鉄道マニアが大嫌い



 

 私が「鉄道マニアが嫌い」なんて言ったら自己嫌悪ということになってしまいますが。
 あくまで、「一部の」ですよ。一部の鉄道マニアです。
 ……そうです。
 まあ色々あります。「罵声大会」も酷いもんですね。ああいうのは嫌いです。
 でも今回はそういうのじゃありません。
 あ、べつに「イタい奴が嫌い」なんてナマイキ言うわけではありませんよ。
 それ言ったら本当に自己嫌悪ですから。
 
 例えばある路線や列車が廃止になる時に、のこと。
 以下は、鉄道雑誌の読者投稿欄、果ては新聞の投書欄に載ることもある、ありがちな提言なのですが。

・歴史的、文化的価値があるから廃止はするべきではない。
・合理化の名の下に廃止するのは間違っている。
・現に需要がある。
・廃止反対の声にも耳を傾けるべき。
・この鉄道(列車)には良さがある。

 以上。 そう、殆ど全てが感情論。
 感情論で何かを動かすことができますか?
 できるわけないでしょう。それが通用するなら世のセールスマンは苦労しません。
 歴史的、文化的価値は、せいぜい資料館でも建てれば済むこと。路線や列車の存続だけがその方法ではありません。増してや「この鉄道(列車)の良さ」など主観以外の何者でもありません。
 それから、「合理化」「需要」「廃止反対の声」は確実に反論されます。例えわずかな需要があったとしても採算が合わないから廃止するものを、「採算が合わないからと言って廃止してはいけない」と言ったところで、「じゃあ誰が損失を補填するのか」といわれればそれまでです。廃止反対を唱える人にとって、これは自分の首を絞めるだけのこと。
 「廃止反対の声」なんか特にそうですよね。少数ながら今も利用者がいるのは事実にしても、少数であればこそ鉄道の存在意義はなくなりバスや乗用車に代替するのが適当ということになるのです。仮に少数の利用者の利便性が損なわれるにしても、鉄道会社の赤字による損失と天秤にかければ答えは出てしまいますよね。鉄道会社がその人達のために損失を背負い続ける義務はありません。そして代替措置は鉄道以外にもいくらでもあります。
 極端な人になると、「赤字なのは鉄道会社の責任だ。廃止によって利用者がその責任を取るのは間違いだ」なんて言い出す人もいます。確かに一理あると思うのですが、金融商品の契約ならいざ知らず、鉄道会社の契約(切符を買うということ)は目的地に着いた時点で終了していますから、「今日乗った列車が十年後も走ること」は契約に含まれていません。今まで提供されていたサービスを廃止するのは提供者側の権利であって、利用者がそれを求めることは当然できますが、提供者側には応じない権利もあります。
 いずれも利用者本位の意見であって、「自分の意見を述べる」ことはできていますが、「解決策を探す」ことは全くできないものばかりです。
 
 ところが、です。
 赤字で鉄道(または列車)が廃止になるという時に、こんな幼稚なことを言っていては誰も聞いてくれやしないんですよ。
 何が敵なのかを考えてください。
 廃止を決定した人が悪いんですか? 鉄道会社がケチなんですか? そうじゃありません。
 赤字だからいけないんです。
 鉄道や列車が赤字ということは、列車が走れば走るほど損失が増えるということです。鉄道や列車を存続させるということは損失を更に増やすということです。だったらどうすればいいですか? 赤字ではなくなるようにするしかないじゃないですか。
 わずかな人が使っていたって儲からなければ会社は潰れます。
 その人達が廃止で不便になるからといって、その不便さの代わりに鉄道会社が金をドブに流すことが正論ですか? そんなはずがないでしょう。そんなことを言っていても何の解決にもならないのです。
 権利を主張することなど誰にでもできます。
 ですが赤字を解決しなければ絶対に鉄道(または列車)は存続できないんです。廃止の撤回などありえないんです。
 なのに、赤字を脱却する建設的な提案など殆ど無く、ただ感情論で「残して欲しい」としか言えない人がこの趣味界には非常に多い。多すぎる。誠に残念なことであります。
 
 とはいえ。
 頭のいい経営者が奔走しても有効な策が見つけられなかったからこその赤字なのですから。
 シロウトの鉄道愛好家がペン一つで赤字を脱却させられたら、それはそれでとんでもないニュースになるでしょうけど。
 
 本当に人を愛するなら、相手のことを思いやらなければなりません。
 いわゆる愛と恋の違いですけど。
 「残して欲しい」は、所詮は恋なんですよね。
 好きだという気持ちの押し付けでしかないんですよ。
 中には慕う気持ちが強すぎて、「俺は客だぞ、運賃を払っている客が存続しろと言っているのだから応じろ」なんて脅迫めいたことまで言い出す人もいますけど、はっきり言ってかわいそうです。人の愛し方を知らない人です。
 本当にその鉄道が好きなら。愛しているのなら。
 その鉄道がどうすればいいのか、もっと知恵を絞って考えるべきじゃないんですか?
 まあ前述の通り、殆ど却下になるでしょうけど。
 その中に一つでも有効な策があったら、もしかしたら廃止の撤回、あるいは廃止後の復活もありえるかもしれませんよ。
 ただ「残して欲しい」「この路線が好きだ」と言っているだけでは絶対にありえないことです。 
 「頑張る」という言葉だって、ただ「好きだから廃止しないで」と連呼する人よりは「こうしたらどうか、それがダメならこうすればいいんじゃないか」って一所懸命考えている人に贈りたいですよね。
 本当に廃止予定の鉄道を存続して欲しいのなら、こういう姿勢で臨むべきだと思うんです。
 
 先の「罵声大会」もそうなんですけど。
 所詮は自分の思い通りになるようにすることしか考えていない人が多いんでしょうね。
 だから「残して欲しい」程度のことしか言えない人が多い、と。
 まあ趣味なんですから、それでいいんですけど。
 
 ……で。
 じゃあ鉄道会社が存続するための施策を考えましょうっていうと。
 
・転換クロスシート(上りも下りも進行方向を向く座席)にしろ。
・本数を増やせ。
・速く走れ。
・無料にしろ。

 バカの一つ覚えのようにコレしか言えない人が非常に多いです。
 まあ確かにこうすれば乗客が増える可能性はありますけど。
 「本末転倒」って、これのことですよね。
 客が増えたことによる増収より施策にかける費用の方が圧倒的に高くつくという。
 
 というわけで。
 鉄道マニアは幼稚な人が多すぎるのであります。
 
 でも。
 「じゃあおまえならどうする?」って言われると非常に困って逃げるしかないなあ。 
 所詮は自分も鉄道マニアでしかない、と。
 大嫌いです…。
 
 そして、蒸し返しにもなりますけど。
 ここからは特に「列車の廃止」についての話になります。
 冒頭に列挙した幼稚な要求しかできないような人達は、往々にして群れを作り議論を交わします。
 そこで「でも採算が合わなければ鉄道会社は応じないだろう」などと言うと、「採算とかいう問題ではない」みたいな反論が来ることがあります。
 酷い人になると「そんなの鉄道会社の都合だ。鉄道会社が自分の都合で客に迷惑をかけるな」とまで言い出す人もいます。
 強硬な姿勢も大事ですが、こういう意見が陽の目を見ることって殆どないんですよね。
 何かを要求するなら、何か見返りが無いと。強行な姿勢で「損になってでも廃止は撤回しろ」といえば、鉄道会社の姿勢はますます硬化するだけだと思うんです。
 つまり逆効果。
 鉄道会社の出した廃止という結論をを批判することも必要ですが、批判に終始しては結論は生まれません。議論有っての結論、対案を出してこその議論です。
 ところが鉄道マニアの活動を見ると、批判する者同士で集まって傷を舐めあい、仲良く鉄道会社に文句だけ言って叶わず終い、こんなことが多すぎます。
 鉄道会社は営利企業ですから、ナンボ求められても利益にならないことはやりません。要らないものは当然捨てます。
 反対に、営利企業ですから利益になることであればやります。欲しいものは手に入れようとします。
 だから、本当に存続を望むなら、廃止になる路線や鉄道が、「利益になる」「欲しいもの」になるにはどうすればいいのかを考えなければなりません。この作業を経て、初めて「廃止反対」の活動は一歩を踏み出せるのです。
 なのに前進の一歩を拒絶し、時には「そういうのは鉄道会社に迎合する意見だ」とまで言っていつまでも鉄道会社の批判ばかり。
 おまえら本当に存続を望んでいるのか? と私は問いたくなります。
 文句をいうだけでは鉄道会社は絶対に応じません。応じないと解っているのに文句だけを言い、気が晴れて忘れたらそれでサヨウナラ。
 こういう奴に「俺は真剣に存続を考えているんだ」なんて言われたくありませんよね。
 結局、なにも考えていないじゃないですか。
 存続の手段を考えているのではなくて、自分の思い通りにならないことに対して文句を言っているだけじゃないですか。
 自己満足ですよ。傷を舐めあっているだけで前に進む気なんてないんです。
 もちろん趣味だから自己満足でいいんですけどね。
 こういう、本当は本気で考えてないような奴に限って「俺は真剣に考えている」と言いたがる。そして、どうすればいいのかを必死に考えて、批判に終始して荒唐無稽な提案をしている人に「それは意味のある提案ではない」と指摘されると、途端に拒絶反応を示し暴言も含めて猛反発をする。
 鉄道系掲示板が荒れる一つの原因になっていますね。
 ちなみにですが2chではむしろ傷の舐めあいは殆ど行われません。「残念だなー」「ラストシーンは感動したよ」で終わったり、採算を挙げる方法を批判しあったりしている方が多いです。匿名ですけど。
 こういうのも面白い現象の一つだと思います。
 傷の舐めあいは個人の掲示板に多い。
 また何か気付いたら加筆するかもしれませんが、私から「一部の」鉄道マニアに対する批判は一応ここまで。
 


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