電流を流すには、恐らく4〜5[V]の電位差を作る必要があるので、ここでの 電圧ロスは頭の痛いところです。これのせいで、電圧増幅段で得られる最大振幅(片側振幅)は 24[V]から4〜5[V]を差し引いた19[V]〜20[V]になってしまいます。さらに2段目の差動増幅回路の 共通エミッタ抵抗による、2[V]程度の電圧のロスがあるので、17[V]〜18[V]程度が得られる振幅の 限度でしょう。最大の25[W]を出力するには、約20[V]の振幅が必要なので25[W]の出力は… 無理でしたね(汗。でも実際は25[W]どころか5[W]も出力しないでしょうから、 まぁいいかと思っています。私の理解が正しければ、電力増幅にMOS−FETではなく、 トランジスタを使って、アイドリング電流を少なくすれば、25[W]くらい出るかもしれません。
定電圧電源回路は、初心者らしく3端子レギュレータを使うことにしました。この辺はもう 妥協しました。今の私の知識ではマトモな定電圧電源回路を設計できないでしょう…。勉強 するにも、ちょっと時間が足りないので、またの機会にしたいと思います。
上の回路図、かなり間違ってました。間違いの部分は後述します。 まずは最新の回路図をどうぞ。

私が持っている 2SK389GR の IDSS を測定したところ、約 3 [mA] でした。 そこで、データシートの ID - VGS 曲線を調べます:

次に2段目の差動増幅回路ですが、前回の回路ではトランジスタのコレクタ損失と抵抗の熱損失が 大きすぎました。前回の回路では、無信号時に 10 [mA] 流す設定で抵抗の値を決めましたが、 振幅のピーク時に、トランジスタに 48[V] の電圧がかかると考えると、このときの Q5 または Q6 の コレクタ損失は 48 * 20 = 960 [mW] です。しかし、2SA798 の許容コレクタ損失は 200 [mW] です。 これではいけませんね。V2.5 では、無信号時にそれぞれ約 5[mA] 流すことにし、 さらに2段目の差動増幅回路に使うトランジスタと抵抗の許容熱損失(W数)を変更しました。
上記を V2.5 の場合に当てはめて、もう少し詳しく解析してみます。下に示す回路とその波形は、 本プロジェクト(V2.5)で使う2段目の差動増幅回路とほぼ同じ条件で動作させたものです。

簡単に回路の解説をします。Q1 および Q2 は特性が完全に揃っているものとします。まず、 入力には片側振幅が 0.1[V] の正弦波を入力しています(これは単に出力が大きくクリップしないように 後で適当に決めただけです)。これをカップリングコンデンサ C1 で直流的に分離し、 Q2 のバイアス電圧を、R5 / (R5 + R6) * 24 = 10 / 11.5 * 24 ~= 20.9[V] としています。 Q1 と Q2 は対称動作をさせるので、Q1 と Q2 のベース電位は等しくします。よって、R6 = R7, R5 = R1 とします。
Q1 と Q2 のベース・エミッタ間電圧は 0.65[V] とすると、Q1 と Q2 の共通エミッタ電位は、 20.9 + 0.65 = 21.55[V] です。よって、R4 の電圧降下は、24 - 21.55 = 2.45[V] となります。
次に、R2 と R3 の無信号時における電圧降下と、無信号時におけるそれぞれの抵抗に流す電流値を 決定します。V2.5 の2段目の差動増幅回路は、電圧増幅段の出力となるので、Q1, Q2 のコレクタ電位は 無信号時に 0[V] である必要があります(入力がゼロ[V]のときは出力もゼロ[V]とする^^)。 よって、R2 と R3 の電圧降下を V2 = 24[V] とします。次に無信号時に R2 と R3 に流す電流値を決めます。 これは、V2.5 の2段目の差動増幅回路で 5[mA] 程度流すことに決めているので、これにあわせて 5[mA] とします。R2, R3 にかける電圧と、流す電流の値が決まったので、オームの法則より、 R2 = R3 = 24 / (5 / 1000) = 4.8[K ohm] となります。E12 系列の抵抗を用いると、最も近いのは 4.7[K ohm] です。そこで、R2 = R3 = 4.7 [K ohm] として、無信号時にこれらの抵抗に流れる電流値を確認すると、 24 / (4.7 * 1000) ~= 5.1 [mA] です。これより、Q1, Q2 に流す電流値の合計は 5.1 * 2 = 10.2[mA] となります。
これで、無信号時に R4 にかける電圧の流す電流の両方が決まったので、 R4 = 2.45 / (10.2 / 1000) ~= 240[ohm] となります。なお、計算値と実際の動作は多少異なるので、実際に製作する場合は R4 は 180[ohm] の固定 抵抗と 100[ohm] の可変抵抗とし、入力電位をゼロ[V]として Q1 または Q2 の電位がゼロ[V]となるように 可変抵抗を調整します。上のシミュレーションでは、R4 = 234.8 [ohm] で Q1 のコレクタ電位がほぼゼロ[V] となりました(無信号時は Q2 のコレクタ電位もこれと等しい)。以上は現時点における 私の回路の理解度に基づいた解説でした(お粗末さまです)。
では、この回路で R2, R3 および Q1, Q2 で発生する熱損失について考えることにします。
まず、無信号時において、Q1, Q2 には設計どおり、それぞれ 5.1[mA] 程度の電流が流れるはずです。 この差動増幅回路が位相を反転して出力することを知った上で、出力の波形を観察します。 入力の正弦波が負のピークである -0.1[V] 達したときに、出力は位相が反転し、おおざっぱに見て +21[V] 程度の値になっています(シミュレーション上では、R4 の電圧降下が 2.45[V] なので、24 - 2.45 = 21.55[V] 付近で出力電圧は頭打ちとなり出力波形がクリップしている)。 このとき、R2 の電圧降下は、+21 - (-24) = 45[V] 程度です。ここまで分かったら、もう面倒くさいので、 正負の電源電圧の合計である 48[V] として、少し大きめに考えてしまいます。 すると、この瞬間に R2 に流れる電流は、48 / (4.7 * 1000) ~= 10.2[mA] で、熱損失は 10.2 * 48 = 489.6[mW] です。この計算結果から、本プロジェクトの2段目の差動増幅回路においては、 1/4Wどころか1/2Wの抵抗を使っても熱損失的に厳しいことが分かります。そこで、 本プロジェクトの2段目の差動増幅回路のコレクタ抵抗には1Wの許容熱損失を持つ抵抗を使うことに しました。なお、V2.3 の回路図では、無信号時に倍の 10 + 10 = 20[mA] に設定していましたが、これだと 熱損失も倍の 980[mW] になってしまいます。これだと1[W]の抵抗でもかなり危険です。
同様に、Q1, Q2 の熱損失を考えます。Q1, Q2 の共通エミッタ電位は、設計から 21.55[V] です。 一方、コレクタ電位は出力波形を見れば分かるように、+21[V]付近から -24[V] まで変化します。 Q1, Q2 の共通エミッタ電位とコレクタ電位との差が最大になる瞬間は、やはり入力の正弦波が 負のピークである -0.1[V] 達した瞬間で、その差は 21.55 - (-24) = 45.55[V] です。これを 知った上で、これも面倒くさいので、正負の電源電圧の合計である 48[V] として、少し大きめに 考えてしまいます。この瞬間に R2 に流れる電流は上述より 10.2[mA] ですから、直列に接続されている Q2 にもこの電流が流れます。ということは、この瞬間の Q1 の熱損失は、48 * 10.2 = 489.6[mW] です。この計算結果から、本プロジェクトの2段目の差動増幅回路のトランジスタに、許容 コレクタ損失が 200[mW] である 2SA798 は使えないことが分かります。そこで、本プロジェクトの 2段目の差動増幅回路のトランジスタには、許容コレクタ損失が5Wである 2SA1360 使うことにしました。
以上は、シミュレーション回路の Q2 と R2 のみに注目して考えましたが、この回路の Q2 と Q1、 R2 と R3 は対称動作をするので、Q2 と R2 の損失が最小になったときは Q1 と R3 の損失が 最大になります。そして、 Q1 と R3 の最大損失は、Q2 と R2 の最大損失と等しくなります。 したがって、Q1 と Q2 はもちろん、R2 と R3も同じ許容熱損失を持つ抵抗を使う必要があります。
その他の間違いは、V2.3 の回路図と V2.5 の回路図を見比べると分かりますが、電力増幅段の バイアス用トランジスタ Q6 のバイアス電圧調整用の抵抗が間違えているのと、V2.5 の R14 と R15 が V2.3 では抜けていたことです。以上から、V2.3 は、マトモに動作しないばかりか、 2段目の差動増幅回路のトランジスタと抵抗を燃やしてしまう、トンデモナイ回路であることが 分かりました。
また間違ってました(汗。まずは最新の回路図をどうぞ。

はじめに訂正です。バイアス回路 Q7 周辺が V2.5 の回路ではうまく動作しませんでした。 あと抵抗の値が低くなっていますが、この辺はきちんとした設計方法が分からなかったので、 実際に回路を組んでみて、最大振幅を超えたときに出力波形の正負が 18[V] 〜 19[V] で バランスよくクリップするように決めました。
実際に回路をユニバーサル基板上に組みましたが、発振してしまったので Q5, Q6 に発振防止用の コンデンサを入れました。回路図では 68[pF] になっていますが、私は 33[pF] を2個並列に 接続して 66[pF] にしました(33pF だとまだ発振した)。
音を聴いてみると、なかなか良いです。低域から高域まで力強く出力しているなーと感じました。私は サテライトシステム(sub-woofer が真ん中にあって、中高域のスピーカーが左右にあるシステム) を使用していますが、オーディオ帯域で周波数特性はフラットなはずなのに、低域が 強すぎる(?)と思うくらい出ます。一方、高域もハイハットシンバルやヴォーカルの息継ぎ、 声の高周波成分がスーッと誇張されて聴こえます。これはひょっとするとスピーカーに 入っているクロスオーヴァ・ネットワークのせいなのかもしれません。取り除く手もありますが、 メーカーがクロスオーヴァ・ネットワークを付けたのにはそれなりの根拠があるはずだと思い、 それを尊重することにしました。メーカーの根拠を自分の勝手な感覚で取り除いて、余計に悪化 したらダサいですしね。まぁ、サテライトシステムだし、こんなもんかなーとも思います。 スピーカに不満を持ったところで、高いスピーカに初心者が作ったキケンなアンプを繋ぐのも どうかと思いますし…。きっとこのくらいがちょうど良いんだと思います。今回は、オーディオ用の 部品は一切使いませんでしたが、その割には作った本人が驚くほど良い音でした。ただし、 スピーカーの低域と高域の主張が強すぎるせいか、2時間ほど聴いていると疲れてしまいましたが。 映画なんかを見るのには良いかもしれません。
初夏のあたりから、アンプ製作を計画・実行してきましたが、研究・開発・設計・製作を含めて \30,000 弱で完成しました。かなり経済的だったと思います。もっとも、時間はかかったし、 苦労もしましたが^^;。オシロスコープは某所に転がっていて、ここ10年くらい誰にも使われた 形跡がなかったので、それを拝借しました。アンプ製作の本には「テスターだけで簡単に作れる」とか 書いてあるものもありますが、私が試したところでは、テスターだけでは厳しいと感じました。 本と完全に同じものを作る場合は良いのかもしれませんが、秋葉原周辺に住んでいるならともかく、 現実問題として部品の入手が非常に難しいです。そこで、ある程度自分で回路構成を決めて、 出力のワット数や入手可能な部品を調べてから回路定数を決定して行くわけですが、こうなると 動作の妥当性の確認も自分で行う必要があります。これはオシロスコープ無しでは無理だと思います。 テスターだけで作れるのはきっと回路の設計が自分できちんとできて、なおかつ製作のノウハウを 持っている人でしょう。初心者に「テスターだけで簡単に作れる」などというのはどうかなと思います。 それとも私の世代の人間が物作りを出来ないだけなのでしょうか?
機会があれば、完成したアンプの写真と某所のクルーに聴かせてアンケート調査した結果なんかも 載せたいと思います。
順番が後になりましたが、本プロジェクトの電源回路です。

今回は、ディスクリートできちんとした定電圧電源回路を設計する実力と自信と時間の余裕が無かった ので、3端子レギュレータを使用しました。電圧増幅段用の電源には、24[V] 0.5[A] のトランスを 2つ使っています。1次側は並列、2次側は直列に接続し、正負の2電源を構成しています。 電圧増幅段は 100[mA] も消費しないので、大きなヒートシンクは必要ないです。私は大きめのを つけましたが、動作中に触ると冷たいくらいです。
下の方が電力増幅段用の電源回路です。トランスは 22[V] 3A のトランスを2つ使っています。 これも1次側は並列、2次側は直列に接続し、正負の2電源を構成しています。こちらは電力を 比較的多く消費しますが、そのときにもリップルが充分小さく保てるように、大きな平滑用の ブロックコンデンサを並列に入れています。回路図上では平滑後の電圧も 22[V] と書いてありますが、 実際の電圧は 22 * sqrt(2) ~= 31[V] になります。ただし、これはあくまで電流をほとんど流さない 場合の電圧で、最大の 3[A] も流すと、恐らく 22[V] 付近まで下がるんじゃないかと思います (確認はしていません)。
今回は、ばか正直に(?)トランス4個をつかって4電源を構成しました。まぁ適当なトランスが 簡単に手に入らなかったのと、たまたま 22[V] 3[A] のトランスがデジットで1個 \300 で 売られていたのでこうなりました。当初は、あらかじめ持っていた 13[V] 1[A] のトランス2個で 5[W] 程度のアンプを作るつもりだったんですが、この 22[V] 3[A] の \300 トランスを見つけてしまい、 大幅に計画を変更したのでした。
これだけ多くのトランスを使うと、さすがにケースの加工や実装など、全工程の半分以上を電源回路に 費やしたような気がします。トランスが多いと、配線が必ずトランスの近くを通ることになるので、 トランスから余計なノイズを拾うんじゃないかと心配でしたが、完成したアンプからは、スピーカーに 耳を近づけても、ノイズの類は全く聴こえませんでした。
現在、PCのサウンドカードに接続して使っていますが、サウンドカードからのノイズが非常に大きく、 これに比べるとアンプ自体のノイズは無いと言って良いです。アンプのテストをするのに、PCで正弦波や 矩形波を作成して、これをサウンドカードから再生していましたが、波形を観察すると、特に矩形波 はものすごく歪みます。やはり \5,000 程度のサウンドカードではCDデッキのような音質は期待 できないのかもしれません。
アンプの写真を撮りました。もう直接ここに載せちゃいます。


真ん中の左右に塔のようにそびえ立っているのが出力段の電源の平滑コンデンサです。正負それぞれを 30,000[uF] で平滑しています。真ん中の後ろの方にあるのが、50[V] 10,000[uF] のコンデンサです。 初心者としては、どーーしてもコンデンサバンドを使ってコンデンサを立てて実装してみたいものです(笑)。 というわけでシッカリとやってしまいましたが、ケースの裏に詰め込んでしまうほうがスペース的には 有利な気がします。
出力段の MOS-FET 2SK1058/2SJ162 以外はほとんど大阪日本橋のデジットで購入しました。 ただし、2SK1058/2SJ162 の代わりとして、 2SK2458 / 2SJ440 のコンプリメンタリ・ペアの 在庫があるかもしれません。私が行ったときは 2SJ440 の方が在庫切れでした。なんでオーディオ 出力用の MOS-FET が片方だけ売れるのかはちょっと疑問だったりしますが…。2SK1058/2SJ162 はサトー電気から通販で購入しました。 あと、出力段用の 22[V] 3[A] の \300 中古トランスは今でも在庫があるかどうか分かりません。 無かった場合は代わりに 20[V] 2[A] のトランスが購入可能です (20[W]+20[W] アンプ用と書いてある)。ただし、こちらは \4,000 以上したと 思います。
出力段の MOS-FET は、温度補償を行っていません。MOS-FET は温度補償が不要だと言われることが あるようですが、これをやらないと、あとあとの精神的衛生の面であまりよくないですね。0.33[ohm] のソース抵抗を入れてあるので大丈夫だと思っていますが…。アイドリング電流は 300[mA] 流して いますが、電源を投入して間もない頃が、長い時間が経ったあとよりもヒートシンクが 熱くなる気がします(50[℃]くらい?)。今度、温度計で測定してみようと思っています。
真ん中にある基板には、電源の整流ダイオードと出力用の 0.33[ohm] 3[W] の抵抗、それから 発振対策用の約 1uH のコイルと 10[ohm] 3[W] の抵抗が実装されています。今回はなんとなく、 整流器をつかわずに、わざわざ整流用のダイオードを使いました。実はこの基板はケースの表 ではなくて、裏側に実装した方が良かったと思います。手前の黄色と赤の線はトランスの2次側から 来ているものですが、これを整流した後に、平滑コンデンサにつなぐために再びケースの裏へ 配線しています。それなら最初から裏でつないでしまえばよかったなー…と思っても後のまつり です。
前のヒートシンクの裏に、出力段用の 22[V] 3[A] の \300 中古トランスを実装しています。 後部に小さめのヒートシンクが付いた基板が2つありますが、これは 24[V] の3端子レギュレータです。 左側が +24[V]、右側が -24[V] です。小さめのヒートシンクといっても、触ると熱いどころか、 かなり冷たいので、これは大きすぎでした。TO-220 用のいちばん小さなヒートシンクで充分だと 思います。

ケースの裏はこんな感じです。左右の大きいのが例の \300 トランスで、真ん中の2つが電圧増幅用の 電源トランスです。配線がぐちゃぐちゃです。この辺がスッキリしていないあたりがいかにも初心者 といった感じです。上の方にある2つの基板は電圧増幅部です。