5.十二支にない動物はどうやって登場したの?


 既に「バッファロー=野牛=猛牛」が、同じ牛でも全く独自の定石として、
丸岡秀範チャンピオンを中心に使われていきました。
 もう一つ、「牛定石」を鏡に写した型も、多くの強豪に愛用されました。
 これが「逆転の発見」(井上博著)で「双方危険」と警告付きで検討され
た「闘牛定石」です。5手目で中辺に打つ型は多いのにこの型だけが「トビ
ダシ」と呼ばれ、いまだにその名前も有名です。
 やや遅れて「兎定石」が「牛定石」をしのぐ勢いで広がり、まだ「虎定石
」の激しさは大事な大会に出現しませんでした。
 「並び」が不利との定説が「逆転の発見」で知られて以来、強豪たちの研
究は「ね、うし、とら、う」から「竜」や「猿」には向かわず、「猛牛」と
「闘牛」に「兎」「牛」を加えて四大定石と呼びたくなるほどの流行を見せ
たのでした。
 「オセロの打ち方」(長谷川五郎著)で「ね、うし、とら、う」が紹介さ
れても、「ねずみ」は愛用されず、「とら」でさえも、デビューしたままヒ
ット曲に恵まれない歌手のようでした。
 「名付け親」とされた私には、「猿」「竜」の不遇を含めて、寂しい年月
が続きます。しかし、いつどなたが新しい研究を胸に秘めて頂上を極めるか
予測できはしませんから、はっきり不利と納得できる型以外には、全て名前
を付けようと考えました。
 十二支にこだわらず、良さそうな型は、大きな大会で全く打たれていなく
ても名前を皆さんに紹介したくて、そのためには私自身がある程度強くなけ
ればなりませでした。
 幸いにも全日本無差別9位だった1975年には、北海道代表が無差別で
5位河村末告君、私、能村寿一君、伊藤敏明君の4人が入賞。
 石塚裕司君は少年少女の部で77年、78年と優勝。
 学生選手権では80年河村君、伊藤君の2人が3、4位。
 続いて81年石塚君、佐々木一憲君3、6位。
 どうしても北海道勢に注目が集まり、私のミニコミ紙や、棋譜検討も「デ
イリースポーツ」紙オセロ欄解説も読んでいただけたのでした。
 その中でも1980年の無差別ビッグ3独占が、三村卓也君、河村君、石
塚君によって実現し、8位に高柳直哉君、11位私、13位能村君と、計6
人が入賞した時、全国からの注目は一つ目のピークを迎えました。
 「オセロ新聞」も1976年創刊から23号まで、77年28号までは保
管してあるけれど、以後不定期に数年続いたものが、すっかり紛失していま
す。
 ガリ版に代わってファックス印刷が、学校でも行なわれ、正課の「必修ク
ラブ」に沢山の高校生が参加してきた時期です。
 オセロ盤が何十人分も各学校に備えられたのも、この頃です。
 連盟の道本部を村上公昭理事が代表して、経営されていた碁会所を、快く
例会に提供して下さり、お子さんの千春さんは、大人も含めた全国のトップ
レベル。
 札幌支部長の伊藤昌敏さんご一家とともに、私たちが参加する以前の草創
期から、家族ぐるみで支えてくださいました。
 こうした幾重にもの支えがなければ、プレーヤーの層は暑くなりません。
 無償の努力が、周囲からは当然視されたり、好きだからだろうと簡単に扱
われたり、どこの土地でも同様ですね。
 プレーヤーのレベルが上がれば、互いに研究もするし、研究の成果を発表
もしますから、共通のオセロ用語が必要になります。コンピューター全盛の
今でも同じですね。
 世界選手権大会の棋譜には、無差別の部以外の全日本と同様に、日本国内
の大会の棋譜とは違う戦型が現れます。
 世界チャンピオンに毎年日本代表がなり得た時期には見向きもされなかっ
た型に、ジョナサン. サーフやポール.ラルが光を当て、ブライアン. ローズ
の長年の日本での修行が実り、M. タステやD. シェイマンらの活躍による
定石研究の発展は、もはやオセロ王国日本の存在さえも揺るがすものとなり
つつあるに違いありません。
 十二支の動物だけでは、将来の流行定石候補に間に合わないのです。蛇、
羊、馬に続いて、十二支以外で、強豪が使い始めたのは、猫や燕。雁も野兎
も、「逆転の発見」に無名で出ていた趣向ですが、今徐々に広がりつつあり
ます。それどころか、「らしく」見えるにはトド、アザラシ、アシカ、ワニ、
河馬、獅子、青虫、毛虫、マムシ、鯨、シャチ、ザリガニ、鹿、ロバ、カン
ガルー、ゴリラ、コンドル、鳳ーーー。もう、どうにも止まらない状態。
 犬や猪(イノシシ)も、ようやく登場。挙げ句の果てに生き物以外も。
 こう書いてきましたが、実はこれは20年、物によっては30年かけての
こと。名前を考えたり、皆さんに知らせたり、考え直したりしてきたのです
から、長い長い苦楽の積み重ね。生みの苦しみは至福の楽しみですよ。


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---目次---
○●前書き●○
1.定石の名前って何のこと?
2.いつ、どこで、だれが、どうして名前つけたの?
3.どうして5手目までの黒石だけの形に?
4.名前は「ね、うし、とら、う」だけ?
5.十二支にない動物はどうやって登場したの?
6.定石って、流行したり消えちゃったりする?
7.コウモリって、7手目じゃない?
8.裏ヘビとか、裏コウモリって何?
9.飛行機とかヨット、快速船まであるの?
10.定石の本って、どこかで売ってるの?
11.インターネットで定石の研究できるの?
12.新しい名前はどうやってつけるの?


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