アニマルホーディング(Animal Hoarding)

ここ最近、ドイツでも“アニマルホーディング”という言葉を耳にするようになりました。これは、病的なアニマルコレクターを意味し、たくさんの動物を適していない環境〈スペース、食餌、衛生状態、ケアや医療措置において〉で飼いながら、動物にも人間にも問題があることを自分で認識することができないという病的な飼い主(アニマルホーダー)の状況を描写しています。あるアパートの一室から汚臭がすると近所の人が警察に連絡し、警察がアパートに押し入ると狭い部屋に30匹以上の猫が、糞尿床に垂れ流し状態で飼われていました。狭い敷地内で40匹以上もの犬が、ろくに餌ももらわずやせ細った状態で放し飼いされていたり、1000匹以上ものインコが狭い部屋で飼われていたりなどという例も。驚くことに、ほとんどの飼い主は何匹動物がいるのかさえも把握していませんでした...。これらの動物が、一時的に動物保護施設(Tierheim)に保護されても、それで問題が解決されるわけではありません。なぜなら、一度アニマルホーディングを犯したアニマルホーダーは、再びその行為を繰り返す可能性が高いからです。

 

アニマルホーディング研究評議会Hoarding of Animals Research Consortium − HARC)によると、アニマルホーダーは、76%が女性、46%以上が60歳以上、50%以上が一人暮らし、そして、60%以上が問題を全く認識できない状態であったと報告されています。これまで一番多く被害に遭っている動物、次いで。これらの動物は、69%以上のケースにおいて、床に糞尿垂れ流しという不衛生な状態で飼われ、80%以上のケースにおいては、すでに病気になったり又は動物の死骸が見つかったという悲惨な状態です。なぜ、アニマルホーダーがこれらの動物虐待といえる行為を犯すのか?それは、現在、4種類に分類されている、アニマルホーダーのタイプによってこのように考えられています。

 

・ 過剰な世話タイプ このタイプは、動物だけが唯一の話し相手という、多くは社会からやや孤立している状態の人。はじめは何匹かの動物を世話するだけなのですが、繁殖のコントロールなしという状態で飼い続けるうちに、動物の数があっという間に増えはじめ、又、自分自身が高齢であったり病気になったりすることで、動物の世話どころか、不衛生な状況を自分で認識することもできず、加えて相談できる人もなく・・・結局どうしようもない状態に陥ってしまうというタイプです。

 

・ 動物救助者タイプ このタイプのアニマルホーダーは、社会から孤立しているわけではないのですが、動物を救うことが自分の使命であると頑なに信じ、一匹でも多くの動物を救おうと活動します。自ら積極的に不幸と思われる動物を集め、結局その数が増え続けることにより、スペース、食餌、衛生状態、ケアや医療措置において適した環境での飼育が困難になってきます。

 

・ ブリーダータイプ このタイプは、犬、猫などをショーに出すことや、売買することを目的で繁殖させるのですが、思うように売れなかったりすることで、いつのまにかコントロールを失ってしまうというタイプです。

 

・ 搾取者タイプ このタイプは、自分のエゴだけで愛情もないのに(物を衝動買いするように)好き勝手にたくさんの動物を飼い、ケアや医療措置においてもほったらかしです。それに対して何の罪悪感もなく、自信のある態度で平気でうそをつき、社会的にはなんら問題なく生活していたりするので、発見されにくい厄介なタイプと言えるでしょう。

 

たいていの場合、近所の苦情(汚臭や鳴き声)によって、アニマルホーディングが発覚することがほとんどです。しかし、動物保護団体、役所の獣医も飼い主の承諾なしには敷地内に勝手に入ることはできず、許可を申請するのに時間がかかり、その間に動物をどこかに隠されたり、最悪の場合、死亡したりするケースも増えています。アニマルホーディングは、ドイツでも最近注目されだした問題で、これから動物保護団体、獣医局、警察などが皆で協力し解決していく必要があります。それと同時に、アニマルホーダーである飼い主の心の治療を行うことなしには解決できない問題といえるでしょう。

 

 

参考文献

 

Deininger E.. (2009)  Animal Hoarding. Angewandte Ethologie DVG, April 2009, Munchen.

 

 


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