ドイツ犬事情


2008年の統計によると、ドイツでは、約820万匹に次いで、ペットとしては二番目に多い約550万匹の犬が飼われています。ドイツの犬の飼い主が年間、動物病院などで犬の医療費としての出費する金額は、平均一匹につき200ユーロ、総計するとドイツ全体で年間約11億ユーロ。その他の経費として動物病院のもとだけでも、ドッグフードに年間約9億5千万ユーロ、犬グッズに約2億ユーロ、犬の美容に約5千万ユーロ、犬の訓練に約3千5百万ユーロ。全部トータルすると23億3千5百万ユーロ、年間3035億円(1ユーロ 約130円)ものお金が犬の経費に使われています。その他、動物病院以外のペットショップでの出費、犬のトレーニング費、犬の税金などトータルすると、犬一匹にかかる経費は、年間約1000ユーロ(130000円)と言われています。

法律

動物に関してたくさんの取決めがあるドイツですが、犬を飼う場合は『動物保護法』(Tierschutzgesetz)はもとより、危険性のある犬を飼う場合は、『攻撃および危険性の高い犬に関する条例』、普通に犬を飼う場合にも犬の保護条例Tierschutz-Hundeverordnungに記載されている事細かな条件を満たさなければなりません。犬は家族の一員として飼われており、つながれて飼われている犬はほとんど見かけませんが、例えば、家の外で犬をつないで飼う場合は、必ず犬小屋を用意し、綱の長さは犬が自由に動けるように最低6メートル。檻の中で飼う場合も犬の大きさに応じて最低の大きさでも6平方メートルと決められています。子犬は生後8週間を過ぎるまでは、母犬から引き離すことは禁じられており、1才に満たない犬をつないで飼うことも禁じられています。そして、犬の種類、年齢に相応した十分な運動、社会性を養うために他の犬や人間とのコンタクトが義務づけられています。

飼い主がいないとみられる捨て犬や捨て猫は、ドイツでも現在(2011年)法律上は「拾得物」として扱われており、もし見つけた人がこれらの動物を引き取って飼おうと思っても、簡単に連れて帰るわけにはいきません。まずは見つけた地域の地方自治体に届けを出す義務があります。自治体は地域の動物保護施設「ティアハイム」などと協力して、6ヶ月間はこれらの動物を世話する義務があり、食費・医療費をはじめさまざまな諸費用を負担することになります。この場合も動物を守る法律である動物保護法」や「犬の保護条例」の条件を満たす必要があります。この6ヶ月の間は(事情はどうであれ)もとの飼い主は動物の返却を求める権利があります。なお、飼っている動物を故意に放置すると『動物保護法』により最高25,000 ユーロ(約325万円)の罰金が科せられます。動物に虐待など加えることがあれば、その程度にもよりますが、罰金だけではなく禁固刑が科せられます。

 

ドイツでは、レストラン、デパート、公共の乗り物内など至るところで犬を見かけます。スーパーの前などには、たいてい犬をつないでおく場所が設置されています。そのしつけのよさには初めてドイツに来た日本人は誰もが驚かされることでしょう。最近は、道路や公共施設(公園など)では『攻撃および危険性の高い犬に関する条例』に挙げられている犬は言うまでもなく、全ての大型犬(肩までの高さ50cm以上)にリードが義務づけられるようになってきましたが、それでも、リードなしで散歩している犬の姿をよく見かけます。

これらの法律、規制、犬の税金額などはドイツ国内で一定しておらず州によってまちまちで、混乱している犬の飼い主が大勢いるのが実情です。リードなしで犬が自由に走り回ることができなければ、犬に十分な運動をさせてやることができず、ひいてはそれが犬の攻撃性を増すことにもつながるとの理由で、リードの義務づけに反対している人も数多く、大都市でも大きな公共の公園のなどでは、リードなしで犬を自由に放しても良い一定の場所が設けられています。

 

犬の糞については、ドイツ人のマナーは以外と悪く、日本のように犬の散歩の際にスコップやビニール袋など持参してい人はあまりみかけません。たまに街なかで、Dog Stationと呼ばれる犬の糞を入れるビニール袋とゴミ箱が一緒になったもの(犬のトイレ)を見かけることもありますが、あまり使用されている様子はありません。高額に科される罰金(地方自治体によって35−500ユーロ)にもかかわらず、『一体何のために高額な犬税を払っているんだ』と主張する飼い主が少なからずいるのが実情です。

 

動物保護施設

犬にかかわらずどんな動物でも、不適切な飼育環境で飼っていたり虐待の疑いがあると、なぜか誰か(たいていは隣近所の人)が、警察や動物保護施設に通報し、役所の獣医がチェックしにやって来ます。程度によっては一度目は注意だけで大目にみてくれることもありますが、次回のチェックで何の改善もされていないと動物を没収されるはめになります。それらの動物は、Tierheimティアハイムと呼ばれる動物保護施設に保護され、そこで新しい飼い主を待つことになります。ペットショップで犬・猫がほとんど売買されることのないドイツでは、直接ブリーダー、広告などを通してペットを手に入れるか、または、多くの人たちが、このTierheimを訪れかわいそうな運命にある犬、猫、および他の小動物を引き取っていきます。もちろん、その場合も引き取り手の住宅環境、家族構成、年齢や健康状態、他の動物の有無、犬を飼った経験など考慮にいれ、本当にその人に適した犬であるか、そして、犬が新しい飼い主のもとで本当に幸せになれるかどうかが念入りにチェックされます。Tierheimの設備は充実しており、高齢で引き取り手のいない動物なども、いつまでもここで暮らすことができます。

 

ちなみにTierheimは、全国で小さい施設も入れると500以上に及び、誰でも自分の住んでいる近くのTierheimを簡単に訪れることができます。 例えば、2001年にベルリン郊外に再建されたTierheim は、ヨーロッパでも最大の規模(16ヘクタール)を誇り年間12000頭もの動物が保護されています。約4800万ユーロ(約62億円)もの建設費がかけられ、公益の動物愛護協会への寄付金と一般会員からの会費を貯めたお金で建設及び運営されています。一日にかかる費用は12000ユーロ(約156万円)、120人もの職員や多くのボランティアが働いています。2001年以来、(2009年9月までに)200万人以上もの人がこのTierheim を訪れ、なんと今までに83046頭(猫33005匹、犬15388匹)もの動物が引き取られました。しかし、このベルリンTierheimは特別な例で、平均すると、ひとつのTierheimにいる犬の数は約40匹。もちろん、大きな施設にはしっかりと動物医療設備も整っています。捨てられたり虐待の疑いのある動物は、これらの施設のTierinspektor(動物検査官)が、役所の獣医、警察と密接に協力しながら対処しています。

 

動物救急隊

ミュンヘンでは、2001年に24時間体制動物救急隊が誕生し、わずか年会費30ユーロ(約3600円)を払い会員になるだけで、24時間いつでも電話一本で獣医の救急処置を受けることができます。あくまでも救急処置のみですが、週末や夜中に急にペットの様子がおかしくなったり、特に車を運転しないお年寄りの飼い主さんには、たいへん心強いサービスと言えるでしょう。救急隊の出動の約半数の患者は、犬・猫。しかしながら、35%は野生動物(28%が野鳥)。野生動物に関しては救急隊の獣医は無料で対処します。ほとんどの活動が寄付金によってまかなわれているのが実情です。

 

参考資料

*追記:正確な情報をお伝えできるように気がつけば修正しておりますが、時間の経過と共に情報が古くなっている可能性もあります。ご自身で確認し、ご自身の責任でご利用ください。

http://www.gesetze-im-internet.de/tierschg/

http://www.gesetze-im-internet.de/tierschhuv/

http://www.tierschutzverein-penzberg.de/rundumstier/fundtierrecht.html

https://www.verwaltungsservice.bayern.de/dokumente/leistung/5888521793

http://www.zzf.de/

http://www.tierschutz-berlin.de/

http://www.tierrettungmuenchen.de/

Vet Impulse (September 2007)Nr.18

 

犬・猫との旅行

ドイツからEU圏内への犬猫の持ち込みについて

ドイツでは、犬連れで地下鉄や列車に乗っている人は日常茶飯事で、国外での休暇に犬連れで行く人の姿もよくみられます。列車などで移動する際は、移動用のケージに入る小型の犬は無料、それ以上の中・大型犬は子供料金(大人の約半額)のチケットを買わなければいけません。

ちなみにEU圏内においては、これまでの予防接種証明書に代わり、2004年より犬・猫パスポート(Heimtierausweis)なるものが導入され、動物病院で発行してもらえます。犬・猫・フェレットを連れてEU圏を旅行するには、*原則的にマイクロチップの着装(あるいは2011年7月3日以前にされた、個体がはっきり識別できる入れ墨)と狂犬病予防接種が義務づけられています。

*EU圏内でも、寄生虫エキノコックス駆除証明書が必要な国や持ち込みが禁止されている犬種がある国もあるので確認が必要です。

日本からドイツへの犬猫の持ち込みについて

原則的に、国際標準化機構(ISO 11784 または 11785)に適合するマイクロチップの着装狂犬病予防接種が必要。

こちらも参考にして下さい。

ドイツから日本への犬猫の持ち込みについて

基本的には、ドイツの獣医師のもとで

・まずは、国際標準化機構(ISO)に適合するマイクロチップの着装。

・2回以上の狂犬病予防接種(2回目接種は1回目より30日以上経過しており有効免疫期間内)、およびその後の血液採取(2回目接種の有効免疫期間内)による狂犬病抗体価の検査。血液採取日から日本到着時まで*180日間以上経過している必要があります!血液採取は一般獣医師が行いますが、狂犬病抗体価の検査は、血清を農林水産大臣の指定するドイツの施設に送りそこで行われます。これらの施設は現在ドイツに8つあります。

・出発前(できれば出発2日以内!)に狂犬病の他、レプトスピラ症にかかっている疑いがない健康証明書FormC:英語)が必要。処置を行った獣医師に必要事項を記載、サインしてもらい、最後に全ての書類FormAFormC:英語)をもって輸出国政府機関管轄の獣医局Stadtisches Veterinaramt)へ出向き裏書き(サインと獣医局の判をもらう)してもらいます。ここで、犬の最終的なチェックも行なわれます。

日本の機関へは、

・日本到着の40日前までに日本の動物検疫所へ申し出をすること。

*日本から犬猫を連れてドイツに短期間滞在し再び日本に帰国する場合、これらの条件(日本からドイツ、ドイツから日本)を満たしていれば、ドイツで180日間待機する必要はなく、日本帰国時の係留期間は12時間以内となります。

詳細や必要な証明書などはこちら動物検疫所犬、猫を輸入するにはからダウンロードできるので予め目を通し、飼い主にとっても犬にとってもストレスにならないよう、余裕をもって一つ一つ準備することが大切です。

ドイツ猫事情へ

 
TOP 問題行動とは? 犬の問題行動 猫の問題行動 TOPIC LINK