3.どうして5手目までの黒石だけの形なの?


3手目が14通り、4手目が60通りもあるということは、もうご存知ですね。
その中には、ほとんど打たれていない形もたくさんあるのですから、
この二十数年の間私は、流行したり消えたりしながら、
よく打たれた形を定石として名付けておこうと思い続けてきました。

でご覧のように、実は3手目にも、4手目にも名前は付けられるんですが、
2手目の「縦」と「斜め」と「並び」のようないい名前を付けるのは難しいのです。
最初の定石書「逆転の発見」で発表された2手目の名前も、
著者の井上博さんや企画編集の国枝交子さん、執筆協力の長谷川正行さんが、
いろいろ考えて、短くて覚えやすく、見た目ですぐわかる名前をと、
考えた末の結論だったそうです。
5手目の名前が定着した今だから、
逆に「虎へ」、「トラ素(もと)」といった名付け方をしました。
分類には役に立ちます。

1976年に「オセロ新聞」(連盟北海道本部機関紙)に発表した六つの名前は
そこに描いた絵とともに、札幌や東京で、少しずつ認められたり、
受け入れられたりしてゆきました。
後に長谷川五郎さんが「四大定石」として紹介してくださって、
竜(たつ)と猿(さる)以外の四つが、全国に知られ始めました。

十二支の動物にこだわったことには、外国への普及の邪魔になるとか、
日本の青少年男女の皆さんに古めかしい印象を与えるとか、
心配された向きがなかったわけではありません。

白黒計九個のうち黒だけの姿かたちに名前を付けたのも、
白黒両方の形を何かに見立てることができるのは難しいと考えたからです。
見た目で動物の姿を想像するには、黒だけを見る方がいいし、
黒が着手して白石を返した状態ですから「黒5はウサギ」といった手の、
あるいは進行の説明になると考えたのです。

今から27年も前のこの選択はどやら成功だったようです。
石が黒いからといって黒い動物しか想像できないことはありません。
6手目にも「大量取り」といった名付方がされ、
アメリカではそれを「チムニー」と呼んだりしていました。
牛定石が「いったいどこが牛なの?」と言われても、
井上博さんらの強豪が使って大流行していた時期に、
まだ学生だった丸岡秀範さんが牛と途中の白4までは同じ進行の
「バッファロー」で世界制覇した記録は彼の著書
「ぼくたちオセロエイジ」に1手1ページという新鮮な解説とともに載りました。
十二支以外にも名付けの枠を広げ始めたころに、
牛系統の名付けの一つが、こうして世に出ました。
牛が後足を蹴り上げた、いかにも猛牛、野牛らしい姿でした。

強豪が試して勝ち、さらに勝ち続けると、
みんながマネして、定石になってゆき、名前も知られていくわけです。

いつ有名になってもいいように、名前を少しでも多くの形に付けて、デビューを待つ日々が続きました。



HOME棋譜掲示板掲示板日記
---目次---
○●前書き●○
1.定石の名前って何のこと?
2.いつ、どこで、だれが、どうして名前つけたの?
3.どうして5手目までの黒石だけの形に?
4.名前は「ね、うし、とら、う」だけ?
5.十二支にない動物はどうやって登場したの?
6.定石って、流行したり消えちゃったりする?
7.コウモリって、7手目じゃない?
8.裏ヘビとか、裏コウモリって何?
9.飛行機とかヨット、快速船まであるの?
10.定石の本って、どこかで売ってるの?
11.インターネットで定石の研究できるの?
12.新しい名前はどうやってつけるの?


  Copyright © wk All Rights reserved.