辰巳泰子の短歌朗読ライブ情報(2010.11.14更新)
平家歌灯
は、
自分の子ぉを戦場へ送りとぅない

の、
歌がたり。

大阪弁の平家物語、辰巳泰子本。
皆さまのご来場をお待ちしております。
どうか一度でもいらして、 辰巳泰子がいま何をしているか見ておかれてください。



> > とても素晴らしいラストでした。
> > 板倉さんと花男さんと、あれだけの簡単な打ち合わせで、
> > 本番は、どうどうとしたものでした。
> > 辰巳さんはミュージシャンを抱えてのライブに不安があっても、
> > あの二人のツワモノは、
> > 見事バッキングや効果音の味付けをやってのけました。
> > よって、おいしくて見栄え良く素晴らしい料理に仕上がりました。
> > シナリオ(文字の楽譜)を渡したのが功を奏しています。
> > あのツワモノたちは百戦錬磨場数をこなしていて、
> > 技術と感性が卓越しています。
> > ミュージシャン全てがああではありません。
> > 彼らが主体を尊重し、全体に気を配れる人だからです。
> > 音(サウンド)に関しての感性は詩歌の朗読者の比ではありません。
> > 辰巳さんは大船に乗ったつもりでやられたと思います。
> > 実際、堂々として主演をされておられました。
> > 一度ピアノの第一音と朗読の第一音が噛みましたが、
> > 即、間をおいて修正されました。
> > 顔色一つ変えず、ひきずらずにお見事でした。
> > とても初めての舞台での顔合わせとは思えないほど、
> > 三者の出す音が馴染んでいました。肝心な間が素晴らしかったです。
> > > > バックを従えての朗読は、上手ければ今回のように成功しますが、
> > 演出がよくて、上手く息が合わないと失敗します。
> > 独演よりも気を使う処は多いはずです。
> > 福島氏やりょう氏がバンドで朗読活動していますね。
> > 彼らは成功させてます。
> > 普通一般的には文学系朗読者は、
> > 舞台表現の専門家のミュージシャンに負けてしまいます。
> > そのことを観客に見破られてしまいます。
> > 初心者から始まった当「俳ラ」が独演を貫いている所以です。
> > 辰巳さんのマイクを使わずアコースティックでやられることに賛成です。
> > このことは舞台準備の際、花男さんとも話しました。

> > 今回の最後を飾る「へいけ第八弾」は、
> > 舞台左右に素晴らして鳴り物(音楽家)を配して、
> > 豪華な演出でした。見事功を奏しました。
> > 良かっただけに色々な意味で考えさせられ、
> > 今後の活動の糧になることでしょう。(宮崎二健)



★★★★★最終回(第八弾)報告!(写真アップ待たれい!!!)

建礼門院――竜女物語
秘め事を持たんとすればわびしくて薊のごとく風に尖れる   泰子


【日時】2010年10月31日(日)16:00〜18:00
【場所】JazzBarサムライ

新宿区新宿3-35-5守ビル5F 03-3341-0383
(JR新宿駅東南口下車、階段降りて甲州街道沿い直進徒歩2分。1F蕎麦屋のビル)
【料金】2000円(1drink付)

【出演】
辰巳泰子、板倉克行花男西野りーあ徳永未来




 









第三弾4.19写真、第四弾7.12写真、第五弾11.1写真、第六弾3.21写真、第七弾5・29写真


★★★★★「建礼門院――竜女物語」の一部

「知時か、おまえの志の殊勝なのは、受け取ったぞ。……知時よ、わたしはどうしたらよかろう。仏を拝んでから斬られたいと思うのに、寺を焼いて、それも許されへん。このまま死んでは、あまりに罪が深いよぅに思う」
「ご主人様、お安い御用でございます!」
 知時はそないゆうて、守護の武士に相談し、そのあたりにおられた仏の像を一体、迎え入れ、河原の砂の上にお立て申し上げ、自分の狩衣の括り紐をほどいて、一方の端を仏の御手にかけ、もう一方の端を、重衡様の手に、握らせはった。幸いなことに、それは、阿弥陀如来様の像でいやはった。
「伝え聞く、釈迦に背いたダイバダッタも、最後には仏から如来となることを認められた、してきたことの罪がじつに深くとも、仏法に真に巡り合ったならば、逆縁もまた悟りを開くきっかけとなる。このわたしが、寺を焼くという大罪を犯したのは、ひとえに自分の考えからではない。そのときには、それが、勅命だったのである。誰が天皇の命令を軽蔑するだろう、この世に生まれ、誰が、自分の親に背くことができようか。王の命令にも父の命令にも、背くことなく生きてきた。それがよいことかわるいことかは、仏こそがご照覧になることだ! 後悔すること限りなく、悲しんでも、悲しみきれないが、逆縁そく順縁、ねがわくは、この最後の念仏によって、九品の浄土に、生まれ変わることがでけますように……」
 声高く念仏を唱えること十遍、お首をすうっと前にのばして、斬らせはった。そのお首は、般若寺の大鳥居に釘づけにかけられ、胴体だけ北の方、大納言佐殿のもとへ返されけれど、夏の、暑い時分やったので、ほん昨日まで、まだ生きてはるように立派でいやはったのんに、届けられたときには、腐りただれていやはった。

怪我をしたきみもわたしも血かたまり肉盛ればそのうへにまた逢ふ
朝戸出にひよどりが鳴き騒ぎをり平生といふ籠のうちそと



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★辰巳泰子略歴★


歌人。1966年、大阪十三に生まれる。
1990年、第一歌集『紅い花』(砂子屋書房)にて、歌壇の芥川賞にあたる現代歌人協会賞(第34回)を最年少受賞。
その作品は高校教科書の継続教材ともなっている。
歌集は他に『アトム・ハート・マザー』(雁書館)『仙川心中』(砂子屋書房)『恐山からの手紙』(ながらみ書房)『セイレーン』『辰巳泰子集』(邑書林)ほか。
「短歌人」「開耶」を経て、2008年短歌結社「月鞠の会」を旗揚げ。
現代歌人協会会員、日本文藝家協会会員。
2001年頃より、新宿ロフトプラスワン、ネイキッドロフトを主な拠点に単独ライブ。
その手法は演劇性を帯び、自作短歌をシナリオとして再構成する。
朗読のためのシナリオは「平家歌灯」の他に、「私本 安達ケ原伝説」(「辰巳泰子集」所収)、「浄瑠璃仙川心中」(「恐山からの手紙」所収)、「愚か者・セイレーン」(「セイレーン」所収)があり、上演は、ライブハウス、小ホール、カルチャー教室、カフェ、ギャラリーなど多様な場で行う。
DVD「聖夜―短歌朗読ライブ」(ロフトシネマ)では路上収録を実現。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★ご来場者の推薦文(敬称略)★


○悲しい物語でした。理不尽さに泣けてきました。私も死ねば子供に会えるかとよく考えました。――枡野浩一

○みな「自分にもある」感情に満ち満ちてゐて、息苦しいほどに胸を打たれました。をかしな云ひ方かもしれないのですが、ふみはづして了つた男をまざまざと、しかも自分を重ねて見てゐました。――佐藤元紀



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★「平家歌灯」と辰巳泰子の短歌紹介★


……お隣の国の、遠い昔を思い出してみよか。秦の趙高、漢の王莽、梁の周伊、唐の禄山……これらの人は政のならいに従わず、快楽を極め、世の中が乱れるのも分からンと、うちらがしんどい思いしとっても、知りもせぇへんし気もあらへんよって、政権が長くは続かンかった。自分らのおる国のこと言おか、戦好きの××、キャベツの値段も知らん××、何かて他人事の××、マンガ脳の××、これらの人の、おごらはった心も、競争に打ち勝ちたい意地も、皆、さまざまであったけれども、まぢかくは、六波羅入道前太政大臣平朝臣清盛公ちう人のありさま、伝え聞かるる凄さは、ことばも心も追いつかへんほどやった。(第一弾「祇園精舎」)

乳ふさをろくでなしにもふふませて桜終はらす雨を見てゐる
むざんやな畳の上の陰の毛に絡め取られし羽虫いつぴき



お山からは、加賀守を流罪にし目代を禁獄せよと要求したが、ご裁断がなかなかくだらへんかった。「賀茂川の水、双六の賽、山法師、これが自分の思うようにならぬもの」と、昔の天子がおっしゃったように、当時、比叡のお山が起こす訴訟は、無視できへんことになっていた。それやのに、なかなかご裁断をくだしていただけないので、とうとう坊さんらは、日吉神社の祭礼を中止し、都へ押し寄せ、パレード兼デモ行進を行った。

「加賀守を流罪にし目代を禁獄せよーー!」
「地方の切り捨てを許さないぞーー!」

十禅師、客人の宮、山王大権現の三社の神輿を絢爛と飾り申し上げ、陣の先へ振り上げ振り上げゆくほどに、さがり松やら、きれ堤やら、賀茂の河原やら、糺の河原やら通り過ぎ、練り歩くほどに、デモに加わる員数は、掃除仕事の坊さんや、神人、みやじ、身分の低い雑務の坊さんらであふれかえり、数えきれないまでに膨らんだ。振り上げられるお山の神輿は、天に輝き、お日さんお月さんが落っこってきたかと思うほどや。(第二弾「御輿振」)

ふたしかなままに残してゐることに救はれてしまふ殺されてしまふ
をさめてはならぬ怒りと思ひゐる咽喉のうちにも月はのぼれり


ところがや。数日経った真夜中、樋口富小路から火が出た。折からの辰巳風がはげしく吹き、炎は巨大な車輪のように町中を転がり、西北へ斜めに飛び飛びに街を焼いてゆき、名所や公卿の家を総なめに焼いてゆく。炎は御所にまで押し寄せ、燃えつづけ、朱雀門も対極殿も焼け野原となった。この大火で数百人が焼け死に、牛馬の類は、なお数知れず焼け死んだ。人々はこれを山王大権現のお咎めであると噂した。比叡のお山から二千、三千の猿が下りてき、手に手に松明を持ち、あちこちに付け火して回るのを見たという人さえあった。(第二弾「内裏炎上」)

火事ありて明るむ空をいつぴきの猫と見てゐるひとひの終はり
わが内臓のうらがはまでを照らさむと電球はてなく飲み下す夢


そこで西光は、内裏炎上は、加賀に領地のある天台座主のもくろみであると院に讒言し、院は、これを信じてしまわはった。

「山坊主までわしをコケにしよるんか……」

院は、たいへんお怒りになり、天台座主を流罪にすると言い出さはった。明雲大僧正は、誰を恨むでもなく無実の罪を受け入れはったので、お山では、流刑地から明雲大僧正を奪回し、元の天台座主に据えはった。

「お山のことはお山に決めさしてもらう!」

座主奪回に及んだ坊さんは、処刑される覚悟をしていたが、あらためての流罪はなかった。(第二弾「座主流」)

立ち上がるわれの背後に兆せるは今朝殺めたる花首のかげ
怒りつつまなこひらけばおほぞらに累々とありはつあきの雲


西光はこの事を聞きつけ、思い当たらはったか、馬を鞭打ち走らせて、まずは院の御所である法住寺へ参ろうとしはった。せやけど院のおそばへ着かんうちに追手が迫り、馬から引きずりおろされ、生け捕られ、宙吊りに提げられた。首謀者の一人であったので、特に強く縛られ、中庭に据えられ、清盛の前へ突きだされはった。

清盛は、「平家一門の足ひっぱりよって、なれのはてはみじめやのぅ。おぅ、こいつもっとこっちィ寄せたれ」と言い、履物をはいたままで、縁の際へ寄せられた西光の顔を、むずむずと踏みつけはった。「おんどれら下郎の分際で、天子に引き立てられたからゆうて調子こきやがって、おまえら父子して分不相応なふるまいィ。ごらあッ。そうでのうてもわしら一門に喧嘩仕掛けるつもりしよったんや。ただで済むと思うなよ。洗いざらい吐かしたるよって」

西光は、もともと肝の据わった男やったので、顔色を変えず、わるびれた様子もなく居直り、嘲笑う。何せ、もとは信西に仕えた男や。

「それは違いますやろ。入道殿こそ分不相応なことを。あんたが元は何者か、知らんやつの前でやったらいざ知らず、この西光の目の前で、何を言うやら。院宣のあった企てには確かに参加しました。知らんとは言いません。せやけど今、あんたがゆわはったンは、聞き捨てなりませんな。あんたは忠盛卿の子ぉやったけど、十四五まで宮仕えもせんと、その時分、中御門中納言かせい卿の邸ら辺に、恥ずかしそうに顔を隠して出入りしとったやないか。扇の骨の間に鼻だけ突き出してから、京わらんべに、からかわれとったやないか。鼻平太! けっ、この鼻平太! ええか。あんたこそ、殿上の交わりをさえ嫌われた人の子ぉで、太政大臣にまでのぼるなンぞ、なりあがりもええとこや。分不相応ゆうのは、まさにあんたのことや!」

清盛はあまりに怒り、押し黙っていたが、少しして言わはった。

「……おぃ。こいつの首はすぐには切るな。よぅよぅいたぶったれ」
(第二弾「西光被斬」)

海の名のたくさんの痣 お月さんの痣に溺れてゆくやうな眠り
細りゆく乳房をそつとわしづかみ眠つてしまふ眠つてしまへ
ひとの手にあるものばかりうつくしく花火の絶えし乾きのふかさ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★上演履歴★


●5月29日、JazzBarサムライにて第七弾。屋島、壇ノ浦。ゲスト徳永未来。
●3月21日、JazzBarサムライにて第六弾。敦盛、維盛、藤戸の三本立オムニバス。ゲスト徳永未来。告知フライヤー
●2010年2月13日、京都紫苑(しえん)にて祇王。
●11月1日、JazzBarサムライにて第五弾。義仲(廻文〜木曾最期)、ゲスト神田陽司、西野りーあ。
●7月12日、JazzBarサムライにて第四弾。文覚荒行、頼朝旗揚げ、清盛あッち死に。(巻五〜六)。ゲスト佐々木六戈。「オオカミの桃でトラウマ退治する 泰子」
●4月19日、JazzBarサムライにて第三弾。重盛教訓、信連、競、橋合戦他。(巻二〜四)。合戦曲(作曲・演奏)は加藤尚彦。告知フライヤー
各位 宣伝ご協力、ブログへのお取り上げ御礼申し上げます。
●2月12日、「辰巳泰子の聲」にて第二弾。鹿谷、俊寛他(巻一〜三)
●2009年1月15日、「辰巳泰子の聲」 にて「へいけうたのあかり」第一弾。祇園精舎、祇王他(巻一)、「私本 安達ケ原伝説」(「辰巳泰子集」から)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★参考資料★


小学館「新編日本古典文学全集 平家物語」他。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★著作権・コンプライアンス★


「平家歌灯」の著作権は、辰巳泰子に帰属します。無断による転載・引用・上演を固くお断りいたします。ご連絡は、tatumiliveあっとまーくyahoo.co.jpまで。


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